【看護師 優先順位】看護の現場で起きる多重課題による優先順位の付け方とは?緊急時の判断力を養うコツも徹底解説!

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多くの医療機関では、看護師一人で複数の患者を受け持つことが基本です。そのため、時折起こるのが、同時に業務が重なる多重課題です。このような場面に遭遇した時、大事になるのが優先順位です。

 

担当患者のケアを行っているときに、他の担当患者に緊急性のある要請を受けたことがあるという看護師も多いのではないでしょうか。そんな時、どちらを優先すればいいか分からないということもよくあります。

 

そこで本記事では、多重課題に対する優先順位の付け方について詳しく解説していきますので、特に新人看護師の方は参考にしてください。

 

看護現場の優先順位の重要性とは?

 

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看護師の役割は非常に重要で、患者さんの命を預かる責任があります。この仕事では、優先順位の決定が特に重要です。患者さんに危害が及ぶ可能性や健康状態の急変など、命を預かる視点から優先順位を確定することが求められます。これは生産性を高めるだけでなく、看護の本質である患者の安全を確保するために不可欠です。

 

看護師の現場では、業務が重複することが少なくありません。そのため、業務が重複した際にも迅速に優先順位を判断し、適切な対応を行う能力が求められます。効率的で迅速な判断が患者さんの健康と安全に直結し、看護の質を高めます。看護師自身の効果的な働き方を実現するためにも、適切な優先順位の把握は非常に重要です。

 

現場で起こる多重課題

 

看護現場における多重課題とは、一つの時点で複数の看護業務や問題が同時に発生する状況を指します。日常的には、急な患者の対応や急変した状況への対処、予定外の処置、他の看護業務との兼ね合いなど、多岐にわたる課題が同時に生じることがよくあります。特に、多くの患者を担当する看護師にとって、この多重課題は日常茶飯事的な問題となっています。

 

そのため多重課題に適切に対応するためには、的確な優先順位の付け方が不可欠になります。優先順位を誤ると、患者の安全や適切なケアに影響を与える恐れがあります。看護師は、緊急性や患者の状態、治療計画などを総合的に考慮しながら、効果的な優先順位を決定するスキルが求められます。

 

このような課題に対処するため、多くの医療機関では、看護師の多重課題への対応力向上のための研修やトレーニングを実施しています。これらの研修では、実際のケースを題材にし、効果的な優先順位付けや迅速な対応方法を学ぶことで、看護師が多重課題に適切に対応できる能力を高めています。

 

<看護師・ナースのリアルな声>多重課題による優先順位の付け方を失敗したケースを教えてください

 

多重課題で優先順位の付け方を学ぶ研修内容

 

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看護現場で起こることが多いといわれる多重課題に対し、多くの医療機関では的確な対応ができるよう研修などを行っています。実際、どのような研修内容が行われているのでしょうか。

 

DVDなどの教材から学ぶ

 

DVDなどの教材を活用して、視覚的に学ぶ機会が提供されます。これらの教材には、看護現場で頻繁に発生する多重課題の具体的な事例や、それに対する適切な対応方法、優先順位を判断する際の指針、また失敗事例などが含まれています。

 

この工程は、多重課題に適した基本的な対応スキルを獲得するための基盤を築く重要な過程です。DVDや教材を通じて基礎を学ぶことで、後続のシミュレーションにおいて、実践的な対応策を頭の中でイメージしやすくなります。また、実際のケースに触れることで、理論だけでは得られない臨場感や現実味を体感することが可能となります。

 

デブリーフィングを行う

 

DVDなどの教材を活用した学習は、基本的な多重課題への対応スキルを習得することが目的です。また、シミュレーションでの対応を具体的にイメージしやすくなります。

 

続いて、学習した知識や疑問に思った点についてディスカッションするデブリーフィングが行われます。このグループディスカッションでは、先輩看護師と新人看護師が集まり、教材内容や実務経験に基づく多重課題について意見交換します。先輩看護師からは、実際に経験した多重課題の事例や失敗体験についても共有される場合があります。

 

多重課題の対応はケースバイケースで異なるため、実務経験に基づく示唆に富んだ情報が得られる点でデブリーフィングは重要です。この研修では、教材学習で得た知識を実務での経験や先輩のアドバイスと照らし合わせながら理解を深め、実践的な対応スキルを磨くことが目指されています。

 

なお、デブリーフィングはシミュレーション後だけでなく、教材学習の後にも行われることがあります。

 

シミュレーションを実施する

 

教材学習とデブリーフィングに続き、シミュレーション・ロールプレイングが行われます。この段階では、先輩看護師が患者さん役や医師・先輩看護師役として参加し、実際の多重課題に即したシナリオを演じます。

 

シミュレーションでは、限られた時間内で適切な優先順位で対応できるかがチェックされます。状況設定は実際の看護現場に即した内容であり、病床や備品なども臨床場面に近い状態で準備されます。これにより、参加者は現場での臨場感を味わいながら緊張感を持って対応を行います。

 

