はたらく看護師さんoperated by GXO
経営・業務改善5分で読めます

疑義解釈その12を看護管理へ落とす|身体拘束・心不全研修・BCP・遠隔診療

通知を回覧して終わらせず、4論点ごとに対象部署、現行運用との差、必要な証跡、責任者、改定期限を決めます。

9月2日の疑義解釈は4部門へ分けて実装する

厚生労働省は2026年9月2日、「疑義解釈資料の送付について(その12)」を公表しました。看護管理に関係が深いのは、身体的拘束最小化、心不全患者の再入院予防に関する研修、在宅療養支援診療所・病院のBCP、訪問看護遠隔診療補助料の4論点です。

すべてを看護部だけで抱えず、医事、医療安全、教育、在宅、訪問看護、情報システム、事業継続の担当へ分けます。疑義解釈は個別施設の算定可否を自動的に保証するものではないため、不明点は地方厚生(支)局等へ確認してください。

4論点の実装表

論点疑義解釈の要点院内で確認すること
身体的拘束実施割合にも一定の一時的変動の取扱いを適用集計定義、3か月、1割、理由、改善記録
心不全研修対面原則。一定条件下のオンラインを示す地域連携、やむを得ない事情、出席・双方向・理解度
在宅BCP日医ひな形を参考にできる地域特性に合わせた修正、周知、訓練、更新
遠隔診療連携ステーションの意味を明確化所定様式の届出、計画・指示、記録、連絡

身体的拘束:数字の例外を安全の例外にしない

疑義解釈は、身体的拘束最小化推進体制加算の身体的拘束実施割合についても、暦月3か月を超えない期間の1割以内の一時的変動に関する規定を適用できると示しています。

これは、一定範囲なら拘束を増やしてよいという意味ではありません。管理上は次を残します。

  1. 分母・分子、対象病棟、除外等の集計定義
  2. 変動が始まった月と継続期間
  3. 変動した患者背景・業務要因の集計
  4. 代替策の検討と実施記録
  5. 医師・多職種・家族を含む再評価
  6. 3か月を超える前の責任者レビュー

集計基準の変更で見かけの割合が動いていないかも確認します。個別患者の拘束判断は、法令、指針、院内手順、倫理的検討に基づいて行います。

心不全研修:オンライン可否は通信手段だけで決めない

研修は対面が原則です。疑義解釈は、既存の地域連携があり、やむを得ない事情で対面が難しい場合のオンライン実施について、出席確認、双方向性、理解度確認などの条件を示しています。

録画URLを配布するだけで条件を満たすとは扱いません。

  • 対面で実施できない事情と決裁
  • 対象職種・施設、参加者本人の確認
  • 質疑・討議など双方向の設計
  • 接続・離席を含む出席管理
  • テスト、事例検討等の理解度確認
  • 教材、実施記録、参加証明の保存

既存の地域連携という前提を満たすか、研修がどの施設基準等に関係するかを医事部門と確認します。

在宅BCP:ひな形利用は完成を意味しない

在宅療養支援診療所・病院のBCPは、日本医師会のひな形を参考にできます。ただし、地域の災害、患者構成、交通、通信、電力、医薬品、訪問看護等の連携先に合わせた修正、職員周知、定期更新が必要です。

最低限、次の場面を自施設の固有名詞で書き換えます。

  • 電話・電子カルテ・電力が止まったときの連絡
  • 酸素、人工呼吸器、医療機器利用者の優先順位
  • 医薬品・物品の在庫と代替調達
  • 医師、訪問看護、薬局、ケアマネ、行政の連絡網
  • 訪問中止・延期・代替支援の判断者
  • 職員と家族の安全確認、参集・交代
  • 紙記録からシステム復旧後への転記・照合

ひな形の施設名を変えただけで「BCP策定済み」としないでください。訓練で動かなかった項目を次版へ反映します。

訪問看護遠隔診療:届出先と実運用を一致させる

疑義解釈は、訪問看護遠隔診療補助料の「訪問看護ステーション」について、所定様式で連携する訪問看護ステーションとして届け出たステーションを指すと示しています。

医事が把握する届出先と、現場が実際に依頼するステーションを照合します。契約関係がある、日頃連絡しているというだけで対象と決めません。

  • 所定様式の届出内容と変更履歴
  • 対象患者の診療計画・訪問看護指示書等
  • 医師・看護師・患者の本人確認と同意
  • 予測範囲、実施しない条件、急変時対応
  • 診療録・訪問看護記録の分担
  • 機器、通信、物品、廃棄物の責任

看護師側の具体的な境界はD to P with Nの実務ガイドで確認できます。

7日以内の実装チェック

  • □ 4論点の対象部署と責任者を決めた
  • □ 自施設に関係する施設基準・算定を特定した
  • □ 現行規程・届出・研修・BCPとの差を確認した
  • □ 記録・証跡の保存場所と保存責任者を決めた
  • □ 不明点を地方厚生(支)局等へ照会した
  • □ 変更を夜勤、非常勤、連携先まで周知した
  • □ 30日後の監査日を設定した

変更管理台帳を一つにする

4論点ごとに別の会議資料を作るだけでは、改定状況を経営が把握できません。通知番号、論点、対象部署、現行文書、変更内容、責任者、承認者、周知日、教育対象、証跡、監査日を一つの台帳にします。

周知済みと実装済みも分けます。メールを送った日は周知日であり、現場が新手順を使い、記録が残り、監査で確認できた日が実装完了です。算定開始や請求への影響がある項目は、医事側の確認と看護現場の運用確認の両方がそろってから完了にします。

夜勤・非常勤・委託・連携先へ伝わっているかを標本確認し、理解が曖昧なら再周知ではなく、手順の簡素化や演習を行います。

現場負担を経営課題へ変換する

通知対応が追加記録や研修だけになれば、看護師の残業と不信が増えます。本音箱の業務量・労務訪問看護に現れる課題を、個人特定せず運用改善の観点として捉えます。

診療報酬・看護業務の実装相談では、通知の解説だけでなく、規程、担当、証跡、教育、監査の流れを整えます。再提出・再研修・手戻りを減らし、安全と算定の両方を守ることが収益・利益への接続です。

よくある質問

身体的拘束割合が1割以内なら改善は不要ですか

いいえ。疑義解釈上の一時的変動の取扱いと、個別患者への拘束最小化は別です。原因、代替策、再評価を継続してください。

心不全研修は今後すべてオンラインでよいですか

いいえ。対面原則と、地域連携・やむを得ない事情・実施条件を確認する必要があります。

BCPは日医ひな形を提出すれば完成ですか

地域特性等に合わせた修正、職員周知、定期更新が必要とされています。自施設の連絡先・患者・資源で訓練してください。

参考資料

最終確認日:2026年9月7日。算定・施設基準は個別状況を地方厚生(支)局等へ確認してください。