「病棟をずっと続けられる気がしない」と感じている方へ
夜勤の負担、急変対応の緊張、記録に追われる毎日。病棟で働きながら「この働き方をあと何年続けられるだろう」と考えたことのある看護師さんは多いのではないでしょうか。一方で「病院を離れたら、看護師としてのスキルが落ちるのでは」「在宅は一人で判断するから不安」と、踏み出せずにいる方もいるかもしれません。
いま、訪問看護で働く看護師は確実に増えています。厚生労働省の「2024年 衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」によると、2024年末時点で訪問看護ステーションに勤務する看護師は、就業看護師全体の6.7%にあたる9万1022人にのぼり、2年前から1.3ポイント・約2万人増えました(Source: 厚生労働省「2024年 衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」)。高齢化と在宅医療の広がりを背景に、活躍の場が病棟の外へ広がっているということです。
この記事は、病棟での働き方に限界を感じている看護師さんに向けて、「在宅・訪問看護という選択肢を、いまどう見極めればよいか」を整理するためのものです。
この記事でわかること
この記事の価値:訪問看護で働く看護師が増えている背景と、訪問看護が「向いている人・準備が要る人」の違いが分かります。
読むと判断できること:在宅への転換を「なんとなく不安」で止めるのではなく、自分の状況に照らして具体的に検討できるようになります。
今の職場で確認すること:病棟の中でできる働き方の見直しと、在宅に移る前に確認したいことの両方が分かります。
次にできること:訪問看護の求人や働き方を、どんな視点で比べればよいかが整理できます。
読むポイントは次のとおりです。
- なぜ訪問看護で働く看護師が増えているのか
- 訪問看護の働き方と、病棟との違い
- 在宅が向いている人・準備が要る人
- 在宅に移る前に確認したいこと
- 病棟の中でできる見直し
判断材料になる一次情報
この記事は、以下の一次情報をもとに整理しています。個別の労働条件や算定の詳細は、各事業所と最新の制度資料で確認してください。
この記事で確認したいポイントは、次のとおりです。
「訪問看護が増えている」は事実。ただし、求人が多いことと、その職場が自分に合うことは別。需要の大きさではなく、働き方とサポート体制で選ぶ。
なぜ訪問看護で働く看護師が増えているのか
背景には、社会の構造的な変化があります。
- 高齢化が進み、入院ではなく自宅で療養しながら医療を受ける人が増えている
- 国の施策として、入院から在宅へという地域包括ケアの方向が進められている
- 看取りや慢性疾患の管理を、生活の場で支えるニーズが高まっている
こうした流れの中で、訪問看護ステーションで働く看護師は、2024年末時点で就業看護師全体の6.7%・9万1022人となり、2年前(2022年末)から1.3ポイント・約2万人増加しました(Source: 厚生労働省「2024年 衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」)。常勤換算でも6.4%・約7万9千人と、着実に増えています。割合としてはまだ病院勤務が中心ですが、伸びている領域であることは数字に表れています。
求人が出やすい領域でもあります。ただし、「需要が大きい=どこでも良い」ではありません。事業所ごとに、オンコールの頻度、同行訪問の期間、教育体制は大きく異なります。需要の大きさは追い風ですが、選ぶときの基準は別に持っておく必要があります。
訪問看護の働き方と、病棟との違い
訪問看護は、病棟とは時間の流れも判断の仕方も異なります。違いを整理します。
| 項目 | 病棟 | 訪問看護(一般的な傾向) |
|---|
| 夜勤 | 交代制夜勤が多い | 夜勤は少なく、オンコール対応が中心の事業所が多い |
| 患者との関わり | 多数を同時に受け持つ | 1対1でじっくり関わる |
| 判断 | チームですぐ相談できる | その場で一次判断する場面が増える |
| 移動 | 院内のみ | 利用者宅への移動がある |
夜勤の負担を減らしたい、患者さん一人ひとりとじっくり関わりたい、という看護師さんにとっては、働き方が合いやすい領域です。一方で、訪問先での一次判断やオンコール対応など、病棟とは違う種類の責任もあります。「夜勤がない=楽」と単純化せず、責任の形が変わると理解しておくことが大切です。
在宅が向いている人・準備が要る人
向いていることが多い人
- 患者さん一人ひとりと、生活背景まで含めて関わりたい
- 交代制夜勤の身体的負担を減らしたい
- 自分で考えて動くことに、やりがいを感じる
- 多職種(ケアマネ・医師・リハビリ職など)との連携が苦にならない
準備や確認が要る人
- 急変時に一人で初期対応することに不安がある(→同行期間・オンコール体制の確認が必要)
- ブランクがあり、医療処置に自信がない(→教育体制・新人受け入れ実績の確認が必要)
- 運転や移動の負担が気になる(→訪問エリア・移動手段の確認が必要)
「向いていない」のではなく、「確認すれば解消できる不安」であることが多いのが訪問看護です。不安の中身を、事業所に質問できる具体的な項目に翻訳しておくと、ミスマッチを防げます。
在宅に移る前に確認したいこと
訪問看護ステーションは、規模も体制も事業所ごとに差が大きい領域です。求人を比べるときは、次の点を確認すると安心です。
- 入職後の同行訪問の期間と、独り立ちまでの流れ
- オンコールの頻度・手当・免除の可否(子育て中など)
- 緊急時に相談できる体制(管理者・医師との連絡のしやすさ)
- 教育・研修や、ブランクのある人の受け入れ実績
- 訪問エリアの広さと、移動手段(自転車・車)
- 記録の方法(ICT化されているか、直行直帰が可能か)
