現在の機能と、将来の予定の両方が報告されます
厚生労働省は2026年8月8日から、医療法施行規則にもとづく告示の改正案について意見を募集しています。受付は2026年9月7日正午までです。所管は医政局地域医療計画課です。
内容を一言でいえば、報告項目に「医療機関機能」が加わり、その報告が2026年10月1日から11月30日までの間に行われるということです。
対象は、すべての医療機関ではありません。 告示案が対象としているのは、療養病床または一般病床を有する病院・診療所、つまり従来から病床機能報告の対象とされてきた施設です。無床の診療所は含まれません。
そして、ここがこの記事でいちばん伝えたい点です。報告するのは現在の機能だけではありません。 令和8年10月1日に施行される改正後の医療法第30条の13第1項は、報告事項として次のものを挙げています。
- 厚生労働省令で定める日(基準日)における医療機関機能
- 基準日から厚生労働省令で定める期間が経過した日における医療機関機能の予定
- 基準日における病床の機能
- 基準日から同じ期間が経過した日における病床の機能の予定
- その病院・診療所に入院する患者に提供する医療の内容
- その他厚生労働省令で定める事項
2番目と4番目が「予定」です。 つまり、いまどうなっているかと、一定期間後にどうするつもりかの両方が、都道府県知事への報告対象になります。この「一定期間」が具体的に何年になるかは厚生労働省令で定められるため、現時点の資料からは分かりません。 さらに同条第2項では、報告した予定について、変更が生じたと認められる場合として厚生労働省令で定めるときは、速やかに報告し直すことも定められています。予定が変わればすべて再報告、という書き方ではなく、省令で定める場合に限られます。
この記事を読むと、この報告が何を示していて、何を示していないかが分かります。 そのうえで、いまの勤務先で聞いておけることと、応募先を見るときに使える質問の形を整理しました。なお報告期間は10月1日から11月30日ですが、公表がいつどのような形で行われるかは、告示案の概要には示されていません。 施設の位置づけの変化をきっかけに進路そのものを考え直したくなったときは、各都道府県のナースセンターが無料で相談に応じています。
この記事で分かること
- 何が新しく報告事項になるのか
- 「医療機関機能」として例示されているもの
- 病棟単位の報告と、病院単位の報告の違い
- 働く側が読み取れること、読み取れないこと
- 今後のスケジュール
告示案が示している変更点
改正の理由は二つあります。一つは令和8年度診療報酬改定の内容を反映すること。もう一つは、医療法等の一部を改正する法律(令和7年法律第87号)の第1条の一部が令和8年10月1日に施行されることです。
改正の中身は、次のように整理されています。
| 対象 | 変更内容 |
|---|
| 病床機能報告 | 診療報酬改定を踏まえ、「構造設備及び人員の配置その他必要な事項」と「入院患者に提供する医療の内容」の報告内容・公表内容を一部改正 |
| 外来機能報告 | 「高額等の医療機器・設備の保有状況」のうち、コンピュータ断層撮影装置の数の区分を細分化 |
| 医療機関機能(新設) | 報告内容および公表内容に新設。報告単位・公表単位は「病院又は診療所」、報告方法は「ファイル等に記録する方法」 |
| 医療機関機能に関する内容(新設) | 報告内容および公表内容に追加。報告方法は「レセプト情報による方法」または「ファイル等に記録する方法」 |
制度の根拠を確認しておくと、病床機能報告は医療法第30条の13第1項にもとづくもので、療養病床または一般病床を有する病院・診療所の管理者が、病床の機能や入院患者に提供する医療の内容などを都道府県知事に報告する仕組みです。同条第4項により、都道府県知事は報告された事項を公表しなければならないとされています。
つまり、報告して終わりではなく、公表される前提の仕組みです。
「医療機関機能」として挙がっているもの
医療機関機能とは何かについて、告示案の概要では「病院又は診療所ごとに地域の医療提供施設として提供する医療の内容」と説明されています。これは所定の項目にもとづく法定の報告であり、施設が自由に掲げる標語やブランドの表明ではありません。
具体的にどのような機能が想定されているかは、法律の概要資料に例示があります。挙げられているのは次のものです。
- 高齢者救急・地域急性期機能
- 在宅医療等連携機能
- 急性期拠点機能
ただしこれは例示であり、資料には「等」が付いています。区分の詳細は今回の告示案の概要には含まれていないため、告示本文や関連する追加情報を確認する必要があります。
例示された三つは、高齢者の救急を受ける施設、在宅医療とつながる施設、急性期の拠点になる施設という区分です。地域の中で役割を分けていく、という政策の方向がここに表れています。ただし、個々の地域で実際にどう分担されるかは、この資料からは分かりません。
