急性期一般、特定機能病院、専門病院、地域包括医療、地域包括ケア、回復期リハビリテーションなどの病棟で働いていて、「10月から看護必要度の扱いが変わると聞いたけれど、自分の病棟に関係があるのか分からない」という方に向けた記事です。
結論から書きます。令和8年度診療報酬改定では、3月31日時点で届出をしていた急性期一般などの病棟について、改定前の重症度、医療・看護必要度の基準を満たしていれば改定後の基準も満たすものとみなす、という経過措置が置かれていました。この扱いは令和8年9月30日までです。10月1日からは、改定後の基準そのもので判定されます。
読み終えると、自分の病棟の入院料や加算が事務連絡のどの表に載っているか、経過措置の中身が「判定基準」の話なのか「評価票」の話なのか、そして師長や看護部に何を聞けばよいかが判断できます。改定後の基準値そのものは、後で述べる1か所を除いてこの事務連絡には書かれていません。数字を並べる記事ではなく、確かめる順番を示す記事です。
9月30日で終わるのは「満たすものとみなす」という扱いです
この記事が読んでいるのは、令和8年9月10日の日付が入った厚生労働省保険局医療課の事務連絡です。宛先は地方厚生(支)局の医療課で、表題は「令和8年度診療報酬改定において経過措置を設けた施設基準の取扱いについて」。厚生労働省のサイトではなく、日本病院会がウェブサイトに載せた写しで内容を確かめました。
事務連絡は、令和8年3月5日付の2つの通知(保医発0305第7号の基本診療料、保医発0305第8号の特掲診療料)の「第4表2」に掲げる項目のうち、10月1日以降も引き続き算定する場合に届出が必要なもの等を別紙にまとめた、と説明しています。目的は「届出漏れ等が生じないよう」にすることです。
急性期一般入院基本料の欄を例にとると、書かれているのは次の内容です。3月31日に現に届出を行っている病棟で、現に旧算定方法の重症度、医療・看護必要度の基準を満たす病棟は、9月30日までの間は改定後の基準を満たすものとみなす。つまり9月30日までは、旧い基準を満たしていることが、新しい基準を満たしていることの代わりとして認められていました。10月1日からはこの代わりが利かなくなります。
事務連絡には表が2種類あります
ここが最も読み違えやすい点です。事務連絡には性格の違う表が2つ付いています。
| 表 | 見出し | 載っている項目数 | 様式の欄 |
|---|
| 別紙 | 令和8年10月1日以降も算定する場合に届出が必要なもの | 基本診療料9項目、特掲診療料2項目 | あり(別添7の様式10など) |
| 参考 | 令和8年10月1日以降も算定するに当たり注意が必要なもの等 | 基本診療料13項目、特掲診療料1項目、訪問看護療養費1項目 | なし |
別紙は見出しのとおり、届出が必要な項目です。様式の欄に並ぶのは一部の様式だけで、表の下には、負担軽減のため全部の様式ではなく必要最小限にとどめるという趣旨の注が付いています。
一方の参考表は「注意が必要なもの等」という見出しで、届出様式の欄がありません。看護職員夜間配置加算、急性期看護補助体制加算、看護補助加算1、看護必要度加算、一般病棟看護必要度評価加算は、こちらの参考表に載っています。ここで押さえておきたいのは、参考表の項目の届出の要否が、事務連絡のどこにも書かれていないという点です。様式の欄が無いことだけを根拠に「届出は不要」と読むことも、「別紙と同じく必要」と読むこともできないので、本記事ではどちらとも書きません。病棟の看護師としては、「うちの加算は参考表に載っている。10月以降の扱いは病院としてどう確認しているか」を聞ければ十分です。
経過措置の中身は3つの型に分かれます
2つの表を項目ごとに読むと、9月30日で終わる扱いは同じ形ではありません。編集部で読み分けたところ、看護師の目線では次の3つの型に整理できます。
| 型 | 9月30日までの扱い | 事務連絡に載っている主な項目 |
|---|
