「夜勤を入れているのに手取りが上がらない」「同期と比べて基本給が低い気がする」「賞与の算定基礎が分からない」「税金と社会保険料で月3万円以上引かれていて生活が苦しい」。看護師のお金の悩みは、給与明細の見方、賞与制度、税・社会保険、夜勤手当、転職市場、給与交渉といった独立した論点が一度に絡むため、感覚で考え続けても結論が出にくいテーマです。
この完全ガイドでは、厚生労働省「賃金構造基本統計調査」、日本看護協会「2024年度 看護職員の賃金に関する実態調査」、国税庁・協会けんぽの公表資料など一次情報をもとに、看護師のお金まわりを以下の観点で整理します。
- 看護師の平均賃金・賞与・初任給の最新数値(一次情報の引用元と公表年を明示)
- 給与明細の読み方(基本給・諸手当・控除・課税対象)
- 夜勤手当・残業代の根拠と労働基準法上の最低割増率
- 所得税・住民税・社会保険料の仕組みと手取りが減る理由
- 賞与の構造、転職時の比較項目、副業・公的給付(傷病手当金など)の活用
数字や制度には必ず公表年と出典を添えています。古い情報や噂レベルの数値で意思決定しないことが、お金の悩みを長引かせない一番の近道です。
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看護師の平均賃金・賞与の最新数値(一次情報で確認する)
「自分の給料は低いのか、相場どおりなのか」を判断するには、まず公的統計の数値を基準に置くことが出発点です。
賃金構造基本統計調査(厚生労働省)の位置づけ
厚生労働省「賃金構造基本統計調査」は、毎年6月分の賃金を大規模に調査する日本で最も基礎的な賃金統計で、「看護師」「准看護師」「保健師」「助産師」が個別に集計されています。最新公表は「令和6年(2024年)賃金構造基本統計調査」で、結果は厚生労働省統計情報サイト(賃金構造基本統計調査 結果の概要)で公表されています。職種別・年齢階級別・都道府県別のクロス集計はe-Stat(政府統計の総合窓口)でダウンロードでき、自分の年齢・地域の中央的な数値と比較できます。注意点として、「所定内給与額」には夜勤手当・残業代・通勤手当の一部などが含まれないため、明細の「総支給額」とは定義が違います。相場比較に使うときは「所定内給与額 + 年間賞与÷12」で月額に換算するなど、定義をそろえて比較してください。
日本看護協会「2024年度 看護職員の賃金に関する実態調査」
日本看護協会が公表した「2024年度 看護職員の賃金に関する実態調査」(調査ページ、News Release 2025年6月24日)は、看護職員自身の基本給・税込給与の実額を把握できる調査です。労働政策研究・研修機構(JILPT)が解説した結果概要(ビジネス・レーバー・トレンド 2025年8・9月号)によると、主な数値は次のとおりです(病院勤務・正規雇用・フルタイム・非管理職)。
- 基本給月額の平均:26万451円
- 税込給与総額の平均:38万2,093円
- 看護3年課程卒の新卒:基本給21万2,077円/税込総額27万4,840円
- 看護系大学卒の新卒:基本給21万7,934円/税込総額28万2,453円
12年間(2012〜2024年)の基本給の伸びは5,868円(約2.3%)にとどまり、税込給与総額の伸び2万9,936円(約8.5%)の大半は「手当の積み増し」で構成されている点が、同調査の重要な指摘です。
自分の給料が「低いのか、相場どおりなのか」を判断する手順
- 直近3か月分の給与明細と、賞与明細(年2回分)を手元に並べる
- 「所定内給与額(基本給+固定手当)」と「年間賞与」を抜き出す
- 賃金構造基本統計調査の年齢階級別・都道府県別の中央値と比較する
- 看護協会調査の基本給平均(26万451円)と自分の基本給を比較する
- 「相場との差」と「基本給/手当の構成バランス」の両方を見る
相場とほぼ同じでも、手当頼みで基本給が低い場合は、賞与(基本給×月数)・退職金(基本給連動が多い)・育休手当(休業前6か月の標準報酬月額連動)など、長期で効く部分が小さくなりやすい点に注意が必要です。詳しい構造の解説は看護師の給料が低い・上がらないと感じる理由もあわせて読んでください。
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給与明細の読み方:基本給・手当・控除を分解する
「手取りが少ない」「給料が低い」と感じたとき、最初にやるべきは給与明細を支給項目・控除項目に分解して書き出すことです。
