助産師の平均年収は、566万7,000円です。厚生労働省の令和7年賃金構造基本統計調査を加工した職業情報提供サイト(job tag)でも、全国の年収として566.7万円が公表されています。
ただし、この数字は企業規模10人以上で働く一般労働者の平均です。平均年齢は41.2歳で、夜勤・時間外手当や賞与を含む税込額です。新人の年収、手取り額、特定の病院から提示された年収と、そのまま比べる数字ではありません。
この記事では、2026年8月24日時点で確認できる公的一次資料をもとに、次の疑問へ答えます。
- 助産師の平均年収、月給、賞与はいくらか
- 看護師より本当に高いのか
- 経験年数で年収はどう違うのか
- 病院・クリニック・開業助産院を年収だけで比べられるのか
- 自分の給与や求人票を何と比べればよいのか
結論:助産師の平均年収は566万7,000円
厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)「助産師」は、令和7年賃金構造基本統計調査をもとに、助産師の年収を566.7万円、平均年齢を41.2歳と掲載しています。
元になるe-Stat「令和7年賃金構造基本統計調査(職種)」の第1表で内訳を確認すると、次のとおりです。
| 項目 | 助産師 | 年収換算での扱い |
|---|
| きまって支給する現金給与額 | 月38万9,900円 | 12か月分を使用 |
| 所定内給与額 | 月34万3,900円 | 残業などを除く比較に使用 |
| 年間賞与その他特別給与額 | 98万8,200円 | 年間分を加算 |
| 平均年齢 | 41.2歳 | 比較条件として確認 |
| 平均年収 | 566万7,000円 | 38万9,900円×12+98万8,200円 |
「きまって支給する現金給与額」には、基本給だけでなく職務手当、夜勤手当、時間外勤務手当などが含まれます。一方、「所定内給与額」は超過労働給与を除いた額です。自分の給与明細と比べるときは、総支給額同士、基本給・固定手当同士のように定義をそろえてください。
566万7,000円は手取りではない
公表値は、所得税、住民税、健康保険、厚生年金、雇用保険などが引かれる前の税込額です。手取りは扶養人数、年齢、加入する健康保険、住民税、勤務先の控除によって変わるため、平均年収から一律には計算できません。
「年収566万円なら手取りは必ず○万円」と断定する情報ではなく、給与明細の総支給額と年間賞与を比べるための基準として使います。
助産師は看護師より年収が約42万円高い
同じ令和7年調査の看護師と条件をそろえて比較すると、助産師の平均年収は約42万円高い結果です。
| 項目 | 助産師 | 看護師 | 差 |
|---|
| きまって支給する現金給与額 | 月38万9,900円 | 月36万5,900円 | 月2万4,000円 |
| 年間賞与その他特別給与額 | 98万8,200円 | 85万6,400円 | 13万1,800円 |
| 平均年収 | 566万7,000円 | 524万7,200円 | 41万9,800円 |
ただし、この差を「助産師資格を取れば、同じ勤務先で必ず年42万円上がる」と読むことはできません。助産師と看護師では、平均年齢、勤務先、夜勤回数、担当業務、賞与制度などの構成が異なります。統計が示すのは職種集団の平均差であり、資格だけの効果ではありません。
助産師手当の有無と金額を知りたい場合は、勤務先の給与規程か求人票で確認する必要があります。
経験年数別の年収は一直線には増えない
令和7年賃金構造基本統計調査の第14表には、経験年数階級別の所定内給与額と賞与があります。年収換算は「所定内給与額×12+年間賞与」で計算した参考値です。時間外勤務などは含まれないため、前節の平均年収とは定義が違います。
| 経験年数 | 所定内給与額 | 年間賞与 | 年収換算(参考) |
|---|
| 0年 | 月31万3,300円 | 18万3,800円 | 394万3,400円 |
| 1〜4年 | 月34万2,500円 | 80万9,600円 | 491万9,600円 |
| 5〜9年 | 月30万8,800円 | 96万円 | 466万5,600円 |
