「夜勤入りの日、夕食と寝かしつけはどうするのか」「夜勤明けの朝、保育園の送りは誰が行くのか」。交代勤務で働いていると、家事・育児の形が曜日ごとに変わります。そのため話し合おうとしても「今日だけどうするか」の調整で終わり、来月も同じ相談を繰り返すことになりがちです。
厚生労働省は2026年9月11日(金)、家事・育児の協力体制を夫婦やパートナー同士で話し合うための対話ツール「トモイクシートWeb版」を公表しました。9月17日付でまとめられた行政情報の一覧にも掲載され、公表から一週間ほど遅れて周知が広がりました。ダウンロードや印刷をしなくても、スマートフォンやパソコンから利用できる形になったことが今回の変更点です。
ただしこれは看護師専用のツールではなく、夜勤を前提にした設問が用意されているわけでもありません。この記事では、公表資料で確認できたことと確認できなかったことを分けたうえで、夜勤入り・夜勤中・夜勤明けという交代勤務の時間割に合わせて担当と代替手段を書き出す表を編集部の提案として示します。読み終えた時点で、家庭内で決め直す項目と、今の勤務先に確認する制度を切り分けられる状態を目指します。
9月11日に公表されたこと、9月17日に広がったこと
| 公表資料で確認できたこと | 今回の公表だけでは分からないこと |
|---|
| 夫婦・パートナー同士で家事・育児の分担を話し合う対話ツールである | 利用登録が必要か、費用がかかるか(公式ページに記載なし) |
| Web版は印刷やダウンロードをせず、スマホ・パソコンから使える | 入力内容の保存先、保存期間、相手への共有方法 |
| 使い方を説明する動画が案内されている | 夜勤・交代勤務を想定した設問が含まれるか |
| 厚生労働省の公表日は2026年9月11日、9月17日付の行政情報一覧にも掲載 | 新しい手当や勤務制度が始まったわけではない |
編集部は2026年9月18日に公表ページとツール紹介ページを確認しましたが、入力・保存・共有の操作は行っていません。右側の欄は「その機能が無い」と断定しているのではなく、公表資料からは読み取れなかったという意味です。
このツールは対話の材料であって、夜勤の回数や人員配置そのものを動かす力は持ちません。家庭の中で決められることと、勤務先へ申し出なければ変わらないことは、最初から書き分けたほうが話が進みます。
交代勤務だと、分担の話し合いが積み上がらない
日勤だけの生活と違い、看護師の一週間は「起きている時間帯」が週の中で入れ替わります。夜勤明けの午前は帰宅しても睡眠が必要で、家にいることと家事を担えることは同じではありません。ここが説明されないまま「休みの日なのに何もしていない」と受け取られると、話し合い自体が気まずくなります。
さらに、日勤で残業が延びる日、夜勤で呼び出しや急変対応が重なる日は、前日に決めた予定がそのまま崩れます。だからこそ、決めるべきは「誰がやるか」だけではなく、崩れたときに誰へ振り替えるか、何を省いてよいかまで含んだ形になります。
保育園や学童の受け入れ時間、病児保育の登録、祖父母やファミリー・サポート・センターなどの支援は、事前に調べておかないと当日には間に合いません。分担表には家庭内の役割だけでなく、外部の手段を書き込む欄も用意します。
夜勤の前後で区切る整理表(編集部の提案)
まず厚生労働省の公式トモイクシート特設ページで、話し合う項目そのものを確認してください。そのうえで使えるのが下の表です。公表ツールの設問ではなく、夜勤入り・夜勤中・夜勤明けの3つの局面を時間帯へ割り、最後に休日を置いて編集部が組み直したものです。各行で「用事」「主担当」「代わりの手段」を埋めます。
| 区間 | 家庭で発生する用事 | 主に担当する人 | 代わりの手段・頼る先 |
|---|
| 夜勤入りの日(午後〜出勤前) | 夕食の準備、入浴、翌日の持ち物 | | 作り置き、配食、パートナーの時差出勤 |
| 夜勤入りの日(出勤後〜就寝) | 寝かしつけ、夜間の対応 | | もう一方の保護者、祖父母、宿泊を伴う預かり |
| 夜勤中(急な連絡が入る時間帯) | 子どもの発熱、園からの連絡 | | 連絡順位を決める、病児保育の事前登録 |
