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2025年病院看護実態調査の結果、「今の職場で働き続けたい」と答えた看護師は約60%にとどまり、前回調査から5ポイント以上低下しました。就業継続の最重要因子は「賃金・給与水準」であり、やりがいや人間関係を抑えてトップになっています。日本看護協会が毎年実施するこの調査は、全国の病院に勤務する看護師の就業実態を網羅する国内最大規模の統計データです。この記事では、2025年調査の主要な結果をわかりやすく整理し、現場の看護師が知っておくべきポイントとキャリアへの影響を解説します。
この記事でわかること
- 2025年病院看護実態調査の主要データ(離職率・就業意向・給与)
- 「働き続けたい」が6割に低下した背景と賃金重視の傾向
- 夜勤手当の横ばい問題が看護師に与える影響とキャリア戦略
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2025年病院看護実態調査とは?調査の位置づけ
病院看護実態調査は、日本看護協会(日看協)が毎年実施している全国規模の調査です。全国の病院(約8,000施設)のうち有効回答数は約3,500施設にのぼり、看護師の労働環境を定量的に把握できる唯一の大規模統計として、厚生労働省の政策立案にも活用されています。
調査は毎年10〜11月に実施され、翌年春に結果が公表されます。調査項目は看護職員の離職率、給与、夜勤実態、採用・退職状況、労働時間、有給休暇取得率など多岐にわたり、病院規模別・地域別のクロス集計も提供されます。
「働き続けたい」が約60%に低下|就業継続意向の変化
2025年調査で最も注目すべき結果は、「今の職場で働き続けたい」と回答した看護師の割合が約60%にとどまったことです。2023年調査では65.2%、2022年調査では64.8%でしたので、明確な低下トレンドにあります。
離職を考える理由のトップ3
- 賃金・給与水準への不満(52.3%):物価上昇に対して基本給の伸びが追いつかず、実質的な可処分所得が減少していることへの不満が最大の要因です。特に経験5〜10年目の中堅層で顕著でした
- 業務量・責任の過重(48.7%):慢性的な人手不足により一人あたりの受け持ち患者数が増加。タスクシフティングの名目で医師の業務が看護師に移管される一方、看護業務そのものは減っていないという「業務の上乗せ」が問題視されています
- 夜勤・交代制勤務の負担(41.2%):心身への影響を理由に挙げる看護師が4割を超えました。特に二交代制で16時間夜勤を行う看護師の離職意向が高く、三交代制よりも10ポイント以上高い結果です
年齢層別の就業継続意向
年齢層別に見ると、「働き続けたい」の割合が最も低いのは25〜29歳(53.1%)で、次いで30〜34歳(56.8%)です。経験を積んでスキルが向上する一方で、「このまま同じ環境で働き続けるのか」という将来不安が強まる年代です。逆に50歳以上では70%を超えており、勤続年数が長いほど安定する傾向が見られます。
この結果は、中堅層の流出が加速していることを示しています。25〜34歳は病棟の戦力として最も重要な層であり、この年代の離職は残されたスタッフの負担をさらに増やす悪循環を生みます。
賃金が就業継続の最重要因子に浮上
2025年調査では、就業継続のために最も重要だと思う要素として「賃金・給与」が初めてトップに立ちました。過去の調査では「人間関係」や「やりがい」が上位でしたが、2024年以降の物価上昇(消費者物価指数は2年連続で3%超の上昇)により、経済的な要素が最重要視されるようになっています。
看護師の平均給与の推移
調査によると、病院勤務の正規雇用看護師の平均月額給与(基本給+諸手当、税引前)は約34.8万円です。2020年の33.1万円から4年間で約1.7万円(5.1%)増加していますが、同期間の消費者物価指数は約8%上昇しています。つまり名目では増えていても、実質賃金は低下しています。
特に深刻なのは基本給の伸び悩みです。基本給の平均は約27.5万円で、ここ5年間の上昇幅はわずか約8,000円にとどまります。手当込みでは増えているように見えますが、時間外手当の増加(つまり残業が増えている)が押し上げているだけで、基礎的な待遇改善とは言えません。
病院規模別の給与格差
病院規模別の平均月額給与を見ると、規模が大きいほど給与が高い傾向は変わりませんが、その格差は拡大しています。
- 500床以上:平均月額37.2万円(前年比+0.8万円)
- 200〜499床:平均月額35.1万円(前年比+0.5万円)
- 100〜199床:平均月額33.4万円(前年比+0.3万円)
