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外来医療費が増えて受診延日数は減少|医院の売上・人員を5指標で読み直す

売上増だけで順調、患者減だけで人員削減と判断せず、実患者、延べ数、単価、時間帯、看護師工数を分けます。

外来収入は前年より増えたのに来院数は減り、現場は忙しい。そんな医院の院長・事務長が全国統計を見るとき、医療費と患者数を一つの数字にしないことが重要です。

厚生労働省が2026年9月9日の中医協へ示した2025年度概算医療費は49.2兆円、前年度比2.6%増でした。医科入院外は16.5兆円で1.6%増ですが、受診延日数は1.6%減、1日当たり医療費は3.2%増です。

これは全国のレセプト集計で、自院の患者実人数、売上、利益を直接示すものではありません。

3つの数字を分けて読む

指標2025年度の全国値自院で対応する数字
医科入院外の医療費1.6%増外来診療収益・請求額
受診延日数1.6%減延べ来院日数・再来回数
1日当たり医療費3.2%増一来院当たり単価

医療費の増加から受診延日数の減少を差し引いて利益を計算することはできません。診療内容、薬剤・材料、人件費、施設基準、患者構成が違うためです。

医院で見る5指標

  1. 月間の患者実人数
  2. 新患・再来を含む受診延日数
  3. 一来院当たり診療収益
  4. 曜日・時間帯別の待ち時間と残業
  5. 一来院当たりの受付・看護・医師工数

単価が上がっても、説明、検査、書類、問い合わせが増えて一件当たり工数が上がれば、利益は伸びない場合があります。反対に患者数が減っても、予約平準化で残業が減り患者体験が改善している可能性もあります。

「患者が減ったから人を減らす」の前に見ること

  • 特定曜日・時間帯だけ混雑していないか
  • 処置・検査・説明が長い患者の比率が変わったか
  • 電話、予約変更、書類、保険確認が増えていないか
  • 看護師が診療補助以外の転記・会計補助を担っていないか
  • 休憩未取得、前残業、終業後記録が増えていないか

独自の判断軸は、患者数ではなく「一来院を完了する総職員時間」です。延べ数が減っても総職員時間が同じなら、業務が複雑化している可能性があります。

4週間の分析手順

第1週に全国値と自院値を分け、第2週に曜日・時間帯を可視化します。第3週に10件程度の診療動線を観察し、待ち・転記・確認・再説明を記録します。第4週に、予約枠、担当、帳票、患者案内のうち一つだけ変更し、待ち時間と残業を再測定します。

AIや予約システムの導入は、ボトルネックが特定されてから検討します。システムを先に契約すると、不要な入力項目や二重運用が残るおそれがあります。

収益・利益へつなぐ

全国医療費の伸びを営業計画に置き換えるのではなく、自院の単価、工数、材料費、残業、キャンセルを同じ月で見ます。改善効果は売上だけでなく、待ち時間、職員負担、再来、請求手戻りで判断します。

医院のデータ集計・業務改善相談では、既存のレセプト、予約、勤怠を使い、追加入力を増やす前に一来院当たりの業務を整理します。

患者群と診療動線を混ぜない

月平均だけでは、同じ患者数でも忙しさが違う理由を説明できません。自院の診療に合わせ、例えば新患・再来、予約・当日、処置あり・なし、説明書類あり・なしに分けます。区分を増やしすぎず、意思決定に使う二、三軸から始めます。

確認する場面見る数字変える候補
予約前電話、ウェブ離脱、予約変更案内文、予約枠、問い合わせ先
来院時受付待ち、資格確認の手戻り事前案内、受付分担
診療中診察、処置、検査、説明時間標準手順、物品配置、役割
診療後会計待ち、書類、再問い合わせ会計連携、説明資料

実人数が減って延べ日数が維持されているなら、同じ患者の再来頻度が変わった可能性があります。反対に延べ日数が減っても、長い説明や複雑な処置が増えていれば現場時間は増えます。全国統計から原因を決めず、患者群別の動線で確かめます。

人員削減の前に行う負荷テスト

欠勤者が出た日、予約が集中した日、システム障害時に、どの業務が止まったかを過去記録から確認します。余裕に見える時間が、急変対応、感染対策、教育、休憩を吸収する安全余力である場合があります。

削減案を試すなら、期間、対象時間帯、患者待ち時間、残業、安全上の中止条件を決めます。人を減らした結果、電話放棄、説明不足、未収、請求返戻、離職が増えれば、短期の人件費削減を利益改善とは評価できません。

経営会議に出す一枚

  • 全国値と自院値を別欄にする
  • 実人数、延べ日数、単価、総職員時間を同じ月で比べる
  • 材料費、外注費、残業、返戻を差し引く
  • 変更した運用と開始日を記録する
  • 30日後の継続・修正・中止条件を示す

参考資料

最終確認日:2026年9月11日。概算医療費は医療保険・公費負担医療のレセプトを基礎とする全国集計で、労災・全額自費等を含みません。