※ 本記事にはプロモーション(アフィリエイトリンク)が含まれています
SOAP記録は、看護実践を「主観的データ→客観的データ→アセスメント→計画」の4項目で体系的に記録する方法です。問題志向型診療録(POS)の記録様式として広く普及しており、臨床でも学校でも最も基本的な記録方式です。しかし「SとOの区別がわからない」「Aに何を書けばいいかわからない」と悩む学生は後を絶ちません。この記事では、各項目の書き方のルールと疾患別の例文を紹介します。
この記事でわかること
- S・O・A・P各項目に何をどう書くかの明確なルール
- 疾患別SOAP記録の例文5パターン(肺炎・糖尿病・心不全・術後・精神科)
- 実習指導者が指摘する「よくある減点ポイント」と改善策
SOAP記録の基本:各項目の役割
S(Subjective Data):主観的データ
患者さん自身が語った言葉、訴え、感情です。必ずカギカッコ(「」)でそのまま記録するのが原則です。
- 書くべきもの:患者さんの症状の訴え、感情表現、生活上の困りごと、治療に対する思い
- 書いてはいけないもの:看護師の解釈を含めた表現(「不安そうに話す」はSではなくOに入る)
- 記録のコツ:「痛い」だけでなく「お腹の右側がズキズキ痛いです。食事の後に特にひどくなります」のように、できるだけ具体的な言葉を引き出して記録する
O(Objective Data):客観的データ
看護師が観察、測定、検査で得た客観的な情報です。
- 書くべきもの:バイタルサイン、検査データ、観察所見(表情、行動、皮膚の状態)、食事摂取量、排泄状況、使用薬剤と効果
- 記録のコツ:数値で表現できるものは数値で書く。「食欲がない様子」→「食事摂取量:主食2割、副食1割。箸をつけて3分で食べるのを中止した」
- 注意点:患者さんの言葉はSに記録する。Oに「患者が痛いと言った」とは書かない
A(Assessment):アセスメント
SとOのデータを根拠にして、看護問題の状態を分析・判断します。SOAPの中で最も重要であり、最も難しい部分です。
- 書くべきもの:SとOのデータから何がわかるか(解釈)、問題の改善・悪化・変化なしの判断、その根拠
- 書き方の型:「〇〇(Sのデータ)と〇〇(Oのデータ)から、〇〇と考えられる。前回と比較して〇〇であり、〇〇が必要である」
- 注意点:SやOに書いた内容を繰り返すだけではアセスメントにならない。「だから何なのか」「次にどうすべきか」まで踏み込む
P(Plan):計画
アセスメントの結果に基づいた今後の看護計画です。既存の計画を継続するのか、修正するのか、新たな計画を追加するのかを明記します。
- 書くべきもの:継続する計画内容、変更する計画内容とその理由、新たに追加する計画
- 記録のコツ:「計画を継続する」だけでなく、「SpO2が安定しているため、体位ドレナージの頻度を1日3回から2回に変更する」のように具体的に記載する
実習・国試だけで手一杯…就職活動の準備できてますか?
「レバウェル看護」は看護学生の就職もサポート。希望の診療科・エリア・給与から求人を無料で紹介。先輩ナースの口コミで職場の雰囲気もわかります。
就職先を探してみる※ 完全無料・LINEで気軽に相談OK
疾患別SOAP記録の例文5パターン
例文1:肺炎(看護問題:非効果的気道浄化)
S:「朝から痰がからんで苦しいです。自分で出そうとするけど出きらない感じがします」
O:体温37.6℃、SpO2 94%(room air)、呼吸数24回/分。右下肺野に水泡音を聴取。湿性咳嗽あり、喀痰は黄色粘稠性、量はティッシュ3枚分。WBC 11,200/μL、CRP 4.8mg/dL。水分摂取量は午前中で200mL。
A:黄色粘稠痰の貯留と水泡音の聴取から、気道分泌物の排出が不十分な状態が続いている。SpO2 94%は昨日の95%から低下しており、排痰不全によるガス交換障害の悪化が懸念される。水分摂取量が少なく痰の粘稠度が下がりにくい状態である。体位ドレナージの実施と水分摂取の促しを強化する必要がある。
P:体位ドレナージを午前・午後・就寝前の1日3回に増やす。水分摂取を1500mL/日を目標に促す(本人の好みに合わせて温かいお茶を提供)。SpO2 93%以下が持続する場合は医師に報告する。午後のバイタルサイン測定時にSpO2と呼吸音を再評価する。
例文2:糖尿病(看護問題:知識不足)
S:「インスリン注射は自分でやるんですか?怖くてできる気がしません。入院前は妻にやってもらっていました」
O:食前血糖値186mg/dL。インスリン自己注射の実技確認で、空打ちの手順が抜けており、注射部位の選択もいつも同じ腹部右側のみ。注射器を持つ手が震えている。妻は週2回面会に来ている。
A:インスリン自己注射の手技が不安定であり、空打ちの省略は気泡混入のリスクがある。注射部位のローテーションも理解できておらず、脂肪萎縮や硬結の原因になりうる。手の震えと「怖い」という発言から、注射行為自体への心理的抵抗が強いと考えられる。段階的な指導(見学→一緒に→見守り)で成功体験を積み重ね、自信を持たせる関わりが必要である。