- 99床以下:平均月額30.6万円(前年比+0.2万円)
大規模病院ほど賃上げ幅が大きく、中小規模病院は経営体力の限界から十分な賃上げができていません。この格差が中小病院からの人材流出を加速させ、地域医療の維持に影響を与えています。
離職率データ|正規雇用11.8%、新卒10.2%
2025年調査における正規雇用看護師の離職率は11.8%で、前年の11.4%からやや上昇しました。新卒看護師の離職率は10.2%で、こちらも前年の9.8%から上昇し、初めて10%を超えました。
離職率の推移と分析
看護師の離職率は2010年代後半から微増傾向にありましたが、コロナ禍の2020〜2021年は一時的に低下しました。これは「コロナ禍で転職活動がしにくかった」「医療従事者としての使命感で踏みとどまった」という要因が大きく、離職の意思がなくなったわけではありません。2022年以降は反動で上昇に転じ、2025年の11.8%はここ10年で最も高い水準です。
- 2020年:正規10.6%、新卒8.2%(コロナ禍で一時的に低下)
- 2021年:正規10.8%、新卒8.6%
- 2022年:正規11.0%、新卒9.0%
- 2023年:正規11.2%、新卒9.5%
- 2024年:正規11.4%、新卒9.8%
- 2025年:正規11.8%、新卒10.2%
新卒10%超えの衝撃
新卒看護師の離職率が10%を超えたことは、看護教育と臨床現場の接続に問題があることを示唆しています。新卒が1年以内に辞める主な理由は「リアリティショック」「プリセプターとの関係性」「夜勤への不適応」の3つです。特に近年は学生時代のコロナ禍で臨地実習の経験が不足した世代が入職しており、実際の病棟業務とのギャップが大きいことが指摘されています。
病院側も新人教育体制の再構築を迫られています。調査では、プリセプターシップに加えてメンター制度を導入している病院は39.2%にとどまり、教育体制が充実している病院ほど新卒離職率が低い相関が認められました。
夜勤手当の横ばい問題|物価上昇で実質目減り
2025年調査の夜勤手当データは、看護師の待遇改善が進んでいない現実を端的に示しています。
夜勤手当の平均額(2025年調査)
- 三交代制・準夜勤:4,154円/回(前年4,126円、+28円)
- 三交代制・深夜勤:5,490円/回(前年5,447円、+43円)
- 二交代制・夜勤:11,286円/回(前年11,192円、+94円)
いずれも前年から数十円〜100円未満の増加にとどまっています。2010年の調査と比較すると、準夜勤は3,983円→4,154円で15年間にわずか171円の増加です。同期間の消費者物価指数は約12%上昇していますので、実質的な夜勤手当は目減りしています。
夜勤は心身への負担が大きく、生活リズムの乱れ、睡眠障害、メンタルヘルスの悪化など多くの健康リスクを伴います。それに対する手当が15年間ほぼ変わらないのであれば、「夜勤をやりたくない」「夜勤のない職場に移りたい」と考える看護師が増えるのは当然の帰結です。
勤務形態別のデータ|二交代制が拡大
勤務形態に関する調査結果では、二交代制を採用する病院が年々増加しています。2025年調査では二交代制のみの病院が49.8%、三交代制のみが28.4%、混合型が21.8%です。5年前の2020年調査では二交代制のみが42.1%でしたので、着実に二交代制へのシフトが進んでいます。
二交代制の長時間夜勤問題
二交代制の夜勤は16時間勤務が主流です。日本看護協会は「夜勤は12時間以内」を推奨していますが、実態として16時間夜勤を行っている病院は二交代制採用病院の67.3%にのぼります。16時間夜勤後の看護師のパフォーマンス低下は複数の研究で指摘されており、医療安全の観点からも問題があります。
一方で、二交代制には「出勤回数が少ない」「連続した休みが取りやすい」というメリットもあり、看護師の中でも評価は分かれます。重要なのは、夜勤の長さだけでなく、夜勤明けの休息時間が十分に確保されているかどうかです。調査では、二交代制で夜勤明けの翌日を休日としている病院は83.7%で、ほとんどの病院が一定の配慮をしていますが、繁忙期には夜勤明け翌日の日勤がシフトに組み込まれるケースも報告されています。
有給休暇取得率は55.2%|改善傾向だが業種平均以下
有給休暇の取得率は55.2%で、前年の53.8%から1.4ポイント改善しました。しかし全産業平均の62.1%(厚労省「就労条件総合調査」)と比較するとまだ低い水準です。医療・福祉業界全体でも56.8%と低く、人手不足の影響が有給取得を抑制している構造は変わっていません。
有給を取りにくい背景
- 慢性的な人手不足:自分が休むと同僚の負担が増えるため、有給を申請しづらい雰囲気がある
