生成AIを使ってみたい。でも、何を入力していいのか分からない。そう感じたまま手が止まっている看護師さんは少なくありません。この記事は、入力する前に確認することから順番に並べた「学びの入口」です。読み終えたときに決められるのは「今の職場で、自分はどこまで試してよいか」です。
2026年9月18日の改稿について。以前の版にあった時間短縮の数値表現(1日あたりの短縮時間、記録1件あたりの短縮時間)は削除しました。出典・対象・測定条件を確認できなかったためです。代わりに、下書きだけでなく確認と修正まで含めて自分で測る方法を載せています。患者さんの情報を匿名化して入力する案内も、完全な架空例での練習に置き換えました。
この記事でわかること
- 2026年9月16日に公表された登壇報告で、確認できることと確認できないこと
- 生成AIに何かを入力する前に、勤務先で確認する5項目
- 実在の患者さんを使わず、架空例だけで練習する手順
- 準備・生成・確認・修正を分けた、作業時間の測り方
- 学習の相談先と、今の職場で提案できること
2026年9月16日の登壇報告と、9月6日に扱われたテーマ
一般社団法人日本男性看護師會は、2026年9月16日15時38分に登壇報告を公表しました。報告されたのは、2026年9月5日から6日に開催された第39回日本看護福祉学会学術大会(大会長:吉岡詠美/国際医療福祉大学小田原保健医療学部看護学科教授)のうち、9月6日10時10分から11時10分に国際医療福祉大学小田原キャンパスで行われた交流セッション④「看護・福祉DXの最前線:ICT・生成AI・LIFEが変える現場の未来」です。登壇者は同会代表理事の坪田康佑氏、社会福祉法人小田原福祉会の井口健一郎氏、同会執行役員の岩永真林氏の3名と記載されています。
押さえておきたいのは、公表日(9月16日)とセッションの開催日(9月6日)は別だということです。そして公表されたのは登壇の事実と開催概要であり、発言の全文や、生成AIを導入した効果を測った数値は含まれていません。
確認できることと、未確認の効果を分ける
同じ発表を読んでも、「確認できる事実」「今回の資料では確認できないこと」「編集部の見方」は混ぜずに扱う必要があります。
| 区分 | 内容 |
|---|
| 公表されている事実 | 9月6日に「ICT・生成AI・LIFE」をテーマにした交流セッションが開かれ、3名が登壇した(2026年9月16日公表) |
| 今回の資料で確認できないこと | 各登壇者の発言内容、生成AIを使ったときの効果の大きさ、導入すべきツールの種類や製品名 |
| 編集部の見方 | 学会のテーマとして扱われたことは、勤務先で話題にする足がかりにはなる。ただし導入や効果を裏づける根拠にはならない |
学会や研修でテーマになったことと、自分の職場で使ってよいかは別の問題です。前者は学びを始める理由になり、後者は勤務先の承認で決まります。
入力する前に確認する5項目(院内ルール・利用契約・情報の取扱い)
生成AIの画面を開く前に確認することを、聞く相手と一緒に並べます。
| 確認する項目 | どこに聞くか | 確認できていないときの扱い |
|---|
| 業務で生成AIを使ってよいか(使ってよいツールの指定を含む) | 上司・看護部・情報システム部門 | 業務では使わない |
| 業務用端末・院内ネットワークからの利用可否 | 情報システム部門 | 私物端末で代用しない |
| 利用するサービスの契約区分(個人契約か、勤務先の契約か) | 情報システム部門・事務部門 | 個人契約を業務利用に流用しない |
| 入力してよい情報の範囲(どこまでが可で、どこからが不可か) | 院内規程・医療安全管理部門 | 患者さんに関する情報は一切入力しない |
| 生成した文章を記録や資料に使うときの手順(確認者・承認者) | 看護部・医療安全管理部門 | 公式記録には使わない |
5項目のうち1つでも「確認できていない」が残る間は、患者さんに関わる情報はいっさい入力しないという線で止めておくのが安全です。
サービス側の設定で「入力内容を学習に使わない」を選べる場合があります。ただしこれは事業者と利用者のあいだの設定であって、勤務先が入力を許可した根拠にも、医療情報を扱ってよい根拠にもなりません。判断の順序は、院内の承認・利用契約・情報の取扱い規程が先で、製品側の設定はその後です。
