「7月の給料は前年比4.7%増」というニュースを見て、自分の明細との差に戸惑った看護師さんへ。最初に確認したいのは、4.7%は看護師個人の昇給率ではないという点です。
厚生労働省が2026年9月8日に公表した毎月勤労統計の7月速報では、事業所規模5人以上の調査産業計で現金給与総額が前年同月比4.7%増、医療・福祉では3.3%増でした。医療・福祉には看護師以外の職種も含まれ、フルタイムとパートも混ざります。
この記事を読むと、統計と自分の給与を混同せず、今の職場へ何を確認するか、働き方を比べるならどの条件をそろえるかが分かります。
まず押さえたい7月速報の数字
| 項目 | 医療・福祉 | 調査産業計 |
|---|
| 現金給与総額 | 362,767円(3.3%増) | 436,401円(4.7%増) |
| きまって支給する給与 | 279,003円(3.3%増) | 301,582円(4.1%増) |
| 所定内給与 | 264,899円(3.4%増) | 280,797円(4.1%増) |
| 所定外給与 | 14,104円(2.8%増) | 20,785円(3.1%増) |
| 特別に支払われた給与 | 83,764円(3.8%増) | 134,819円(6.3%増) |
これは一人の標準的な看護師が受け取る月給表ではなく、対象事業所の平均です。「特別に支払われた給与」には賞与などが入りますが、全員が7月に夏季賞与を受け取ったという意味でもありません。支給月が6月や8月なら、個人の明細とは月がずれます。
また、2026年1月には調査対象事業所の一部入れ替えがあり、現金給与総額でマイナス1,582円、率にしてマイナス0.5%の断層が生じたと注記されています。速報値は確報で改訂される可能性があります。
給与明細は4つに分けて比べる
1.基本給と固定手当
前年7月と今年7月の基本給を並べ、資格、役職、住宅、調整など毎月固定の手当を別欄にします。手当の名称が変わっただけなのか、本当に月例賃金が増えたのかを見ます。
2.夜勤と残業
夜勤回数、深夜・準夜の内訳、残業時間をそろえます。総支給額が増えていても、勤務回数や時間外労働が増えたためなら、単価の改善とは分けて考える必要があります。
3.賞与などの特別給与
支給月、算定期間、算定基礎、評価期間を確認します。「前年より増えた・減った」だけでなく、基本給連動か、定額か、一時金かを分けます。賞与の月が違うときは、単月ではなく年間で比べます。
4.勤務量をそろえた年収
夜勤込みの実績年収と、夜勤回数を同じにした比較額を分けます。生活との両立を考えるなら、夜勤を減らした場合の手取り見込みも出しておくと、転職だけでなく現職での勤務調整にも使えます。
「3.3%増」を自分の昇給目安にしない
医療・福祉の伸びが産業計より低いことは確認できますが、「看護師の給与が3.3%上がった」「病院が4.7%上げるべき」とは言えません。施設規模、地域、職種構成、雇用形態、賞与月が違うためです。
大切なのは、統計を交渉の結論ではなく、質問を作る材料にすることです。
- 基本給の改定はいつ、誰を対象に行われたか
- ベースアップと定期昇給をどう区別しているか
- 夜勤手当の単価と回数は前年からどう変わったか
- 月例賃金の増額は賞与算定にも反映されるか
- パート時給は地域別最低賃金の発効日に対応しているか
10月以降の地域別最低賃金は都道府県ごとに発効日が違います。最低賃金の発効日と給与明細の確認方法もあわせて確認してください。勤務先側で人件費と賃金差を点検する順番は病院・医院向けの給与表点検へ分けています。
今の職場で変えやすいこと、職場を変えても残ること
現職で確認・調整しやすいのは、給与改定の説明、手当の計算、夜勤回数、残業申請、賞与算定の根拠です。計算違いや説明不足なら、転職前に解消できる場合があります。
職場を変えることで変わりやすいのは、基本給表、夜勤単価、賞与制度、勤務形態です。一方、税・社会保険料、統計と個人差、賞与の査定期間は転職だけでは消えません。求人の月給だけを比較せず、同じ勤務量で年収を組み直す必要があります。
給料コンパスでは、基本給、手当、夜勤、賞与を分けて整理できます。数字を職場へどう聞くか迷うときは、カンゴさんで質問文を作り、条件が固まってから求人一覧を比べてください。
よくある質問
医療・福祉の362,767円は看護師の平均月給ですか
いいえ。医療・福祉に属する複数職種と雇用形態を含む事業所平均です。個別の看護師給与の基準として、そのまま使う数字ではありません。
実質賃金がプラスなら生活も楽になっていますか
7月速報では、持家の帰属家賃を除く消費者物価指数で実質賃金が前年同月比2.4%増とされています。ただし、個人の家計は住居費、家族構成、勤務量で違います。自分の手取りと固定費を別に確認してください。
上司へ相談するときの一枚
「統計では上がっているのに自分は上がらない」と伝えるだけでは、比較条件がずれます。比較する給与明細の月と勤務日数、基本給・固定手当・変動手当・一時金の差、夜勤・残業・欠勤の差、賃金規程で確認したい箇所、回答希望日を一枚にします。
同僚の給与を推測したり、個人情報を集めたりする必要はありません。自分の雇用契約と明細を基準に確認します。最低賃金への算入範囲、未払い、契約違反が疑われる場合は、院内窓口だけでなく労働局や専門家など正式な相談先も検討してください。
参考資料
最終確認日:2026年9月11日。7月分は速報値のため、確報公表後に数値を再確認します。
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