これは、2040年頃を見据えて地域医療構想を見直すという大きな流れの一部です。病床の数だけでなく、入院・外来・在宅医療、介護との連携を含めて全体の構想にする、という考え方が法改正の柱に置かれています。
病棟ごとの報告に、施設ごとの報告が加わります
ここが、この改正でいちばん実務に効く部分だと考えています。
これまでの病床機能報告は、病院では原則として病棟ごとに機能を報告するものでした(有床診療所は施設全体を一つの単位として報告します)。同じ病院の中に急性期の病棟と回復期の病棟が併存することは普通にあり、報告もその実態に沿って行われてきました。
この病棟単位の報告がなくなるわけではありません。 病床の機能は引き続き報告対象で、そこに病院または診療所という単位での医療機関機能が加わるという構成です。
この追加が意味するのは、施設が地域の中で担っている医療の内容が、施設単位でまとまった形でも見えるようになるということです。 病棟単位の情報は、どの病棟がどういう機能かを示します。施設単位の報告は、その施設全体として何を提供しているかを示します。
働く側から見ると、これは無視できない情報です。ただし、制度の資料が定めているのは報告する項目までで、その機能ごとに看護の業務量や必要な経験がどうなるかは示されていません。 高齢者救急を受ける施設と急性期の拠点となる施設で働き方が同じとは思えませんが、それを裏づける記載は制度側にありません。だからこそ、報告内容は結論ではなく、確認するための入口として使うことになります。
そして、報告には基準日後の予定が含まれます。施設が一定期間後にどの機能を担うつもりかが、報告事項として書き込まれることになります。
読み取れること、読み取れないこと
期待しすぎないために、限界も書いておきます。
読み取れるのは、その施設が地域の中で提供している医療の内容と、一定期間後に予定している機能です。 所定の項目にもとづいて報告され、公表されることになっています。公表の単位は「病院又は診療所」と告示案に示されていますが、いつどのような形で表示されるかはまだ示されていません。 そのため、実際にどこまで施設どうしを見比べられるかは、公表の仕様が明らかになるまで分かりません。将来の予定まで報告対象に含まれること自体は、働く場所を考えるうえで意味のある違いです。
読み取れないのは、そこで働く人の負担です。 機能の区分は、配置の手厚さも、残業の量も、教育体制も示しません。同じ機能を報告した二つの病院で、働きやすさがまったく違うことは十分あり得ます。
もう一つ読み取れないのは、予定がそのとおりに実現するかどうかです。 予定は変更され得るもので、改正法にも、省令で定める場合に該当するときの再報告の規定が置かれています。報告された予定は、その時点での見通しとして読む必要があります。
だからこの情報は、まず質問を作る材料として考えるのが現実的です。応募先がどう報告されているかを見て、「その内容に対して、看護体制は今どうなっていますか」「今後変える予定はありますか」と面接で聞く。候補の絞り込みにまで使えるかどうかは、公表の時期と表示のされ方が分かってから判断することになります。
2040年に向けた看護職員確保の議論そのものは2040年の看護職員確保をめぐる検討会の論点で、配置基準の運用の話は看護配置基準の柔軟化と現場の負担で扱っています。この記事は、そこで語られてきた構想が実際の報告制度として動き出す段階の話です。
この報告は、大きな改正の一部です
医療機関機能の報告だけを取り出すと制度の細部の話に見えますが、これは令和7年法律第87号という一つの改正法の中の一項目です。同じ法律には、働く場所の将来に関わる内容がいくつも入っています。
法律の概要資料から、地域医療構想の見直しに関する部分を挙げます。
- 病床だけでなく、入院・外来・在宅医療、介護との連携を含む将来の医療提供体制全体の構想とする
- 地域医療構想調整会議の構成員として市町村を明確化し、在宅医療や介護との連携等を議題とする場合の参画を求める
- 医療機関機能の報告制度を設ける
- 都道府県は病床数の削減を支援する事業を行えることとし、削減したときは基準病床数を削減する。国は予算の範囲内で当該事業の費用を負担する
最後の項目は、働く側にとって重い内容です。 病床を減らすことに対して、支援する事業が制度として位置づけられたということです。ただし、削減の対象や進め方によって現場への影響は変わります。稼働している病床や提供する機能の変更を伴う場合には人員配置に影響し得ますが、そこまでは概要資料に書かれていません。
同じ法律には、医師の偏在を是正する対策や、医療DXの推進も含まれています。医療DXの部分には、2030年末までに電子カルテの普及率をおよそ100%にするという目標も入っています。記録の道具が変わることは、日々の業務に直接影響します。