背景となる公的な資料も挙げておきます。個人情報保護委員会は2023年6月2日、生成AIサービスの利用に関する注意喚起を公表し、ChatGPTを提供するOpenAIに対しても注意喚起を行ったと発表しています。医療・介護分野での個人情報の扱いは、同委員会の「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」(令和8年4月一部改正)にまとまっています。看護師の守秘義務は保健師助産師看護師法第42条の2に定められており、退職後も続きます。院内の情報システムの管理については、厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン 第7.0版」(令和8年6月)が基準です。
なお、大学や特定の施設が独自に出しているルールは、その組織の中で通用するものです。他施設や学校の規程を、自分の職場で入力してよい根拠に読み替えないでください。
看護師が生成AIを試せる10の場面
生成AIは「質問を入力すると、文章で回答が返ってくるツール」です。スマートフォンのアプリからも使えます。ここでは看護師の業務に関連する10の場面を挙げますが、その前に、患者さんの情報との距離で3つに分けておきます。
| 区分 | 場面 | 入力してよいもの |
|---|
| 患者さんの情報を使わない | 患者説明資料のたたき台、勤務表の条件整理、新人教育のクイズ、委員会資料の構成、論文の要約、研究テーマ出し | 公開情報、院内で公開可と判断された文章、自分で作った文案 |
| 患者さんの情報に近づく | 看護記録の書き方、申し送りの組み立て | 完全な架空の設定のみ。実在の患者さんを下敷きにしない |
| そもそも入力しない | 氏名・ID・生年月日・住所・連絡先・画像、および実在の患者さんの経過 | なし |
1. 看護記録(SOAP)の書き方を練習する
多くの看護師が「記録が終わらない」と悩んでいます。特にSOAP形式の記録は、S(主観的データ)・O(客観的データ)・A(アセスメント)・P(計画)を書き分ける必要があり、慣れるまで時間がかかります。
このとき生成AIに入れるのは、教科書や事例集にある公開情報、または自分で組み立てた架空の設定だけです。担当している患者さんの年代・疾患・経過を、匿名化したつもりで入力するのは避けてください。年代と疾患名と手術日が重なれば、院内では誰のことか分かってしまいます。
練習の目的は「下書きを作ってもらうこと」ではありません。自分が書いた記録と、AIが出した書き方を見比べて、抜けやすい項目に気づくことです。
2. 看護計画の項目立てを確かめる
看護診断をもとに看護計画を立てる際、O-P(観察計画)・T-P(ケア計画)・E-P(教育計画)の項目案を挙げてもらう使い方ができます。NANDAの看護診断やNOC・NICとの関係を整理したいときにも、候補を並べる用途には使えます。
ただし、AIが出す計画はあくまで一般論です。目の前の患者さんの個別性を反映させるのは、あなたにしかできない仕事です。ここでも使うのは架空の設定にとどめ、実際の計画は受け持ち患者さんの情報をもとに自分で立てます。
3. 患者説明資料のたたき台を作る
退院指導のパンフレットや、検査前の説明資料を作る業務は、意外と時間がかかります。「退院後の食事管理のポイントを箇条書きで」のように、特定の患者さんに紐づかない一般的な内容であれば、文案の候補を出してもらえます。
専門用語を避けた表現への言い換えを頼むこともできます。ただし、配布物として使う前に、内容の正しさと院内の確認手順を通すことが前提です。医師の説明や院内資料と食い違う記述が混ざることがあります。
4. 勤務表(シフト)の条件整理
シフト作成では「日勤・準夜・深夜の人数バランス」「連続夜勤の制限」「希望休の反映」など、複数の条件を同時に満たす必要があります。条件を言葉で整理したり、Excelの関数やマクロの書き方を尋ねたりする用途には使えます。
注意したいのは、職員の氏名や、希望休の理由(通院、家庭の事情など)は入力しないことです。これらは職員本人の個人情報です。人数と勤務区分と制約条件だけを、記号化して扱います。
5. 看護研究のテーマ出し・文献検索の手がかり
