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結論から言うと、2026年度の看護師の給料は「月額平均4,000〜12,000円」の引き上げが見込まれます。2024年度診療報酬改定で創設された「ベースアップ評価料」が2年目に入り、算定する病院が拡大したことが最大の要因です。ただし全ての病院が一律に上がるわけではなく、病院規模・経営状態・地域によって大きな差があります。この記事では、2026年度の看護師の給与を取り巻く最新制度情報を整理し、あなたの病院で「実際にいくら上がるのか」を判断するための材料を提供します。
この記事でわかること
- 2026年度の看護師給与に影響する3つの制度改定のポイント
- 病院規模・地域別の具体的な賃上げ額データ
- あなたの給料が平均より低い場合に取るべきアクション
2026年度 看護師の給与に影響する3つの制度
看護師の給料が上がるかどうかは、個々の病院の経営判断だけでなく、国の制度設計に大きく左右されます。2026年度に看護師の給与に影響を与える主な制度は以下の3つです。
1. ベースアップ評価料(2024年度新設・2026年度継続)
2024年度の診療報酬改定で新設された「ベースアップ評価料」は、看護職員を含む医療従事者の基本給引き上げを目的とした加算です。病院が看護職員等の賃金を2.5%以上引き上げた場合に算定できる仕組みで、2026年度は2年目として定着が進んでいます。
具体的な算定額は入院料の区分によって異なりますが、急性期一般入院料1の場合、1日あたり165円が加算されます。400床規模の病院で年間約2,400万円の増収となり、これが看護師の基本給に反映される仕組みです。厚生労働省の2025年度実態調査によると、ベースアップ評価料を算定した病院の看護師は月額平均6,800円のベースアップを実現しています。
2. 看護職員処遇改善評価料(2022年度〜継続)
2022年10月に創設された「看護職員処遇改善評価料」は、救急医療管理加算を算定する病院の看護職員を対象に、月額平均12,000円の収入増を目指した制度です。2026年度は4年目を迎え、対象となる約2,000の救急病院で安定的に算定されています。
ただし、この制度の対象は「救急医療管理加算を算定している病院の看護師」に限定されるため、クリニックや回復期病院、訪問看護ステーションの看護師は対象外です。同じ看護師でも制度の恩恵を受けられるかどうかに差がある点が課題として指摘されています。
3. 2025年度 政府の賃上げ要請と春闘の影響
2025年の春闘では大手企業の賃上げ率が平均5.2%に達し、中小企業でも3.8%の賃上げが実現しました。政府は医療・介護分野にも同水準の賃上げを求めており、2026年度の補正予算では医療従事者の処遇改善に約800億円が計上されています。
この流れを受け、大手医療法人グループ(徳洲会、IMSグループ、JCHO等)では2026年4月から月額5,000〜10,000円のベースアップを実施しています。一方で、中小規模の医療法人や個人経営のクリニックでは賃上げ原資の確保が難しく、据え置きまたは微増にとどまるケースが多いのが現実です。
病院規模・地域別の看護師給与データ【2026年最新】
日本看護協会の「2025年病院看護実態調査」と人事院勧告のデータを基に、2026年4月時点の看護師給与を整理します。
経験年数別の平均月収(税引前・手当込み)
- 新卒(1年目):平均月収 27.2万円(基本給22.0万円+諸手当5.2万円)
- 3年目:平均月収 29.8万円(基本給23.5万円+諸手当6.3万円)
- 5年目:平均月収 31.5万円(基本給24.8万円+諸手当6.7万円)
- 10年目:平均月収 34.8万円(基本給27.5万円+諸手当7.3万円)
- 15年目:平均月収 37.2万円(基本給29.8万円+諸手当7.4万円)
- 20年目以上:平均月収 39.5万円(基本給31.5万円+諸手当8.0万円)
