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医療的ケア児者の災害BCP|個別避難計画・電源・薬剤・多職種連携

事業所BCPがあっても、利用者ごとの電源・避難・受入先が決まっていなければ動けません。平時の更新、訓練、安否確認まで一枚にします。

事業所BCPと利用者一人ひとりの計画は別物

災害時の事業所BCPに、連絡網、参集、備蓄、代替拠点が書かれていても、人工呼吸器を使う利用者が何時間移動できるか、誰が迎えに行くか、避難所でケアできない場合にどこへ移るかが決まっていなければ、個別支援は動きません。

2027年4月施行の改正法では、医療的ケア児等支援センターの業務として、個別避難計画作成への協力や、災害時に市町村と連携した情報提供等が整理されています。第15回日本小児在宅医学会学術集会でも、個別避難計画、停電、福祉避難所、安否情報共有が独立した災害テーマとして扱われました。

個別BCPの八項目

項目記録すること更新契機
医療機器機器名、設定、消費電力、予備機、保守先機器・設定変更
電源内蔵・外部電池、充電、発電機、給電先電池劣化、転居
薬剤・物品必要量、保管、使用期限、代替可否処方・使用量変更
避難判断在宅継続、水平・垂直避難、搬送条件病状・建物変更
移動担架、車いす、福祉車両、運転者、経路車両・道路変更
連絡本人・家族、訪問看護、医師、学校、行政担当者変更
受入先病院、福祉避難所、短期入所、代替候補受入条件変更
記録・同意共有先、共有情報、更新者、本人意思計画更新時

バッテリー持続時間はカタログ値だけで決めず、現在の設定、劣化、周辺機器、移動時間を含め、メーカー・保守事業者と確認します。

「家族が動けない場合」を先に決める

個別計画が家族の運転、機器運搬、吸引、連絡を前提にしていると、家族の負傷、道路寸断、きょうだい対応で破綻します。次の代替を最低一つずつ決めます。

  • 連絡が取れない場合の安否確認担当
  • 家族が搬送できない場合の輸送相談先
  • いつもの訪問看護師が行けない場合の代替連絡
  • 主治医・病院が被災した場合の医療相談先
  • 指定避難所で受入困難な場合の次候補
  • 電源供給が止まった場合の優先移動先

行政、消防、医療機関の対応を確約されたものとして記載せず、確認日、回答者、条件を残します。

情報共有を二層に分ける

持ち出し用の短いカードには、本人確認、緊急連絡、生命維持に直結する機器・薬剤、禁忌、搬送上の注意を載せます。詳細版には、設定、手技、物品、生活上の配慮、本人・家族の希望、支援機関を記録します。

災害だから無制限に情報共有できるわけではありません。平時に共有目的・範囲・保管方法を説明し、端末や紙を紛失した場合の報告方法も決めます。

年2回の実動訓練

  1. 連絡網を実際に回し、応答時間と不通先を確認する
  2. 電源を切り替え、必要機器を同時稼働させる
  3. 玄関・階段・車両まで移動し、所要時間と必要人数を測る
  4. 受入先へ模擬連絡し、伝える情報と確認項目を揃える
  5. 訪問看護・学校・相談支援・行政で記録を突き合わせる
  6. 失敗箇所を計画、備蓄、契約、担当表へ反映する

訓練は成功させる行事ではなく、動かない箇所を見つける監査です。

管理者が見るKPI

  • 個別計画の作成率ではなく、6カ月以内更新率
  • 電源・搬送の実動確認率
  • 連絡不能・受入条件不明の件数
  • 家族以外の代替支援者が決まった割合
  • 訓練で見つかった課題の期限内是正率
  • 病状・機器変更から計画更新までの日数

次の一手

医療的ケア児者の個別BCP整理を相談するでは、事業所BCPと利用者別計画を分け、電源、搬送、受入れ、情報共有を実動確認できる形へ整えます。改正法の施行準備もあわせてご確認ください。

本記事は一般的な計画設計です。避難、医療機器、電源、搬送、診療に関する個別判断は、自治体、消防、主治医、機器事業者、各支援機関の最新指示を優先してください。

参考資料