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介護経営DBは10月に報告再開へ|訪問看護・介護施設が会計と給与データで点検すること

再開の一文だけを社内へ流すと、報告単位と按分の話が後から出てきます。会計年度、報告単位、担当者を先に決めます。

経理担当が出す法人全体の決算書と、サービスごとに把握したい経営数値は、同じものではありません。介護サービス事業者経営情報(介護経営DB)の報告でつまずくのは、多くの場合この一点です。

厚生労働省は2026年9月18日14時から16時に、社会保障審議会介護保険部会(第136回)を開催しました。資料4「介護サービス事業者経営情報の調査及び分析等について(報告)」に、令和8年10月より報告を再開するという記述があります。令和7年1月から事業者の報告受付を開始したものの、令和7年4月以降、令和7年3月以降に会計年度が終了する経営情報の報告受付を停止していた、という経緯も同じ資料に示されています。

この記事は制度の紹介ではなく、再開に向けて事業所側で先に決めておく事項を、訪問看護・看護小規模多機能型居宅介護・介護施設の管理者向けに整理したものです。

資料4が示した再開と、その背景にある2つの課題

資料4は、受付を停止していた間にシステム改修を行った理由として、2つの課題を挙げています。

1つは按分処理です。令和6年3月から令和7年2月に会計年度が終了する分の報告を見ると、令和5年度に介護保険給付費の請求実績を有する事業所219,788件に対し、報告があったのは108,800件でした。このうち明らかな入力誤り等を除いた106,251件を分けると、介護サービス単位の報告は38,228件(36.0%)、事業所・施設単位の報告は17,465件(16.4%)、法人単位の報告は50,558件(47.6%)。按分処理が必要な報告は68,023件(64.0%)に上りました。複数サービスをまとめた報告や、医療・障害福祉サービス分を含めた報告が想定以上に多かった、と説明されています。

按分の精度を上げるため、介護事業経営実態調査でも取得している「延べ床面積」を任意報告項目として追加するシステム改修を実施した、とされています。

もう1つは入力のしやすさです。事業者の報告負担を軽くする目的で必須項目を最小限にし、システム上のエラーチェックも最低限としていた結果、報告時に事業者側のダブルチェックを前提とすることになり、かえって負担になっていた。入力誤りが発生しやすいシステム構造だった、という課題が挙げられ、これらに対応する改修を実施したと記載されています。

資料に書かれているのは「令和8年10月より報告を再開する」までです。再開の具体的な日付、再開後に最初に報告する対象会計年度、提出期限は、この資料からは確認できません。 「10月」を全国共通の提出期限として社内へ周知すると、後で訂正が必要になります。

数字を集める前に、報告単位を決める

順番を逆にすると作業が増えます。先に決めるのは、どの単位で報告するかです。

資料4によれば、報告は原則として事業所・施設(介護サービス)ごとですが、報告負担への配慮から、複数サービスを合算した事業所・施設単位や、法人単位の一体会計での報告も認められています。合算して報告した分は、国の側で介護サービスごとに按分されます。

つまり、法人単位でまとめて出すほど自法人の作業は減りますが、分析に使われる数字は按分を経たものになります。自法人のサービス別の実態を、公表される分析結果と照らして読みたい場合は、この違いを理解したうえで単位を選ぶことになります。

報告対象は原則としてすべての介護サービス事業者です。ただし、事業所・施設のすべてが「過去1年間で提供した介護サービスの対価として支払いを受けた金額が100万円以下」または「災害その他、都道府県知事に対し報告を行うことができない正当な理由がある」に当たる場合は、報告対象から除外されます。報告期限は、毎会計年度終了後3月以内と定められています。

準備表:どの数字を、誰が、いつまでに

再開の案内が出てから集め始めると、会計と給与の担当が同時に動くことになります。先に割り振っておく項目を挙げます。社内期限は目安であり、自法人の決算スケジュールに合わせて置き換えてください。

報告項目数字の出どころ社内の担当社内期限つまずきやすい点
事業所名称、法人番号、介護事業所番号、サービス種類指定・届出書類事務長会計年度終了前指定変更後の番号が古いまま残っている
介護事業収益会計システム、請求データ経理決算確定後2週間保険外収入や医療保険分が混ざる
給与費給与システム労務決算確定後2週間法定福利費、派遣費用の扱いが年度で違う
業務委託費、減価償却費、水道光熱費、その他費用会計システム経理決算確定後2週間共有経費の配賦根拠が残っていない
職種別人員数(常勤/非常勤に分ける)人事台帳、勤怠労務決算確定後2週間兼務者をどちらで数えたか記録がない
複数の介護サービス事業の有無、医療・障害福祉サービスの有無事業計画、指定状況事務長会計年度終了前併設事業の申告を忘れる
任意:職種別給与(給料・賞与を常勤/非常勤別に)給与システム労務提出2週間前必須の人員数と区分・対象者がそろっていない
任意:延べ床面積(介護サービス別、医療、障害福祉別)建物図面、賃貸借契約事務長提出2週間前サービス別に面積を測った記録がない

職種の区分は、介護事業経営実態調査で報告を求めているものと同じ区分とされ、医師、看護師、介護職員、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、生活相談員・支援相談員、調理員、栄養士、事務職員などが例示されています。延べ床面積については、令和8年度から「その他の必要な事項」として追加する予定と資料4に記載されています。

共有経費の配賦根拠を、今のうちに文書化する

按分処理が必要な報告が64.0%を占めたという数字は、多くの法人で会計が介護サービス単位に分かれていない実態を示しています。ここで実務上の分かれ目になるのは、集計の速さではなく配賦の根拠が後から説明できるかどうかです。

訪問看護と居宅介護支援を同じ事務所で運営している、施設と併設の通所を1人の事務職が担当している。こうした場合に、家賃・水道光熱費・事務職員の人件費をどう割ったのかを記録に残します。面積比なのか、利用者数比なのか、常勤換算数比なのか。根拠を1枚のメモにして会計データと一緒に保管しておけば、翌年度に担当者が変わっても同じ方法で出せます。

任意項目の職種別給与を提出するかどうかも、先に決めておく事項です。提出する場合は、必須項目の職種別人員数と同じ区分・同じ対象者でそろえないと、1人当たりの金額が実態とずれます。処遇改善の社内説明に使っている数字と、報告に使う数字の定義が別々のまま進むのも、起きやすいずれ方です。

未確認のことを、確定事項として社内に流さない

資料4から確認できるのは、再開の時期が令和8年10月とされたこと、システム改修の内容とその理由、報告対象・報告項目・報告期限の枠組みです。次の点は、この資料には書かれていません。

  • 受付再開の具体的な日付
  • 再開後に最初に報告する対象会計年度
  • 新しい入力画面やマニュアルの公開時期
  • 都道府県ごとの案内や問い合わせ窓口の運用

これらは公式システムと都道府県の案内で確認してください。また、公表される分析結果は属性等に応じてグルーピングされたものであり、個別の施設の経営状態や、そこで働く看護職の給与水準を断定できる資料ではありません。

会計・給与・業務データの定義をそろえる作業と、職員への処遇説明の組み立ては、報告の前段階で片づけておくほど後が楽になります。業務・データ整理のご相談では、新しい入力作業を増やす前に、既存データのどこが合っていないのかを確認するところから始めます。

参考資料

最終確認日:2026年9月18日。再開の具体的な日付、対象会計年度、提出期限、システムの操作方法は、公式システムおよび都道府県の案内を優先してください。