求人票には書かれていないことが多いので、見学や面接で具体的に質問するのが確実です。「需要があるから受かりやすい」職場ほど、体制の差を自分で確かめる意味があります。
「働き方を変える」で解決しやすいこと・しにくいこと
在宅への転換を考えるなら、何が変わって何が変わらないかを分けて考えると、後悔の少ない判断につながります。
場所を変えると解決しやすいこと
- 交代制夜勤の身体的負担を、オンコール中心の働き方に変えること
- 多数同時受け持ちの慌ただしさから、1対1のケアに比重を移すこと
- 患者さんの生活全体に関わる、別のやりがいを得ること
場所を変えても解決しにくいこと
- 看護師として責任を負う、という仕事の本質
- オンコールや一次判断など、在宅特有の新しい負担が生じること
- 事業所の教育体制やサポートの差(職場選びで確認しないと解決しない)
訪問看護は「逃げ場」ではなく、「責任の形が変わる別の働き方」です。そう捉えると、需要の大きさに流されず、自分に合う事業所を選ぶ視点が持てます。
まずは、カンゴさんに気持ちを整理してみる
「病棟を続ける自信がない」「でも辞めたら看護師として終わりな気がする」「在宅に興味はあるけど、一人で判断するのが怖い」。こうした迷いは、職場では話しづらいものです。
はたらく看護師さんのカンゴさんには、匿名で気持ちを話せます。病棟が合わないと感じることは、看護師に向いていないこととは違います。「何がつらくて、どんな働き方なら続けられそうか」を、一緒に言葉にしてみてください。
「在宅でどう働けるか」を知る材料に
訪問看護が自分に合うかは、需要の大きさではなく、同行期間・オンコール体制・教育のサポートで決まります。求人が多いからと飛び込むより、体制の整った事業所を見極めることが、長く続けるための近道です。
いますぐ転職を決めなくても、ほかの働き方を知っておくことには意味があります。レバウェル看護のような看護師専門の転職紹介サービスでは、求人票だけでは分からない次のような点を、事業所に確認して教えてもらえます。
- 入職後の同行訪問の期間と、独り立ちまでの流れ
- オンコールの頻度・手当・子育て中の免除可否
- ブランクのある人の受け入れ実績と教育体制
- 訪問エリア・移動手段・直行直帰の可否
在宅への移り方の基本は、病棟から訪問看護へ切り替えるときのガイドや、病院から在宅への転職で確認したいことの記事が参考になります。オンコールの実際を知りたい方は訪問看護のオンコールを整理した記事を、在宅の給料が気になる方は訪問看護の処遇改善をまとめた記事もあわせて読むと、判断の精度が上がります。
まとめ
高齢化と在宅医療の広がりを背景に、訪問看護ステーションで働く看護師は、2024年末時点で就業看護師全体の6.7%・9万1022人まで増えています(Source: 厚生労働省「2024年 衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」)。病棟に疲れた看護師さんにとって、現実的な選択肢のひとつになっています。
確認の3ステップは次のとおりです。
- 自分が病棟の「何に」疲れているのか(夜勤・人数・慌ただしさ)を言葉にする
- 在宅で解決しやすいこと・新しく生じる負担を分けて考える
- 求人を比べるときは、同行期間・オンコール体制・教育のサポートを必ず確認する
「訪問看護が増えている」は追い風ですが、選ぶ基準は需要の大きさではありません。自分に合う体制の事業所を見極めることが、続けられる働き方への近道です。
よくある質問
訪問看護で働く看護師は、本当に増えているのですか?
増えています。厚生労働省の「2024年 衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」では、2024年末時点で訪問看護ステーションに勤務する看護師は、就業看護師全体の6.7%にあたる9万1022人で、2年前から1.3ポイント・約2万人増加したとされています(Source: 厚生労働省「2024年 衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」)。常勤換算でも6.4%・約7万9千人と、着実に伸びています。
病棟しか経験がなくても、訪問看護に移れますか?
移ること自体は可能です。ただし、訪問先での一次判断やオンコール対応など、病棟とは違う種類の責任があります。多くの事業所では同行訪問の期間が設けられ、独り立ちまで段階的に慣れていく形をとります。ブランクや経験への不安は、同行期間・教育体制・新人受け入れ実績を確認することで、解消できる場合が多いです。
訪問看護は夜勤がないから楽、と考えてよいですか?
交代制夜勤の身体的負担が減る事業所が多いのは確かですが、「楽」と単純化はできません。多くの事業所ではオンコール(待機)対応があり、緊急訪問が生じることもあります。夜勤の負担とオンコールの負担は性質が異なるため、オンコールの頻度・手当・免除の可否を確認したうえで、自分に合うかを判断するのがおすすめです。
訪問看護の求人は選びやすいですか?
求人が出やすい領域ではありますが、事業所ごとに体制の差が大きいため、「受かりやすさ」で選ぶのは避けたほうが安心です。同行期間、オンコール体制、教育の手厚さ、訪問エリアの広さなどは、求人票だけでは分かりにくい部分です。見学や面接で具体的に質問し、複数の事業所を比べて判断することをおすすめします。
在宅に移れば、いまの悩みは解決しますか?
解決しやすいこと(夜勤負担、多数同時受け持ちの慌ただしさ)と、解決しにくいこと(看護師としての責任、在宅特有のオンコールや一次判断)があります。「在宅に移れば全部解決する」とは言い切れません。自分が何に疲れているのかを整理し、それが在宅で軽くなるのか、別の負担に変わるだけなのかを見極めることが大切です。
参考資料


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