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紙カルテの診療所ほど先に決めたい|OTC類似薬の判定・説明・処方箋を4担当で分ける

国の財政支援を待つのではなく、医師の判断、看護師・受付の説明、薬局連携、システム改修を分けて準備します。

「うちは紙カルテに近い運用だから、OTC類似薬の対象・対象外を診察中にどう判断するのか」と不安な診療所の院長・事務長へ。制度対応で最初に避けたいのは、対象判定、患者説明、処方箋、会計を一人の経験に集めることです。

2026年9月11日の医療保険部会資料は、対象約77成分、別途負担の対象外となる考え方、長期使用とアトピー性皮膚炎の具体例、電子カルテ・レセコン向け情報、紙カルテ向けチェックシートなどを示しました。9月8日の厚生労働大臣会見では、施行に際する財政支援は現時点で検討していないこと、電子カルテ未導入が2023年調査で一般病院2,427施設、一般診療所47,232施設であることも説明されています。

9月11日資料にも「案」「してはどうか」という記載があり、記事公開時点で当日の議事録は未公表です。本稿では会議資料と正式通知を分け、確定通知を先取りせず準備できる事項を整理します。

9月11日資料で示された実務の骨格

院外処方では、まず対象成分、年齢、生活保護の医療扶助など外形的情報を確認し、次に医師が効能・効果、がん・指定難病、公費負担医療、処置後14日以内、長期使用などを診療に基づいて判断する流れです。対象外理由はレセプト・処方箋へ記載し、対象の場合は薬局が別途負担を説明・徴収する案です。

9月11日資料は、電子カルテ・レセコン向けに薬剤コード、OTCと効能・効果が対応しない傷病名、対象外理由の標準例を国が公表する案を示しました。システムが候補を表示しても、がん、指定難病、長期使用等は診療を踏まえて医師が最終判断する整理です。最終的な施行通知、対象品目マスター、処方箋・レセプト記載要領を確認してから仕様を固定してください。

長期使用とアトピー治療は一律判定にしない

長期使用は、50週分の処方実績を一律に求めず、少なくとも6か月程度の使用実績と、年間を通じた使用が必要という医師の判断を組み合わせる案です。診療情報提供書、薬剤情報、お薬手帳、オンライン資格確認など、診療時に把握できる情報の活用で足りるとの整理も示されました。

アトピー性皮膚炎で、再燃予防のため通年にわたり定期的にステロイド外用薬を使うプロアクティブ療法は対象外とする案です。一方、一定期間の後に中止した場合や、症状が出たときだけ使うリアクティブ療法は対象となる例に挙げられています。単純な「6か月経過」フラグや傷病名だけで自動確定しない仕様が必要です。

4担当へ分ける準備表

担当9月中に決めること
医師対象外の医学的判断、長期使用履歴の見方、疑義照会への回答
看護師・受付患者質問の一次受け、説明範囲、診察へ戻す条件、外国語等の配慮
医事・会計レセプト理由、処方箋表記、返戻時対応、薬局との連絡窓口
システム担当対象薬コード、傷病名、アラート、ベンダー改修、紙運用の代替

独自の判断軸は、「誰が最終判断するか」より先に「どこで情報が欠けるか」を探すことです。紙カルテでも処方履歴が検索できるのか、複数診療科の長期使用を確認できるのか、受付の質問が診察へ届くのかをテストします。

ベンダーへ確認する8項目

  1. 対象医薬品マスターの提供時期と更新方法
  2. OTCで対応しない効能・効果の扱い
  3. 年齢、公費、傷病名、長期処方履歴の参照範囲
  4. システムは候補表示にとどまり、医師が最終判断できるか
  5. 対象外理由の選択肢とレセプト記載
  6. 処方箋の新欄と旧様式の経過措置
  7. 薬局からの疑義照会を残す場所
  8. 障害時・未改修時の紙チェックシート運用

「制度対応済み」という回答だけでは足りません。画面、帳票、マスター更新、費用、試験日、責任分界を見積書と仕様書で確認します。

患者説明は負担額の一覧だけでは回らない

別途負担は対象薬の薬剤費の4分の1を基礎にする整理ですが、通常の自己負担や技術料もあり、薬価や消費税の扱いで実額は変わります。患者向けFAQには次を分けて載せます。

  • すべてのOTC類似薬が保険外になる制度ではない
  • 同じ薬でも治療目的・患者条件で扱いが変わり得る
  • 医学的な対象外判断は診療を踏まえて医師が行う
  • 市販薬への自己判断の変更を勧める制度ではない
  • 具体的な負担額は処方・調剤時に確認する

受付で対象外を約束したり、薬局に判断を丸投げしたりすると、再説明と苦情対応が増えます。説明範囲を役割別に一文で決めます。

30日で行う運用テスト

処方頻度の高い対象候補薬を匿名化した模擬ケースにし、対象外理由が異なる5例程度で受付から薬局照会までを通します。所要時間、迷った項目、情報不足、二重入力を記録し、制度開始前に手順を直します。実患者の情報を研修資料へ無断転用しないでください。

医療費疑義解釈の院内実装と同じく、通知を読む担当と現場実装の担当を分けないことが重要です。業務フロー整理・患者説明の相談では、現状の紙・システム運用を確認し、改修前に業務分担と確認項目を一枚にします。

改修を発注する前の承認ゲート

9月11日資料は準備の論点には使えますが、最終仕様書そのものではありません。改修発注は、少なくとも次を確認するゲートに分けます。

ゲート確認するもの未確認時の扱い
制度対象、対象外、施行日、経過措置患者へ確約しない
標準薬剤マスター、処方箋、レセプト記載本番仕様を固定しない
業務医師判断、受付説明、薬局照会模擬ケースで検証する
契約改修範囲、費用、保守、更新責任見積条件を明記する
稼働テスト、研修、障害時手順開始可否を責任者が承認する

ベンダーへ「国の資料どおりに対応」と依頼するだけでは、後から対象品目や帳票が更新されたときの追加費用と責任が曖昧になります。どの版の資料を基準にしたか、国の変更を誰が検知し、マスターを誰が配布し、自院がいつ反映するかまで記録します。

苦情ではなく照合記録を残す

患者から「前回と説明が違う」と言われた場合は、発言者の記憶を争う前に、受診日、診療科、処方目的、使用した資料の版、処方箋記載、薬局照会を照合します。制度開始前の研修でも、同じ質問に受付・看護師・医師・薬局がそれぞれ回答し、食い違いを記録するテストが有効です。

患者説明の更新履歴を残せば、制度変更による差と院内ミスを分けられます。説明時間だけを短くするのではなく、再問い合わせと疑義照会が減ったかまで運用効果として測ります。

参考資料

最終確認日:2026年9月11日。会議の議事録、施行通知、薬剤マスター、処方箋・レセプト記載要領が公表されたら差分を確認します。