認定看護師を目指すべきか。専門看護師や大学院に進むべきか。資格を取れば給料は上がるのか。勉強したい気持ちはあるのに、勤務後の学習や研修で疲れきっている。看護師のキャリアアップは、前向きなテーマである一方、時間、費用、体力、職場制度に左右されやすい悩みです。
この記事では、看護師の学び・資格・キャリアアップを、認定看護師、専門看護師、認定看護管理者、大学院、その他の資格、スキルアップ疲れに分けて整理します。資格取得を急がせる記事ではありません。今の自分に必要な学びを選ぶための地図として使ってください。
要点まとめ
- 専門看護師、認定看護師、認定看護管理者は、日本看護協会の資格認定制度に位置づく資格。
- 専門看護師は14分野で、大学院修士課程と専門看護分野の実務経験が関係する。
- 認定看護師はA課程とB課程があり、B課程は特定行為研修を組み込む。A課程の認定審査は2029年度までで終了予定。
- 認定看護管理者は、ファースト、セカンド、サードの教育課程と看護管理の実務・学修が関係する。
- 資格を取れば必ず昇給・昇進できるとは限らない。職場の人事制度、手当、配置、診療報酬上の評価を確認する。
- 業務上義務づけられた研修や、使用者の指示による業務に必要な学習は、労働時間に該当し得る。
4つの入口から整理する
最初に決めるべきなのは「何の資格を取るか」ではなく、「臨床の専門性を深めたいのか、管理に進みたいのか、教育・研究に広げたいのか、今の職場で評価される学びを増やしたいのか」です。
専門看護師、認定看護師、認定看護管理者の違い
日本看護協会の資格認定制度には、専門看護師、認定看護師、認定看護管理者があります。いずれも認定後に5年ごとの更新が必要です。
| 資格 | 主な方向性 | 確認したいこと |
|---|
| 専門看護師 | 複雑で困難な看護問題に対する実践・相談・調整・倫理調整・教育・研究 | 大学院修士課程、専門分野、実務経験 |
| 認定看護師 | 特定分野で熟練した看護技術と知識を活かす | A課程・B課程、分野、教育時間、特定行為研修との関係 |
| 認定看護管理者 | 組織管理、看護管理、人材育成、経営的視点 | ファースト・セカンド・サードレベル、実務経験 |
どれが上位というより、役割が違います。患者ケアの専門性を深めたい人、部署や組織を動かしたい人、教育・研究に関わりたい人では、選ぶルートが変わります。
専門看護師を目指す場合
専門看護師は、日本看護協会が認定する資格で、14分野があります。がん看護、精神看護、地域看護、老人看護、小児看護、母性看護、慢性疾患看護、急性・重症患者看護、感染症看護、家族支援、在宅看護、遺伝看護、災害看護、放射線看護です。
要件には、看護師資格取得後の実務研修が通算5年以上、うち通算3年以上は専門看護分野の実務研修であることなどが関係します。また、専門看護師教育課程は大学院修士課程で、総計38単位の課程への移行が進んでいます。
専門看護師は、実践だけでなく、相談、調整、倫理調整、教育、研究の役割も担います。臨床の難しい課題を、個別ケアだけでなくチームや組織全体で解決したい人に向きやすいルートです。
認定看護師を目指す場合
認定看護師は、特定分野で熟練した看護技術と知識を用いて、看護実践、指導、相談の役割を担う資格です。実務研修は、看護師免許取得後に通算5年以上、うち3年以上は認定看護分野の実務研修が必要です。
認定看護師にはA課程とB課程があります。A課程は教育時間600時間以上、開講期間6か月以上1年以内、21分野で、認定審査は2029年度までで終了予定です。B課程は特定行為研修を組み込み、教育時間は800時間程度、開講期間1年以内、19分野です。
特定行為研修そのものを詳しく知りたい場合は、特定行為研修ガイドで確認してください。認定看護師B課程は特定行為研修との接続があるため、今後の制度変更や募集要項を必ず最新情報で確認します。
認定看護管理者を目指す場合
管理職、看護部門の運営、人材育成、組織改善に関心がある人は、認定看護管理者のルートがあります。教育課程には、ファーストレベル105時間、セカンドレベル180時間、サードレベル180時間があります。
認定審査には、日本国の看護師免許、看護師免許取得後の通算5年以上の実務経験などが関係します。サードレベル教育課程の修了、または看護管理に関連する学問領域の修士以上の学位など、複数のルートがあります。
