導尿カテーテルの挿入手順|男女別のコツと合併症予防【看護技術】

編集部
「はたらく看護師さん」編集部 現役看護師監修・臨床経験に基づく信頼性の高い情報
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導尿カテーテルの挿入は、看護師が行う侵襲的手技の中でも特に慎重な操作が求められる技術です。適切に実施すれば患者さんの排尿トラブルを解決できますが、手技を誤ると尿路感染症(CAUTI)や尿道損傷を引き起こすリスクがあります。特にCAUTIは医療関連感染(HAI)の中で最も頻度が高く、留置カテーテルの管理は感染対策の重要課題となっています。

この記事では、臨床経験13年の筆者が、導尿の種類(一時的・留置・間欠自己導尿)、男性・女性それぞれの挿入手順とコツ、滅菌操作の注意点、カテーテルサイズの選択基準、バルーン固定のポイント、CAUTI予防策、抜去の判断基準まで、現場で本当に役立つ知識を網羅的に解説します。

導尿の種類と適応|一時的・留置・間欠自己導尿

導尿にはいくつかの種類があり、患者さんの状態や目的に応じて適切な方法を選択します。それぞれの特徴と適応を理解しておきましょう。

一時的導尿(間欠導尿)

一時的導尿は、一回限りの尿排出を目的とする導尿です。カテーテルを挿入して尿を排出し、すぐに抜去します。適応としては、尿閉(急性尿閉)の解除、残尿測定、検尿(清潔尿の採取)、手術前の膀胱空虚化などがあります。留置しないため感染リスクは低く、患者さんの負担も少ない方法です。ネラトンカテーテル(バルーンなし)を使用するのが一般的です。

留置導尿(バルーンカテーテル)

留置導尿は、フォーリーカテーテル(バルーン付き)を膀胱内に留置し、持続的に尿を排出する方法です。バルーンに蒸留水を注入して膀胱内に固定します。適応は、全身麻酔下の手術中・術後の尿量管理、重症患者の厳密な尿量測定、尿閉の持続的治療、褥瘡治療中の会陰部の清潔保持、終末期の安楽目的などです。ただし、留置期間が長くなるほどCAUTIのリスクが上昇するため、毎日「本当に留置が必要か」を評価することが重要です。

間欠自己導尿(CIC:Clean Intermittent Catheterization)

間欠自己導尿は、患者さん自身が定時的にカテーテルを挿入・排尿・抜去する方法です。神経因性膀胱(脊髄損傷・多発性硬化症など)の患者さんに広く用いられています。在宅では「清潔間欠導尿」として、滅菌操作ではなく清潔操作で行います。1日4〜6回、4〜6時間ごとに実施するのが標準です。留置カテーテルよりも感染リスクが低く、患者さんのQOL維持に優れた方法です。

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女性の導尿手順|ステップバイステップ

女性の尿道は約3〜5cmと短く、挿入自体は比較的容易ですが、尿道口の同定が難しい場合があります。特に高齢者や肥満の方では、外陰部の解剖がわかりにくいことがあるため、確実な手順が重要です。

準備と体位

必要物品を準備します。導尿カテーテル(成人女性:14〜16Fr)、滅菌手袋、消毒綿球(イソジン綿球または0.05%クロルヘキシジン)、滅菌潤滑ゼリー(リドカインゼリー)、鑷子、滅菌ドレープ、尿器(または蓄尿バッグ)、バルーン固定用蒸留水(留置の場合)。患者さんには仰臥位で両膝を立て、開脚してもらいます(砕石位に近い姿勢)。プライバシーへの配慮として、カーテンを閉め、必要最小限の露出にとどめましょう。

挿入手順

1. 手指衛生と滅菌手袋の装着:手指消毒後、滅菌手袋を装着。利き手が滅菌操作手です。

2. 外陰部の消毒:非利き手で小陰唇を開き、利き手の鑷子で消毒綿球を持ちます。消毒の順番は、尿道口に近い部分から遠い部分へ、具体的には「尿道口→小陰唇の内側→小陰唇の外側」の順に、上から下(恥骨側から肛門側)へ一方向に拭きます。1回拭いたら新しい綿球に交換します。最低5回の消毒を行いましょう。

