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2027年4月施行|医療的ケア児支援法改正で病院・訪問看護が準備すべきこと

対象が成人・重症心身障害者へ広がる一方、病院が何でも単独で担う法律ではありません。対象者、引継ぎ、相談先、緊急時対応を施行前に一枚へ整理します。

改正法は2026年成立、実務上の期限は2027年4月1日

「医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律」の改正法は、2026年7月24日に国会で成立し、7月31日に法律第77号として公布されました。施行日は2027年4月1日です。改正後の題名は「医療的ケア児等及び重症心身障害者並びにそれらの家族に対する支援に関する法律」となります。

今回の改正では、18歳以降の切れ目ない支援、日常生活・就労・住居、レスパイト、災害対応、支援センターの機能強化などが明確になりました。ただし、法改正だけで病院、訪問看護、福祉、自治体の役割分担が自動的に整うわけではありません。施行前に必要なのは、対象者を把握し、どこで支援が切れ、誰がつなぎ直すかを確認することです。

対象拡大を「18歳以上なら全員」と読まない

改正法の対象は、単に18歳以上で医療を受けている人すべてではありません。こども家庭庁の概要では、次の対象が整理されています。

  1. 現行の医療的ケア児
  2. 医療的ケア児であった人で、引き続き恒常的な医療的ケアが不可欠な人
  3. 18歳以上で恒常的な医療的ケアが不可欠であり、それによって自立した日常生活・社会生活を営むことが困難な状態にある人
  4. 重度の知的障害と重度の肢体不自由が重複する重症心身障害者
  5. それらの家族

個別の該当性や利用できる制度は、法令、自治体、保険者、相談支援機関の最新案内で確認します。病院が独自に対象可否を確定したり、対象拡大を理由に既存サービスの利用を約束したりしないことが重要です。

病院・訪問看護で確認する七つの接続点

接続点施行前に決めること主な責任者残す証拠
対象者18歳前後、進行性疾患、重症心身障害者等の把握方法地域連携・医事対象候補一覧、確認日
成人移行小児科、成人診療科、かかりつけ医の併診・移行方針診療科・看護外来移行計画、紹介状況
訪問看護指示書、緊急連絡、医療機器、家族手技の引継ぎ主治医・訪問看護引継ぎ表、同意記録
急変対応平時と夜間の受入先、搬送条件、情報共有救急・地域連携急変時カード、連絡試験
生活支援レスパイト、通学、就労、住居、相談先の接続MSW・相談支援紹介先、未接続理由
情報共有本人・家族の意思、共有目的、範囲、更新者個人情報責任者同意・説明、更新履歴
災害電源、薬剤、避難、安否確認、代替先BCP責任者個別計画、訓練記録

「紹介した」で終わらせない連携表

連携表には施設名だけでなく、対象条件、受付窓口、必要書類、返答期限、受入不能時の次候補を記録します。紹介状を送った日ではなく、次の担当者が受け取り、本人・家族が連絡先と次回予定を理解した時点まで追います。

特に成人移行では、診療科の変更だけでなく、訪問看護指示書、医療機器、処方、障害福祉サービス、学校から生活・就労への移行が同時に動きます。一つの部門だけで「完了」と判定しない設計が必要です。

施行までの120日実装

  1. 対象把握:18歳前後と成人後も継続支援が必要な利用者を抽出する
  2. 切れ目の確認:診療、訪問看護、福祉、教育・就労、災害の未接続を色分けする
  3. 責任者設定:本人・家族の窓口と院内各部門の担当を決める
  4. 小規模試行:3〜5事例で連携表を使い、連絡不能・書類不足・受入不可を記録する
  5. 標準化:紹介、同意、緊急時、災害時、再評価の手順を改訂する
  6. 経営確認:必要人員、連携時間、外来枠、教育費、委託費を予算へ反映する

経営会議で避けたい判断

  • 法律の対象拡大を、すべての成人患者の受入義務と説明する
  • 支援センターや訪問看護へ紹介した時点で、自院の引継ぎ責任が終わったと考える
  • 本人の意思を確認せず、家族との連絡だけで成人後の方針を決める
  • 施行後に自治体の様式が出てから準備を始める
  • 連携件数だけを測り、受入不能、待機、急変時の不接続を測らない

次の一手

小児在宅・成人移行の連携整理を相談するでは、対象者、支援の切れ目、院内外の責任者、緊急時対応を一枚へ整理します。成人移行支援の実務設計医療的ケア児者の個別災害BCPもあわせてご活用ください。

本記事は制度の一般的な整理です。個別の対象判定、診療・福祉サービス、契約、個人情報の判断は、施行時の法令・通知、自治体、保険者、院内責任者を優先してください。

参考資料