| 10〜14年 | 月34万1,400円 | 94万1,300円 | 503万8,100円 |
| 15年以上 | 月36万4,200円 | 127万8,500円 | 564万8,900円 |
この表は同じ助産師を15年間追跡した昇給表ではありません。調査時点で各区分にいた別々の人を集計した横断調査です。5〜9年が1〜4年より低いことからも、経験年数だけで給与が決まらないと分かります。
勤務先の規模、地域、夜勤、役職、雇用形態が混ざっているため、「5年働けば491万円」「15年で564万円」と将来年収を保証する数字には使えません。自分の昇給を判断するときは、勤務先の賃金表と過去の昇給実績を確認してください。
新卒助産師の初任給は月28万〜29万円台が目安
日本看護協会の2024年度「看護職員の賃金に関する実態調査」結果では、2024年4月の新卒助産師の平均初任給が教育区分別に公表されています。
| 教育区分 | 基本給月額 | 税込給与総額 |
|---|
| 助産師学校・養成所卒 | 22万2,502円 | 28万3,950円 |
| 看護系大学卒 | 22万7,148円 | 28万9,188円 |
| 大学院卒 | 22万9,917円 | 29万3,803円 |
これは病院調査による初任給で、年間賞与を含む年収ではありません。新卒1年目は賞与の算定期間が短く、満額支給されない勤務先もあります。初年度の生活設計では、月給を12倍するだけでなく、賞与の初年度支給条件まで確認してください。
病院・クリニック・開業別の平均年収順位は公表されていない
助産師全体の平均年収は確認できますが、病院、産科クリニック、院内助産、開業助産院ごとの全国平均年収を同じ条件で比較した公的統計は確認できません。
そのため、「病院530万円、クリニック500万円、開業700万円」のような順位表は、出典と集計条件が示されていない限り、転職判断の根拠にしないでください。開業助産院では、売上から家賃、人件費、設備費、保険料、連携費用などを差し引いた所得と、勤務助産師の給与を比べる必要があります。
勤務形態別に何を確認するかは、助産師の勤務形態別年収は比べられる?で詳しく整理しています。この記事は平均年収の正典、勤務形態別記事は病院・クリニック・開業の条件確認に役割を分けています。
助産師の年収を左右する5つの条件
1. 基本給と賃金表
基本給は毎月の固定収入だけでなく、賞与や退職金の算定基礎になることがあります。総支給額が高く見えても、夜勤・時間外手当に依存し、基本給が低ければ、夜勤を減らしたときや賞与で差が出ます。
2. 夜勤回数と夜勤手当
夜勤手当は施設ごとに金額と設計が異なります。1回あたりの手当、月の標準回数、深夜割増が別支給か、夜勤を減らした場合の給与を確認します。
3. 分娩手当とオンコール
「オンコールあり」だけでは負担を判断できません。待機手当、呼出手当、時間外手当、直近の呼出回数、呼出後の勤務免除・代休を分けて質問してください。
4. 賞与の算定基礎と支給実績
「賞与4か月」と書かれていても、何に4か月を掛けるかで金額は変わります。基本給のみか、一部手当を含むか、直近3年の実績は何かを確認します。初年度や試用期間の扱いも必要です。
5. 役職・認証と処遇の連動
主任、師長、教育担当などの役職や、アドバンス助産師等の認証が処遇に反映されるかは勤務先ごとに異なります。全国共通の手当額は確認できないため、資格取得前に給与規程と昇任要件を確認します。
自分の年収が低いかを判断する4ステップ
ステップ1:給与明細と賞与を年額へ直す
直近12か月の基本給、固定手当、夜勤・オンコール・時間外手当、賞与を分けて合計します。源泉徴収票の支払金額だけでなく、何で年収が構成されているかを見ます。
ステップ2:固定収入と変動収入を分ける
次の形式で現職と求人を並べると、夜勤依存が見えます。
| 比較項目 | 現職 | 求人A | 確認方法 |
|---|
| 基本給×12 | | | 給与明細・労働条件通知書 |
| 固定手当×12 | | | 給与規程・求人票 |
| 夜勤・オンコール等×12 | | | 直近実績・想定回数 |
