「親の介護が始まったが、夜勤を続けながらどうやって両立すればいいか分からない」「育児と介護のダブルケアで、どこから手をつけたらいいか分からない」——40代以降の看護師さんから多く聞かれる悩みです。
仕事で人をケアしているからこそ、家族の介護では自分のケアが後回しになりがちです。
この記事では、看護師さんが親の介護に直面したときに使える法定制度(介護休業・介護休暇・介護休業給付金)と、2025年の育児・介護休業法改正で追加されたポイントを厚労省の一次情報に基づいて整理します。
この記事でわかること
- 介護休業(通算93日)と介護休暇(年5日)の違い
- 介護休業給付金(賃金の67%)の受給条件
- 2025年改正で導入されたテレワーク努力義務化・40歳での情報提供義務
- ダブルケアの実態と相談先
- 夜勤勤務を続けながら介護をするための職場との交渉ポイント
判断材料になる一次情報
介護休業と介護休暇の違い
「介護休業」と「介護休暇」は名前が似ていますが、まったく別の制度です。
| 制度 | 期間 | 取得単位 | 給付 | 利用場面 |
|---|
| 介護休業 | 対象家族1人につき通算93日 | 3回まで分割可 | 雇用保険から介護休業給付金(賃金の67%) | 介護体制の構築期間(入院手続き・介護サービス調整など) |
| 介護休暇 | 対象家族1人につき年5日(2人以上なら年10日) | 1日・半日・時間単位 | 法定の給付なし(事業主による) | 通院付き添い・ケアマネとの面談など短時間の用事 |
(Source: 厚生労働省「育児・介護休業法のあらまし」)
介護休業の対象家族
配偶者(事実婚含む)、父母、子、配偶者の父母、祖父母、兄弟姉妹、孫——これらの「要介護状態」にある家族が対象です。要介護状態は介護保険の要介護認定とは独立した基準(厚労省の判断基準)で判定されます (Source: 育児・介護休業法第2条第3号、厚労省「介護休業の対象家族・要介護状態の判断基準」)。
介護休業給付金の受給条件
雇用保険の被保険者で、休業開始日前の2年間に 賃金支払基礎日数が11日以上ある月が12か月以上 あることが基本条件です。給付額は休業開始時賃金日額の 67% で、上限・下限があります (Source: 厚生労働省「介護休業給付金」)。
申請はハローワーク経由で、事業主が手続きを代行するのが一般的です。
2025年改正で何が変わったか
2024年5月に成立した育児・介護休業法等改正法により、2025年4月・10月に段階的に施行されました。介護関連の主な変更点は以下です (Source: 厚生労働省「令和6年改正育児・介護休業法等」)。
1. 介護のテレワーク導入が努力義務化(2025年4月)
要介護状態の対象家族を介護する労働者がテレワークを選択できるよう、事業主には措置を講じる 努力義務 が課されました。
看護師業務は対面が前提のものが多いですが、訪問看護記録の整理・委員会資料作成・eラーニング受講などはテレワーク化の余地があります。「介護のための在宅勤務日」を申し出る根拠として活用できます。
2. 40歳での介護両立支援情報の提供義務(2025年4月)
労働者が介護に直面する前の早期段階で、事業主から介護休業制度・介護両立支援制度等の情報提供を行うことが義務化されました。具体的には 40歳に達する年度 または 40歳の誕生日から1年間 が対象です。
「親の介護に直面してから慌てて制度を調べる」状態を防ぐための改正です。40歳になる看護師さんは、職場から情報提供を受けているか確認しましょう。
3. 介護休暇の取得要件緩和(2025年4月)
これまで「労使協定により除外可能」だった「継続雇用期間6か月未満の労働者」が除外対象から外され、入職直後でも介護休暇を取得できるようになりました (Source: 厚労省「令和6年改正のポイント」)。
ダブルケアの実態
ダブルケアとは、育児と介護を同時に担う状態を指します。内閣府の調査では、ダブルケアを行う者は全国で 約25.3万人(うち女性が約17万人)と推計されています (Source: 内閣府「育児と介護のダブルケアの実態に関する調査」)。
40代の看護師さんは、子育てがまだ終わらないうちに親の介護が始まる典型的なダブルケア世代に該当します。
ダブルケアの相談先:
- 地域包括支援センター(介護の入口、市町村に必ず設置)
- 自治体のダブルケア相談窓口(横浜市・大阪市など、専門窓口を設置する自治体が増加中)
- ケアマネジャー(要介護認定後)
- 病院の医療ソーシャルワーカー(MSW)(入院中の親の退院支援)
看護師として夜勤を続けながら介護する選択肢
「親の介護が必要だが、夜勤手当がないと生活できない」という看護師さんも多くいます。法定制度を組み合わせて使う例を示します。
パターンA:短期集中型
- 介護休業93日を一括取得:親の入院〜退院〜在宅介護体制構築まで集中的に対応
- 介護休業給付金で生活費を確保