「看護研究のテーマが決まらない」は多くの看護師が抱える悩みです。テーマ案を並べてもらったり、関連キーワードや検索式の作り方を尋ねたりする使い方ができます。
ただし、AIが挙げる論文名や著者名は実在しない場合があります。提示されたものは必ずPubMedやCiNiiで実在を確認してください。存在しない文献を引用してしまうと、研究そのものの信頼を損ないます。
6. 申し送りの組み立てを練習する
複数の患者さんの情報を短時間でまとめる申し送りは、夜勤明けの頭にはとりわけつらい業務です。ただし、担当患者さんの経過をそのまま入力して要約させる使い方は避けてください。
架空の設定で「何を残し、何を省くか」の型を練習し、実際の申し送りは自分の手でまとめるのが、この記事で勧める順番です。実務で迷うのは「何を省略して、何を強調するか」であり、これは患者さんの状態と受け手の状況を知っている人にしか決められません。
7. 新人教育用のクイズ・チェックリストの下地作り
プリセプターや教育担当にとって、新人向けの勉強会資料やチェックリストの作成は負担の大きい業務です。「心電図の基本に関する4択クイズ」「入職3か月までに習得したいスキルの一覧」といった、患者さんに紐づかない題材であれば、出発点となる案を出してもらえます。
ただし、医学的な内容の正しさは自分で確認します。そのまま新人に配ると、誤りごと引き継がれます。
8. 公開されている英語論文の要約
最新のエビデンスは英語の論文に集中しています。公開されているアブストラクトを対象に「要点を日本語で3行にまとめて」と依頼する使い方ができます。「この研究結果を病棟の看護師に説明するなら」と続けると、伝え方の案も出ます。
要約は読む前の見当をつけるためのもので、引用する際は原文にあたります。要約の過程で条件や対象が抜け落ちることがあるためです。
9. 委員会資料・プレゼン資料の構成案
感染対策委員会、医療安全委員会、褥瘡対策委員会——看護師は様々な委員会活動を兼務しています。報告書の項目立てや、スライドの構成案を相談する使い方ができます。
このとき入力するのは項目名と構成の希望だけにします。実際の発生件数、個別の事例、患者さんに関する記述は入れません。数値は院内の情報であり、集計そのものは院内のシステムで行います。
10. 気持ちを整理する相手として
「今日は落ち込んでいる」「先輩との関係がつらい」といった気持ちを書き出して整理する使い方もあります。24時間いつでも使え、同じ話を繰り返しても差し支えありません。
ただし生成AIはカウンセラーではありません。深刻なメンタルヘルスの問題は、産業医や専門の相談窓口へつないでください。また、職場の出来事を書くときも、患者さんや同僚を特定できる書き方にしないでください。愚痴の形をとっていても、入力した文章であることに変わりはありません。
生成AIを使う際に絶対守るべき3つの注意点
看護師が生成AIを業務に関連して使う際、以下の3つのルールは必ず守ってください。これを守らないと、患者さんの権利侵害や医療事故につながるリスクがあります。
注意点1:患者さんを特定できる情報は入力しない。「匿名化したから大丈夫」と自分で判断しない
これが最も重要なルールです。氏名、生年月日、ID番号、住所、連絡先、画像は当然として、年代・疾患名・手術日・経過を組み合わせた記述も、院内では個人を特定できます。
「匿名化すれば個人の判断で入力してよい」という考え方はとりません。入力してよい範囲を決めるのは個人ではなく、勤務先の規程です。病歴や診療の事実、健康診断の結果は要配慮個人情報にあたり、取扱いはより厳格になります。迷ったら入力しない、が既定の動作です。
注意点2:AIの回答を鵜呑みにしない
生成AIは膨大なデータから「それらしい回答」を作るツールであり、医学的な正確性を保証するものではありません。薬の投与量、疾患の治療方針、患者の状態判断など、臨床判断に直結する情報については、必ず成書やガイドライン、医師の指示で確認してください。
AIが自信のある書きぶりで誤った情報を提示することは珍しくありません。これを「ハルシネーション(幻覚)」と呼びます。特に文献の引用や薬品名は誤りが混ざりやすいため、必ずダブルチェックが必要です。
注意点3:院内ルールを必ず確認する
病院によっては、業務でのAIツール利用を禁止または制限している場合があります。使い始める前に、以下を確認しましょう。