諸手当には夜勤手当(月4〜8回分)、通勤手当、住宅手当、時間外手当が含まれます。夜勤手当の比重が大きいため、夜勤回数が減ると月収も下がります。
病院規模別の平均月収
- 500床以上(大学病院・大規模総合病院):平均月収 37.2万円(前年比+0.8万円)
- 200〜499床(中規模総合病院):平均月収 35.1万円(前年比+0.5万円)
- 100〜199床(中小規模病院):平均月収 33.4万円(前年比+0.3万円)
- 99床以下(小規模病院・有床診療所):平均月収 30.6万円(前年比+0.2万円)
500床以上の病院と99床以下では月額6.6万円の差があり、年収に換算すると約80万円の格差です。しかもこの格差は年々拡大しています。大規模病院はベースアップ評価料や処遇改善評価料を算定できるため賃上げ原資があるのに対し、小規模病院は算定要件を満たせないケースが多いためです。
地域別の平均年収(常勤・夜勤込み)
- 東京都:平均年収 528万円(全国1位。地域手当が最大20%加算)
- 神奈川県:平均年収 510万円
- 大阪府:平均年収 498万円
- 愛知県:平均年収 488万円
- 福岡県:平均年収 462万円
- 北海道:平均年収 448万円
- 全国平均:平均年収 508万円(厚労省「賃金構造基本統計調査」2025年版)
ただし地域別の年収比較には注意が必要です。東京都の年収が高いのは地域手当の加算があるためですが、住居費・物価を考えると実質的な生活水準は地方と大差ないケースもあります。「年収が高い=豊かに暮らせる」ではなく、その地域の生活コストとのバランスで判断しましょう。
処遇改善の「落とし穴」|手取りが増えない3つのパターン
「制度で給料が上がるはずなのに、実感がない」という声が現場から多く聞かれます。処遇改善が手取りに反映されない主なパターンを3つ解説します。
パターン1:基本給ではなく「一時金」での支給
ベースアップ評価料は「基本給の引き上げ」を条件としていますが、一部の病院では基本給の増額を最小限に抑え、残りを「処遇改善一時金」として不定期に支給するケースがあります。基本給が上がらなければ、ボーナスの計算基礎(基本給×月数)も上がらず、退職金の算定基礎にも影響しません。目先の手取りは増えても、長期的な資産形成には不利です。
あなたの病院が「ベースアップ評価料を算定している」と言っている場合、給与明細で基本給の項目が実際に増えているかを確認してください。増えていなければ、評価料の原資が他の用途に回されている可能性があります。
パターン2:社会保険料の増加で相殺
2025年度の健康保険料率は協会けんぽ平均で10.00%(都道府県によって差あり)、厚生年金保険料率は18.3%(労使折半で本人負担9.15%)です。基本給が月額5,000円上がった場合、社会保険料の本人負担は約750円増加します。さらに所得税・住民税の増加分を加えると、手取りベースでの増加は3,500〜4,000円程度にとどまります。
「月5,000円のベースアップ」と聞いて期待していたのに、手取りでは3,500円しか増えない。この「期待値とのギャップ」がモチベーション低下の原因になることがあります。
パターン3:他の手当の見直し(減額)との抱き合わせ
最も注意すべきパターンです。基本給を引き上げる代わりに、住宅手当や調整手当を減額し、総支給額ではほぼ変わらない(場合によっては減る)ケースが報告されています。「ベースアップしました」という表向きのアナウンスと、実際の給与明細を比較してください。
給与改定があった際は、改定前後の給与明細を必ず保管し、基本給・各手当・総支給額・控除額・手取り額をそれぞれ比較しましょう。
あなたの給料は平均以上?セルフチェックの方法
自分の給料が市場水準と比べて適正かどうかを判断するには、以下のステップで確認しましょう。
ステップ1:自分の「時間単価」を計算する
月収ではなく「時間単価」で比較するのが正確です。月収30万円でも、残業40時間込みの月収30万円と、残業ゼロの月収30万円では実質的な待遇が全く異なります。