シミュレーション中には、ビデオ撮影を行うケースもあります。撮影されたビデオは後のフィードバック時に活用され、参加者自身の対応を振り返る材料として利用されます。フィードバックでは、シミュレーションの過程での強みや課題、改善点などが共有され、より効果的な対応スキルを磨く機会となります。

 

シミュレーションは、実践的な状況で優先順位を判断し対応することが求められる多重課題に対する準備を効果的に進める重要な要素となっています。

 

フィードバックを行う

 

最後に、先輩看護師からの指導が行われます。この際、事前に撮影または記録されたビデオや資料を活用し、新人看護師の対応を振り返ります。先輩看護師は、新人看護師が行った行動や判断の理由についてフィードバックを提供します。

 

また、再度デブリーフィングを行うことで、意見交換やアドバイスが行われます。このフィードバックの過程では、新人看護師が何故そのような行動を選んだのか、その背景や考え方について深く掘り下げて議論が行われます。フィードバックは、新人看護師の成長を促すだけでなく、先輩看護師自身の成長にも役立ちます。

 

先輩看護師は、新人看護師の緊張をほぐし、本音の意見や質問を引き出す役割を担います。また、フィードバックは多重課題研修の最終工程となり、実際の現場で独力で多重課題に対応する際に活かす重要な要素となります。研修で得た知識や経験をもとに、先輩看護師からの助言や指導を受け入れ、疑問や不明点は積極的に質問することが大切です。

 

<看護師・ナースのリアルな声>研修ではどんな勉強をしましたか?

 

多重課題の場面での優先順位の付け方

 

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多重課題の場面で、どのように優先順位を付ければいいかは、どの医療機関も共通の視点で考えています。それでは、どのように優先順位を付けるのか解説していきます。

 

患者の救命を最優先に考える

 

患者の命を守ることは看護師の最重要使命です。突如として状態が急変する可能性があるため、患者の生命に関わる事態には敏速かつ的確な対応が求められます。心肺蘇生や適切な応急手術など、生命を守るために必要な措置を迅速に実施します。

 

患者の安全を考える

 

患者の安全は治療やケアの基盤です。環境の安全確保、感染対策、薬物管理の注意、転倒防止などが含まれます。また、患者の生活面でも注意が必要であり、身の回りの安全やケアにおけるリスクマネジメントが欠かせません。

 

協力を要請する

 

チームワークは患者をケアするうえでポイントです。もし、自分一人で対応できないと判断した場合、手の空いている看護師に協力を要請することを考えましょう。

 

業務スケジュール上の時間管理

 

看護師は様々な業務を同時進行で行います。患者の状態や医師の指示を適切に把握し、スケジュールを適切に管理することが求められます。業務時間を守りつつ、急変時にも柔軟に対応する能力が必要です。

 

他の患者さんへの配慮

 

看護師は複数の患者さんを担当することが一般的です。緊急のケース以外でも、患者さん一人ひとりのニーズに適切に対応しつつ、他の患者さんに迷惑をかけないかも考慮した対応を考える必要があります。

 

<看護師・ナースのリアルな声>多重課題における優先順位の付け方で一番気をつけていることは?

 

日々の経験を大切にすることが判断力を養うコツ

 

日々の経験を大切にすることは、看護師として正しい判断力を養う重要な要素です。経験を通じて得られる洞察や学びは、理論だけでは得られない実践的な知識となります。

 

正しい判断力を付ける

 

まず、正しい判断力を養うためには、日々の経験から学びを得ることが欠かせません。患者のケアやチームでの協力を通じて直面する様々な状況や問題から学び、それを次の場面で活かすことで、判断力を磨くことができます。

 

助言をもらう

 

助言をもらうことも大切です。経験豊富な先輩看護師や他の医療職とコミュニケーションを取り、彼らの意見や経験から学ぶことで、より良い判断を行う手助けとなります。

 

体験を大事にする

 

患者のケアや医療行為を通じて直接的な経験を積むことで、現場での判断や対応に役立つスキルが磨かれます。これらの経験が、看護師としての成長に直結します。

 

経験を通じて得られる学びや感じたこと、そして他者からの助言を反映させながら、日々の実務を通じて判断力を向上させることが、良い看護を提供する上で重要なポイントとなります。

 

<看護師・ナースのリアルな声>あなたが普段、判断力を養ううえできをつけていることありますか?

 

<看護師・ナースのリアルな声>優先順位をつけるのが苦手という看護師が多いですが、アドバイスがあればお願いします

 

まとめ

 

この記事では、看護師の多重課題に対する優先順位の付け方について解説してきました。

 

看護師の仕事では、複数の患者さんからの要求や業務が同時に発生する状況に直面することがあります。このような多重課題に効果的に対応するためには、経験や適切な研修が欠かせません。特に、新人看護師にとっては初めての多重課題に直面した際、優先順位を瞬時に判断する経験が必要です。

 

そのために、すべての看護師は研修を受けますが、これは研修を受け持つベテラン看護師にとっても、改めて優先順位の大切さを学ぶ有意義な時間になることでしょう。

 

これからの経験を大切に、患者の安全を最優先に考えながら、効果的な優先順位を考え、対応することができるよう、判断力を養ってください。

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