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バイタルサイン測定は、看護のすべての基盤となる最重要スキルです。体温・脈拍・血圧・呼吸数・SpO2の5つのバイタルサインを正確に測定できることは、実習でもっとも最初に求められる能力であり、臨床に出てからも毎日行う業務です。正しい手順と正常値を理解しておけば、患者さんの異変にいち早く気づけるようになります。
この記事でわかること
- 体温・脈拍・血圧・呼吸数・SpO2それぞれの正しい測定手順
- 各バイタルサインの正常値と年齢別基準値一覧
- 異常値を発見したときの判断基準と報告のポイント
バイタルサイン測定の基本と目的
バイタルサインとは「生命徴候」を意味し、人体の基本的な生理機能を数値化したものです。看護師が測定するバイタルサインは、体温(BT)、脈拍(PR)、血圧(BP)、呼吸数(RR)、経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)の5項目が基本です。
バイタルサイン測定の目的は大きく3つあります。第一に、患者さんの現在の全身状態を客観的に把握すること。第二に、前回の測定値と比較して状態の変化をいち早く発見すること。第三に、治療やケアの効果を評価し、次のアクションにつなげることです。
実習では1日のうち複数回バイタルサインを測定します。朝のバイタルは受け持ち患者さんの状態把握の出発点であり、その日の看護計画を立てる根拠になります。だからこそ正確な測定技術が不可欠なのです。
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体温(BT)の測定手順と正常値
腋窩検温の正しい手順
臨床で最も一般的に使われるのが腋窩(えきか)検温です。以下の手順で正確に測定できます。
- 患者さんに体温測定を行うことを説明し、同意を得る
- 腋窩に汗がある場合は乾いたタオルで軽く拭き取る(汗があると気化熱で低く出る)
- 体温計の先端を腋窩の最深部に当てる(腋窩動脈の上に位置するように)
- 体温計が身体の軸に対して約30〜45度の角度になるように固定する
- 上腕を体幹に密着させ、腋窩を完全に閉じた状態を保持する
- 電子体温計の場合、予測式で約20秒、実測式で約10分待つ
- 測定値を読み取り、記録する
体温の正常値と異常値の判断
成人の腋窩温の正常値は36.0〜37.0℃です。ただし個人差があるため、患者さんの平熱を把握しておくことが重要です。
- 微熱:37.0〜37.9℃(感染初期、術後、脱水などで上昇)
- 中等度発熱:38.0〜38.9℃(感染症の進行、炎症反応)
- 高熱:39.0℃以上(重症感染症、敗血症の可能性。すぐに報告)
- 低体温:35.5℃未満(循環不全、低栄養、環境要因を考慮)
注意すべき点として、食後30分以内、入浴直後、運動直後は体温が上昇しているため、これらの影響がない状態で測定するようにしましょう。また、麻痺側では循環障害により正確な値が得られないため、健側で測定します。
脈拍(PR)の測定手順と正常値
橈骨動脈での脈拍測定
脈拍測定で最も一般的に使われるのが橈骨動脈(手首の親指側)です。以下の手順で正確に測定しましょう。
- 患者さんに脈拍を測ることを説明する
- 患者さんの手首を安静な位置に置く(座位または仰臥位)
- 示指・中指・薬指の3本の指腹を橈骨動脈の上に軽く当てる(親指は使わない。自分の脈と混同するため)
- 脈の強さ・リズム・速さを感じ取る
- 不整脈がなければ30秒間測定し2倍する。不整脈がある場合は60秒間測定する
- リズムの整・不整、脈の強弱も合わせて観察・記録する
脈拍の正常値と観察ポイント
成人の安静時脈拍の正常値は60〜100回/分です。
- 頻脈:100回/分以上(発熱、痛み、不安、出血、心不全などで上昇)
- 徐脈:60回/分未満(一部の心疾患、迷走神経反射、降圧薬の副作用など)
- 不整脈:リズムが不規則な場合は必ず60秒間測定し、詳細を報告する
脈拍は数だけでなく、「リズム」と「強さ」の3つの要素を観察します。脈が弱くて速い場合はショックの兆候、脈が強くて遅い場合は頭蓋内圧亢進の兆候(クッシング現象)の可能性があります。この3要素をセットで報告できるようになることが大切です。
血圧(BP)の測定手順と正常値
上腕での血圧測定手順
自動血圧計が普及していますが、実習では水銀血圧計やアネロイド血圧計を使う場面も多くあります。聴診法による測定手順を確実に身につけておきましょう。
- 患者さんに血圧測定を行うことを説明し、5分以上安静にしてもらう
- 上腕を心臓と同じ高さに保つ(座位の場合はテーブルの上に腕を置く)
- マンシェットの下縁が肘窩の2〜3cm上にくるように巻く。指が1〜2本入る程度の余裕を持たせる
- 上腕動脈の拍動を触知し、その位置に聴診器のベル面または膜面を当てる
- マンシェットを触診法で推定した収縮期血圧より30mmHg高く加圧する
- 1拍動につき2〜3mmHgの速度でゆっくり減圧する
- 最初にコロトコフ音が聞こえた時点が収縮期血圧(上の血圧)
- コロトコフ音が消失した時点が拡張期血圧(下の血圧)
- 測定値を偶数で記録する(例:128/82mmHg)
血圧の正常値と分類
日本高血圧学会の分類(JSH2019)に基づく成人の血圧基準値は以下の通りです。
- 正常血圧:収縮期120mmHg未満 かつ 拡張期80mmHg未満
- 正常高値血圧:収縮期120〜129mmHg かつ 拡張期80mmHg未満
- 高値血圧:収縮期130〜139mmHg または 拡張期80〜89mmHg