支給項目を分類して書き出す
支給項目は、基本給(賞与・退職金・育休手当の基礎)、固定手当(資格・職務・住宅・家族・通勤)、変動手当(夜勤・休日勤務・時間外勤務・オンコール)、通勤手当(一定額まで非課税)、立替清算・出張費等(給与ではない)に整理できます。
ここで多いのが「申請すれば付くはずの手当が漏れている」ケースです。資格手当(認定看護師、専門看護師、特定行為研修修了者、感染管理担当、教育担当など)、住宅手当、扶養家族手当、配偶者手当、夜勤専従手当などは、雇用契約や就業規則に書かれていても、本人申請で初めて支給されるものが多くあります。給与規程と直近半年分の明細を見比べて、漏れがないか確認してください。
控除項目を分類して書き出す
控除項目は次の3グループに分けて把握します。
- 社会保険料(健康保険、厚生年金、雇用保険、介護保険=40歳以上)
- 税金(所得税=源泉徴収、住民税=前年所得ベースで6月から翌5月)
- その他(互助会費、組合費、財形貯蓄、団体保険、社宅費 など)
このうち、社会保険料は4〜6月の報酬月額をもとに「標準報酬月額」が算定され、9月分(10月支給分)から翌年8月分まで反映されます(定時決定)。4〜6月に夜勤や残業が多いと、その後1年間の保険料が高止まりする点は要注意です。日本年金機構の標準報酬月額の決定・改定で仕組みが確認できます。
課税・非課税を分ける
通勤手当(電車・バス通勤で月15万円まで、マイカー通勤で距離区分ごとの上限あり)や、所定の出張手当などは非課税です。一方、夜勤手当、住宅手当、資格手当などは原則として課税対象です。「総支給額」のうち何が課税対象で何が非課税かを把握しておくと、年末調整や転職時の年収比較で勘違いしにくくなります。
手取りの分解と上げ方の詳細は、看護師の手取りが少ない理由で扱っています。
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夜勤手当・残業代の根拠と労働基準法の最低基準
夜勤手当・残業代は変動が大きく、看護師の月収を最も左右する項目です。ここを誤解したまま転職すると、月10万円単位で誤算が出ます。
労働基準法第37条が定める最低割増率
労働基準法第37条は、法定労働時間(1日8時間、週40時間)を超える労働、法定休日労働、深夜労働(22時〜翌5時)に対する割増賃金を定めています。最低基準は次のとおりです(e-Gov 法令検索:労働基準法)。
- 時間外労働(法定労働時間超):25%以上
- 深夜労働(22時〜翌5時):25%以上
- 法定休日労働:35%以上
- 時間外+深夜:50%以上(25%+25%)
- 月60時間を超える時間外労働:50%以上(2023年4月から中小企業も対象。詳細は厚生労働省パンフレット)
「夜勤手当」は法律上の固定名称ではなく、各病院の規程で設計された手当です。深夜割増(25%)を上回るかどうかは病院ごとに大きく異なり、深夜割増を別建てで上乗せする施設、夜勤手当の中に込みにしている施設、固定残業代として時間外分を内包する施設などがあります。日本看護協会の2024年 病院看護実態調査 報告書 No.101では、夜勤回数や交代制の運用実態が把握されています。自施設の三交代・二交代の標準回数は、日本看護協会の夜勤・交代制勤務に関するガイドラインと比較してください。
「総支給45万円」をうのみにしない
夜勤手当・残業代を含めた総支給で他施設と比較すると、誤った意思決定をしがちです。比較時は、基本給/諸手当(職務・資格・住宅・家族・通勤)/夜勤手当(1回あたり×想定回数)/時間外勤務手当(固定残業代の有無)/賞与(基本給×月数か業績連動か)の5要素に分解してください。特に「想定夜勤回数を月8回として計算した年収例」を提示する求人は、夜勤回数が体力的・家庭環境的に維持可能かまで含めて評価する必要があります。具体的なチェック手順は看護師が求人票の給与で見るべきポイントで解説しています。
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賞与(ボーナス)が低くなる構造と算定基礎の確認方法
「同じ病院に5年いるのに賞与が増えない」「夏のボーナスが想像より20万円少なかった」――賞与の不満は、算定基礎を知らないことから生まれます。
賞与の典型的な計算式
民間病院の多くは「賞与=基本給×支給月数×評価係数」という型を採用しています。ここで重要なのは次の3点です。
- 基本給に夜勤手当・住宅手当・通勤手当は含まれない(多くの規程で「本給のみ」)
