「これから看護師は足りなくなる」と聞いて気になった方へ
「2040年には看護師がもっと足りなくなる」「現役世代の人口減少で、看護の働き方が変わる」というニュースを目にして、自分のキャリアにどう関係するのか気になっている看護師さんは多いのではないでしょうか。10年以上先の話に聞こえる一方で、いま働いている看護師さんが「足りなくなる側」に立つことになる、というのは現実味のある話です。
厚生労働省は2026年4月10日、「2040年に向けた看護職員の養成・確保の在り方に関する検討会」の初会合を開きました。月1回のペースで開催し、2026年冬のとりまとめを社会保障審議会医療部会に報告する方針です(Source: 厚生労働省「第1回 2040年に向けた看護職員の養成・確保の在り方に関する検討会の開催について」)。
この記事は、検討会の論点を整理し、いま病棟・外来・在宅で働く看護師さんの働き方にどう関係するかを、実務目線で読み解くためのものです。「制度の話」ではなく、「自分の数年後・十年後の働き方の材料」として読んでいただくのが目的です。
この記事でわかること
この記事は、自分のキャリアを5〜10年単位で考えたい看護師さん、看護師全体の人材確保の流れを把握しておきたい看護師さんに向けて書いています。
この記事の価値:2040年に向けた検討会の3論点(養成のあり方・地域確保・勤務環境改善)と、検討スケジュールが分かります。
読むと判断できること:「自分の働き方は、これからどんな環境変化の中に置かれるか」を、感覚ではなく具体的な軸で考えられるようになります。
次にできること:自分のキャリア計画や職場選びに、人材確保の構造変化を織り込む準備が整います。
読むポイントは次のとおりです。
- 検討会の概要とスケジュール
- 3論点(養成・地域確保・勤務環境改善)の中身
- 現役看護師の働き方にどう関係するか
- いまの職場で確認しておきたいこと
- 自分のキャリア計画に織り込みたい視点
判断材料になる一次情報
この記事は、以下の一次情報をもとに整理しています。
この記事で確認したいポイントは、次のとおりです。
2040年の議論は、いまの看護師さんが「足りなくなる側」として働く十数年の話。制度の話ではなく、自分のキャリア地図に重ねる話として読む価値がある。
検討会の概要とスケジュール
この検討会は、団塊ジュニア世代が65歳以上となり、現役世代が急激に減少する2040年を見据え、看護職員の質・量の両面における確保策を議論するために設置されたものです。
主なスケジュールは次のように示されています(Source: 厚生労働省「第1回 2040年に向けた看護職員の養成・確保の在り方に関する検討会の開催について」)。
| 時期 | 主な議論 |
|---|
| 2026年4月10日 | 初会合・論点整理 |
| 2026年春〜秋 | 養成・確保対策、供給推計、需要推計方法の議論 |
| 2026年冬 | とりまとめに向けた議論 |
| とりまとめ後 | 社会保障審議会医療部会へ報告 |
つまり、2026年内に「日本全体で看護職員をどう確保するか」の方針が、いったん整理されます。診療報酬や介護報酬と違い、すぐに数字として現場に降ってくる種類の議論ではありませんが、養成校・地域の人員配置・勤務環境改善の方向性が示される、土台となる議論です。
3論点(養成・地域確保・勤務環境改善)の中身
初会合では、次の3つが論点として示されています(Source: 厚生労働省「第1回 2040年に向けた看護職員の養成・確保の在り方に関する検討会の開催について」)。
1. 看護職員の養成のあり方
看護師・准看護師・保健師・助産師など、看護職員をどう育成していくかの方向性です。看護師養成校の定員、カリキュラム、特定行為研修などの専門教育、復職支援などが想定されます。長期的には、若年人口減少の中で「どこから看護師を確保するか」が中心テーマです。
2. 地域の看護職員の確保策
東京・大阪などの都市部と、地方・離島の間にある看護師の偏在をどう緩和するか、という論点です。ナースセンター事業の拡充、地域加算の見直し、訪問看護の体制整備などが議論の対象になりえます。
