特定行為研修を視野に入れても、「実際の研修内容は?」「受講期間はどのくらい?」「職場のサポートをどう確認するか?」という段階では、決定まで数歩あります。東京都看護協会が10月9日に開く無料講演会は、その判断材料を集める場です。研修を受けることを確定していない段階の看護職員も参加できます。
都内在住または在勤という限定がありますが、該当する場合は申込期間内に登録して、修了者の実際の活動例や運用の工夫を直接聞く機会を活用できます。本記事では、講演会の位置づけ、参加条件、参加前に職場で確認しておくべきことをまとめます。
10月9日の講演会の開催形式
東京都看護協会が主催する第1回講演会の概要は以下の通りです。
| 項目 | 内容 |
|---|
| 開催日時 | 2026年10月9日(金)18:00~20:00 |
| 実施形式 | Web配信(ライブ開催) |
| 参加費 | 無料 |
| 定員 | 140名 |
| 対象 | 都内在住または在勤の医療機関・診療所・訪問看護ステーション・高齢者施設・障害者施設等の管理者及び看護職員 |
| 申込期間 | 2026年8月31日(月)~2026年9月24日(木) |
| 申込方法 | Web登録フォーム |
講演会は「研修そのものと異なり、無料の情報提供の場」という位置づけが重要です。ここで修了者の事例を聞き、職場の条件を確認した後、本当に受講を進めるかを判断します。定員に達した場合の動きについては、公式ページで最新情報を確認してください。
申し込める対象者を確認する
講演会の対象は、「都内在住・在勤」という条件に加え、「管理者と看護職員の両方」という幅広さがあります。
都内在住の定義:住所地が東京都内にある場合。勤務地は問いません。
都内在勤の定義:勤務先の住所が東京都内にある場合。住所地は問いません。
職種の対象:公式ページに示されている対象は「管理者および看護職員」です。病院、診療所、訪問看護ステーション、高齢者施設、障害者施設等で働く看護職員と、その管理者が含まれます。
自分が対象かどうかを確認する手順は次の通りです。
- 現在の住所が東京都か、勤務先が東京都かを確認する
- 勤務先が医療機関または看護サービス関連の施設か確認する
- 自分が看護職員または管理者として案内の対象に入るか確認する
すべてに当てはまる場合、申込フォームから登録できます。複数の施設を兼務している場合も申込は可能ですが、受講にあたっては後述の職場確認が各勤務先ごとに必要になることがあります。
講演会・研修・大学院は別の進路
特定行為研修への進み方を検討する段階で、3つの選択肢が混同されやすいため、改めて整理します。
| 区分 | 講演会(今回) | 特定行為研修 | NP課程(大学院) |
|---|
| 主催者 | 東京都看護協会 | 厚生労働大臣が指定する指定研修機関(大学、医療機関等) | 大学院の看護系修士課程 |
| 形式 | Web配信、2時間、無料 | 指定研修機関で共通科目と区分別科目を受講 | 大学院の正規教育課程 |
| 期間 | 1回(2時間) | 受講する区分と研修機関によって異なる | 修士課程の年限による |
| 修了後にできること | 資格は得られない。情報を集める場 | 修了後、医師が作成した手順書により特定行為を行える | 修士課程の修了。進路はさらに別 |
| 職場の調整 | 勤務時間内か時間外かを職場と相談 | 受講期間中の勤務調整と費用負担を職場と相談 | 就業との両立可否を大学院と職場に確認 |
| 位置づけ | 判断材料を集める場 | 手順書に基づく特定行為を実施できるようにする研修 | 学位課程であり、特定行為研修とは制度が別 |
講演会に参加することは、特定行為研修への登録を意味しません。同様に、特定行為研修の修了がNP課程への進学を義務付けるものではないという点も確認しておきます。
修了者の話から、自分の職場に当てはめて確認したい役割
東京都看護協会は今回の講演会の目的を、医療機関における特定行為研修への理解を深め、修了した看護師等の活用を促進すること、と位置づけています。つまり、講演会では修了者の実際の活動実績を中心に紹介されます。
その場で自分の職場に当てはめて役立てるには、講演で紹介される事例に対して、次の4つの視点でメモを取っておくと効果的です。
1. どの区分の特定行為を、どの場面で実施しているか
修了者が実施している特定行為がどの区分に属し、実際にはどのような治療場面や患者状態の判断で使われているのかを確認します。区分の正式な名称と範囲は制度上定められているため、気になった区分は後から一次情報で確かめてください。修了しただけでは、あらゆる場面で実施できるわけではなく、職場の医療体制によって必要とされる特定行為が異なるためです。