| 判定基準のみなし | 改定後の看護必要度の基準を満たすものとみなす | 別紙: 急性期一般入院基本料(入院料6を除く)、特定機能病院入院基本料(一般病棟・7対1)、専門病院入院基本料(7対1)。参考表: 急性期一般入院料1、結核病棟入院基本料(7対1)、看護必要度加算1・2・3、急性期看護補助体制加算、看護職員夜間配置加算、看護補助加算1 |
| 旧い評価票の使用 | 改定前の通知にある一般病棟用の重症度、医療・看護必要度Ⅰ又はⅡの評価票を用いて評価しても差し支えない | 参考表: 急性期一般入院料6、特定機能病院入院基本料(結核病棟7対1、一般病棟10対1)、専門病院入院基本料(10対1)、地域一般入院料1、一般病棟看護必要度評価加算、脳卒中ケアユニット入院医療管理料 |
| 看護必要度以外の要件 | 別の実績や体制の基準を満たすものとみなす | 別紙: 療養病棟入院料2(医療区分3と2の患者の合計が6割以上)、回復期リハビリテーション病棟入院料2・3・4(実績の指数32以上、休日を含め週7日のリハビリテーション提供体制)など |
1つ目の型には条件の書き方に違いがあります。入院基本料と看護必要度加算の欄は、旧算定方法の基準を現に満たしていることがみなしの条件です。急性期看護補助体制加算、看護職員夜間配置加算、看護補助加算1の欄は、3月31日に現にその加算の届出を行っていることが条件として書かれています。いずれの病棟でも、10月1日からは「割合を判定する物差し」が改定後のものだけになります。
2つ目の型の病棟では、物差し以前に「日々付ける評価票そのもの」が論点です。旧い評価票を使ってよいという扱いが9月30日までなので、現在どちらの版の評価票で付けているのかを確かめる意味があります。
3つ目の型、たとえば回復期リハビリテーション病棟は別紙に載っていますが、書かれているのはリハビリテーションの実績や提供体制であり、看護必要度の話ではありません。「対象病棟と聞いたから評価票が変わる」とは限らない、ということです。
なお、急性期一般入院料1は別紙の項番1にも参考表の項番1にも関係する記載があります。参考表では、10月1日以降に算定する施設基準として急性期病院A一般入院料と急性期病院B一般入院料が挙げられています。どちらを算定するのかは病院ごとの話で、事務連絡からは分かりません。
地域包括ケア病棟入院料は参考表の項番11に載っています。ただし、みなされる基準は「第九の十一の二の(1)のハ」と番号で示されているだけで、その中身は事務連絡に書かれていません。看護必要度に関する基準なのかどうかも、この資料だけでは判断できません。
数値が書かれているのは地域包括医療病棟の1か所だけです
改定後の看護必要度の基準値や評価項目は、この事務連絡には原則として書かれていません。例外は別紙の項番6、地域包括医療病棟入院料です。3月31日時点で届出をしている病棟は、9月30日までの間に限り次のいずれかに該当するものとみなす、として基準の内容が注記されています。
- 一般病棟用の重症度、医療・看護必要度Ⅰの基準を満たす患者の割合に係る指数が1割9分以上の病棟であること
- 診療内容に関するデータを適切に提出できる体制が整備された保険医療機関で、当該病棟において、必要度Ⅱの基準を満たす患者の割合に係る指数が1割8分以上の病棟であること
この項番で、10月からの算定先として挙がっているのは地域包括医療病棟入院料2です。「割合に係る指数」がどう計算されるのかは事務連絡に説明がありません。ほかの入院料や加算の数値を知りたい場合は、院内の説明資料か、3月5日付の施設基準通知(保医発0305第7号)で確認してください。ネット上の早見表を見る場合も、どの通知のどの別紙を出典にしているかが書かれているものを選ぶのが安全です。
自分の病棟を確かめる6つの手順
制度の全体像を覚える必要はありません。次の順番で、自分の病棟に関係する部分だけを拾ってください。
| 順番 | 確かめること | 確かめる先 | 読み違えやすい点 |
|---|
| 1 | 自病棟が算定している入院料と加算の名前 | 院内掲示の施設基準一覧、師長、医事課 | 入院料だけでなく、夜間配置や看護補助の加算も対象になりうる |
| 2 | その名前が別紙と参考表のどちらに載っているか | 事務連絡の写し(参考資料のリンク) | 参考表の項目は届出の要否が明記されていない。載っていない項目は今回の事務連絡の対象外 |