管理に進むか迷う場合は、役職名だけで判断しないでください。スタッフ育成、勤務表、労務、医療安全、採用、離職防止、経営指標など、現場看護とは違う責任が増えます。主任・リーダーの悩みや看護部長の定着支援も参考になります。
大学院進学を考える場合
大学院は、専門看護師、教育、研究、管理、政策、地域看護などに進む選択肢です。専門看護師を目指す場合は、大学院修士課程と専門看護師教育課程の要件が関係します。
進学前には、次を確認してください。
- 仕事を続けながら通えるか
- 学費、交通費、勤務調整の見通し
- 長期履修制度や勤務先の支援制度
- 修了後に今の職場で役割が用意されるか
- 専門看護師や教育職、研究職など次の出口があるか
大学院進学は、すぐに収入へ反映されるとは限りません。学びたいテーマ、将来の役割、費用回収の見通しを分けて考えます。
資格で給料は上がるのか
資格を取れば必ず給料が上がるとは言えません。資格手当、昇格、配置、専門外来、委員会、教育担当、診療報酬上の評価など、職場の制度によって反映のされ方が違います。
取得前に確認したいのは次の点です。
| 確認項目 | 見るポイント |
|---|
| 手当 | 資格手当、研修中の給与、交通費、学費補助 |
| 配置 | 取得後に専門性を活かせる部署・役割があるか |
| 時間 | 研修参加、課題、実習、勤務調整が可能か |
| 更新 | 5年ごとの更新、実績、研修参加の負担 |
| 転職市場 | 他施設で評価される資格か、地域差があるか |
収入面を重視する場合は、給料・お金完全ガイドと職場選び・求人票完全ガイドもあわせて確認してください。
スキルアップ疲れに注意する
「勉強しないと置いていかれる」「資格を取らないと評価されない」と感じ続けると、学びが負担になります。業務後の研修、休日の課題、委員会、自己研鑽が重なると、スキルアップが燃え尽きの原因になることもあります。
厚生労働省の労働時間ガイドラインでは、労働時間は使用者の指揮命令下に置かれている時間とされています。参加が業務上義務づけられた研修や、使用者の指示により業務に必要な学習を行っていた時間は、労働時間に該当し得ます。すべての学習が労働時間になるわけではありませんが、「自主参加」と言われつつ実質的に必須なら、扱いを確認する価値があります。
疲れが強い時は、資格取得を先延ばしにしても構いません。眠れない、涙が出る、休んでも回復しない状態が続く時は、上司、産業保健、医療機関、こころの耳などを使ってください。こころの耳電話相談は0120-565-455です。
まとめ
看護師の学び・資格・キャリアアップは、資格名だけで選ぶものではありません。専門性を深めたいのか、管理に進みたいのか、大学院で研究・教育へ広げたいのか、今の職場で評価される実践力を高めたいのかを先に決めます。
資格取得には、実務経験、教育課程、費用、時間、更新、職場の支援が関係します。最新要件は必ず認定団体や教育機関の募集要項で確認してください。そして、学びがつらさに変わっている時は、休むこともキャリアの一部です。
よくある質問
認定看護師と専門看護師はどちらを目指すべきですか?
臨床で特定分野の実践力を高めたいなら認定看護師、複雑な看護問題に対して相談・調整・教育・研究まで広げたいなら専門看護師が候補になります。要件と役割が違うため、上下ではなく方向性で選びます。
資格を取れば給料は上がりますか?
必ず上がるとは言えません。資格手当や昇格制度がある職場もありますが、反映されない職場もあります。取得前に、手当、配置、役割、更新支援を確認してください。
大学院は働きながら通えますか?
可能な場合もありますが、勤務調整、学費、通学、課題、研究時間の確保が必要です。長期履修制度や職場の支援制度を確認してください。
特定行為研修は認定看護師と同じですか?
同じではありません。特定行為研修は保健師助産師看護師法に基づく国の研修制度で、認定看護師B課程には特定行為研修が組み込まれています。
勉強や研修がつらい時はどうすればいいですか?
まず研修が業務命令なのか自主参加なのか、勤務時間として扱われるのかを確認してください。体調不良が続く場合は、資格取得を急がず、上司や産業保健、医療機関、こころの耳に相談してください。
参考資料


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