- 支給月数(夏○か月+冬○か月)は経営状況で増減する
- 評価係数(人事考課の結果)でさらに±される
つまり、いくら夜勤を入れて月収を上げていても、賞与の基礎となる「基本給」が低いままならボーナスはほぼ動きません。基本給が低い病院ほど「賞与額の年収貢献度」が下がる構造です。求人票や評価面談で確認すべきは、算定基礎(基本給か、本給+一部手当か、業績連動部分か)と、支給月数の3年平均(その年だけでなくレンジ)の2点です。中小規模の医療法人では、業績悪化時に支給月数が大きく下がることもあります。
ベースアップ評価料との関係
2024年度診療報酬改定で導入された「ベースアップ評価料」と、令和8年(2026年)度改定での増額(日本看護協会・処遇改善ページ)により、看護職員の賃上げ原資が確保されました。ただし、これが基本給に充当されるか、夜勤手当に充当されるかは医療機関の判断で異なります。自施設で「ベースアップ評価料の還元方針」がどう運用されているかを、賃金実態調査と合わせて確認してください。詳しい解説は看護師のボーナスが低い理由で扱っています。
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所得税・住民税・社会保険料:手取りが目減りする理由
「総支給は上がったのに手取りが減った」「住民税の通知で6月から急に手取りが下がった」――税と社会保険を分けて理解すると、対策の方向が見えます。
所得税の仕組み
所得税は、給与収入から「給与所得控除」を引き、さらに各種所得控除(基礎控除、社会保険料控除、配偶者控除、扶養控除、生命保険料控除 など)を引いた「課税所得」に税率を掛けて計算します。
国税庁No.1410 給与所得控除(令和7年分以降)の控除額は次のとおりです。
- 190万円まで:65万円
- 190万円超〜360万円:収入×30%+8万円
- 360万円超〜660万円:収入×20%+44万円
- 660万円超〜850万円:収入×10%+110万円
- 850万円超:195万円(上限)
所得税率は国税庁No.2260 所得税の税率のとおり、5%〜45%の7段階の超過累進課税です。さらに復興特別所得税(基準所得税額×2.1%)が2037年まで加算されます。
住民税は「前年所得」に対して課税される
住民税は前年の所得をもとに、6月から翌年5月までの12回に分けて給与から特別徴収されます。新卒2年目の6月に「急に手取りが減った」と感じるのはこの仕組みのためです。退職後に普通徴収の納付書が届いて驚くケースもあります。住民税は所得割(課税所得×10%が標準)+均等割(自治体ごとに数千円)で構成されます。
社会保険料が増える3つの局面
社会保険料が増えるのは、主に次の3つの局面です。
- 4〜6月の報酬月額が上がる(定時決定で9月以降の保険料が上がる)
- 昇給や手当増で固定的賃金が2等級以上変動する(随時改定)
- 40歳到達月から介護保険料が上乗せされる
協会けんぽの保険料率は都道府県ごとに毎年改定されます(協会けんぽ 保険料率)。健康保険組合に加入している病院では、組合ごとに料率が異なります。
ふるさと納税・iDeCo・医療費控除の活用
手取りを増やす王道は、税の控除をきちんと使うことです。ふるさと納税(実質負担2,000円で住民税・所得税が減額)、iDeCo(掛金全額が小規模企業共済等掛金控除)、医療費控除(本人+生計を一にする家族の医療費が年10万円超で適用、セルフメディケーション税制との選択)、生命保険料控除・地震保険料控除を、年末調整・確定申告で漏れなく申告してください。
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収入を上げる7つの選択肢を体力・時間・継続性で比較する
看護師が収入を上げる手段は1つではありません。「どれが正解」ではなく、自分のライフステージと相性のよい組み合わせを選びます。
7つの選択肢と特徴
| 選択肢 | 上がり幅の目安 | 体力負荷 | 継続性 | 必要期間 |
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| 昇給(定期昇給) | 年数千〜数千円 | 低 | 高 | 毎年 |
| 役職への昇進(主任・師長) | 月1〜5万円 | 中 | 高 | 数年〜10年 |
| 資格手当(認定・専門・特定行為) | 月数千〜2万円超 | 中 | 高 | 6か月〜1年以上の研修 |
