「給料が上がる」と聞いても、給与明細には何も増えていない
ニュースサイトやテレビで「看護師の賃上げ」と聞くたびに、自分の給与明細を見返して、何も変わっていない数字に小さくため息をついている方は少なくないはずです。
職場の朝礼で「処遇改善のお知らせがあります」と言われて中身を見たら、基本給ではなく一時的な手当だった。同期と給与明細を見せ合ったら、別の病院に勤める同期だけが基本給ベースで上がっていた。求人サイトで他院の月給を見て、自分の年収が思ったより低いことに気づいた。そういう経験は、看護師として長く働くほど積み重なっていきます。
令和8年度(2026年度)の診療報酬改定では、ベースアップ評価料が見直され、病院・診療所・訪問看護ステーション・保険薬局を対象にした賃上げ・物価上昇支援事業も並行して実施されています(Source: 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定におけるベースアップ評価料等について」2026年5月8日更新)。ベースアップ評価料の届出期限は5月中、賃上げ支援事業の申請期限は5月31日まで。つまり、自分の職場が制度を使っているかどうかが、今まさに決まっているタイミングです。
ただし、ここからが現場に立つ看護師さんにとって一番大事な話です。制度があることと、自分の給与明細に上乗せされることは、別の話です。
ベースアップ評価料は職場(医療機関)が届け出て、診療報酬として受け取ったお金を、職場の判断で給与に振り分ける仕組みです。届出をしていない職場、届け出ても基本給に反映しない職場、夜勤手当に振り替えてしまう職場、賞与計算から外す職場。どの判断をしているかで、看護師個人の手取りは大きく変わります。
この記事では、ニュースで「賃上げ」と言われている制度の正体、職場が何をしているかを確認する具体的な方法、給与明細でチェックすべき5項目、そして給料に納得できない時に考えたいことを、現場目線で整理していきます。
この記事でわかること
この記事は、ベースアップ評価料や処遇改善のニュースを見ても、自分の給与が上がる実感がない看護師さん向けに書いています。
この記事の価値:制度ニュースを眺めるだけでなく、自分の給与明細のどこに反映されるのか、職場に何を確認すべきかが具体的に分かります。
次にできること:賃上げニュースを見て終わらせず、給与明細、基本給、手当、賞与、昇給説明を確認し、必要なら他の職場の給与設計と比較できます。
読むポイントは5つです。
- 令和8年度診療報酬改定で何が変わったのかを、看護師目線で理解する
- 看護師の給料を動かしている3つの制度(処遇改善評価料・ベースアップ評価料・賃上げ支援事業)を整理する
- 給与明細のどこに反映されるかを確認する
- 「うちの職場は届け出している?」を職場に確認する
- 転職で変えやすいこと・変えにくいことを分けて考える
読後には、「制度があるから上がるはず」と待つのではなく、「自分の職場ではどう支給されているか」を確認し、必要なら次の行動に移る視点が持てます。
判断材料になる一次情報
この記事は、以下の一次情報をもとに整理しています。記事内の数字や制度説明は、原則として下記の出典に基づきます。
この記事で確認したいポイントは、次の通りです。
令和8年度診療報酬改定でベースアップ評価料が見直され、賃上げ・物価上昇支援事業も実施されている。ただし、給与明細に反映されるかは、職場が届け出ているか、どの給与項目に充てるかで決まる。
制度情報で重要なのは、賃上げの原資があっても、配分方法や説明の透明性は職場によって違うという点です。給与改善を期待するなら、制度名よりも「自分の給与項目にどう出るか」を確認しましょう。
ニュースで「給料が上がる」と言われている正体
2026年度(令和8年度)の診療報酬改定では、看護師を含む医療従事者の賃上げを支える複数の仕組みが見直されました。中央社会保険医療協議会(中医協)の答申を経て、厚生労働大臣告示として令和8年厚生労働省告示第69号・第70号・第71号・第74号・第75号が発出され、運用通知として令和8年3月5日付の保医発0305第6号・第7号・第8号・第9号・第19号が示されています(Source: 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定におけるベースアップ評価料等について」)。