つまり、10月からの医療機関機能の報告は、単独の手続きの追加ではなく、医療提供体制を組み替えていく一連の動きの入口にあたります。
施行の時期は、項目ごとにばらばらです
この法律は、項目によって施行日が違います。概要資料には、原則の施行日を令和9年4月1日としたうえで、公布日から施行されるもの、令和8年4月1日から施行されるもの、令和8年10月1日から施行されるもの、公布後1年以内・1年6月以内・2年以内・3年以内に政令で定める日から施行されるものが並んでいます。
医療機関機能の報告に関する部分が、令和8年10月1日の施行にあたります。
この「項目ごとに施行時期が違う」という性質は、現場の受け止め方に影響します。改正法の全体像は2025年12月の公布時に示されていますが、実際の運用は段階的に始まります。公布された時点ですべてが動き出すわけではない、ということです。
だからこそ、ニュースで法改正を見たときに「いつから何が変わるのか」を確認する癖が役に立ちます。公布された時点で全部が動き出すわけではありません。
報告方法にも、現場の手間が隠れています
告示案には報告方法まで書かれています。医療機関機能は「ファイル等に記録する方法」、医療機関機能に関する内容は「レセプト情報による方法」または「ファイル等に記録する方法」とされています。
告示案に書かれているのは方法の名称までで、実際にどこまでが自動で、どこからが施設側の作業になるのかは示されていません。 レセプト情報による方法という記載から「手入力が不要」と読み切ることはできません。具体的な収集・提出の手順は、この概要資料の範囲外です。
報告の時期は10月1日から11月30日です。施設の中で誰がこの作業を担うのか、看護部門にどこまで確認が回るのかは、資料からは分かりません。 施設によって体制が違うところなので、秋に病棟の状況やケアの内容について確認の依頼が来たら、それがこの報告に関係するものかを担当部署に聞いてみてください。
外来機能報告のほうでは、コンピュータ断層撮影装置の数の区分が細分化されます。装置の台数を、より細かい区分で報告することになります。なぜ細分化するのかという理由は、告示案の概要には書かれていません。
「診療報酬改定を反映する」とは、どういうことか
告示案の概要には、病床機能報告と外来機能報告の報告内容を「診療報酬改定を踏まえ」改正する、と繰り返し書かれています。ここは補足が要ります。
告示案には、報告方法の一つとして「レセプト情報による方法」が挙げられており、また今回の改正が「診療報酬改定を踏まえ」て行われると書かれています。なぜその方法が選ばれたのか、項目がどう対応するのかまでは説明されていません。 分かるのは、診療報酬改定の内容が報告項目の改正につながっている、という事実関係までです。
働く側から見て押さえておきたいのは、入院患者に提供した医療の内容が、所定の項目にもとづいて集計され、都道府県への報告と公表につながっていくという流れがあることです。
ただし、看護記録がそのまま報告のデータになるとは告示案に書かれていません。報告項目と収集方法は所定の様式で定められるもので、日々の看護記録と同一視はできません。この記事を読んで「自分の記録が国に送られる」と受け取らないでください。
今後のスケジュール
日付を整理します。
| 時期 | 内容 |
|---|
| 2026年8月8日〜9月7日正午 | 告示改正案への意見募集 |
| 2026年9月下旬(予定) | 告示日 |
| 2026年10月1日 | 改正法の一部施行。関連する改正規定の適用開始 |
| 2026年10月1日〜11月30日 | 医療機関機能等報告および外来機能報告の実施期間 |
診療報酬改定を踏まえた改正規定は、この10月1日から11月30日までに行われる報告から適用されるとされています。
公表がいつ、どのような形で行われるかは、今回の告示案の概要には示されていません。都道府県知事が公表する仕組みであることが法律で定められている、という段階です。「10月に報告されるから11月には見られる」とは限らないとお考えください。
今の職場で確認できること
秋に向けて、職場で確認できることがあります。
- 自分の勤務先が、どの医療機関機能を報告する予定なのか
- その方針が、部署の運営にどう影響する見込みか
- 報告に向けた確認作業が、看護部門にも回ってくるのか
一つ目は、聞いてみる価値のある話です。 報告した内容は法律上、都道府県知事が公表することとされています。ただし、報告前の検討段階の情報まで職場が開示する義務があるわけではありません。看護部の会議や職場の説明で触れられることもあるので、説明がなければ師長に聞いてみるとよいと思います。
そして、方針が示されたときに考えたいのは、自分がやりたい看護と重なるかどうかです。 例示されている「高齢者救急・地域急性期機能」と「急性期拠点機能」は別の区分として並んでおり、どちらを報告する施設かで日々の内容は変わり得ます。ただし、それぞれの機能で具体的にどんな業務になるのかは制度資料に書かれていないため、施設に確認する必要があります。施設の方向と自分の希望がずれてきたと感じたら、それは職場の良し悪しではなく、合う場所が変わったという話です。
