「まだ9月なのにインフルエンザの患者さんが増えている」「職員向け予防接種の日程が決まっていない」「自分が発熱したら何日休むのか、説明が人によって違う」。そんな職場では、流行が本格化してからではなく、今のうちに手順を確かめる意味があります。
厚生労働省が2026年9月18日に公表した第37週(9月7日〜13日)のインフルエンザ報告数は20,697、定点当たり5.54でした。前週の第36週は12,299、3.29で、1週間で約1.7倍です。前年同期は2,732、0.72でした。定点当たりで比べると約7.7倍ですが、全国の患者総数が7.7倍という意味ではありません。定点医療機関からの報告を、同じ指標で比べた数字です。
この記事を最初に公開した9月5日時点の数字は、第35週(8月24日〜30日)の定点当たり1.76でした。第36週から2026/2027シーズンとして集計されています。第38週分は9月29日(火)に公表予定と案内されています(2026年9月19日確認)。この記事では、週ごとの数字を「流行宣言」と読むのではなく、職員接種、欠勤連絡、就業判断、面会対応、病棟内発生、応援体制を点検する合図として使います。
今週の数字で分かること、分からないこと
第35週から第37週の全国値は次のように動きました。
| 指標 | 第35週(8/24〜30) | 第36週(8/31〜9/6) | 第37週(9/7〜13) | 前年の第37週 |
|---|
| 定点当たり報告数 | 1.76 | 3.29 | 5.54 | 0.72 |
| 報告数 | 6,543 | 12,299 | 20,697 | 2,732 |
第35週の報告数は9月4日の公表値です。厚生労働省は2025年・2026年の数値を暫定値としており、後から公表される推移表では値が少し動くことがあります。
第37週の都道府県別では、沖縄16.61、茨城9.85、東京9.53、神奈川9.45、新潟9.44、埼玉9.10が高い値でした。前の週より下がったのは岩手(4.12から3.78)と福島(2.85から2.63)の2県で、ほかの45都道府県は横ばいか上昇です。全国平均より自分の地域が高いか低いかは確認できますが、定点当たり報告数だけで自院の面会制限や職員の就業可否を決めることはできません。院内発生、地域の患者動向、病棟の患者特性、保健所や感染管理部門の判断を合わせる必要があります。
また「前年同期の約7.7倍」は、今季のピークが前年の7.7倍になる予測ではありません。厚生労働省の推移表には、2025年第15週以降は定点医療機関の設置基準が変わったため、データの解釈に留意が必要だという注記もあります。単週の増減だけでなく、複数週の推移と地域差を見ます。
最初に確認するのは職員向け予防接種の日程です
ワクチン供給と感染症週報は別の資料です。厚生労働省は2026/2027シーズンの供給見込みを別途示していますが、供給量が示されたことと、勤務先で接種を受けられる日が決まったことは同じではありません。
職員接種については、少なくとも次の四点を確認します。
- 接種開始日と予約方法
- 費用を勤務先が負担するのか、自己負担があるのか
- 夜勤前後や妊娠中、治療中など個別に医師へ相談する窓口
- 接種後に体調不良が出たときの勤務変更連絡先
接種を受けるかどうかは個別の医学的判断を含みます。この記事や上司の一律指示だけで決めず、予診と医師の判断を優先してください。供給見込みの数字を確認したい人は、2026/2027シーズンのワクチン供給量の記事で、インフルエンザと新型コロナを分けて読めます。
「発症後5日・解熱後2日」を職員へそのまま当てはめない
インフルエンザについてよく聞く「発症した後5日を経過し、かつ解熱した後2日を経過するまで」という期間は、学校保健安全法施行規則に定められた出席停止の基準です。病院で働く看護師の就業制限を、この学校基準だけで全国一律に決めるものではありません。
医療従事者が休む期間や復帰条件は、勤務先の就業規則、感染管理手順、医師の診断、症状、担当する患者層などをもとに確認します。「学校と同じ日数だから出勤」「熱が下がったから夜勤へ戻る」と自己判断しないでください。
職場の説明が曖昧な場合は、次のように質問を分けます。
- 発熱や咳が出た時点で、勤務開始前に誰へ連絡するか
- 検査を受ける場所と、結果を誰へ報告するか
- 陽性時の自宅待機期間を、どの規程で決めるか
- 復帰時に必要な条件は、解熱、症状、経過日数のどれか
- 同居家族が罹患した場合の勤務・マスク・検査の扱いはどうか
「何日ですか」と日数だけを聞くより、判断者と根拠文書を確認すると、人によって答えが変わる状態を減らせます。
面会制限は全国値ではなく、自施設の発動条件を見る
定点5.54を理由に、すべての医療機関が同じ日に同じ面会制限を始めるわけではありません。面会を制限する判断には、地域流行、自院での発生、患者さんの重症化リスク、病棟構造、個室の確保、家族支援の必要性が関わります。
看護師が確認するのは「制限するかどうか」の最終決定ではなく、決定後に説明が食い違わないための情報です。
- 発動・解除を決める部署と責任者
- 対象病棟、時間、人数、年齢、症状確認の条件
- 終末期、手術説明、付き添いなど例外を判断する人
- Web、受付掲示、予約電話、病棟説明の更新担当