看護師さんの給料に直接関わるのは、この中の「ベースアップ評価料」と、それと並行して実施される「医療機関等における賃上げ・物価上昇支援事業」です。
ベースアップ評価料は、外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)、外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅱ)、入院ベースアップ評価料の3つの区分で算定されます。対象施設は、病院、有床診療所、無床診療所、訪問看護ステーション、保険薬局、歯科診療所まで広く設定されています(Source: 厚生労働省 同ページ)。届出期限は5月中とされており、すでに届け出ていた医療機関も含め、令和8年度改定対応として5月中に再度届け出が必要と案内されています。
賃上げ・物価上昇支援事業は、ベースアップ評価料とは別の補助金スキームで、令和8年2月1日時点でベースアップ評価料を届け出ていることが申請要件とされており、申請期限は5月31日です(Source: 厚生労働省「医療機関等における賃上げ・物価上昇支援事業について」)。
つまり、看護師さんの給料を動かす可能性がある制度は、診療報酬の中の「ベースアップ評価料」と、別予算の「賃上げ・物価上昇支援事業」の二段構えになっています。職場がどちらにも届け出ているか、片方だけか、どちらにも参加していないかで、得られる原資の総額は変わります。
看護師の給料を動かしている3つの制度
ここで一度、ニュースで「看護師の賃上げ」と言われる時に出てくる3つの制度を整理しておきます。
1. 看護職員処遇改善評価料(2022年10月新設)
2022年(令和4年)10月に新設された制度で、当時、看護職員の収入を月額平均約12,000円相当引き上げることを目的に導入されました(Source: 日本看護協会「看護職員の処遇改善に向けて」)。対象はもともと救急医療管理加算を算定する救急搬送件数の多い病院など、特定の医療機関に限られていたため、「うちの病院は対象外で何ももらえなかった」という看護師さんも多かった制度です。
2. ベースアップ評価料(2024年度新設・2026年度改定で見直し)
2024年度(令和6年度)診療報酬改定で導入された、より広い対象を持つ仕組みです。外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)(Ⅱ)と入院ベースアップ評価料の区分で、職員の賃金改善に充当することを前提に算定されます。看護職員処遇改善評価料の対象外だった医療機関でも算定できるようになり、対象範囲が大幅に広がりました。
令和8年度改定では、これがさらに見直されました。日本看護協会の解説によれば、「令和7年度以前から継続的な賃上げを実施している保険医療機関」と、それ以外の保険医療機関・訪問看護ステーションを区別して評価する設計に整理されています(Source: 日本看護協会「令和8年度診療報酬改定」)。また、ベースアップ評価料で得た原資を夜勤手当の増額に充当することも可能になり、基本給ベースの引上げが難しい職場でも夜勤回数の多いスタッフの手取りを支える運用が認められるようになりました(Source: 日本看護協会「看護職員の処遇改善に向けて」)。
3. 医療機関等における賃上げ・物価上昇支援事業(補助金)
診療報酬とは別建ての補助金です。施設区分ごとに給付額が決まっており、看護師さんに関係が深い区分の額は次の通りです(Source: 厚生労働省「医療機関等における賃上げ・物価上昇支援事業について」)。
- 病院(賃上げ支援):使用許可病床数 × 84,000円
- 病院(物価上昇支援):使用許可病床数 × 111,000円に基礎額・加算
- 有床診療所(賃上げ支援):病床数 × 72,000円
- 無床診療所(賃上げ支援):1施設あたり 150,000円
- 有床診療所(物価上昇支援):病床数 × 13,000円