- 院内のICTポリシーでAIツールの利用が許可されているか
- 業務用端末からのアクセスが許可されているか
- 個人のスマートフォンで業務関連の情報を扱うことに制限はないか
- 生成した文章をそのまま公式記録に使用することの可否
- 使ってよいツールが指定されているか(指定外のサービスを使っていないか)
不明な場合は、上司や情報管理部門に確認してから利用を開始してください。ルールが整備されていない職場では、「使ってよいツール」「入力してよい情報の範囲」「記録に使うときの確認者」の3点だけでも決められないか相談するのが現実的です。
実在の患者さんを使わない、架空例での練習プロンプト
以下は完全な架空の設定です。実在の患者さんを下敷きにせず、この設定のまま練習してください。設定部分を自分の受け持ち患者さんの情報に置き換える使い方は、この記事では勧めません。置き換えたくなった時点で、それは練習ではなく実務の入力になります。
練習を始める前に、前の章の5項目が確認済みであることを確かめてください。
練習1:SOAPの書き分けと、AIが情報を補う癖を確かめる
「あなたは看護の学習を手伝う役です。以下は教材用に作った架空の事例で、実在の人物ではありません。この事例について、SOAP形式の記載例を作ってください。あわせて、S・O・A・Pのどれに入れるか迷いやすい項目を3つ挙げ、その理由を説明してください。
架空事例:高齢の患者A(教材用の設定)。下肢の手術後で、歩行時に痛みの訴えがあり、安静時は軽い。創部の異常はなし。リハビリテーションを開始したところ。
条件:数値や所見を勝手に追加しないでください。不足している情報があれば、補わずに『不足』と指摘してください。」
最後の条件が練習の要点です。AIが書かれていない情報を補ってしまう癖を、自分の目で確認できます。補われた箇所がそのまま記録に混ざると、事実でないことが記録に残ります。
練習2:看護計画のうち「個別性が必要な部分」を見つける
「あなたは看護の学習を手伝う役です。以下は教材用の架空事例です。急性疼痛という看護問題について、O-P(観察計画)、T-P(ケア計画)、E-P(教育計画)の項目案をそれぞれ5つ挙げてください。
架空事例:術後まもない時期で、痛みのコントロール中、離床はこれから、という一般的な設定。
条件:個別性が必要で一般論では決められない項目には、その旨を明記してください。参考にした資料名を挙げる場合は、実在を確認できるものだけにしてください。」
出てきた項目のうち「個別性が必要」と示された部分が、目の前の患者さんを知っている人にしか埋められない仕事です。ここを読むだけでも、AIに任せられる範囲の輪郭がつかめます。
練習3:入力を伴わない練習から始める
生成AIを開かずにできる練習もあります。自分が書いた記録を1件選び、S・O・A・Pのどこに何を書いたかを色分けしてみてください。そのうえで、練習1で出た「迷いやすい項目」と照らし合わせます。
この練習は何も入力しないので、院内ルールの確認が済んでいない段階でも今日から始められます。確認待ちの期間を、手を止めて過ごす必要はありません。
ChatGPTの始め方(確認が済んでから)
前提として、5項目の確認が済んでいることが条件です。順番を入れ替えないでください。
- アカウント作成:chatgpt.comにアクセスし、画面の案内と利用規約を確認して登録
- 使う端末を決める:業務に関連して使う場合は、勤務先が認めた端末とネットワークを使います。私物のスマートフォンで業務関連の情報を扱ってよいかは、院内規程で確認してください
- 最初の入力:患者さんに関係しない題材から始めます。「SOAP記録で書き分けに迷いやすい項目を教えて」のような一般論の質問が適しています
無料で使える範囲、有料プランの内容と料金は変更されることがあります。金額や機能は公式サイトで確認してください。この記事では特定のプランを勧めません。
下書き・確認・修正まで含めて負担を測る
以前の版には「1日30分〜1時間の短縮」「記録1件あたり15分から5分へ」という記述がありました。どの施設の、どの職種の、どの業務を、どう測った数字なのかを確認できなかったため、2026年9月18日の改稿で削除しました。条件が分からない数字は、読者が自分の職場に当てはめる材料になりません。