- 家族から異議や相談があったときの引き継ぎ先
「インフルが増えたので面会禁止です」だけでは、患者さんと家族はいつまで続くか分かりません。日付、対象範囲、例外の相談方法を同じ文面で案内できるかを確認します。
病棟内で発生したとき、最初の30分を決めておく
発熱者や陽性者が同じ病棟で複数出た場合、現場が止まりやすいのは、医学知識が足りないからではなく、誰へ何を伝えるかが決まっていないからです。最初の30分で確認する情報を固定します。
| 項目 | 記録する内容 | 渡す相手 |
|---|
| 症状と時刻 | 発熱、咳、倦怠感などが始まった時刻 | 医師・感染管理担当 |
| 接触した場所 | 病室、処置室、休憩室など | 感染管理担当 |
| 勤務状況 | 日勤・夜勤、休憩の共有、応援先 | 師長・勤務調整者 |
| 患者側の条件 | 重症化リスクや検査・治療の必要性 | 医師・病棟責任者 |
| 職員側の体調 | 本人と同勤務者の症状 | 所属長・職員健康管理 |
患者名や診療情報は、勤務先の正式な記録と共有範囲で扱います。個人端末や私的なグループチャットへ持ち出さないでください。
感染対策の具体的な隔離、検査、治療、個人防護具の選択は、最新の公的情報と自施設の感染管理手順、医師・感染管理担当者の指示に従います。記事は個別の感染対策指示を代替しません。
欠勤が重なる前に夜勤と応援体制を点検する
流行期に看護師が困るのは、患者対応だけではありません。職員本人や家族の感染で欠勤が重なり、夜勤人数、休憩、応援、残業へ負担が移ることがあります。
次の点は、陽性者が出た日に初めて決める内容ではありません。
- 夜勤者が勤務開始前に休む場合、代替者を誰が探すか
- 応援者が不慣れな病棟へ入るとき、受け持ち範囲を誰が調整するか
- 少人数勤務になったとき、中止・延期できる業務は何か
- 休憩を削る前に、管理当直へ応援要請する基準があるか
- 超過勤務と勤務変更を、本人の善意や個人間交渉だけにしない仕組みがあるか
- 妊娠中、基礎疾患がある職員などの配慮を誰へ相談するか
感染症対応を「みんな大変だから」で済ませると、体調が悪い職員が出勤をためらい、残った職員は休憩を失います。欠勤連絡を責めないことと、代替勤務を個人間で押し付けないことを同時に決める必要があります。
職場で確認する6項目チェック
以下を「分かる・探せる・分からない」の三段階で確認してください。
- 職員接種:日程、費用、予約先、接種後の体調不良時の連絡先が分かる
- 症状時の初動:勤務前・勤務中に発熱した場合の最初の連絡先が分かる
- 就業・復帰基準:日数だけでなく、誰が何を根拠に決めるか分かる
- 面会対応:発動条件、例外、家族への説明文が同じになっている
- 院内発生時の報告:医師、感染管理、所属長へ渡す情報が決まっている
- 欠勤時の勤務調整:夜勤代替、応援要請、業務縮小の判断者が決まっている
「分からない」が二つ以上あれば、週報の数字を職員へ転送するだけでなく、感染管理担当と看護管理者へ確認する材料にできます。次回の第38週公表(9月29日予定)後は、全国値の増減、地域値、自院の発生の三つを分けて更新します。
転職を考える前に、流行期だけの問題かを分ける
感染症の流行で一時的に勤務負担が増えることと、平時から欠勤者を責める、発熱しても休ませない、夜勤応援の基準がない職場であることは分けて考えます。
今の職場で解決しやすいのは、連絡網の更新、説明文の統一、接種日程の周知、応援要請の基準づくりです。一方、欠勤を申し出ると不利益を示唆される、恒常的に休憩が取れない、感染対策の相談先が機能しない状態が続く場合は、勤務記録と回答を残し、看護部、人事、産業保健、外部相談を含めて整理します。
職場へ聞く前に「感染の不安」「休みにくさ」「夜勤の穴埋め」のどれが一番つらいかを分けたい場合は、カンゴさんで言葉にできます。転職を急かすものではなく、現職で確認できることと、職場を変えないと変わりにくい条件を切り分けるための相談です。
よくある質問
定点当たり5.54は流行入りを意味しますか?
この記事では独自の流行宣言はしません。厚生労働省の定点当たり報告数として読み、地域値と次週以降の推移、自施設の状況を合わせて確認してください。
前年同期の約7.7倍なら、昨年より大流行すると言えますか?
言えません。第37週という一時点の定点当たり報告数の比較です。シーズン全体の規模やピークを予測する数字ではありません。
看護師も発症後5日、解熱後2日で必ず復帰ですか?
その日数は学校の出席停止基準として知られるものです。職員の復帰は勤務先の規程、医師の判断、症状、担当患者などをもとに確認してください。
家族がインフルエンザになったら休むべきですか?
全国一律の回答ではなく、勤務先の職員健康管理と感染管理の手順を確認します。自分に症状がある場合は出勤前に連絡し、自己判断で勤務を始めないでください。
次の数字はいつ出ますか?
9月18日の厚生労働省資料では、第38週(9月14日〜20日)分を9月29日(火)に公表する予定とされています。
参考資料
はたらく看護師さん 求人
希望条件で看護師求人を探す
給与、夜勤、休み、ブランクなど、この記事で整理した悩みから求人を確認できます。
求人を探す応募前に掲載元の最新情報を確認してください