- 無床診療所(物価上昇支援):1施設あたり 170,000円
- 訪問看護ステーション(診療所等賃上げ支援):1施設あたり 228,000円
この補助金は、職員1人ひとりへの直接給付ではありません。あくまで医療機関や訪問看護ステーションへの給付であり、そのうちどの程度を看護師個人の給与に振り分けるかは、各事業所の経営判断に委ねられます。
3つの制度を並べると、看護師個人の手取りに影響するルートは、
- 職場がベースアップ評価料を届け出ていること
- 職場が賃上げ支援事業を申請していること
- 受け取った原資のうち、基本給・手当・賞与・一時金のどれに、どれだけ充てるか
の3つの条件をすべて満たして、はじめて自分の給与明細に届きます。逆に言えば、どこか1つが欠ければ実感はゼロのままです。
訪問看護ステーションで働く場合
訪問看護ステーションは、診療所等賃上げ支援の対象として1施設あたり228,000円の給付額が示されており、ベースアップ評価料の対象施設にも含まれています(Source: 厚生労働省「医療機関等における賃上げ・物価上昇支援事業について」)。
ただし、228,000円という金額は「1施設あたり」の額であり、ステーションの常勤・非常勤看護師の人数で割れば、1人あたりの原資は限られます。看護師5名のステーションなら1人あたり約45,600円相当、看護師10名なら約22,800円相当が単純割の上限になります(あくまで原資の単純按分で、実際の配分は経営判断)。
訪問看護で「給料が上がった」と感じやすいかどうかは、
- 管理者・経営者がベースアップ評価料と賃上げ支援事業の両方を申請しているか
- 受け取った原資をどの給与項目に充てているか(基本給/手当/賞与/一時金)
- 訪問件数連動の手当・直行直帰手当との関係をどう調整しているか
の3点に集約されます。訪問看護は事業所ごとの裁量が大きく、同じ地域でも事業所が違えば手取りが大きく異なります。
病院勤務の場合
病院は、賃上げ支援事業の給付額が「使用許可病床数 × 84,000円」、物価上昇支援事業が「使用許可病床数 × 111,000円」に加算という設計になっています(Source: 厚生労働省 同事業ページ)。
200床の中規模病院であれば、賃上げ支援だけで200 × 84,000 = 1,680万円相当、物価支援を含めればさらに2,000万円超の原資が病院に入る計算になります。一方で、入院ベースアップ評価料は届出した医療機関の入院単価に上乗せされる形で算定されるため、病床稼働率や入院単価とも連動します。
ここで看護師個人の手取りに大きな差が出るのが、「原資の配分先」の意思決定です。
- 看護師の基本給ベースを引き上げる:賞与・退職金・夜勤手当の計算基礎まで連動して上がりやすいパターン
- 夜勤手当に充当する:令和8年度改定で正式に認められた運用で、夜勤回数の多い病棟看護師に手厚いが、夜勤の少ない外来・透析・回復期勤務には恩恵が小さい
- 処遇改善手当(別建て手当)として支給:賞与算定基礎に含まれないことが多く、月額は上がっても年収ベースの伸びは控えめになりやすい
- 一時金(賞与上乗せ・特別手当)で支給:年単位の手取りには反映されるが、退職金・住宅ローン審査などの「月収」評価には反映されない
どの配分にしているかは、職場の経営判断と労使協議の結果で決まります。同じ200床、同じ地域、同じ機能の病院でも、配分次第で看護師の手取りは年間で数十万円単位で差が出ることがあります。
給与明細でチェックする5項目
「うちの職場は届け出している」と言われたら、次は給与明細で実際にどう反映されているかを確認します。チェックする項目は次の5つです。
1. 基本給
基本給は、賞与・退職金・夜勤手当の算定基礎になる、最も重要な項目です。ベースアップ評価料の原資を基本給に振り分けている職場では、4月・5月・10月など改定タイミングで明細の「基本給」欄が上がります。基本給が上がっていない場合は、職場が別の項目で支給している可能性が高いと考えられます。
2. ベースアップ評価料・処遇改善手当の項目
明細に「処遇改善手当」「ベースアップ手当」「看護職員処遇改善加算」などの項目があるかを確認します。項目があれば、職場がベースアップ評価料を届け出ており、受け取った原資の一部を手当として個別に切り出して支給していることを意味します。
