訪問先の「停める場所がない」は、駐車許可制度で正面から解決できます
利用者さん宅の前に駐車場がなく、「違反切符を切られたらどうしよう」と不安なまま訪問している看護師さんは少なくありません。結論からお伝えすると、訪問看護に使う車両は、駐車場所を管轄する警察署長に申請して「駐車許可」を受ければ、駐車禁止規制の場所でも適法に駐車できます。これは道路交通法第45条第1項ただし書に基づく制度です(Source: 警察庁「駐車許可の概要、申請手続等」)。
しかも2025年7月から運用が全国的に見直され、許可証の有効期間は原則1年以上になり、医師の指示書など病名が書かれた書類の提出は求められなくなりました(Source: 訪問看護推進連携会議「警察庁通達に関連するQ&A」)。日本看護協会も2026年6月4日に「【情報提供】訪問看護等に使用する車両等に係る駐車許可及び駐車規制からの除外措置について」を掲載しました(Source: 日本看護協会)。制度の仕組み・申請実務・許可があっても停められない場所・違反切符への対応を一次資料に沿って整理します。
この記事でわかること
この記事の価値:日本看護協会が2026年6月4日に案内した駐車許可・駐車禁止除外の情報提供を、警察庁通達とQ&Aの一次資料まで遡って整理しています。
読むと判断できること:自分のステーションの車両が駐車許可の対象になりそうか、何を準備して警察署に相談するか、許可証があっても停めてはいけない場所はどこかです。
今の職場で確認すること:訪問車両の駐車許可・駐車禁止除外標章の取得状況、利用契約書など疎明に使える書類、違反時の費用負担を定めた就業規則・社用車規程の有無です。
次にできること:未取得なら管轄警察署への相談を管理者さんに提案し、訪問前チェックリストで停められない場所を確認しましょう。
判断材料になる一次情報
駐車許可の基本|誰が・どこへ・何を申請するのか
駐車許可は、駐車禁止規制のある場所に「駐車せざるを得ない特別な事情」がある場合に、警察署長が事情と規制の必要性を比較して許可するものです。訪問診療・訪問看護・訪問介護の車両は対象用務の例として明示されています(Source: 福岡県警察「駐車許可の申請手続きについて」)。
| 項目 | 内容 |
|---|
| 誰が | 訪問看護に車両を使う事業所・運転者(申請者の扱いは都道府県警により運用差あり) |
| どこへ | 駐車場所を管轄する警察署。複数署にまたがる場合は1署での一括処理が可能 |
| 何を | 駐車許可申請書、車検証の写し(または自動車検査証記録事項の書面のいずれか一方)、駐車場所と周辺の見取図、用務を疎明する書類(利用契約書の写し等) |
| 許可の判断 | 駐車する日時・場所・用務・駐車可能な場所の有無を審査して警察署長が判断 |
| 有効期間 | 例外的な場合を除き、原則として1年以上 |
審査では「用務先からおおむね100メートル以内に路外駐車場等がなく、または利用が困難」かが見られます。近くのパーキングが訪問時間帯に満車であることが極めて多い場合も、その旨を申し出て警察署の判断を仰げます(Source: 訪問看護推進連携会議「警察庁通達に関連するQ&A」)。申請様式や複数の利用者宅をまとめる申請の可否など実務の詳細は都道府県警ごとに運用が異なるため、必ず管轄警察署に確認してください。
申請実務|2025年7月からここが変わった
令和7年3月31日に警察庁交通局から3本の通達が出され、2025年7月から新運用が始まっています(Source: 訪問看護推進連携会議「警察庁通達に関連するQ&A」)。現場に関係が深いポイントは3つです。
- 病名が書かれた書類は提出不要:医師の指示書や訪問先の方の病名が記載された書面は、個人情報保護の観点から提出を求めないこととされました。疎明には利用契約書の写しなど病名のない書面を使います。
- 許可の有効期間は原則1年以上:訪問看護指示書の期間(最長6か月)に縛られず、例外を除き原則1年以上の許可となり、更新の手間が減ります。
- 緊急訪問には駐車禁止除外標章:看護師等が医師の指示(包括的指示を含む)を受けて直ちに利用者宅等を緊急訪問する際に使用中の車両は、公安委員会交付の駐車禁止除外標章の対象となり得ます。申請では24時間対応体制加算や緊急時訪問看護加算の届出受理を示す公的書類などで疎明します。
