入院生活、検査、リハビリ、栄養指導を患者さんごとに繰り返し説明し、「動画にすれば看護師の仕事は減るのか」と考えたことはないでしょうか。
Jストリームは2026年9月11日、知多半島総合医療機構が動画マニュアル作成・共有サービス「VideoStep」を導入したと発表しました。現在は知多半島総合医療センターのリハビリテーション科・栄養管理課などで活用し、今後は病棟看護師や知多半島りんくう病院への展開を予定していると説明しています。
これは提供企業による導入発表です。看護師の残業が何時間減った、説明が不要になった、患者安全が向上したという独立検証済みの結果は、今回の発表から確認できません。この記事では製品を勧めるのではなく、説明動画を導入するときに看護師本人が確認する「残る役割」を整理します。
導入発表で分かったこと・分からないこと
| 確認できること | 今回の発表だけでは分からないこと |
|---|
| 現在はリハビリテーション科・栄養管理課などで活用 | 病棟看護師がすでに日常利用しているか |
| 今後、病棟看護師等への展開を予定 | 展開時期、対象病棟、利用率 |
| 患者説明用動画を現場で作成・更新できる構成 | 説明・残業・待ち時間の削減量 |
| 職員教育や手順共有への利用も想定 | 患者理解、安全、満足度への効果 |
「導入した」という事実と、「効果が確認された」という事実を分けます。病棟への展開も予定であり、完了した取組として扱いません。
動画で共通化する説明と、個別確認を分ける
動画に向くのは、内容が標準化でき、繰り返し視聴できる説明です。一方、患者さんの状態や治療選択に応じた判断は動画だけで完結しません。
| 動画で共通化しやすい内容 | 看護師・医療者が個別に確認する内容 |
|---|
| 病棟設備、食事、面会等の一般案内 | 視力・聴力、認知、言語、理解度への配慮 |
| 検査前後の標準的な流れ | 当日の体調、禁忌、治療歴、例外条件 |
| 標準的な運動・食事の説明 | 本人の生活、症状、目標に合わせた支援 |
| 器具の一般的な使い方 | 実施できるかの観察と安全確認 |
| 退院後の一般的な注意点 | 個別の受診目安、連絡先、家族支援 |
動画を「説明済み」の証拠にするだけでは、理解の確認が抜けます。患者さんが何を理解し、何が分からず、どの説明を追加したかを記録する手順が必要です。
動画化すると新しく増える仕事もある
再生時間が短くても、案内や確認に時間がかかれば看護師の負担は減りません。導入前後で、次の作業を分けて測ります。
- 対象患者と動画を選ぶ
- 端末を準備し、再生方法を案内する
- 視聴できたか、理解できたか確認する
- 個別条件を補足し、質問に答える
- 医師や他職種へ戻す条件を判断する
- 説明と反応を記録する
- 制度・設備・手順変更に合わせて動画を更新する
- 古い動画を公開停止し、版を管理する
動画作成を現場へ任せる場合、撮影・編集・レビュー・承認も勤務時間です。看護師の善意や持ち帰り作業で維持しないよう、担当と更新時間を決めます。
現職で確認する8項目
- どの説明を動画へ移し、どの説明を対面で残すか
- 視聴が難しい患者への代替手段
- 字幕、音声、文字サイズ、外国語等への配慮
- 医学的内容と院内運用を承認する責任者
- 質問・例外・急変時に対面へ戻す基準
- 視聴と理解確認を記録する場所
- 内容変更を検知し、動画を更新・停止する担当
- 端末・通信障害時の紙や対面の手順
医療情報や患者の映像を動画作成ツールへ入力する場合は、院内規程、契約、アクセス権、保存場所、削除方法を確認します。患者情報を個人の端末や無許可のアカウントへ保存しないでください。
効果は「動画の本数」ではなく総時間で見る
導入効果を確かめるなら、動画本数や再生回数だけでなく、説明を完了するまでの総時間と安全を見ます。
| 指標 | 導入前後で分けて測ること |
|---|
| 説明時間 | 共通説明、個別説明、質問対応 |
| 準備時間 | 端末、動画選択、接続、消毒 |
| 再説明 | 未視聴、理解不足、家族への追加説明 |
| 更新工数 | 撮影、編集、確認、承認、差し替え |
| 患者の待ち | 視聴待ち、職員待ち、通信障害 |
| 安全・品質 | 説明漏れ、苦情、インシデント、理解確認 |
| 職員負担 | 残業、持ち帰り、特定担当への集中 |
説明時間が減っても、準備・更新・確認が増えれば正味の改善にはなりません。看護師の業務量・残業の確認ガイドやAI問診で減った時間の読み方と合わせ、負担が別の職種や時間帯へ移っていないかを確認します。
「DXのある職場」だけで職場を選ばない
動画やAIがあること自体は、働きやすさの保証ではありません。見学や面接では、導入製品名よりも次を聞きます。
- 導入前後の看護師の時間を測っているか
- 看護師が作成・更新する時間を確保しているか
- 患者が視聴できない場合の人員を残しているか
- 内容の誤りを報告し、修正できる窓口があるか
- 障害時に通常の説明へ戻れるか
現職で業務を改善することも、他の職場を比較することも選択肢です。導入の有無だけを理由に転職を急ぐ必要はありません。
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よくある質問
動画を導入すれば看護師の説明は不要になりますか
いいえ。患者さんの状態に応じた説明、理解の確認、質問対応、例外時の判断は残ります。どこまで動画へ移すかを院内で決める必要があります。
知多半島総合医療機構では看護師の負担が減りましたか
今回の企業発表から、看護師の削減時間や残業の変化は確認できません。現在の利用部門と今後の展開予定が示された段階です。
動画の内容が古くなったらどうしますか
制度、設備、医療手順の変更を誰が確認し、いつ差し替え、旧版を停止するかを決めます。更新責任者と承認記録が必要です。
参考資料
最終確認日:2026年9月14日。導入効果は発表元の説明と自院の実測を分け、医療安全・個人情報の取扱いは勤務先の規程を優先してください。
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