3. 夜勤手当・諸手当
令和8年度改定で、ベースアップ評価料を夜勤手当の増額に充当することが正式に認められました。夜勤手当の金額が4月以降に変わっているか、夜勤手当の算出根拠(1回あたり金額・深夜割増)が変わっているかを確認します。
4. 賞与算定基礎
賞与明細を見て、「基本給 × ◯ヶ月」なのか、「基本給+手当 × ◯ヶ月」なのか、算定基礎を確認します。処遇改善手当が賞与算定に含まれない場合、月収は増えても年収ベースの伸びは限定的になります。
5. 昇給実績と説明
年1回の定期昇給で、どの程度上がっているか、評価制度のどの項目が反映されているかを確認します。ベースアップ評価料の原資を「定期昇給に上乗せ」している職場もあります。
5項目を給与明細・賞与明細・就業規則・賃金規程を見比べて確認することで、自分の職場が制度をどう運用しているかが見えてきます。
「うちの職場は届け出している?」を確認する方法
ベースアップ評価料の届出期限は5月中、賃上げ支援事業の申請期限は5月31日と、ちょうどこの時期に意思決定が行われます。職場の動きを確認する方法は次の3つです。
看護部長・主任に直接聞く
最もシンプルな方法です。「ベースアップ評価料の届出は今年も継続されますか?」「夜勤手当への充当は検討されていますか?」と聞いてみます。看護部長クラスであれば、診療報酬改定への対応方針を把握していることがほとんどです。
事務長・経営層への質問ルートを使う
病院に「処遇改善検討委員会」「賃金検討会」「看護労務委員会」などの組織がある場合、そこを通じて事務長・経営層への質問ルートを利用できます。労働組合がある場合は、組合経由で職員説明資料を入手することも可能です。
厚生局・地方厚生支局の届出状況を確認する
各地方厚生局では、施設基準等の届出状況を公表しています。所在地の厚生局サイトで「ベースアップ評価料」の届出医療機関一覧を確認できる場合があります。自分の病院・診療所・訪問看護ステーションの名前が一覧にあるかどうかで、届出の有無を確認できます。
ここで重要なのは、「届出しているのに、自分の給与に出ていない」と感じた場合です。届出しているのに給与明細に出ていないということは、原資が別の項目に充てられているか、配分基準が公開されていないことを意味します。労務トラブルにつながる前に、看護部長・事務長への確認、労働組合への相談、外部の労務相談窓口の利用などの選択肢を整理しておきましょう。
賃上げが実感できない5パターン
「ニュースでは上がると言うけど、自分は上がっていない」と感じる場合、次の5パターンのどれかに該当することが多いです。
パターン1:職場が届出していない
そもそもベースアップ評価料を届け出ていない医療機関・訪問看護ステーションがあります。届出には対象職員数の集計、賃金引上げ計画書の作成、毎年の届出更新など事務負担があり、小規模事業所では事務処理が追いつかないこともあります。
パターン2:届出はしているが、配分が一時金のみ
届出している場合でも、原資を年1回の一時金(夏のボーナス上乗せなど)でまとめて支給するケースがあります。この場合、月々の給与明細を見ても変化はなく、賞与明細を見て初めて気づくことになります。
パターン3:基本給ではなく別建て手当
処遇改善手当として別項目で支給される場合、月収は上がっても賞与・退職金算定には含まれないことが多くあります。年収ベースで見ると、基本給に組み込んだ場合より上昇幅が小さくなります。
パターン4:夜勤手当への充当で、夜勤の少ない部署は対象外
令和8年度改定で認められた夜勤手当への充当は、夜勤回数の多い病棟看護師には手厚い設計ですが、外来・透析・手術室・回復期リハ・地域包括ケアなど夜勤の少ない・無い部署では恩恵が小さくなります。
パターン5:原資を施設整備・設備投資に回している
ベースアップ評価料の本来の趣旨に反しますが、原資の管理が曖昧な事業所では、人件費以外の用途に振り向けられる懸念が指摘されています。労務管理が不透明な職場では、配分の説明を求めることが大切です。