| 夜勤回数を増やす | 1回1〜2万円 | 高 | 低(中長期で逓減) | 即効 |
| 待遇のよい職場へ転職 | 年収数十万円 | 中 | 中〜高 | 1〜3か月 |
| 副業 | 月数千〜数万円 | 中〜高 | 中 | 始め方次第 |
| 給与交渉・評価面談 | 月数千〜数万円 | 低 | 高 | 評価時期 |
体力依存の収入は時間が経つほど目減りしやすい
夜勤・残業を増やす方法は即効性は高いものの、年齢・家族構成・体調の変化に弱い収入源です。「夜勤を月2回減らした」だけで月3〜5万円の収入減になることも珍しくありません。基本給・賞与・退職金など「変えにくい固定的収入」を増やす方向性も並行して検討してください。専門看護師(CNS)、認定看護師(CN)、特定行為研修修了者などの資格は、手当だけでなく転職市場での評価・交渉力にも効いてきます。資格・役職を狙う中長期戦略と、給与交渉・転職という短中期戦略を組み合わせるのが現実的です。詳細は看護師の給料交渉・評価面談の進め方で扱っています。
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夜勤を減らす/辞めるときのお金の試算
「体力的に続けられない」「子どもが小さい時期は減らしたい」――夜勤を減らす判断は、収入の変化を数字で試算してから行うと迷いません。
試算の3ステップ
- 直近6か月の夜勤回数と、夜勤手当の合計を抜き出す(明細の「夜勤手当」項目)
- 月平均の夜勤手当 ÷ 月平均の夜勤回数 = 1回あたり夜勤手当を算出
- 想定する夜勤回数の減少幅(例:月8回→4回)に1回手当を掛けて減少額を出す
例として、1回手当が1万2,000円で月8回→4回に減らす場合、月4万8,000円・年57万6,000円の減収となります。賞与算定で夜勤手当が一部対象になっている病院ではさらに年数万円が動きます。
夜勤なしを選ぶ前に確認すること
夜勤を完全に外す場合、選択肢は「日勤常勤」「日勤パート」「外来・クリニック・健診・訪問看護」「企業看護師」などに広がります。基本給と賞与の水準が病棟と異なるため、「夜勤手当の減少」と「基本給・賞与の差」を合算した年収ベースで比較してください。睡眠障害、慢性的な頭痛・吐き気、月経不順、抑うつ気分、ヒヤリハットの増加といった身体・精神のサインがある場合は、お金の試算と並行して産業医面談・かかりつけ医への相談を検討してください。詳細な試算は看護師が夜勤を減らすと給料はどうなる?で扱っています。
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転職で年収を上げるときの比較項目と注意点
転職は年収を動かす大きなレバーですが、月給だけで比較すると失敗します。次の項目を分解して比較してください。
必ず比較する10項目
- 基本給(賞与・退職金・育休手当の基礎)
- 諸手当(職務、資格、住宅、家族、通勤)
- 夜勤手当(1回あたり × 想定回数)と夜勤上限回数
- 賞与(直近3年の支給月数、算定基礎、評価係数)
- 固定残業代の有無(何時間分が含まれるか/超過分は別途支給か)
- オンコール手当(待機料、出動時の追加手当)
- 退職金規程(勤続年数別の支給率、自己都合と会社都合の差)
- 試用期間中の条件(給与水準、賞与算定対象期間)
- 有給休暇(初年度付与日数、繰越・買取の運用)
- 労働条件通知書の有無と内容(書面で必ず受領)
「年収例」をうのみにしない
「年収550万円可能」と書かれた求人の年収例は、想定夜勤回数・固定残業代・賞与支給月数の前提が記載の小さい文字や口頭説明にだけ書かれていることがあります。前提条件と実例の幅(最低〜最高)の双方を質問してください。
試算は「現職継続」と並べて評価する
転職するかどうかは、転職先A・転職先B・現職継続の3つを同じフォーマットで並べると判断しやすくなります。年収だけでなく、通勤時間・夜勤回数・残業時間・賞与の安定性・教育体制を5段階で評価し、合計点で比較するのが実務的です。
求人票の読み方は看護師が求人票の給与で見るべきポイント、相場の地域差については賃金構造基本統計調査の都道府県別データ(e-Stat)で確認してください。
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副業を始める前に整理する就業規則・税務・体調
副業に関心を持つ看護師は増えていますが、本業の就業規則・労働時間管理・税務・守秘義務の論点が複雑です。
始める前の4チェック