2. 医師との手順書がどう運用されているか
特定行為の実施には医師が作成した手順書が必要です。その手順書が院内でどう作られ、どのくらいの頻度で見直されているか、誰が修了者のサポート体制になっているかを確認することで、自分の職場の体制がどの段階にあるか判断できます。
3. 修了者が院内でどんな役割名・立ち位置で働いているか
修了者が専従で特定行為に当たるのか、病棟業務と兼務しているのか、どのような職種・経験年数の人が受講しているのかが重要です。自分の職場の人員配置や人事体制と比べることで、受講後のキャリア見通しが立てやすくなります。
4. 修了直後にできたことと、1年後にできるようになったことの差
修了直後には手順書に沿った基本的な実施ができても、実務を通じて判断の幅が広がることがあります。この成長過程を聞くことで、受講から職場での活躍までの現実的なタイムラインが見えます。
大切な点として、これらの事例は修了者の職場での実績紹介であり、「すべての病院がこのように運用できる」という保証ではありません。参考事例として受け止め、自分の職場で同じ環境を構築できるかを検討する際の判断材料にしてください。
講演会そのものの参加について、職場と決めておくこと
無料の講演会であっても、参加の扱いは職場によって違います。受講の是非を考える前に、当日の位置づけだけは先に決めておくと動きやすくなります。
講演会への参加は勤務時間内か、勤務時間外か
講演会は平日夜間(18:00開始)のWeb配信です。勤務時間内に参加できるか、勤務時間外に自分の時間で参加するか、職場の許可を事前に確認します。前夜勤明けの場合、疲労が大きい場合、参加は自由ですが、心身の状態を優先してください。
支援制度・研修中の収入・復帰後の配置を、職場で先に確認する
講演会に参加して興味が深まった場合、その先には受講の検討があります。本当に受講に進むかどうかの判断には、職場の現実的な対応が不可欠です。参加前の段階で、次の3つを職場に確認しておくことをお勧めします。これらは講演会で聞くことではなく、講演会に行く前に自分の職場で確かめておくと、当日の話が自分の条件に翻訳しやすくなります。
1. 支援制度:院内での受講支援の有無
受講にかかる費用を職場が補助するのか、一部負担なのか、自己負担なのかを確認します。同時に、受講期間中に職場が勤務扱いで対応するのか、または時間有給を使うのかも大切です。また、受講者が不在の間の代替要員をどう確保するか、院内に過去に受講者がいるか、その先輩の経験をどう活用しているかも聞いておくと参考になります。都道府県や国の受講補助制度がないか、事務部門に確認してください。受講を申請する時期や条件も、職場によって異なります。
2. 研修中の収入:給与・手当・賞与がどうなるか
受講期間中、勤務をどれだけ外れるかによって、給与の算定方法が変わります。欠勤扱いになるのか、勤務扱いなのか、給与は全額支給されるのか、一部減額されるのか。夜勤から外れる期間があれば、その分の夜勤手当は発生しません。賞与の算定期間や算定基礎に影響するかどうかも、就業規則と給与規程の書き方しだいです。給与や手当の扱いは職場ごとに大きく異なるため、ここで一般化はできません。自分の職場の制度を直接確認することが最も確実です。
3. 復帰後の配置:修了後、どこでどう働くか
修了後の配置先が決まっているのか、それとも修了後に相談するのかを確認します。修了者が手順書に基づいて特定行為を実施するには、医師との協働体制が整備されていることが前提です。手順書の作成や管理がどの段階にあるのか、また修了者をサポートする指導者や教育担当が確保されているのかも重要です。これらの体制がない場合、修了者の能力を活かしきれない可能性があります。修了後のキャリアについて、具体的に管理者と相談しておくことで、その後の判断が立てやすくなります。
申込方法と視聴後に整理する内容
講演会への参加を決めた場合、登録と視聴後の活用方法をご紹介します。
申込方法
申し込みは東京都看護協会が指定した専用ページ(ez-seminarの申込フォーム)を通じて行われます。このサイト(はたらく看護師さん)への会員登録は不要です。主催者の申込ページでアカウント作成が必要になる場合があるため、事前に確認してください。
申込の締切は2026年9月24日(木)となっています。注意点として、申込期間の終了時刻は公式ページに明記されていません(2026年9月15日確認)。期限の最終日に申し込みを始めるのは避け、余裕を持って登録することをお勧めします。
