求人を出しても応募が来ない。紹介会社の費用が重い。採用しても早期離職が続く。求人票で何を改善すればよいか分からない。看護師採用・経営側の悩みは、採用広報だけでなく、勤務条件、定着、処遇、教育、職場環境の問題とつながっています。
この記事では、事務長の採用課題、院長の定着課題、求人票改善、紹介会社依存に分けて整理します。採用を「人を集める施策」だけで終わらせず、働き続けやすい職場づくりと一体で考えるためのガイドです。
要点まとめ
- 看護職員需給は、働き方改善の前提によって必要数が大きく変わる。採用難は個別施設だけの問題ではない。
- 求人倍率や需給の強さだけでなく、地域、診療科、勤務形態、夜勤、給与、教育体制で応募の出やすさは変わる。
- 求人時の労働条件明示では、2024年4月から就業場所・業務内容の変更範囲など追加事項がある。
- 有料職業紹介の手数料は原則求人者負担で、看護師は求職者手数料の対象ではない。
- ナースセンター、eナースセンター、医療勤務環境改善支援センターなど、公的・無料の選択肢も併用できる。
- 採用だけを強めても、休み、夜勤、教育、人間関係、給与、面談が整っていないと定着しにくい。
4つの入口から整理する
採用課題は「応募が少ない」「内定辞退が多い」「入職後に辞める」「紹介費が重い」で対策が変わります。まず、どこで詰まっているのかを分けます。
看護師採用難は構造問題でもある
厚生労働省の看護職員需給分科会の中間とりまとめでは、2025年の需要推計は働き方改善の前提により188万人から202万人、供給推計は175万から182万人程度とされています。必要数は、超過勤務や有給取得などワークライフバランスの条件によって大きく変わります。
つまり、採用難は単に広告を増やせば解決する問題ではありません。地域、診療科、夜勤、給与、休み、教育、職場環境、患者層、管理体制が、応募と定着の両方に影響します。
採用状況を見る時は次を分けます。
- 応募数が少ない
- 応募はあるが見学・面接につながらない
- 内定辞退が多い
- 入職後3カ月から1年で辞める
- 既卒採用者の定着が弱い
- 紹介会社経由に偏っている
求人票は法令対応と魅力づけの両方を見る
2024年4月から、募集時などに明示すべき労働条件として、就業場所・業務内容の変更の範囲、有期契約の更新上限、無期転換に関する事項などが追加されています。求人票を曖昧なままにすると、応募者の不安だけでなく、入職後のミスマッチにもつながります。
看護師求人で特に確認したいのは次です。
| 項目 | 書くべき内容 |
|---|
| 勤務形態 | 2交代、3交代、日勤のみ、夜勤回数 |
| 給与 | 基本給、手当、夜勤手当、賞与、昇給 |
| 休日 | 年間休日、有給、希望休、連休 |
| 配属 | 配属先、異動、業務内容の変更範囲 |
| 教育 | 新人・中途への研修、プリセプター、相談体制 |
| 人員 | 看護配置、夜勤体制、看護補助者の有無 |
| 見学 | 見学可否、面接前相談、質問できる範囲 |
求職者は「良いこと」だけでなく、夜勤の実態、残業、教育体制、休みやすさを見ています。職場選び・求人票完全ガイドにある求職者側の確認ポイントも、求人票改善に使えます。
定着は採用前から始まる
日本看護協会の病院看護実態調査では、正規雇用看護職員、新卒採用者、既卒採用者の離職率が継続的に公表されています。既卒採用者の離職率は新卒より高い傾向があり、中途採用後の受け入れ体制は重要です。
入職後の定着を見る時は、次を確認します。
- 入職前に聞いていた条件と実際の差
- 初日から1カ月のフォロー担当
- 技術チェックと経験領域の確認
- 夜勤開始時期と判断基準
- 3カ月、6カ月、1年の面談
- 人間関係の相談先
- 退職理由の記録と改善への反映
定着面談は、退職を引き止める場ではなく、ミスマッチや負荷を早期に見つける場です。看護管理職・師長完全ガイドも、現場側の面談設計に役立ちます。
紹介会社依存を見直す
有料職業紹介事業では、手数料は求人者側が負担するのが基本です。厚生労働省の業務運営要領では、求職者手数料を徴収できる職業は限られており、看護師は対象外です。届出制手数料は事業者ごとの届出や契約により異なるため、相場を単純に断定せず、自院の契約条件、返戻規定、早期離職時の扱いを確認します。
紹介会社を使うこと自体が悪いわけではありません。ただし、応募の大半を紹介会社に依存すると、採用単価が上がり、採用ノウハウが院内に残りにくくなります。
併用したい選択肢は次です。
- 自院採用ページ
- Googleしごと検索や求人検索で見つかる求人票整備
- ナースセンター、eナースセンター
- 学校・養成所との関係づくり
- 職員紹介制度の適正運用
- 見学会、復職支援、地域広報
- 紹介会社の契約条件と実績の定期レビュー
ナースセンターは、看護師等の人材確保の促進に関する法律に基づき、都道府県ナースセンターが無料職業紹介事業を行う仕組みです。eナースセンターも無料職業紹介のインターネット上の仕組みとして活用できます。
採用広報より先に直すこと
求人票を磨いても、実際の職場が追いついていなければ定着しません。求職者が重視するのは、給与だけでなく、休みやすさ、人間関係、希望する働き方、夜勤負担、教育体制です。
最低限、次の課題は採用広報と並行して見直します。
- 夜勤明け翌日の休みや仮眠が確保されているか
- 有給や希望休のルールが説明できるか
- 新人・中途の教育担当が明確か
- ハラスメント相談窓口が機能しているか
- 退職理由を部署改善に反映しているか
- 給与・手当の説明が求人票と一致しているか
医療勤務環境改善支援センターは、医療機関の勤務環境改善に関する公的な相談先です。採用難を広告費だけで解決しようとせず、勤務環境改善とセットで進めます。
経営側が見るべき内部リンク
採用と定着は、現場の悩みを理解するほど改善しやすくなります。給料・お金完全ガイド、夜勤・シフト完全ガイド、業務量・残業完全ガイド、ハラスメント・暴言完全ガイドも確認してください。


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