| 3 | 経過措置の型(判定基準のみなし、旧い評価票、看護必要度以外) | 上の3つの型の表 | 別紙に載っていても看護必要度とは無関係の項目がある |
| 4 | 病棟が必要度ⅠとⅡのどちらで評価しているか | 師長、看護部の担当者 | 事務連絡ではⅡにデータ提出体制の整備が条件として付いている。看護師の入力がどの項目の判定に使われるかは院内で確認する |
| 5 | 改定後の評価について院内研修や説明を受けたか | 教育担当、研修記録 | 受けた記憶があいまいなら、資料がどこにあるかを聞く。受けていないことは個人の落ち度ではない |
| 6 | 評価とその根拠になる記録の取り決めが病棟でそろっているか | 病棟の評価マニュアル、監査担当 | どの記録を根拠として残すかは評価の手引きと院内ルールで決まる。事務連絡には書かれていない |
手順2で自分の病棟の入院料や加算の名前が見つからない場合は、少なくともこの事務連絡が取り上げた9月30日期限の項目には当たりません。その場合も、手順4から6は日々の評価に直接関わることなので、確かめておいて損はありません。
評価を個人の責任にせず、病棟の仕組みとして確かめます
重症度、医療・看護必要度の評価票は、病棟の看護職員が日々の勤務のなかで付けています。その評価は、病棟が基準を満たすかどうかの判定に使われます。だからこそ、基準の切り替わりの時期に「付け方が悪いと病棟が基準を割る」という空気が生まれると、評価をする人に負担が寄ってしまいます。
判定基準や評価票の版を切り替えるのは病院と病棟の仕事です。看護師が確かめるべきなのは、自分の付け方が正しいかどうかよりも先に、正しく付けられる条件が整っているかどうかです。師長や担当者には、次のように聞くことができます。
- うちの病棟の入院料と加算は、9月10日の事務連絡の別紙と参考表のどちらに載っていますか
- 10月1日から使う評価票は、今使っているものと同じ版ですか
- 改定後の評価の説明資料や研修の予定はありますか。夜勤専従や非常勤のスタッフはいつ受けられますか
- 評価に迷ったとき、勤務帯ごとに誰に確認すればよいですか
- 評価の入力と記録にかかる時間は、勤務時間内に収まる前提で業務が組まれていますか
最後の問いは、評価の精度と時間外労働の両方に関わります。記録の負担そのものをどう減らすかという流れは、国の戦略文書に看護記録が載った件をまとめた記事で整理しています。
病院は10月前半に届出の作業をしています
別紙に載った項目には、届出の締切に関する取扱いも示されています。届出書を令和8年10月14日までに出し、10月の末日までに審査が済んで受理されれば、算定は10月1日までさかのぼれる、というものです。10月14日という期限から考えると、届出をする病院では、10月前半にかけて事務部門や看護部が書類の準備を進めていることになります。
この時期に師長から、評価の入力漏れがないかの確認を頼まれることがあるかもしれません。依頼の背景には届出の期限がある、と知っておくと受け止めやすくなります。病院側の手続きの流れは、経過措置の終了と10月14日までの届出を病院向けに整理した記事にまとめています。
夜勤の人数や手当については、この事務連絡からは何も言えません
看護職員夜間配置加算や急性期看護補助体制加算が参考表に載っているのを見ると、夜勤の体制や手当がどうなるのか気になると思います。ただ、事務連絡に書かれているのは、これらの加算の看護必要度の基準について9月30日までみなしがある、という事実だけです。基準を満たせなかった場合の扱い、人員配置への影響、賃金への影響は、公表資料には記載がありません。どのくらいの病棟が改定後の基準を満たせるのかという見通しも書かれていません。
手当や給与について知りたいときは、うわさではなく自分の職場の賃金規程と給与明細を見るのが確実です。改定と夜勤手当の関係は2026年度改定後に夜勤手当で確認する5項目で、自分の給与水準の位置は給料コンパスで確かめられます。
よくある質問
10月1日から評価票の付け方は必ず変わるのですか?