- 就業規則:副業可否、許可制/届出制、競業避止の範囲
- 労働時間:本業+副業の通算で時間外労働の上限を超えないか
- 税務:年20万円超の副業所得は確定申告が必要(給与所得の場合は1円から申告対象になり得る)
- 守秘義務:患者・職員情報、勤務先固有のマニュアル等を外部で扱わない
看護師資格を活かす副業の例として、ワクチン接種会場の単発勤務、健診の派遣、訪問看護のスポット、メディカルライティング、看護学生向けの個別指導などがあります。なお、看護師の労働者派遣は病院・診療所での業務派遣が原則禁止である一方、健診・予防接種・へき地・産休育休代替などは派遣可能と整理されています。副業は短期的な収入補完として有効ですが、本業の集中力・体力・睡眠を奪うと医療安全リスクと長期収入の双方を毀損します。家事育児・休養を含めた生活が回るかを確認したうえで始めてください。詳細は看護師の副業を始める前に知っておきたいルールと実務で整理しています。
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病気・育児・介護で働けないときに使える公的給付
「働けなくなったら収入はゼロ?」と不安に感じる方は多いですが、健康保険・雇用保険には収入を一定期間補う制度があります。要件と申請先を把握しておくと、いざというときの判断が早くなります。
傷病手当金(健康保険)
病気・けがで連続3日休んだ後、4日目以降の休業日に対して、健康保険から支給されます。協会けんぽ傷病手当金の要点は次のとおりです。
- 支給要件:業務外の病気・けが、就労不能、連続3日(待期)後の4日目以降、給与の支払いがない
- 支給額:直近12か月の標準報酬月額の平均 ÷ 30 × 2/3(日額)
- 支給期間:支給開始日から通算1年6か月
健康保険組合に加入している病院では、組合独自の付加給付がある場合もあります。
出産手当金・育児休業給付・介護休業給付
出産手当金は健康保険から、産前42日〜産後56日の間の就業しなかった日に対して、傷病手当金と同じ計算式(標準報酬月額の平均÷30×2/3)で支給されます。育児休業給付は雇用保険から、休業開始時賃金日額の67%(180日まで)/50%(181日目以降)が支給されます。家族の介護で休む場合は、雇用保険の介護休業給付(賃金日額の67%、対象家族1人につき通算93日まで)が利用できます。退職後の失業給付(基本手当)は、自己都合か会社都合かで給付制限・所定給付日数が異なります。
高額療養費・限度額適用認定証
自身や家族の医療費が高額になったときは、健康保険の高額療養費制度を活用します。事前に「限度額適用認定証」を申請しておくと、窓口での支払いを自己負担限度額までに抑えられます。
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給与交渉・評価面談の進め方
「交渉なんて気が引ける」と感じる人も多いですが、評価面談は本来、給与・役割・キャリアの3点を話し合う場です。次の準備で臨むと建設的に進みます。
交渉前に準備する5項目
- 直近1〜2年の貢献の具体的根拠(担当業務、件数、改善した指標、後輩指導の実績)
- 相場(賃金構造基本統計調査、看護協会調査)と自分の基本給・賞与のギャップ
- 自施設の評価制度(評価項目、評価係数、給与改定の時期と昇給幅)
- 次に担いたい役割(プリセプター、係、委員、認定取得 など)
- 希望条件の優先順位(月給/賞与/手当/役割/勤務時間)
「他施設はもっと高い」「生活が苦しい」「辞めるかもしれない」といった言い方は避け、「これまで担ってきた業務」「次に担いたい役割」「その評価としての処遇改善」を順に話す型が有効です。評価制度上の上限や賞与原資の都合で現職での交渉に限界がある場合は、転職を選択肢に加える判断もありますが、給与だけで決めず、人間関係・教育体制・通勤・夜勤回数を含めて評価してください。
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お金の悩み別に深掘りする
本ガイドの論点は、悩みカテゴリ「給料・お金の悩み」で、確認ポイントやFAQと一緒にたどれるよう整理しています。気になるテーマに近いページから読み進めてください。
何から確認すべきか迷うときは、30秒の悩み診断で自分に近い悩みカテゴリと次の一歩を整理できます。自分の年収が相場とどれだけ離れているかは、公的統計ベースで適正年収を比較できる給料コンパスで確認できます。条件から求人を見たい方は求人一覧へ。