自分がどのパターンに該当しているか分かれば、職場に確認すべきこと、転職で解決しやすいことが見えやすくなります。
「給料が上がる」は職場の調査でどう見えているか
日本看護協会の「2025年 看護職員実態調査」では、看護職としての就業継続意向が62.9%にとどまり、2021年調査の67.6%から低下していることが報告されています(Source: 日本看護協会「2025年 看護職員実態調査」結果)。20〜30代や病院勤務者ほど継続意向が低い傾向も示されており、給与・夜勤・人間関係を含む処遇全般への納得感が、看護職を続けるかどうかの判断に大きく影響していることが伺えます。
調査では、夜勤継続の条件として「納得感のある夜勤手当」「夜勤明け翌日の休日確保」「夜勤中の十分な休憩・仮眠」が上位に挙げられており、給与だけでなく夜勤手当の納得感が、現場の続けやすさに直結していることが示されています。令和8年度改定でベースアップ評価料を夜勤手当に充当することが認められた背景にも、こうした現場の声があります。
ただし、調査が示す「62.9%」という数字は、逆に見れば約4割の看護職員が継続意向に揺らぎを抱えているということでもあります。給与改善が「上がるはず」のニュースで終わるか、「明細に出る」実感に変わるかは、職場が制度をどう運用するかと、本人がどう確認するかの両方にかかっています。
給料に納得できない時に考えたいこと
賃上げのニュースを見ても、自分の給与明細に反映されていない。職場に確認しても説明が曖昧。同年代の他院の同期と比べて、明らかに自分の方が低い。そう感じる時は、次の3つに分けて整理してみてください。
今の職場で確認すべきこと
- ベースアップ評価料・賃上げ支援事業の届出・申請状況
- 原資をどの給与項目に充当しているか(基本給/手当/賞与/一時金/夜勤手当)
- 配分の基準(職種別・経験年数別・夜勤回数別)
- 来年度以降の継続見込み
- 評価制度・昇給制度の運用ルール
転職で解決しやすいこと
- 基本給テーブルが公開されている職場へ移ること
- 処遇改善手当が基本給に組み込まれている職場を選ぶこと
- 賞与算定基礎が透明で、過去の実績が確認できる職場を選ぶこと
- 夜勤手当の単価・算定ルールが明文化されている職場を選ぶこと
- 給与モデル(経験5年・10年・15年での想定年収)を提示できる法人を選ぶこと
転職で解決しにくいこと
- 制度改定だけで全員の給与が同じように上がるとは限らないこと
- 年収を上げる代わりに夜勤回数・残業・役割が増える場合があること
- 手当が増えても基本給が低いと、賞与・退職金への波及は限定的なこと
- 転職直後は賞与満額支給まで時間がかかる場合があること
- 給与だけで選ぶと、人員体制・教育体制・職場の雰囲気を見落としやすいこと
転職で解決しやすいことと、転職しても残る課題を分けることで、「辞めるか残るか」の二択ではなく、「今の職場でできる確認」と「他の職場で得られる条件」を冷静に比較できるようになります。
誰にも言えない給料の不満は、まずカンゴさんに話してみる
給料の不満は、職場で同僚に話しづらく、家族にも「我慢しなさい」と返されがちで、誰にも吐き出せないまま蓄積していきます。
「制度の話を聞いても、結局自分の手取りは上がらない」「同期と比べて低いと言われた」「夜勤を減らしたら手取りが下がる」。こうした声は、はたらく看護師さんで提供しているカンゴさんに匿名で相談できます。
カンゴさんは、看護師さん専用の相談相手です。職場の人間関係、夜勤の負担、給料への不満、結婚・育児・介護との両立など、誰にも言えない本音を話せます。給料の不満を整理してからでないと、転職を考えるにも判断がぶれます。まずは話して整理する場所として使ってください。
求人を見比べるなら、給与モデルの透明な紹介会社を選ぶ
給与に納得できず、転職も視野に入れる場合、求人票だけで判断するのは危険です。月給だけが大きく見えても、基本給比率が低く賞与算定基礎が薄い職場、夜勤手当込みの提示で実は夜勤回数の多い職場など、入職後に「思っていた年収と違う」と感じやすい求人があります。