3. 看護職員の勤務環境改善
「採用しても辞めてしまう」状況を変える論点です。夜勤負担の軽減、ICT活用による業務効率化、ハラスメント対策、復職しやすい勤務形態、ライフイベントとの両立などが含まれます。2026年度診療報酬改定で進む配置基準の柔軟化・ベースアップ評価料とも連動する議論です。
3論点は独立した話ではなく、互いに連動しています。養成だけ増やしても辞めてしまえば意味がなく、勤務環境だけ整えても地域偏在は解消しない、という構造を意識した整理になっています。
現役看護師の働き方にどう関係するか
「2040年」の議論ですが、現役で働く看護師さんに関係する論点が複数含まれています。
- 養成定員・カリキュラムの見直し:新人の受け入れ・教育負担の変化につながる
- 地域偏在の緩和:地方・離島の勤務、訪問看護の体制が変わる可能性
- 勤務環境改善:夜勤回数・配置基準・ICT活用の方向性が、自分の病棟にも降りてくる
- 復職支援の強化:ライフイベント後の働き方の選択肢が広がる可能性
- 専門教育の拡充:特定行為研修・専門看護師など、キャリアの選択肢が増える可能性
つまり、検討会の議論は「これから10年〜15年、看護師として働き続ける人」のキャリア地図に関わる可能性があります。すぐに給与や配置が変わる種類の話ではない一方で、具体化されれば長期で現場の働き方に影響してくる可能性がある議論です。
いまの職場で確認しておきたいこと
検討会の議論は遠い話に見えますが、自分の職場でも見ておきたいポイントがあります。
- 看護部・労務担当が、勤務環境改善(夜勤回数・残業時間・ICT活用)にどれだけ取り組んでいるか
- 育休・産休からの復帰実績、復帰後の勤務形態の選択肢
- 特定行為研修・専門看護師など、専門教育への支援制度
- 退職した同僚の理由が、職場の改善に反映される仕組み
- 地域包括ケア・訪問看護への異動の選択肢
長期で見て「自分が働き続けやすい場所」かどうかは、これらの取り組みが手元にあるかで決まりやすくなります。
自分のキャリア計画に織り込みたい視点
検討会の議論を、自分のキャリア計画に重ねるなら次の視点が役立ちます。
- 5年後:いまの病棟で続けるか、外来・訪問・施設へ広げるか
- 10年後:中堅・主任として組織側に関わるか、専門看護師・特定行為研修などで専門性を深めるか
- ライフイベント:結婚・出産・介護があったときに、どんな勤務形態に切り替えられるか
- 地域:いま住んでいる地域で看護師を続けるか、地方・都市部への移動も視野に入れるか
- 学び直し:復職支援・リカレント教育の制度を活用するか
「2040年は遠い話」ではなく、「2040年に向けて10年以上働く期間が、いま始まっている」と捉え直すと、目の前の判断にも意味が出てきます。
「働き方を変える」で解決しやすいこと・しにくいこと
長期キャリアを意識して職場を見直すなら、何が変わって何が変わらないかを分けて考えると、後悔の少ない判断につながります。
場所を変えると解決しやすいこと
- 育休・産休からの復帰実績がある法人で働く安心感
- 専門教育・特定行為研修への支援が手厚い職場の選択
- 配置基準・ICT活用が現場の負担軽減に向く運営の職場
- 地域包括ケア・訪問看護など、長期に広がるキャリアパスへの移動
場所を変えても解決しにくいこと
- 看護師全体の人材確保構造そのもの(業界全体の課題)
- ライフイベントによる働き方の変化(どの職場でも対応は必要)
- 自分自身のキャリアの方向性(場所を変えても、自分が選ばなければ動かない)
- 「いまがつらいから」だけで決めると、長期で見た選択にならないこと
まずは、カンゴさんに気持ちを整理してみる
「2040年なんて遠すぎて、いまの自分には関係ない気がする」「でも、子どもの手が離れる頃にちょうど人手不足になりそうで不安」「キャリアと家族のバランスを、どこで考えればいいか分からない」。こうした気持ちは、日々の業務の中では言葉になりにくいものです。
