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病院がサイバー攻撃を受けたら看護部はどう動く?電子カルテ・ナースコール停止BCP

技術復旧のBCPだけでは診療を継続できません。看護部が最初の15分、2時間、24時間、復旧後に動く手順と権限を整理します。

サイバーBCPには「復旧」だけでなく「看護を続ける手順」が必要

厚生労働省は2026年5月、高性能AIの悪用により、医療情報システムや院内ネットワーク機器の脆弱性探索が容易になり、攻撃頻度が上がることを想定した注意喚起を行いました。6月には「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン第7.0版」とサイバーセキュリティ対策チェックリストを公開しています。

情報システム部門が侵入経路を遮断し、バックアップから復旧しても、その間に患者識別、医師の指示、与薬、検査、看護記録が止まれば患者安全を保てません。看護部BCPは、技術復旧計画の別紙ではなく、診療継続計画の中心に置きます。

最初の15分に決めること

  1. 患者安全を優先して対象システムの利用を止める
  2. 障害か攻撃疑いかを現場で断定せず、院内窓口へ報告する
  3. 影響範囲を、電子カルテ、オーダー、認証、薬剤、検査、ナースコール、電話で確認する
  4. ダウンタイム責任者が紙運用への切替えを宣言する
  5. 最新指示・アレルギー・与薬直前情報を取得できない患者を優先把握する
  6. 私物端末、個人クラウド、無許可USB等による迂回を禁止する

厚生労働省は、攻撃の疑いを含むサイバーインシデントや医療情報システム障害について、発生後速やかな連絡を求めています。院内報告と所管先への報告責任者を事前に分けてください。

看護部ダウンタイム表

業務代替手順二重確認復旧後の処理
患者識別紙リスト、リストバンド、病床表氏名+生年月日等電子情報と差分確認
指示受け番号付き紙指示、復唱、時刻記録医師・受領看護師取消・変更を含め登録
与薬・注射紙MAR、現物、薬剤部連絡患者・薬剤・量・時刻実施済みを重複入力しない
検査・処置紙依頼、搬送連絡、結果受領簿依頼者・実施者結果と対応をひも付ける
ナースコール巡回頻度、手鈴等、観察優先度高リスク者リスト未対応要求を確認
入退院・転棟受付簿、病床ホワイトボード病床管理責任者患者・病床を照合
手術・救急優先順位、延期・受入制限診療責任者決定時刻と理由を登録
看護記録通し番号付き様式書き手・時刻原紙保全、転記ルール適用

紙様式は、障害後に印刷するのではなく、部署別に最低限の部数を管理し、改訂日と責任者を表示します。

ナースコール停止時は巡回回数だけ増やさない

一律に巡回を増やすと、別の重要業務が抜けます。転倒、呼吸、意識、離床、疼痛、排泄、認知機能、隔離などから高リスク患者を優先し、巡回担当、時間、異常時連絡を記録します。病室側の代替手段が使えるか、患者・家族へ短く説明します。

2時間以内の経営判断

  • 救急・予定入院・手術・検査をどこまで継続するか
  • 他院搬送・応援要員・追加薬剤師等が必要か
  • 病棟ごとの患者安全リスクと残業見込み
  • 代替通信と院内放送をどう使うか
  • ベンダー・保守委託先の接続を誰が許可するか
  • 患者・家族・職員・関係機関へ何を説明するか

看護部へ継続責任だけを渡さず、受入制限、応援、人員再配置、業務停止を決める権限者を明記します。

復旧後の転記で二次事故を起こさない

「全部を急いで電子化」すると、二重投与、時刻誤り、原記録消失が起こり得ます。

  1. 復旧時刻と利用可能機能を正式宣言する
  2. 紙原本を回収せず、部署単位で所在管理する
  3. 未実施、実施済み、取消、変更を分ける
  4. 重要度順に転記し、転記者と確認者を記録する
  5. 電子記録に紙記録期間と原本所在を示す
  6. 薬剤・検査・入退院の差分を部門横断で照合する
  7. 原本の保存期間・方法を院内規程に従う

年1回は全停止訓練を行う

机上訓練だけでなく、電子カルテ、認証、電話、ナースコールのうち複数が使えない想定で、紙を取り出し、指示を受け、模擬与薬を確認し、患者を転棟させます。開始から紙運用宣言までの時間、患者識別誤り、連絡不能、転記差分を測ります。

次の一手

医療サイバー・診療継続BCPを相談するでは、情報部門の復旧計画と、看護・薬剤・検査・医事の代替手順を一枚につなげます。医療情報システム安全管理ガイドライン7.0版の現場確認もご活用ください。

本記事は一般的なBCP設計であり、攻撃調査、システム操作、診療判断、法的報告を代替するものではありません。厚生労働省、個人情報保護委員会、院内対策本部、警察・専門機関の最新指示を優先してください。

参考資料