病棟によります。事務連絡で「旧い評価票を用いて評価しても差し支えない」とされていたのは、急性期一般入院料6、地域一般入院料1、脳卒中ケアユニット入院医療管理料など一部の項目で、期限は9月30日です。それ以外の項目の経過措置は、判定基準のみなしです。自分の病棟が今どの版の評価票を使っているかは、院内で確認してください。
参考表に載っている加算は、届出をしなくても算定を続けられるのですか?
要るとも要らないとも、事務連絡は述べていません。参考表の見出しは「算定するに当たり注意が必要なもの等」で、様式の欄がありません。要否は病院が届出先に確認する事柄なので、看護師が自分で結論を出す必要はありません。
回復期リハビリテーション病棟も看護必要度の基準が変わるのですか?
事務連絡の別紙に載っている回復期リハビリテーション病棟入院料2・3・4の経過措置は、リハビリテーションの効果に係る実績の指数が32以上であること、休日を含め週7日間リハビリテーションを提供できる体制を有していること、の2種類です。看護必要度についての記載は、この事務連絡の回復期リハビリテーション病棟の欄にはありません。
訪問看護は関係ありますか?
参考表の末尾に、訪問看護医療情報連携加算の基準の一部について9月30日までのみなしが載っています。医療機関からの訪問看護(在宅患者訪問看護・指導料の注19)と、訪問看護療養費の両方に同じ名前の加算があります。みなされる基準の中身は番号で示されているだけで、事務連絡には書かれていません。
まとめ
9月30日で終わるのは、改定後の基準を満たすものとみなす、という期限つきの扱いです。自分の病棟の入院料と加算の名前を知り、事務連絡のどちらの表に載っているかを見て、経過措置の型を見分ける。そのうえで、評価票の版、研修、記録の取り決めを病棟の仕組みとして師長に確かめる。ここまでできれば、10月1日を落ち着いて迎えられます。
制度の切り替えの時期は、業務の細かな変更が重なって、もともと抱えていた疲れや迷いが表に出やすい時期でもあります。評価や記録の話とは別に、働き方そのものに引っかかりを感じているなら、働き方の悩み診断で、何に困っているのかを言葉にするところから始めてみてください。
参考資料
未確認の事項:改定後の重症度、医療・看護必要度の評価項目と、地域包括医療病棟入院料以外の基準値は、この事務連絡に記載がないため本記事では扱っていません。令和8年3月5日保医発0305第7号の原文は本記事の執筆時点で照合していません。参考表の項目に届出が必要かどうか、10月1日以降に基準を満たせなかった場合の取扱い、地域包括ケア病棟入院料と訪問看護医療情報連携加算でみなされる基準の中身も、事務連絡には書かれていません。また、参考表の一部の欄には「令和6年度改定前」「令和6年度改定後」という表記があり、本記事ではその欄の年度を解釈せず「改定前の通知にある評価票」とまとめ、特定一般病棟入院料の注7に規定する入院料(参考表の項番13)は型の表に入れていません。
最終確認日:2026年9月19日。本記事は日本病院会が掲載した事務連絡の写しに基づいており、個別の病院や病棟の届出状況を示すものではありません。自分の病棟の扱いは、師長、看護部、医事課にご確認ください。
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