はたらく看護師さんのカンゴさんには、匿名で気持ちを話せます。長期のキャリアを考える入口として、まずは「いま気になっていること」を言葉にしてみてください。
「長期で続けられる職場か」を知る材料に
10年以上看護師として働くなら、いまの職場が長期で続けられる場所かは大事な問いです。夜勤の重さ・ICT活用・専門教育・復職実績の有無は、年齢を重ねたときに効いてきます。
いますぐ転職を決めなくても、ほかの職場の体制を知っておくことには意味があります。レバウェル看護のような看護師専門の転職紹介サービスでは、求人票だけでは分からない次のような点を、職場に確認して教えてもらえます。
- 看護師の人数配置・夜勤回数・残業時間の実態
- 産休・育休からの復帰実績、復帰後の勤務形態
- 特定行為研修・専門看護師への支援制度
- ICT導入の進捗と、現場の業務時間への影響
これからの看護師の働き方の全体像は、2040年に向けて変わる看護師の働き方の整理記事もあわせて読むと、いま起きている変化と自分のキャリアの接点が見えやすくなります。
2040年に向けた論点は、目の前の制度動向にもつながっています。2026年6月のベースアップ評価料の整理記事、配置基準の弾力化の整理記事、特定行為研修の受講促進要望の整理記事をあわせて読むと、足元の動きと中長期の方向が線で結びます。
まとめ
厚生労働省は2026年4月10日、「2040年に向けた看護職員の養成・確保の在り方に関する検討会」の初会合を開き、養成のあり方・地域確保策・勤務環境改善の3論点を整理しました(Source: 厚生労働省「第1回 2040年に向けた看護職員の養成・確保の在り方に関する検討会の開催について」)。2026年冬のとりまとめに向け、月1回のペースで議論が続きます。
確認の3ステップは次のとおりです。
- 検討会の3論点(養成・地域確保・勤務環境改善)を、自分のキャリア地図に重ねる
- いまの職場の勤務環境改善・専門教育・復職支援の取り組みを確認する
- 5年・10年単位で「どこで、どう働き続けたいか」を、いまから考え始める
「2040年は遠い」と思うか、「2040年に向けて10年以上働く期間がいま始まっている」と捉え直すかで、目の前の選択の意味が変わります。検討会の議論を、自分のキャリアの話に翻訳していきましょう。
よくある質問
2040年問題とは何ですか?
団塊ジュニア世代が65歳以上となり、現役世代が急激に減少する2040年を指して使われる言葉です。看護分野では「サービスを必要とする人が増える一方、看護職員を支える現役世代が減る」構造変化として議論されており、厚生労働省の検討会で養成・確保策が整理されています(Source: 厚生労働省「第1回 2040年に向けた看護職員の養成・確保の在り方に関する検討会の開催について」)。
検討会の議論は、いつ結論が出ますか?
2026年冬を目途にとりまとめを行い、社会保障審議会医療部会へ報告する方針が示されています。月1回のペースで議論が続き、その後、養成校・地域の人員配置・勤務環境改善の具体策につながっていく見込みです。
3つの論点は何ですか?
「看護職員の養成のあり方」「地域の看護職員の確保策」「看護職員の勤務環境改善」の3つです。互いに連動しており、養成・地域確保・勤務環境のいずれかだけ進めても効果が出にくい、という認識が前提になっています。
現役看護師の給料や配置は、すぐに変わりますか?
すぐには変わりません。診療報酬や介護報酬と違い、この検討会は土台となる方向性を示す議論です。ただし、夜勤負担の軽減、ICT活用、配置基準、復職支援などの具体策に長期で反映されていく可能性があり、具体化されれば5〜10年単位で現場の働き方に関係してくる可能性があります。
自分のキャリアにどう活かせばいいですか?
5年後・10年後の働き方を見据えて、いまの職場の勤務環境改善・専門教育支援・復職実績を確認することが手元の行動になります。特定行為研修・専門看護師など、長期キャリアの選択肢を意識した職場選びにもつながります。
参考資料


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