視聴後に整理する3つの内容
講演会を視聴した直後、または遅くとも翌日までに、次の3点を自分のメモに書き留めてください。
- 自分が一番知りたかったことに答えが出たか — 受講前に漠然と感じていた疑問(修了後のキャリア、職場での役割、時間と費用の現実性など)について、講演で得られた情報が十分だったか、まだ不足しているか整理します。
- 自分の職場で足りていない条件はどれか — 講演で紹介された修了者の環境(医師との協働体制、手順書の整備、人員配置など)と比べて、自分の職場にはどの条件が不足しているか、改めて認識します。
- 次に誰に何を聞くか — 不足している条件を整えるために、職場の中で誰に(管理者、教育部門、経理、人事など)どの順番で何を尋ねるかを決めます。
この3点を整理することで、講演会で得た情報が、単なる知識に留まらず、自分の職場での判断に活きてきます。
参加できない場合、または時間を逃した場合
10月9日の当日に参加できない方、対象要件に当てはまらない方、そして申込期間(2026年9月24日まで)を過ぎてしまった方に向けた選択肢です。アーカイブ視聴にも申込が必要なため、期間を過ぎた場合は次の機会と、職場で確認できることに切り替えます。
アーカイブ配信の活用
公式ページには、質疑応答・意見交換を除いた部分のアーカイブ配信がある旨が記載されています。注意したいのは、アーカイブのみを視聴する場合でも研修の申込が必要とされている点です。当日の予定が読めないから後で録画を見よう、という考え方でも、申込そのものは申込期間内に済ませておく必要があります。申込の締切時刻は公式ページに記載がないため(2026年9月15日確認)、日付の当日に手続きを始めるのは避けた方が確実です。
公式ページで次回以降の講演を確認
今回は「第1回」として案内されている講演会です。次回以降の開催があるかどうか、日程がいつになるかは、東京都看護協会の該当ページで確認してください。本記事の確認時点(2026年9月15日)では、第2回以降の日程は本記事では確認していません。
職場の先輩や修了者に直接話を聞く
講演会以外の方法としては、職場内に特定行為研修の修了者がいるか確認し、その方に具体的な研修内容、職場復帰後の変化、キャリアの実感を聞く方法もあります。公開の講演会では時間の制約上、個別の質問に応じられないため、個別相談のメリットは大きいです。
関連する記事で全体像をつかむ
制度そのものの全体像(共通科目と区分別科目の考え方、費用、期間の幅)は特定行為研修のキャリアガイドに、受講要件の整理は特定行為研修の受講条件にまとめています。特定行為研修を組み込んだ認定看護師教育課程(B課程)を検討している場合は、日本看護協会看護研修学校の2027年度出願がWebシステム登録2026年9月16日(水)15時、出願書類の郵送が9月18日(金)消印までという日程です。詳しくは認定看護師B課程2027年度の出願を確認してください。
一次情報の確認
厚労省と看護系指定研修機関のWebサイトでは、研修制度そのものや区分の詳細が常時公開されています。講演会の日時や申込方法が変わる可能性もあるため、何か確認したい時点で、最新情報は必ず公式ページから取得してください。
まとめ
特定行為研修の受講を検討する過程で、「本当に自分の職場で活躍できるか」「受講中の生活と仕事のバランスが取れるか」という現実的な問いが生じます。東京都看護協会の無料講演会は、その問いへの答えを集めるための第一歩です。
講演会参加の意思決定は、「研修に興味がある」という段階で十分です。確定してから参加する必要はなく、むしろ迷っている段階だからこそ、修了者の実例や院内運用の工夫を聞く価値があります。自分の職場で確認すること(支援体制・役割・時間の現実)と、講演会で学ぶこと(制度の全体像・修了後の可能性)の両方があってこそ、その後の判断が立ちます。
申込期間は2026年9月24日(木)までと案内されています。対象要件に当てはまるかどうかを先に確かめ、公式ページで受付状況を確認したうえで判断してください。今回の講演会に間に合わなくても、職場の支援体制を確認する作業は、いつからでも始められます。
参考資料
最終確認日:2026年9月15日。講演会の日時、申込期間、参加条件、配信形式は変更されることがあります。参加の申込前に、必ず上記の公式ページで最新情報を確認してください。
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