P:本日午後、練習用パッドを使って空打ちの手順から再指導する。注射部位のローテーション表を作成し、ベッドサイドに掲示する。退院後のサポート体制として妻への手技指導も計画に追加する。次回面会時に妻も同席した指導を調整する。
例文3:心不全(看護問題:体液量過剰)
S:「足がパンパンで靴下の跡がつきます。横になると息が苦しくて、枕を3つ重ねないと寝られません」
O:体重68.5kg(昨日67.8kg、+0.7kg/日)。下腿浮腫(++)、圧痕残存時間5秒。起座呼吸あり。SpO2 93%(仰臥位)→96%(座位)。水分摂取量1,800mL(制限1,200mL/日を超過)。尿量850mL/日。BNP 680pg/mL。
A:1日で0.7kgの体重増加と下腿浮腫の増強から、体液量過剰が悪化していると判断する。水分摂取量が制限の1.5倍と過剰であり、これが主因と考えられる。起座呼吸の出現と仰臥位でのSpO2低下は肺うっ血の進行を示唆している。水分制限の遵守が不十分であり、制限の必要性に対する理解度と実行状況を再確認する必要がある。
P:水分管理シートを作成し、1回の摂取量と時間を記録してもらう。ペットボトルに1日分の水を入れて可視化する方法を提案する。就寝時はファウラー位(45度)を維持する。体重は毎朝排尿後同条件で測定を継続。明日の体重が69kg以上の場合は医師に報告する。
例文4:術後第1病日(看護問題:急性疼痛)
S:「傷がズキズキ痛いです。寝返りを打つときが一番つらい。さっきの痛み止めで少しマシになりました」
O:術後第1病日。開腹胆嚢摘出術後。創部ドレッシング材に浸出液少量(淡血性)。NRS 7/10(体動時)→4/10(ロキソプロフェン内服30分後)。表情はしかめ面から穏やかに変化。自力での寝返りは疼痛により困難。離床は端坐位まで実施、立位は疼痛のため本日は見送り。腸蠕動音は微弱ながら聴取。
A:術後第1病日として予測される範囲内の疼痛であるが、NRS 7/10と体動時の疼痛が強く、離床の妨げになっている。鎮痛薬投与後30分でNRS 4/10に低下しており、薬効は認められる。疼痛コントロールが不十分なまま離床を進めると苦痛が増強し、離床意欲の低下にもつながるため、鎮痛薬の効果発現時間に合わせた離床計画が必要である。
P:鎮痛薬内服30分後のタイミングで離床を促す。明日の目標は立位保持とベッドサイド歩行。創部を手で押さえながらの起き上がり方法を指導する。疼痛の強さ(NRS)を離床前後で毎回評価する。頓用鎮痛薬の残回数を確認し、不足する場合は医師に相談する。
例文5:精神科(看護問題:不安)
S:「夜になると不安でたまらなくなって、眠れません。退院してやっていけるのか自信がないです。また調子を崩すんじゃないかって」
O:退院予定日まで残り5日。夜間巡視時に覚醒していることが3日連続。日中はデイルームで他患者と穏やかに会話している。作業療法には毎回参加。主治医から退院後の外来通院スケジュールが説明されている。表情はやや暗く、視線が下を向いていることが多い。
A:退院を5日後に控え、退院後の生活に対する不安が増強している。「またの調子を崩す」という再発への恐怖が睡眠障害を引き起こしていると考えられる。一方で、日中の社会的機能は保たれており、作業療法にも積極的に参加できている。不安の内容を具体化し、退院後の支援体制(外来通院、デイケア、訪問看護等)を視覚的に確認できるようにすることで安心感を提供する必要がある。
P:退院後の1週間の生活スケジュールを一緒に作成する。不安が強い時の対処法(リラクセーション、相談先の電話番号リスト)をカードに書いて携帯できるようにする。看護師との面談を1日1回(午後)設定し、不安の内容を傾聴する時間を確保する。夜間の不眠が4日連続する場合は主治医に報告する。
理想の就職先、一人で探していませんか?
病院の内部情報や面接対策まで、専任アドバイザーが完全無料でサポート。早めの登録で好条件の求人を逃さずチェックできます。
無料で就職相談する※ 1分で登録完了・就職時期が先でもOK
よくある減点ポイントと改善策
- SとOが混在している:患者の言葉はS、看護師の観察はOに明確に分ける。「痛そうにしている」はOに入る
- Aがデータの繰り返しになっている:SとOに書いたことを要約するだけではAにならない。「だから何が問題なのか」「今後どうなるか」まで踏み込む
- Pが曖昧すぎる:「経過観察する」「様子を見る」はNG。具体的に何を・いつ・どのように行うかを書く
- 看護問題と関連しない記録:SOAPは看護問題ごとに書く。1つのSOAPに複数の問題を混在させない
- 時系列が不明確:いつのデータなのかがわからない記録は評価に使えない。日時を必ず記載する
まとめ:SOAPは「思考の過程」を伝える記録
SOAP記録は単なる記録フォーマットではなく、看護師としてどう考え、どう判断し、どう行動したかを示す思考の記録です。特にA(アセスメント)の質が記録全体の評価を左右します。SとOで根拠を示し、Aで分析し、Pで具体策を提示するという論理の流れを意識しましょう。
退院時の看護サマリーの書き方は「看護サマリーの書き方ガイド」で解説しています。看護過程全体の流れを復習したい方は「看護過程の展開レポート完全ガイド」をご覧ください。