レバウェル看護のような看護師専門の転職紹介サービスでは、求人票の月給・年収だけでなく、基本給・諸手当・賞与算定基礎・夜勤手当の単価・昇給実績・処遇改善手当の支給方法まで、職場に確認して教えてもらえます。給与モデル(5年目・10年目の想定年収)を提示できる職場を選ぶことで、入職後のミスマッチを防ぎやすくなります。
転職をするかどうかの判断は焦らず、まずは「今の職場の給与設計」と「他の職場の給与設計」を比較する材料を集めることから始めてください。
まとめ
令和8年度診療報酬改定では、ベースアップ評価料が見直され、賃上げ・物価上昇支援事業も実施されています。ただし、制度の原資が看護師個人の給与明細に届くかどうかは、
- 職場が届け出ているか
- 受け取った原資をどの給与項目に充てているか
- 配分基準が明文化されているか
の3点で決まります。
ニュースで「上がる」と聞いた時こそ、自分の給与明細・就業規則・賃金規程を確認し、職場の説明を聞き、必要なら他の職場の給与設計と比較するチャンスです。届出期限の5月中、申請期限の5月31日というタイミングは、職場の動きを確認しやすい時期でもあります。
大切なのは、勢いで辞めることではなく、悩みの原因を「制度の問題」「職場の運用の問題」「自分の働き方の問題」に分解し、次の職場でも同じ悩みを繰り返さないようにすることです。
まずは今月の給与明細を開いて、基本給・処遇改善手当・夜勤手当の3項目が、前年同月と比べて変わっているかを確認してみてください。
よくある質問
2026年に看護師の給料は必ず上がりますか?
一律に上がるとは言えません。ベースアップ評価料の届出状況、職場の配分ルール、基本給・手当・賞与・夜勤手当への反映方法で差が出ます。職場が届け出ていない場合は、原資自体が職場に入っていません。
給料が上がらない時、職場の何を確認すればいいですか?
給与明細の基本給・処遇改善手当・夜勤手当、就業規則の昇給規定、賞与算定基礎、ベースアップ評価料の届出状況の5点を確認します。看護部長・事務長・労働組合のいずれかに、届出と配分方針を質問するのが現実的です。
ベースアップ評価料は全員もらえますか?
ベースアップ評価料は、職場(医療機関・訪問看護ステーション)が受け取る診療報酬であり、職員個人への直接給付ではありません。受け取った原資をどう配分するかは事業所の判断で、看護師に手厚く配分される職場もあれば、医師・薬剤師・事務職にも分配される職場もあります。
訪問看護で働いていますが、本当に228,000円もらえますか?
228,000円は「1施設あたり」の給付額で、職員個人への給付ではありません。常勤・非常勤看護師の人数で割れば1人あたりの原資は限られ、実際の配分は事業所の経営判断になります。
夜勤手当に充当されたら基本給は上がらないのですか?
令和8年度改定でベースアップ評価料を夜勤手当に充当することが認められました。職場の方針次第ですが、夜勤手当への充当を選んだ場合、基本給ベースの上昇は限定的になります。夜勤回数が多いスタッフには有利、外来・透析など夜勤の少ない部署のスタッフには恩恵が小さい設計です。
届出しているはずなのに、給与に何も出ていません。どうすればいいですか?
まず看護部長・事務長に「届出している原資はどの給与項目に振り分けられているか」を確認します。説明が曖昧な場合は、労働組合・人事部・労務相談窓口を経由して、配分基準の開示を求めるのが現実的です。それでも不透明であれば、他の職場の給与設計と比較する選択肢を検討してください。
病院を辞めて訪問看護に移れば給料は上がりますか?
職場・地域・経験年数・夜勤の有無で大きく変わるため、一概には言えません。訪問看護は夜勤がないか少ない代わりに、訪問件数連動の手当やオンコール手当が含まれるため、給与設計は病院と大きく異なります。求人比較の際は、月給・年収だけでなく、基本給・諸手当・賞与算定基礎を分けて比較することが大切です。
給料の不満は、転職する前に誰かに相談した方がいいですか?
はい、相談した方が判断がぶれません。職場の同僚には話しづらく、家族には「我慢しなさい」と言われがちな給料の不満を、まず整理する場所が必要です。看護師専用の匿名相談(カンゴさんなど)や、転職紹介会社のキャリアアドバイザーへの相談を、求人比較の前段として利用すると、判断軸が整理しやすくなります。
参考資料