代わりに、自分の職場で測る方法を置きます。生成AIを使うと、作業が「なくなる」のではなく「移動する」ことがあります。下書きを作る時間が減っても、出力を読んで誤りを探す時間、書き直す時間、出典を確かめる時間が増えるためです。測るなら、次の4つを分けて記録します。
| 測る時間 | 何を数えるか |
|---|
| 準備 | 何を書くか整理し、入力する文章を用意する時間 |
| 生成 | 入力してから出力が返るまでの時間 |
| 確認 | 出力を読み、事実・数値・出典の誤りを探す時間 |
| 修正 | 書き直し、自分の観察や判断を書き加える時間 |
同じ種類の業務を、AIを使わない場合と使う場合で5件ずつ測ると傾向が見えてきます。1件だけでは、その日の忙しさの差と区別がつきません。
比べる相手は他施設の事例ではなく、AIを使わなかったときの自分です。他院で出た数字は、人員配置も記録様式もシステムも違う条件の下の結果なので、そのまま自分の職場には移せません。業務時間の測り方をもう少し詳しく知りたい方は、AI問診の導入前後で測る時間を整理した記事もあわせてどうぞ。
AIに奪われない看護師の価値
「AIが進化したら、看護師の仕事はなくなるの?」と不安になる方もいます。将来の雇用がどうなるかを断定できる資料は、今回確認した範囲にはありません。ここから先は編集部の見方として読んでください。
AIが得意なのは「パターン認識」「文章生成」「データ処理」です。一方で、看護師の仕事には、文章の外側にある次のような領域があります。
共感力——患者さんの気持ちに寄り添う力
不安で眠れない患者さんの手を握ること。言葉にならない苦しみを表情から読み取ること。「大丈夫ですよ」の一言に込められる温かさ。生成AIは共感的な「文章」は作れますが、実際にそばにいて患者さんを支えることはできません。
触診・フィジカルアセスメント——五感を使った判断力
皮膚の温度や湿り気を感じ取ること。腸蠕動音の微妙な変化を聴き分けること。「何か違う」という臨床的な直感。これらの身体的なアセスメント能力は、入力された文字情報だけでは代替できない看護師の専門性です。
倫理的判断——正解のない場面での意思決定
終末期の患者さんの治療方針をめぐる家族の葛藤。患者さんの意思と家族の希望が異なる場合、どう橋渡しするか。こうした倫理的判断は、マニュアルやアルゴリズムでは解決できず、多職種で話し合いながら人が担う領域です。
AIは看護師の「代わり」ではなく「道具」です。ただし、その道具を使ってよいかを決めるのは勤務先であり、出力の正しさに責任を持つのは使った人です。
現職での学習・改善と、相談先を整理する
学習そのものは、転職を考えているかどうかとは関係ありません。まずは今の職場でできることから並べます。
- 院内に生成AIの利用ルールがあるか、看護部または情報システム部門に聞く
- ルールがない場合、「使ってよいツール」「入力してよい情報の範囲」「記録に使うときの確認者」の3点から相談する
- 研修の機会があるか、医療安全管理部門や教育担当に確認する
- 自分で測った作業時間の記録を、提案の材料として残しておく
ツールの導入、契約、記録への利用など承認が必要な事項は、個人で判断せず正式な相談先へつないでください。判断に迷う内容は、上司・看護部・医療情報部門・医療安全管理部門のいずれかが窓口になります。
安全に使うための基本的な線引きは、看護師がAIを記録・患者説明に活かす注意点をまとめた記事に整理しています。記録支援のAIが業務のどこを置き換え、どこが人の手に残るのかを工程で見たい方は、訪問看護の記録連携を工程に分けて読んだ記事が参考になります。
まとめ:確認してから、架空例で学び始める
- 削除したもの:出典・対象・測定条件を示せない時間短縮の数値(2026年9月18日改稿)
- 変えたもの:患者さんの情報を匿名化して入力する案内を、完全な架空例での練習に置き換えた
- 順番:院内ルール・利用契約・入力範囲の確認が先、練習はその後
- 測り方:準備・生成・確認・修正を分けて記録し、比べる相手はAIを使わなかったときの自分
- 変わらないこと:出力の確認と最終判断は人が行う
「難しそうだから」と避ける必要はありません。何も入力しない練習から始められます。確認が済んでいない段階でも、自分の記録を読み返す練習は今日からできます。
参考資料
出典はいずれも2026年9月18日にアクセスし、表示内容を確認しました。