| 年間賞与 | | | 直近実績・算定基礎 |
| 年収合計 | | | 上記4項目の合計 |
ステップ3:平均値と条件をそろえて比べる
平均566万7,000円と比べる場合は、税込年収で比較します。新人、短時間勤務、夜勤なしなど条件が違う場合は、全国平均との差だけで「低い」と決めません。経験年数表、勤務先の賃金表、同条件の求人を併用します。
ステップ4:今の職場で直せることと、転職で選び直すことを分ける
手当の申請漏れ、評価反映、役職要件は現職で確認できます。基本給表、夜勤体制、オンコール設計、賞与制度そのものが希望と合わない場合は、転職時に条件を選び直す余地があります。
給料コンパスで適正年収を診断すると、現職の確認項目と求人比較を分けて整理できます。診断結果だけで転職を決めず、給与明細と労働条件通知書の実額を照合してください。
年収を上げたいときの順番
- 給与規程と直近12か月の明細で、手当漏れと賞与算定を確認する
- 評価面談で、次の等級・役職に必要な条件と時期を聞く
- 夜勤やオンコールを増やす場合は、増収額と睡眠・家庭への負担を同時に試算する
- 同条件の求人を3件以上集め、基本給・賞与・変動手当を同じ表で比較する
- 年収以外に、勤務時間、休息、分娩件数、支援体制、通勤時間も並べる
夜勤やオンコールを増やす方法は即効性がありますが、体力に依存します。長期では、基本給、賞与、役職、勤務体制を含めて続けられる条件を選ぶことが重要です。求人票の確認は看護師が求人票の給与で見るべきポイントも参考にしてください。
よくある質問
助産師の平均年収はいくらですか?
令和7年賃金構造基本統計調査に基づく全国平均は566万7,000円です。企業規模10人以上の一般労働者が対象で、平均年齢は41.2歳です。
助産師の年収566万7,000円は手取りですか?
手取りではありません。夜勤・時間外手当や賞与を含む税込年収です。税金・社会保険料を引いた後の金額は、個人の条件で変わります。
助産師は看護師より年収が高いですか?
同じ令和7年調査では、助産師566万7,000円、看護師524万7,200円で、助産師が41万9,800円高い結果です。ただし、勤務先や夜勤などの構成が違うため、資格だけによる差とは断定できません。
病院とクリニックでは、どちらの助産師年収が高いですか?
勤務形態別に助産師の全国平均年収を比較した公的統計は確認できません。基本給、賞与、夜勤、分娩手当、オンコールの実績を求人ごとに比較してください。
開業助産師なら年収1,000万円を目指せますか?
開業助産師の年収1,000万円到達率や条件を示す全国統計は確認できません。売上と所得を分け、経費、待機時間、連携体制、経営リスクを含めて判断する必要があります。
年収を比較するとき、最初に見る項目は何ですか?
基本給です。その後、固定手当、夜勤・オンコール等の変動手当、賞与の算定基礎と実績を分けます。月給や「年収例」だけではなく、年間で同じ条件に換算してください。
まとめ
- 助産師の平均年収は、令和7年調査で566万7,000円
- 内訳は、きまって支給する現金給与額が月38万9,900円、年間賞与が98万8,200円
- 看護師の平均年収524万7,200円より、集計上は41万9,800円高い
- 経験年数別の年収は一直線に増えず、個人の昇給表としては使えない
- 病院・クリニック・開業別の全国平均順位は確認できない
- 自分の給与は、基本給、固定手当、変動手当、賞与を分けて比べる
平均より高いか低いかだけでは、続けやすい働き方は決まりません。給料コンパスで比較軸を整理し、給与規程・求人票・労働条件通知書の実額で最終確認してください。
参考資料
公的統計の年収は平均値であり、個人の給与を保証しません。勤務形態別・役職別・オンコール有無別の助産師年収を全国で比較した公的統計は確認できなかったため、本記事では推定レンジや順位を作っていません。
NEXT ACTION FOR CLINICS
応募が来ない求人票を、看護師が確認したい内容に直せます
この記事で触れた不安を、自院の求人票ではどこまで先回りして説明できていますか?
給与・夜勤・休日の見せ方応募前に離脱される不安求人票に足すべきFAQ