計算式:年収 ÷(年間所定労働時間 + 年間残業時間)= 時間単価
例えば年収480万円、年間所定労働時間1,920時間、年間残業240時間の場合:480万円 ÷ 2,160時間 = 時間単価 2,222円。看護師の平均時間単価は約2,300〜2,500円(残業込み)ですので、2,222円は平均をやや下回っています。
ステップ2:同条件の求人と比較する
あなたと同じ経験年数・同じ地域・同じ病院規模の求人を5件以上確認し、提示年収の中央値を出してください。転職サイトに登録すると非公開求人も含めた相場がわかります。もし現在の年収が中央値を10%以上下回っている場合は、給与交渉または転職を検討する価値があります。
ステップ3:昇給カーブを確認する
過去3年間の自分の昇給額を確認し、年平均を算出してください。看護師の平均昇給額は年間3,000〜5,000円(基本給ベース)です。年間昇給が2,000円以下の場合、その病院の給与体系は頭打ちになっている可能性が高く、長期在籍しても大幅な昇給は見込めません。
給料が上がらないと感じたら|具体的な3つのアクション
データで自分の給料が平均以下だと確認できた場合、取れるアクションは大きく3つです。
アクション1:現職で給与交渉する
まずは今の職場で改善を試みましょう。交渉のポイントは「感情ではなくデータ」です。日看協の実態調査データ、同地域の求人相場、自分の実績(受け持ち患者数、委員会活動、後輩指導等)を数字で示し、「市場水準と比較して○万円低い」と具体的に伝えます。
交渉相手は直属の師長ではなく、給与決定権を持つ看護部長や事務長が理想です。年度末の評価面談や、昇格のタイミングに合わせると効果的です。
アクション2:資格取得で手当を増やす
認定看護師・専門看護師・特定行為研修修了者には月額5,000〜30,000円の資格手当が支給される病院が多くあります。取得に1〜2年の期間と費用がかかりますが、長期的な投資対効果は高いです。特に感染管理、がん化学療法、糖尿病看護、救急看護の分野は需要が高く、資格手当も高額に設定されている傾向があります。
アクション3:より待遇の良い職場に転職する
現職の給与体系に限界がある場合、転職が最も即効性のある年収アップの方法です。看護師の転職による年収アップの実績データを見ると、同じ病院勤務でも転職で年収が30〜80万円上がるケースは珍しくありません。特に経験5年以上で専門スキルがある看護師は、売り手市場の恩恵を最も受けやすい層です。
ただし、年収だけで転職先を決めるのは危険です。夜勤回数、残業の実態、賞与の支給実績(過去3年分)、退職金制度、教育体制、有給取得率を総合的に比較してください。「年収は高いが月10回夜勤」「年収は高いが残業月50時間」では、時間単価は改善されません。
自分の市場価値がわからない場合は、看護師専門の転職エージェントに相談するのも一つの手段です。非公開求人を含めた条件比較ができ、給与交渉の代行もしてもらえます。「転職するかどうか決めていない段階」でも情報収集として利用できます。
まとめ|2026年は「待つ」のではなく「動く」年
2026年度の看護師の給与は、ベースアップ評価料や処遇改善評価料の恩恵を受ける病院では確実に上がっています。しかし全ての看護師に等しく恩恵があるわけではなく、病院規模・地域・経営方針によって大きな差があります。
重要なのは「制度が変わったから給料が上がるだろう」と受け身で待つのではなく、自分の給与明細を確認し、市場水準と比較し、必要であれば行動を起こすことです。給与交渉をする、資格を取る、転職市場を見る。どの選択肢を取るにしても、まずは「自分の現在地」を正確に把握することがスタートラインです。
看護師の夜勤手当が上がらない問題について詳しく知りたい方は「看護師の夜勤手当はなぜ上がらない?」をご覧ください。年収を大幅に上げたい方は「看護師の年収を100万円上げる5つの方法」も参考にしてください。



