結論:夜勤手当に使えるようになりましたが、自動増額ではありません
2026年度診療報酬改定について、日本看護協会は、看護職員処遇改善評価料とベースアップ評価料による収入を夜勤手当の増額に充当できるようになったと案内しています。
ただし、これは「2026年から全病院の夜勤手当が一律に上がる」という意味ではありません。勤務先が対象の評価料を算定しているか、増収をどの賃金項目へ配分するか、夜勤手当の単価や賃金規程を変更したかによって、個人への反映は変わります。
この記事は、夜勤をしているのに手当が変わらない看護師さんが、感覚ではなく五つの事実で確認するためのガイドです。
まず分けたい三つの話
| 話 | 意味 | 個人への反映 |
|---|
| 診療報酬上の評価 | 医療機関等が要件を満たして届け出、評価料を算定する | 算定だけで個人の金額は決まらない |
| 施設内の配分 | 増収を基本給、固定手当、夜勤手当などへ配分する | 施設の計画・規程で異なる |
| 自分の給与 | 勤務回数と単価に基づき給与明細へ載る | 明細、勤務表、規程で確認する |
ニュースで「夜勤手当に充当可能」と見ても、三段階を飛ばして「来月から1回当たり何円上がる」とは判断できません。
自院へ確認する5項目
1. 評価料を算定しているか
看護部、人事・給与担当、事務部門へ、勤務先が看護職員処遇改善評価料やベースアップ評価料を算定しているか確認します。制度の対象になり得ることと、自院が実際に算定していることは別です。
2. 夜勤手当へ配分する方針があるか
評価料による収入を夜勤手当に使えるようになっても、基本給や別の手当へ配分する施設もあり得ます。「処遇改善を行う予定です」だけでなく、どの項目へ反映するのかを聞きます。
3. いつから、1回単価がいくら変わるか
準夜、深夜、二交代夜勤では単価が異なることがあります。次の四点をセットで確認します。
- 適用開始月
- 夜勤区分ごとの改定前・改定後単価
- 常勤、非常勤、夜勤専従などの対象範囲
- 遡及支給がある場合の対象期間と支給月
給与明細の総額だけでは、夜勤回数が増えたのか単価が上がったのかを区別できません。勤務表と1回単価を並べます。
4. 深夜割増と院内手当をどう計算しているか
労働基準法上、原則22時から翌5時までの労働には25%以上の深夜割増が必要です。一方、院内で「夜勤手当」と呼ぶ金額に深夜割増を含めるか、別建てにするかは規程の設計で異なります。
改定後の単価を見るときは、深夜割増を含む金額なのか、別に計算されるのかも確認してください。夜勤手当の相場と深夜割増の仕組みで詳しく整理しています。
5. 基本給・賞与・退職金とはどう関係するか
夜勤手当が増えても、基本給が上がったことにはなりません。賞与算定の基礎、時間外手当の基礎、退職金への反映は、職場の賃金規程によって異なります。
月の手取りだけでなく、次を分けて確認します。
| 項目 | 確認する質問 |
|---|
| 基本給 | 等級・号俸・定期昇給は変わったか |
| 夜勤手当 | 1回単価が変わったか |
| 固定手当 | 新設、増額、統合、終了予定があるか |
| 賞与 | どの賃金項目が算定基礎に入るか |
| 年収 | 夜勤回数が同じ場合に年間でいくら変わるか |
給与明細を比べる手順
- 改定前後で夜勤回数が近い月を選ぶ
- 勤務表から準夜・深夜・二交代の回数を数える
- 給与明細の夜勤手当を区分別単価と照合する
- 基本給、固定手当、時間外手当、控除の変化を別にする
- 分からない差額を質問にして給与担当へ確認する
「手取りが同じ」だけでは、手当が変わっていないとは限りません。社会保険料、税、欠勤、残業時間の変化を除いて比べます。
職場への聞き方
対立的に「なぜ上げないのですか」と聞く前に、制度、配分、個人明細を分けると確認しやすくなります。
2026年度改定後の処遇改善について確認したいです。当院は対象の評価料を算定していますか。増収を夜勤手当に配分する方針がある場合、対象者、開始月、1回単価、規程の変更点が分かる資料はありますか。
説明資料がない場合は、賃金規程、就業規則、給与改定通知、労働条件通知書を確認します。法令違反や未払いの判断が必要なときは、労働局、労働基準監督署、社会保険労務士などの正式な窓口へ相談してください。
上がらない場合に見るべきこと
夜勤手当が上がらないことだけで、直ちに悪い職場とは判断できません。基本給を上げた、固定手当に配分した、そもそも評価料を算定していないなど、理由は複数あります。
判断材料になるのは、理由と配分を説明できるか、夜勤の負担と処遇を定期的に見直しているかです。説明を受けても条件に納得できない場合は、求人票で夜勤手当を比較する方法で、基本給、回数、拘束時間、仮眠、明け後の勤務まで含めて比べてください。
年間差額を試算する
次は計算方法を示すための架空例です。二交代夜勤の1回単価が1万2,000円から1万3,000円へ変わり、月4回を12か月続ける場合、夜勤回数が同じなら年間の額面差は4万8,000円です。
(改定後単価 − 改定前単価)× 月の夜勤回数 × 12か月
実際の年収差は、適用開始月、夜勤回数、税・社会保険料、賞与算定、時間外との関係で変わります。試算は総支給の変化を把握するために使い、手取り額を断定しないでください。
よくある質問
評価料を算定していない病院は違法ですか
算定の有無だけで違法とは判断できません。施設の機能、届出、要件により異なります。自院の算定状況と賃金制度を分けて確認します。
夜勤手当ではなく基本給に配分されてもよいのですか
公式案内は夜勤手当への充当が可能になったことを示しており、全額を夜勤手当へ配分する義務を意味しません。施設の賃金改善計画と職員説明で、対象・金額・時期を確認してください。
まとめ
2026年度改定で、対象評価料の収入を夜勤手当の増額へ充当できるようになりました。しかし、個人の夜勤手当が自動的に上がる制度ではありません。
「算定の有無」「配分方針」「開始月と単価」「深夜割増との関係」「基本給・賞与への影響」の五つを確認してください。賃上げ緊急調査へ回答する方は、給与明細の確認方法も併せて使えます。年収全体を比べる場合は給与コンパス、職場への聞き方を整理する場合はカンゴさんを利用できます。
参考資料
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