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病院経営・労務5分で読めます

病院長・事務長向けトップマネジメント研修|医師の働き方改革を看護部と進める

研修参加をゴールにせず、タスク・シフト、支援職、DX、患者安全、職種別負担を同じKPIで管理する実務ガイドです。

医師の残業が減っても、看護師へ移れば病院全体では改善しない

厚生労働省の「医師の働き方改革 トップマネジメント研修」は、2026年7月から2027年2月までオンラインで開催されます。病院長、副院長、診療科長、事務長、働き方改革担当部門長など、医師の労務管理・働き方改革に関与する人が対象です。

研修は無料で、定員は各回150人程度。開催時間は14時から16時で、行政説明、医療機関の事例、質疑、ディスカッション等で構成されます。申込締切は原則として開催日の3営業日前ですが、定員で早く締め切られる場合があります。9月6日時点でも受付状況は回ごとに異なるため、公式ページで確認してください。

看護部を参加後に呼ぶのでは遅い

医師の時間外労働を減らす施策は、業務の移管先、時間帯、責任、教育、緊急時対応を変えます。看護部、医事、薬剤、検査、診療支援、情報、医療安全が企画段階から関与しなければ、別職種の残業や中断業務が増えるおそれがあります。

研修前に、次のメンバーで30分の事前会議を行います。

  • 経営責任者
  • 医師の働き方改革責任者
  • 看護部責任者
  • 事務・人事労務
  • 医療安全
  • 対象業務の支援職・コメディカル
  • システム・データ担当

同じ画面で見る5種類のKPI

観点KPI例判断すること
医師時間外、連続勤務、呼出、文書作業対象業務が本当に減ったか
看護職時間外、中断、夜勤負担、応援業務が移っただけになっていないか
支援職業務量、教育時間、欠員、離職受け皿の能力を超えていないか
患者待ち時間、説明、連絡、事故・苦情アクセスと安全が悪化していないか
経営人件費、委託費、採用、稼働、算定全体原価と持続性が改善したか

職種別時間外だけでなく、一件当たり処理時間、差し戻し、確認待ち、夜間・休日への移動も測ります。

研修で持ち帰るべき質問

タスク・シフト/シェア

  • 誰から誰へ、何の業務を移したのか
  • 権限、責任、最終確認をどう分けたか
  • 教育・認定・再評価に何時間かかったか
  • 移管先の時間外と安全指標はどう変わったか

DX

  • 入力と確認は何分減ったか
  • 二重入力や例外処理は増えていないか
  • 導入費だけでなく保守・教育・端末更新を含めたか
  • システム停止時の代替手順を訓練したか

マネジメント

  • 経営者が毎月確認する指標は何か
  • 現場が停止・修正を提案できる条件は何か
  • 取り組みを一部署から全院へ広げる判断基準は何か

参加後30日で実行する

  1. 3営業日以内:研修内容を自院の課題一つへ絞り、関係部署へ共有する
  2. 1週以内:現行業務を観察し、職種別の時間・中断・差し戻しを測る
  3. 2週以内:移管範囲、教育、責任、例外、中止基準を設計する
  4. 3〜4週目:一部署・一勤務帯で試行する
  5. 30日目:医師、看護職、支援職、患者安全、経営の5面で継続可否を決める

業務移管数や研修受講者数を成果にせず、病院全体の労働時間、安全、患者体験、原価の変化を成果とします。

申込前の確認

  • 参加者が医師の労務管理・働き方改革に関与する立場か
  • 医師リーダーと非医師管理者が一緒に参加・共有できるか
  • 開催回の受付状況と3営業日前の締切
  • 研修中のグループディスカッションへ参加できる環境
  • 受講証明が必要な場合の出席要件
  • 参加後30日の試行テーマと責任者

公式FAQでは、受講証明の発行に全体とグループディスカッションそれぞれ70%以上の出席が必要と案内されています。運用は変更される可能性があるため、申込時に最新情報を確認してください。

タスク・シフト候補の判定シート

候補業務ごとに、次の表を埋めます。「移せるか」だけでなく、移した後に病院全体で改善するかを確認します。

判定軸確認する質問
目的医師の何分・何件を減らし、患者の何を改善するか
法令・資格実施できる職種、指示、記録、最終責任は何か
現行工程依頼、実施、確認、差し戻し、例外はどこにあるか
受け皿移管先の人員、勤務帯、教育、端末、場所は足りるか
安全誤り・遅延を検知し、中止・エスカレーションできるか
労務職種別の時間外、中断、夜勤負担はどう変わるか
経営初期・運用原価と、確認できる効果は何か
評価基準値、試行期間、継続・中止基準は何か

法令上の可否や施設基準は、対象業務ごとに院内の医療安全、法務、関係専門職が最新の通知・ガイドラインで確認します。他院の事例が自院でも同じ条件で実施できるとは限りません。

「看護師へ移さない」選択肢も比較する

医師業務の受け皿を看護師だけに限定しないでください。

  • 医師事務作業補助者、病棟クラーク等へ移す
  • 薬剤師、臨床検査技師、診療放射線技師等と役割を分ける
  • 依頼・承認・予約の工程そのものをなくす
  • テンプレート、音声入力、システム連携で重複を減らす
  • 実施時間帯や患者動線を変える
  • 集約部署を作り、病棟ごとのばらつきを減らす

候補ごとに安全、職種別負担、費用、実施速度を比較し、看護職への移管が最適な場合だけ選びます。

研修参加者の院内報告フォーマット

  1. 自院の課題と研修で確認できた事例
  2. 自院と事例施設で異なる前提
  3. 試したい一業務と対象部署
  4. 医師・看護職・支援職・患者・経営の基準値
  5. 必要な承認、教育、システム、予算
  6. 30日試行の責任者と中止基準

報告会で「良い事例だった」と共有するだけで終わらず、試行しない判断を含め、経営会議で次行動を決めます。

よくある質問

事務長や看護部長だけでも受講できますか

公式FAQでは、主な対象は病院長で、医師でない管理者も受講可能と案内されています。ただし、可能なら院内の医師リーダーと一緒に参加することが推奨されています。申込時は最新の対象条件を確認してください。

どの開催回を選んでも内容は同じですか

行政説明など共通要素がありますが、事例発表を担当する医療機関は回によって異なります。自院の課題に近い事例と受付状況を公式ページで確認します。

受講証明が目的でもよいですか

証明が必要な事情はあり得ますが、出席だけでは自院の業務は変わりません。申込前に一つの課題と基準値を決め、参加後30日以内の試行または見送り判断まで予定してください。

次の一手

病院経営・労務改善を相談するでは、研修で得た事例を、自院の業務一覧、職種別KPI、30日試行計画へ変換します。看護職の勤務環境改善チェックもあわせてご活用ください。

参考資料