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まとめ:お金の悩みは「分解して、一次情報で確認する」
看護師のお金の悩みは、基本給・手当・控除・賞与・夜勤・税・社会保険・転職・副業・公的給付に分解し、一次情報の数値と自分の明細で照合することで、初めて打ち手が見えてきます。
- 平均賃金は厚労省「賃金構造基本統計調査」、看護師実態は日本看護協会「2024年度 看護職員の賃金に関する実態調査」を基準に確認する
- 給与明細は支給項目・控除項目を分解して書き出し、申請漏れの手当がないかを点検する
- 賞与の不満は「基本給」と「支給月数の3年平均」「算定基礎」で説明できる
- 税・社会保険の手取り目減りは、住民税(前年所得)と社会保険料の定時決定の仕組みで理解する
- 収入を上げる手段は、夜勤・残業に偏らず、資格・役職・転職・交渉を組み合わせる
- 病気・出産・育児・介護のときは、傷病手当金・出産手当金・育児休業給付などの公的給付を活用する
次の行動として、まずは直近3か月の給与明細と賞与明細を手元に並べ、本ガイドの「給与明細の読み方」セクションのチェックリストで分解してみてください。そのうえで具体的な論点が見えたら、該当する個別記事と公的窓口(労働基準監督署、都道府県ナースセンター、看護協会、税務署、年金事務所)に相談してください。
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よくある質問
看護師の平均年収はどの統計を見ればいいですか?
毎年公表される厚生労働省「賃金構造基本統計調査」が最も標準的な一次情報です。職種別・年齢階級別・都道府県別のクロス集計はe-Statでダウンロードできます。看護師自身の基本給や手当の実額については、日本看護協会「2024年度 看護職員の賃金に関する実態調査」(2024年実施・2025年公表)が参考になります。「自分の給料が低いのか」を判断するときは、所定内給与額と年間賞与を月額換算し、年齢階級・都道府県の中央的な数値と比較してください。
手取りが少ないと感じたとき、最初に何を確認すればよいですか?
直近3か月分の給与明細を、支給項目(基本給/固定手当/変動手当/通勤手当)と、控除項目(社会保険料/所得税/住民税/その他)に分けて書き出してみてください。資格手当・住宅手当・家族手当などの申請漏れがないか、4〜6月の報酬月額が高くなって標準報酬月額が上がっていないか、住民税が前年所得で増えていないかを順に点検すると、原因の特定が進みます。詳しい分解手順は本文の「給与明細の読み方」と「手取りが目減りする理由」のセクションを参照してください。
夜勤を月8回から4回に減らすと、年収はどれくらい下がりますか?
夜勤1回あたり手当が1万2,000円の施設で月4回減らした場合、月4万8,000円・年57万6,000円の減収が目安です。これに加えて、賞与算定で夜勤手当が一部対象になっている病院では年数万円〜十数万円が動きます。試算は本文の「夜勤を減らす/辞めるときのお金の試算」の3ステップで行えます。減収幅と体調・家庭環境のバランスをみて、日勤常勤・外来・健診・訪問看護などへの働き方変更も選択肢に入れてください。
副業はやってもいいのでしょうか?
可否は本業の就業規則によります。許可制/届出制の場合は事前手続きが必要です。労働時間は本業+副業の通算で時間外労働の上限規制の対象となるため、自己管理が重要です。年20万円超の副業所得は確定申告が必要となります(給与所得の副業は別途要件あり)。守秘義務・利益相反・体調管理・本業への影響を含めて、無理のない範囲で始めてください。詳細は看護師の副業を始める前に知っておきたいルールと実務を参照してください。
病気で休むことになったら、給料はゼロになりますか?
連続3日休んだ後、4日目以降の休業日について、健康保険から傷病手当金が支給されます。支給額は直近12か月の標準報酬月額の平均÷30×2/3、支給期間は支給開始日から通算1年6か月です(協会けんぽの場合)。健康保険組合に加入している病院では組合独自の付加給付がある場合もあります。詳しくは協会けんぽ傷病手当金、または所属の健康保険組合の規程で確認してください。
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参考資料


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