- 高血圧(I度):収縮期140〜159mmHg または 拡張期90〜99mmHg
- 高血圧(II度):収縮期160〜179mmHg または 拡張期100〜109mmHg
- 高血圧(III度):収縮期180mmHg以上 または 拡張期110mmHg以上
血圧測定で注意すべき点として、左右差が10mmHg以上ある場合は大動脈解離などの可能性があり、必ず報告が必要です。また、マンシェットのサイズが合っていないと測定値が不正確になります。上腕周囲に合ったサイズを選びましょう。太い腕に小さいマンシェットを使うと高く出て、細い腕に大きいマンシェットを使うと低く出ます。
呼吸数(RR)とSpO2の測定手順
呼吸数の測定方法
呼吸数の測定では、患者さんに測定していることを悟られないようにすることがポイントです。呼吸を意識すると回数が変わってしまうためです。脈拍測定の延長として、手首を持ったまま胸郭の動きを観察して数えるのが一般的な方法です。
- 脈拍測定後、手首を持ったまま(または手を離さず)胸郭の動きに注目する
- 吸気と呼気で1回と数え、30秒間の回数を2倍する(不規則な場合は60秒間)
- 呼吸の回数だけでなく、深さ・リズム・呼吸パターンも観察する
- 呼吸に伴う異常音(喘鳴、いびき様呼吸など)の有無も確認する
成人の安静時呼吸数の正常値は12〜20回/分です。頻呼吸(25回/分以上)は発熱、疼痛、肺炎、心不全のサインであり、徐呼吸(12回/分未満)は意識障害、薬物の影響が疑われます。
SpO2(経皮的動脈血酸素飽和度)の測定
SpO2はパルスオキシメーターを使って測定します。動脈血中のヘモグロビンがどの程度酸素と結合しているかを示す値です。
- 患者さんの指先にマニキュアや汚れがないことを確認する(光の透過に影響するため)
- プローブを指先にしっかり装着する(発光部と受光部が爪と指腹を挟む位置)
- 数値が安定するまで数秒待ち、脈拍波形が安定していることを確認する
- 表示される酸素飽和度と脈拍数を読み取る
SpO2の正常値は96〜99%です。95%以下は呼吸不全の兆候であり、90%以下は重度の低酸素血症として緊急対応が必要です。ただし、末梢循環不全(冷感、チアノーゼ)がある場合や、体動が激しい場合は正確な値が得られないことがあります。その場合はセンサーの装着位置を変えたり、耳たぶ用センサーを使用します。
バイタルサイン正常値の一覧と年齢別基準
バイタルサインの正常値は年齢によって異なります。実習で受け持つ患者さんの年齢層に応じた正常値を把握しておきましょう。
成人(16歳以上)の正常値一覧
- 体温(腋窩):36.0〜37.0℃
- 脈拍:60〜100回/分
- 血圧:収縮期120mmHg未満 / 拡張期80mmHg未満(正常血圧)
- 呼吸数:12〜20回/分
- SpO2:96〜99%
高齢者(65歳以上)の特徴
- 体温はやや低めの傾向(35.5〜36.5℃が平熱の方も多い)
- 脈拍は安静時にやや低め(50〜80回/分)の方も正常範囲
- 血圧は収縮期が高め(収縮期140〜150mmHg台も珍しくない)
- 呼吸数は加齢により浅く速めの傾向
- SpO2は95%程度でも普段と変わらなければ問題ないケースもある
高齢者のバイタルサインで重要なのは、絶対値だけでなく「その方の普段の値(ベースライン)からの変化」に注目することです。たとえば、普段の収縮期血圧が150mmHg台の方が急に110mmHg台に低下した場合は、正常範囲内であっても異常として報告すべきです。
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異常値を発見したときの報告手順
実習中に異常値を発見したら、焦らず以下の手順で対応しましょう。
- 再測定して値を確認する:測定ミスの可能性を排除するため、もう一度測定します。血圧の場合は1〜2分間隔をあけて再測定します
- 患者さんの状態を観察する:顔色、意識レベル、自覚症状(頭痛、めまい、胸痛、呼吸苦など)を確認します
- カルテで前回値を確認する:普段の値と比較して、変化の程度を把握します
- 臨床指導者に報告する:SBAR形式で簡潔に報告します
SBAR報告の例:
- S(Situation):「○○さんの血圧が180/100mmHgです」
- B(Background):「普段は130/80mmHg台で経過していました」
- A(Assessment):「頭痛の訴えがあり、顔面紅潮しています」
- R(Recommendation):「確認していただけますか」
緊急性が高い場合(意識レベルの低下、SpO2 90%以下、ショック症状など)は、再測定を待たずにすぐに看護師または指導者を呼びましょう。「おかしいと感じたらすぐ報告」が実習中の鉄則です。判断に迷ったときも、報告して指導を仰ぐことが患者さんの安全を守る最善の行動です。
まとめ:バイタルサインは看護の原点
バイタルサイン測定は、看護技術の中で最も基本的でありながら、最も重要なスキルです。正しい手順を身につけ、正常値を覚え、異常を発見したら適切に報告する。この一連の流れを実習前にしっかりと練習しておけば、自信を持って患者さんのベッドサイドに立つことができます。
バイタルサインの値は単なる数字ではなく、患者さんの身体が発しているメッセージです。数値の背景にある身体の状態を考える習慣をつけることが、優れた看護師への第一歩です。繰り返し練習して、手技を体に覚えさせましょう。
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