転職で解決しやすいこと、しにくいこと
増えるのは、確認するための材料です。 施設ごとの機能と予定が公表されるようになれば、応募先に何を聞くかを組み立てやすくなります。ただし、それが候補の絞り込みに使えるかどうかは、公表の時期と表示のされ方が明らかになってから判断することになります。公表の単位が「病院又は診療所」であることは告示案に示されていますが、いつどのように表示されるかはまだ分かりません。現時点では「公表後に質問の材料になり得る」までが言えることです。
動かしにくいのは、地域全体の方向性です。 役割の分担は地域単位で議論されるため、同じ地域にいる限り、その方向性は共通の前提になります。ただし分担する内容は施設ごとに違うので、同じ地域の中でも施設によって置かれる状況は変わります。 ご自身の地域がどうなるかは、都道府県が策定する構想と地域医療構想調整会議の議論で決まっていきます。
判断が難しいのは、報告内容と実感の距離です。 報告されるのはあくまで所定の項目にもとづく医療の内容で、そこから働く環境まで読み取れるわけではありません。見学に行けるなら、報告されている内容と実際の患者層が合っているかを自分の目で確かめるのがいちばん確実です。
よくある質問
Q. 医療機関機能とは何ですか。 A. 令和8年10月1日施行の医療法第30条の13第1項は「病院又は診療所ごとに地域の医療提供施設として提供する医療の内容」と定義しています。法律の概要資料には、高齢者救急・地域急性期機能をはじめとする区分が「等」付きで例示されています。所定の項目にもとづく法定の報告です。
Q. いつから始まりますか。 A. 改正法の関連規定は令和8年10月1日から施行されます。報告は令和8年10月1日から11月30日までに行うものとされています。対象は療養病床または一般病床を有する病院・診療所です。報告事項には、基準日における医療機関機能に加え、基準日から一定期間が経過した日における医療機関機能の予定も含まれます。
Q. 報告された内容は公表されますか。 A. 医療法第30条の13第4項により、都道府県知事は報告された事項を公表しなければならないとされています。ただし、今回の告示案の概要には公表の時期や方法についての記載はありません。
Q. 意見募集はいつまでですか。 A. 2026年8月8日正午から2026年9月7日正午までです。案件番号は495260144で、所管は厚生労働省医政局地域医療計画課です。
Q. 自分の病院がどの機能になるかは、どこで分かりますか。 A. 現時点では公表前なので、勤務先に聞いてみるという方法があります。報告された内容は法律上、都道府県知事が公表することとされています。ただし報告前の検討段階の情報について職場に開示の義務はなく、回答が得られるとは限りません。
Q. 病床機能報告はなくなるのですか。 A. なくなりません。病床機能報告の内容も一部改正されたうえで継続し、そこに医療機関機能の報告が加わる形です。
参考資料
- e-Govパブリック・コメント「医療法施行規則第三十条の三十三の六第一項の規定に基づき厚生労働大臣が定める方法等の一部を改正する告示案に関する御意見の募集について」(案件番号495260144) https://public-comment.e-gov.go.jp/pcm/detail?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=495260144&Mode=0
- 厚生労働省「医療法等の一部を改正する法律(令和7年法律第87号)の概要」(中央社会保険医療協議会 総会 資料) https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/001620461.pdf
- e-Gov法令検索「医療法」(令和8年10月1日施行版・第30条の13) https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000205_20261001_507AC0000000087
- e-Gov法令検索「医療法施行規則」 https://laws.e-gov.go.jp/law/323M40000100050
- 厚生労働省「医療計画」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/iryou_keikaku/index.html
ここで扱った告示案は意見募集の途中にあり、告示までに内容が変わることがあります。報告の具体的な項目や手順は、告示の本文および関連して示される追加情報でご確認ください。勤務先での対応については、施設の担当部署にお尋ねください。