3. 尿道口の同定:小陰唇を開いたまま、尿道口を確認します。尿道口は腟口の上方(恥骨側)に位置する小さな開口部です。高齢者では萎縮のために尿道口の位置がわかりにくい場合があります。見つからない場合は、ペンライトで照らしたり、患者さんに腹圧をかけてもらう(咳をしてもらう)と尿道口から少量の尿が漏れて位置がわかることがあります。

4. カテーテルの挿入:カテーテルの先端に滅菌潤滑ゼリーを塗布し、尿道口からゆっくりと挿入します。女性の場合、5〜7cm挿入すると尿の流出が確認できます。尿の流出を確認したら、さらに2〜3cm進めてから固定します(留置の場合)。挿入中に抵抗を感じた場合は、無理に押し込まず、角度を少し変えてみてください。誤って腟に挿入してしまった場合は、そのカテーテルは目印として残したまま、新しいカテーテルで改めて尿道に挿入します。

5. バルーンの固定(留置の場合):尿の流出を確認してからバルーンに蒸留水を注入します。注入量はカテーテルに記載されている量(通常10mL)を守ります。注入中に患者さんが痛みを訴えた場合は、バルーンが尿道内で膨張している可能性があるため、すぐに蒸留水を抜き、カテーテルを少し進めてから再度注入します。

男性の導尿手順|女性との違いと注意点

男性の尿道は約18〜20cmと女性よりも長く、前立腺部での屈曲があるため、挿入の難易度が上がります。特に高齢男性では前立腺肥大により挿入困難となることが多く、テクニックが求められます。

男性特有の解剖学的ポイント

男性の尿道は、陰茎部尿道(振子部)→球部尿道→膜様部尿道→前立腺部尿道→膀胱頸部の順に走行しています。最も抵抗を感じやすいのは、球部尿道の屈曲部と前立腺部です。陰茎を腹壁に対してほぼ垂直(90度)に保持してカテーテルを挿入することで、尿道の屈曲を伸ばし、スムーズに通過させることができます。

挿入手順

1. 消毒:非利き手で陰茎を把持し(包皮は翻転させて亀頭を露出)、利き手の鑷子で消毒綿球を持ち、尿道口を中心に外側へ円を描くように消毒します。亀頭全体と尿道口を十分に消毒してください。

2. 潤滑ゼリーの注入:男性の場合は、カテーテル表面への塗布だけでなく、リドカインゼリーを尿道内に直接注入する方法が推奨されます。注入用シリンジで10〜15mLのゼリーを尿道口から注入し、2〜3分待ってから挿入すると、潤滑と局所麻酔の両方の効果が得られます。

3. 挿入:陰茎を腹壁に対してほぼ垂直に保持し、カテーテルをゆっくり挿入します。15cm程度まではスムーズに進むことが多いですが、前立腺部(15〜18cm付近)で抵抗を感じることがあります。この時、絶対に力で押し込まないでください。「深呼吸してください」と声をかけて患者さんの緊張を和らげ、陰茎の角度を少し腹壁側に倒す(45度程度に)と、前立腺部の屈曲が緩和されて通過しやすくなります。18〜20cm挿入して尿の流出が確認できれば成功です。

4. どうしても挿入できない場合:3回試みても挿入できない場合は、無理をせず医師に報告しましょう。前立腺肥大による狭窄、尿道狭窄、尿道屈曲などが原因の場合は、泌尿器科医によるクーデカテーテルや膀胱瘻造設が必要になることがあります。無理な挿入は尿道損傷(仮道形成)の原因となり、重大な合併症を引き起こします。

滅菌操作のポイント|感染予防の基本

導尿は尿路感染症の主要な原因となる手技であり、滅菌操作の徹底が不可欠です。ここでは、滅菌操作で特に注意すべきポイントを解説します。

滅菌野の作り方と維持

滅菌ドレープを広げて滅菌野を作り、その上に滅菌物品を配置します。滅菌野を作る際のポイントは、ドレープの端を持って広げること(中央部分は触れない)、滅菌野の上には滅菌物品のみを置くこと、非滅菌物品が滅菌野の上を横切らないようにすることです。一度汚染された滅菌野は、やり直しが必要です。「もったいない」「面倒」と思っても、感染予防のためにはためらわず新しい物品で再スタートしてください。

