令和9年度介護報酬改定の検討論点|訪問看護・介護の看取り連携を点検する
改定内容はまだ決まっていません。一方、本人が望む場所での看取りと、訪問看護・介護・医療機関の連携は、現在の運用から点検できます。
9月3日に示されたのは「改定内容」ではなく、これから検討する論点です
厚生労働省は2026年9月3日、第264回社会保障審議会介護給付費分科会の資料を公開しました。医療・介護連携と人生の最終段階について、協力医療機関、感染対応、ACP、看取りの現状と論点が整理されています。
資料は、本人が望む場所でより質の高い看取りを行う方策、各サービスにおけるACPの位置づけ、サービスごとに異なる看取り評価の在り方などを問いとして示しています。報酬単位、算定要件、新しい義務が決まったわけではありません。
制度決定を待つ必要がある項目と、今の運用で改善できる項目を分けることが重要です。
| 区分 | 9月3日時点の扱い |
|---|---|
| 新しい加算・単位・算定要件 | 未決定。今後の審議を確認する |
| 各サービスにおけるACPの位置づけ | 検討論点 |
| 看取り評価の在り方 | 検討論点 |
| 既存の協力医療機関・連携体制 | 現行要件と経過措置を確認する |
| 急変・看取り時の連絡、記録、家族説明 | 現在の事業所手順を点検できる |
公式資料で確認できた現状
資料では、令和6年度介護報酬改定で、高齢者施設等が一定要件を満たす協力医療機関を定めることを義務または努力義務とし、義務化には2027年3月31日までの経過措置を設けたことが整理されています。
要件を満たす体制の整備割合として、介護老人福祉施設67.9%、介護老人保健施設83.3%、介護医療院84.9%、養護老人ホーム60.4%が示されています。数字は全国の平均像であり、個別施設が連携できることを保証するものではありません。
ACPについては、人生の最終段階の医療・ケアに関する話し合いを繰り返す重要性が示される一方、施設基準として原則全入所者を対象にガイドラインに基づく対応を求めているのは介護医療院サービスのみ、と資料は整理しています。また、看取り関連加算の算定率や要件、点数はサービスごとに差があります。
訪問看護については、訪問介護などで看取りや医療ニーズが高まる中、他の介護保険サービス等と幅広く連携し、効果的・効率的な連携の在り方を検討すべきとの意見が掲載されています。
改定前に点検する八つの連携場面
1. 本人の意思を確認し直す場面
ACPを一度書いた書類の回収にしません。本人の意思決定を基本に、病状、生活、家族関係、理解、希望が変わり得る前提で話し合いを繰り返します。本人が話したくない、決めたくない意思も尊重します。
記録には、結論だけでなく、誰が参加したか、本人がどこまで理解したか、次に見直す条件を残します。
2. 主治医・訪問看護・介護・ケアマネジャーの共有
連絡先一覧だけでは連携になりません。次を決めます。
- 症状変化を誰が最初に受けるか
- どの状態で主治医へ連絡するか
- ケア方針の変更を誰がサービス担当者へ伝えるか
- 夜間・休日の代替連絡先
- 口頭連絡をどこへ記録し、誰が確認するか
3. 夜間・休日の急変
家族へ「何かあれば電話してください」と伝えるだけでは、救急要請、主治医連絡、訪問依頼の境界が分かりません。予測される症状、緊急度、本人の希望、医師の指示、地域の対応可能性を踏まえた連絡順を個別に確認します。
救急搬送をしない方針があっても、すべての急変で搬送しないという意味にはなりません。新しい症状、事故、判断できない状態では、医師・救急等へ適切に相談します。
4. 看取り期へ移行するとき
- 訪問頻度を変える条件
- 疼痛、呼吸、意識、食事・水分などの観察
- 薬剤、医療材料、連絡票の準備
- 家族へ伝える変化と連絡方法
- 訪問看護師が不在の時間帯の対応
- 介護職が気づいた変化を看護へ渡す方法
個別の医療判断と薬剤指示は医師の指示、自院の手順、患者ごとの計画を優先します。
5. 家族への説明と心理支援
家族が同じ理解や希望を持つとは限りません。説明は代表者だけに任せず、本人の同意とプライバシーを守りながら、連絡を受ける人、説明を共有する範囲、不安時の相談先を決めます。
介護負担、睡眠不足、看取りへの恐怖も確認し、レスパイトや追加支援の必要性をチームで検討します。
6. 死亡が確認されるまでと確認後
看護師が死亡診断を行うわけではありません。予測された看取りであっても、誰へ連絡し、医師がどのように確認し、その間に家族へ何を案内するかを事前に共有します。警察対応などが必要となる条件は、個別事案の状況と関係法令、医師・管理者の判断に従います。
7. 職員の安全と感情への支援
単独訪問、夜間移動、家族間対立、強い悲嘆など、職員の安全と心理負担も看取り体制の一部です。同行基準、退避、管理者への連絡、振り返り、休息を決めます。
8. 看取り後カンファレンス
加算の記録確認だけで終わらせず、本人の希望、症状対応、連絡の遅れ、家族支援、職員負担、次回変える手順を確認します。個人責任の追及ではなく、仕組みの改善を目的にします。
連携台帳のひな型
| 項目 | 記録する内容 | 責任者 | 更新条件 |
|---|---|---|---|
| 本人の希望 | 場所、医療・ケア、話したくない事項 | 主担当 | 病状・希望変化 |
| 医療連絡 | 主治医、代替、夜間 | 管理者 | 担当・体制変更 |
| 急変基準 | 症状、連絡順、救急相談 | 医師・看護 | 指示変更 |
| 訪問体制 | 頻度、複数名、応援 | 訪問看護 | 看取り期移行 |
| 家族支援 | 連絡者、理解、不安、休息 | チーム | 家族状況変化 |
| 死後対応 | 医師連絡、記録、物品 | 管理者 | 手順改訂 |
共有範囲は必要最小限とし、本人の同意、個人情報保護、各事業所の記録規程に従います。
経営会議で見るKPI
- 連絡先・急変計画の期限内更新率
- 看取り期に連絡経路が機能しなかった件数
- 本人の希望と実際の療養・看取り場所の相違
- 夜間の予定外救急搬送と、その理由
- 家族からの説明不足・連絡困難の申告
- 看取り後カンファレンス実施率と手順改善数
- 訪問看護・介護職の時間外、単独訪問、心理支援利用
「搬送が少ないほど良い」「自宅看取りが多いほど良い」と単純評価しません。本人の希望、安全、地域資源、医学的必要性を含めて理由を見ます。
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看取り・医療介護連携の運用を相談するでは、ACP、急変連絡、夜間体制、家族説明、看取り後振り返りを、事業所間の責任分担表へ整理します。看護師側の実務は終末期・看取りとACPをご覧ください。