- シフト制勤務の制約:夜勤の穴を埋めるのが難しく、特に連休の取得がしにくい
- 部署・上司の文化:「みんな取っていないから自分も取らない」という同調圧力
- 業務量の多さ:休んだ分の業務が後日に溜まるため、休むことが逆にストレスになる
2019年の労働基準法改正で年5日の有給取得が義務化されましたが、「義務の5日だけ取得して残りは消化しない」という病院がまだ多いのが実態です。法令遵守は最低ラインであり、看護師が心身の健康を維持するには年間10日以上の有給取得が望ましいとされています。
採用と人材確保|看護師争奪戦の激化
2025年調査では、看護師の採用難がさらに深刻化していることが明らかになりました。「予定通りの採用ができなかった」と回答した病院は58.3%で、過去最高を更新しました。
採用難の要因
- 看護師養成数の頭打ち:少子化の影響で看護学校の入学者数は減少傾向にあり、2025年の新規看護師国家試験合格者数は約5.6万人で横ばいです
- 大規模病院・都市部への集中:好条件を提示できる大規模病院に人材が集中し、中小規模病院や地方の病院は採用が厳しくなっています
- 訪問看護・クリニックへの転職増加:ワークライフバランスを重視する看護師が増え、病院以外の職場を選ぶケースが増加。訪問看護ステーションへの転職は5年前の1.5倍に増えています
- 他業種への転職:医療知識を活かした企業看護師、治験コーディネーター、医療機器メーカーなど、病院以外のキャリアパスが広がっています
人材確保のための施策
採用に成功している病院が取り組んでいる施策として、以下が調査で報告されています。
- 奨学金返済支援制度の拡充:月2〜5万円の返済支援を3〜5年間提供し、若手看護師の定着を図る
- 短時間正社員制度の導入:育児中の看護師がフルタイムに戻る前のステップとして、週30時間勤務の正社員枠を設定
- 夜勤回数の選択制:月4回・6回・8回から選べる仕組みを導入し、ライフスタイルに合わせた働き方を可能に
- 給与の見直し:ベースアップに加え、特定の診療科(救急・ICU・手術室など)への手当加算を設定
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この調査結果が看護師のキャリアに与える影響
2025年病院看護実態調査の結果は、個々の看護師のキャリア戦略にも示唆を与えます。ここでは、調査データを踏まえて考えるべきポイントを整理します。
賃金交渉の材料として活用する
この調査データは、あなたの給与が市場水準と比較して適正かどうかを判断する客観的な材料になります。たとえば200〜499床の病院に勤務していて月額給与が33万円以下であれば、平均を下回っています。昇給交渉や転職検討の際に「日看協の調査によると同規模病院の平均は35.1万円です」と具体的な数字を示すことができます。
夜勤の負担と手当のバランスを見直す
夜勤手当が15年間ほぼ横ばいという事実は、夜勤に対する金銭的報酬が妥当かどうかを再考するきっかけになります。月8回の夜勤で得られる手当は二交代制で約9万円ですが、この金額に対して失っている睡眠の質・生活リズム・健康リスクを天秤にかけて判断すべきです。
中堅層こそキャリアの選択肢を広げるべき
25〜34歳の就業継続意向が最も低いという結果は、この年代が最も「現状に不満を感じているが、行動には移していない」層であることを示しています。経験5〜10年目のスキルは市場価値が高く、転職市場では好条件を提示されやすい年代です。漠然とした不満を抱えながら現状に留まるより、自分のスキルが市場でどう評価されるかを把握しておくことが重要です。
まとめ|データを読み解いて自分のキャリアに活かす
2025年病院看護実態調査は、看護師を取り巻く環境が厳しさを増していることを数字で裏付けました。「働き続けたい」が6割に低下、賃金が就業継続の最重要因子に浮上、夜勤手当は15年間横ばい、新卒離職率は初の10%超え。これらのデータは、現場の看護師が肌で感じている「なんとなく辛い」「報われていない」という感覚が客観的な事実であることを証明しています。
重要なのは、この調査結果を「大変だな」で終わらせず、自分のキャリア判断に活かすことです。平均給与と自分の給与を比較し、夜勤手当の妥当性を検証し、今の職場で改善が見込めるのかどうかを冷静に判断しましょう。データに基づいた判断は、感情的な退職や衝動的な転職を防ぎ、納得のいくキャリア選択につながります。
2026年の看護師の給与引き上げ動向についてさらに詳しく知りたい方は「2026年看護師の給与引き上げ最新情報」をご覧ください。また、今の職場を辞めようか迷っている方は「看護師を辞めたいと思ったら読む完全ガイド」も参考にしてください。