| 夜勤明け(帰宅〜睡眠) | 送り、朝食、洗濯 | | 送りだけ交代、家事を翌日へ送る判断 |
| 夜勤明け(起床後〜就寝) | 迎え、夕食、翌日の準備 | | 買い物を配達に替える、簡略化してよい家事を決める |
| 休日 | 作り置き、手続き、通院 | | まとめて行う日を月内に固定する |
主担当の欄を空けているのは、そこを埋める作業が話し合いそのものだからです。加えて、「この区間は誰も担当できない」と書いてよいことを最初に確認しておいてください。空欄が残る区間こそ、外部の支援や勤務条件の見直しを検討する場所になります。
話し合いを責任追及にしないための進め方
分担の相談は、できていないことの指摘から始めると行き詰まります。最初に書くのは、すでに回っている用事と、その担当です。見えていなかった作業が並ぶだけでも、量の偏りは共有できます。
次の順で話すと、感情的な対立を避けやすくなります。
- 今週すでに発生した用事を、時間帯ごとに書き出す
- 誰が担当したかを事実として記入する(評価はしない)
- 崩れた日と、その日に何を省いたかを確認する
- 来月の勤務表が出た時点で、埋まらない区間を特定する
- 埋まらない区間について、外部の手段と勤務先への相談を分ける
家事・育児を母親だけの責任として扱わないこと、そして対等に話せない関係の場合には共同での記入を無理に進めないことも前提です。身体的・精神的な圧力がある状況では、シートを埋めること自体が負担になります。その場合は、自治体の配偶者暴力相談支援センターや女性相談支援センターなど、公的な相談窓口を先に使ってください。
働ける時間と必要な収入を同じ紙に置く
分担が埋まらない区間が多いと、勤務時間そのものを見直す選択肢が出てきます。ここで「時短にすれば解決する」と急がず、働ける時間と必要な収入を並べて書き出します。
- 無理なく続けられる勤務日と時間帯
- 夜勤の可否と、月に引き受けられる回数
- 月に必要な手取り額(額面と分けて書く)
- 保育・学童・病児保育・通勤にかかる費用
- 夜勤手当が減った場合の収入差
- 何年後にどの働き方へ戻したいか
夜勤回数を減らすと収入は変わりますが、深夜の預け先にかかる費用が減る場合もあります。どちらが家計に合うかは家庭ごとに違うため、金額を仮置きしてでも並べて比べてください。育児期の働き方の考え方は育児と両立する働き方の整理、妊娠・出産前後の制度は妊娠・出産・育児の完全ガイドにまとめています。
転職を決める前に、今の勤務先で確認できること
家庭の調整だけで埋まらない場合でも、先に確認する価値があるのは現職の制度です。
- 育児のための短時間勤務の対象年齢と申請手続
- 所定外労働・深夜業の制限を請求できる条件
- 夜勤の回数や時間帯を調整した実例があるか
- 子の看護等休暇の日数と取得方法
- 院内保育所・学童の有無と利用条件
- 勤務表の希望を出せる時期と締切
同じ名称の制度でも施設ごとに扱いが違うので、就業規則と担当部署の説明で確かめます。制度があっても使えていない職場もあり、規程の有無と運用実態は別に確認する必要があります。
職場を変えることで解決しやすいのは、夜勤体制、通勤時間、保育支援の有無といった条件面です。一方で、家庭内の分担、子どもの発熱の頻度、パートナーの勤務時間は、転職しても変わりません。ブランクからの復帰を含めて検討する場合は復職の進め方も参考にしてください。希望条件を言葉にしにくいときは、カンゴさんで「担当できない時間帯」から整理する方法もあります。
まずは公式ツールで家庭内の分担を可視化し、それでも埋まらない区間を勤務先への相談材料にする。この順番であれば、転職の判断も条件がそろってから行えます。
参考資料
最終確認日:2026年9月18日。本文中の夜勤前後の整理表は編集部が作成した提案であり、公表ツールに含まれる設問ではありません。利用登録の要否、入力内容の保存・共有の仕様は公表資料からは確認できていません。
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