- 復職後は元の夜勤シフトに戻る
パターンB:段階利用型
- 介護休業を3回に分割:①入院手続き2週間 ②要介護認定〜介護サービス調整4週間 ③在宅介護開始時の体制確認1か月——のように節目で取得
- 普段は 介護休暇(年5日) を通院付き添いに使用
パターンC:勤務形態調整型
- 介護休業は使わず、所定外労働の制限・深夜業の制限・短時間勤務 を組み合わせて長期間対応
- 育児・介護休業法第16条の8(深夜業の制限):要介護状態の家族を介護する労働者は、請求すれば22時〜5時の深夜業を制限してもらえる (Source: 育児・介護休業法第16条の8)
今の職場で確認すべきこと
- 就業規則に介護休業・介護休暇・介護のための短時間勤務・深夜業の制限が明記されているか
- 介護のためのテレワーク制度(努力義務)の運用実績はあるか
- 40歳到達時の介護両立支援情報の提供は行われているか
- 介護休業給付金の手続きは事業主が代行してくれるか
- 介護休業を申し出たときの代替要員確保の体制はどうなっているか
- 「介護を理由とした不利益取扱いの禁止」を就業規則で明示しているか
転職で解決しやすいこと/しにくいこと
解決しやすいこと
- 「介護休業申出時の体制が不十分」「テレワーク導入の意欲がない」事業場から、両立支援制度が充実した法人へ移ること
- 夜勤専従・常勤日勤・パート短時間など、介護状況に合わせた働き方の選択肢が多い職場へ移ること
- 訪問看護など、シフトの自由度が高い職場で介護と両立しやすい体制を作ること
解決しにくいこと
- 介護そのものの負担は転職では解消しない。ケアマネジャー・地域包括支援センターと連携して介護サービスを設計することが本筋
- 「介護休業中の業務代替」を看護師の少ない病棟では引き受けにくい構造は、法人規模が小さいほど共通の課題
- 同じ法人内でも病棟・部署によって運用差があるため、求人票だけでは判断しにくい
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「親の介護が始まりそうだが、まず何から手をつければいいか分からない」「現職の制度を使い切ったうえで、それでも難しければ転職を考えたい」——そんな相談を受けることが増えています。
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ここから先は、看護師として働いていて、両立支援制度が整った職場への転職を検討する場合の話です。求人票だけでは見えない「介護休業の取得実績」「夜勤免除の運用」「短時間勤務との併用可否」は、レバウェル看護のような看護師専門サービスで個別に確認することで判断しやすくなります。
まとめ
介護休業(通算93日)と介護休暇(年5日)、介護休業給付金(賃金の67%)は、要介護状態の家族を抱える労働者すべてに保障された権利です。
2025年改正でテレワーク努力義務化と40歳時点での情報提供義務が加わり、「直面してから慌てる」状態を防ぐ仕組みが整い始めています。
夜勤・シフト勤務という看護師の働き方は介護と両立しにくい面もありますが、法定制度を組み合わせて使えば一定の幅は確保できます。まずは現職で使える制度を確認し、必要に応じて専門相談につなぐ流れを意識しましょう。
よくある質問
Q. 親の要介護認定がまだ出ていません。介護休業を申し出られますか。 A. 介護休業の対象となる「要介護状態」は介護保険の要介護認定とは独立した基準で判定されます。常時介護を必要とする状態であれば、要介護認定を受けていなくても申出可能です (Source: 厚労省「介護休業の対象家族・要介護状態の判断基準」)。
Q. 介護休業給付金の額はいくらですか。 A. 休業開始時賃金日額の 67% が支給されます。月額上限・下限が設定されており、年度ごとに見直されます。詳細は最新の厚労省資料で確認してください (Source: 厚生労働省「介護休業給付金」)。
Q. パートでも介護休業は取れますか。 A. 期間雇用労働者でも、申出時点で「介護休業開始予定日から93日経過する日から6か月を経過する日までに、労働契約が満了することが明らかでない」場合は取得できます (Source: 育児・介護休業法第11条)。
Q. 介護のために夜勤を外してもらえますか。 A. 育児・介護休業法第16条の8により、要介護状態の家族を介護する労働者が請求した場合、事業主は22時〜5時の深夜業をさせてはならないとされています(事業の正常な運営を妨げる場合を除く) (Source: 育児・介護休業法第16条の8)。
Q. ダブルケア(育児+介護)の場合、両方の制度を使えますか。 A. はい。育児休業・育児休暇と介護休業・介護休暇はそれぞれ独立した制度であり、要件を満たせば同時期に併用可能です。
参考資料


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