計画訪問は「駐車許可」、緊急訪問は「駐車禁止除外標章」の二段構えが基本です。緊急の呼び出しを含む働き方は訪問看護のオンコールの実際を整理した記事で、車両整備を含む事業所の体制づくりと並ぶ給与面の制度は訪問看護の処遇改善2026の解説で確認できます。
許可証があっても停められない場所があります
法律上そもそも駐停車が禁止されている場所には、許可証や除外標章を掲出していても停められません(Source: 警察庁「駐車許可証等を掲出しても駐車することができない場所等」)。主な例は次のとおりです。
- 交差点とその端から5メートル以内、道路の曲がり角から5メートル以内
- 横断歩道・自転車横断帯とその前後5メートル以内
- 踏切とその前後10メートル以内
- バス停の標示柱から10メートル以内(バスの運行時間中)
- 坂の頂上付近、こう配の急な坂、トンネル
- 駐車場・車庫の出入口から3メートル以内
- 消火栓や消防用防火水槽の吸水口などから5メートル以内、火災報知機から1メートル以内
- 車の右側に3.5メートル以上の余地が残らない場所
- 歩道上への乗り上げ駐車や右側駐車など駐車方法のルール違反
訪問前の確認チェックリスト
- 駐車許可証(または除外標章)の有効期間が切れていないか
- 許可された日時・場所・用務と今日の訪問予定が一致しているか
- 駐車予定の位置が交差点・横断歩道・バス停・車庫出入口などの近くに当たらないか
- 許可証を車外から見やすい場所に掲出したか
- 駐車違反時の費用負担について就業規則・社用車規程を確認したか
違反切符を切られたときの対応
放置駐車と確認されると車両に放置車両確認標章が取り付けられます。その後は、運転者が出頭して反則金を納付するか、運転者の責任が追及されない場合は車両の使用者(社用車なら事業所側)に放置違反金(反則金と同額)の納付命令が出る流れです(Source: 警視庁「放置駐車違反に対する責任追及の流れ」)。
許可証を掲出していたなど事情がある場合は、標章に記載された警察署に早めに連絡して相談してください。看護師さん個人で抱え込まず、管理者さんへの報告と記録をセットにしましょう。費用の最終的な負担は法令で一律に決まっておらず、就業規則や社用車規程・労使の取り決めによります。
まとめ
訪問先での駐車問題は、看護師さん個人の工夫ではなく、事業所が駐車許可・駐車禁止除外標章を整備して解決すべきテーマです。新運用で有効期間は原則1年以上になり、病名入り書類も不要になりました。日本看護協会が情報提供を出した今が見直しの好機です。詳細は必ず管轄警察署に確認してください。
駐車環境やオンコールなど働く環境は事業所差が大きい部分です。これから訪問看護で働くことを考えている看護師さんは訪問看護への転職を判断材料から整理したガイドを、職場の駐車対応の実情を他の看護師さんと情報交換したいときは看護師さん向け掲示板を活用してください。
よくある質問
バイクや自転車なら駐車違反になりませんか?
バイク(原付を含む)も道路交通法上の車両で、放置違反金制度の対象です(Source: 警視庁「放置駐車違反に対する責任追及の流れ」)。自転車は同制度の対象外ですが、自治体の条例で放置自転車として撤去される場合があります。
利用者さんの家の前に停めてよいですか?
許可された場所・日時・用務の範囲内なら駐車できます。ただし家の前でも、交差点や横断歩道から5メートル以内、車庫の出入口から3メートル以内などは停められません(Source: 警察庁)。位置を選び、許可証を見やすく掲出してください。
駐車違反の反則金や放置違反金は自腹ですか?
法令で「従業員負担」と一律に決まってはいません。運転者が出頭した場合の反則金は運転者宛て、放置違反金は車両の使用者(事業所)宛てに命じられる仕組みです(Source: 警視庁)。最終的な負担は就業規則や社用車規程・労使の取り決めによるため、職場の規程を確認してください。
駐車許可は看護師個人で申請するのですか?
事業所の車両・用務に対する許可として整備するのが基本ですが、申請者の扱いなど詳細は都道府県警で運用差があります。不明点は管轄警察署または都道府県警察本部への相談が案内されています(Source: 訪問看護推進連携会議「警察庁通達に関連するQ&A」)。まずは管理者さんからの相談を起点にしましょう。
参考資料


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