カテーテルの取り扱い

カテーテルは先端から約5cmは絶対に手で触れてはいけません。滅菌手袋で操作しますが、挿入部分に触れるのは利き手(滅菌操作手)のみです。反対の手は一度でも非滅菌部分に触れたら「汚染された手」として扱い、カテーテルの挿入部分には絶対に触れないようにします。この「利き手=滅菌、反対の手=非滅菌」の意識を常に持つことが、滅菌操作の基本中の基本です。

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合併症の予防と管理|CAUTIを防ぐために

カテーテル関連尿路感染症(CAUTI:Catheter-Associated Urinary Tract Infection)は、留置カテーテル管理における最大の課題です。日本の急性期病院では、留置カテーテル使用患者の約5〜10%がCAUTIを発症すると報告されています。

CAUTI予防の5原則

  • 1. 不要なカテーテルは挿入しない:「本当にカテーテルが必要か?」を常に問う。尿失禁の管理だけの目的での留置は推奨されない
  • 2. 早期抜去を目指す:毎日のカンファレンスで「今日抜去できないか?」を検討。留置日数の増加とともにCAUTIリスクは直線的に上昇する
  • 3. 閉鎖式ドレナージシステムを維持する:カテーテルと蓄尿バッグの接続部は絶対に外さない。尿培養の検体採取も、専用のサンプリングポートから行う
  • 4. 蓄尿バッグは膀胱より低い位置に:逆流防止のため、蓄尿バッグは常に膀胱より低い位置に設置。床に直接置かないよう、バッグハンガーを使用する
  • 5. 定期的な陰部洗浄:毎日の陰部洗浄(微温湯で十分)を実施し、カテーテル挿入部の清潔を保つ。消毒薬による洗浄はCAUTI予防効果がないことが複数の研究で示されている

カテーテル抜去の判断基準

カテーテルの抜去は、以下の条件が揃った時点で検討します。

  • 手術後の場合:術後24〜48時間以内(可能な限り早期)
  • 尿量測定目的の場合:血行動態が安定し、厳密な尿量管理が不要になった時点
  • 尿閉の場合:原因が解決し、自排尿が期待できる時点
  • 重症患者の場合:全身状態が改善し、トイレ歩行または尿器使用が可能になった時点

抜去後は、6時間以内に自排尿があるかを確認します。自排尿がない場合や、残尿が200mL以上ある場合は、再挿入の判断が必要です。膀胱エコーで残尿量を評価すると、不必要な再挿入を避けることができます。

尿量管理のポイントとトラブル対応

留置カテーテル管理中は、正確な尿量記録と異常の早期発見が重要です。ここでは日常的な管理のポイントとよくあるトラブルへの対応を解説します。

正常な尿量と異常のサイン

成人の正常な尿量は0.5〜1.0mL/kg/時です。体重60kgの患者さんなら、1時間あたり30〜60mLが正常範囲です。以下の状態が見られた場合は、速やかに医師に報告しましょう。

  • 乏尿:0.5mL/kg/時以下が2時間以上続く場合。脱水、心不全、腎不全の可能性
  • 無尿:尿量がほぼ0の場合。カテーテル閉塞か、腎機能の重大な低下の可能性
  • 血尿:鮮血色の場合は出血源の検索が必要。淡いピンク色は挿入時の軽度損傷の可能性
  • 混濁尿:感染の可能性。発熱を伴う場合は尿培養を提出

カテーテルの閉塞・屈曲への対応

尿量が急に減少した場合、まず疑うべきはカテーテルの閉塞や屈曲です。以下の手順でトラブルシューティングを行います。

  • カテーテルが身体の下敷きになっていないか確認
  • チューブに屈曲や結び目がないか全長を確認
  • 蓄尿バッグが膀胱より低い位置にあるか確認
  • カテーテル内に結晶や血塊による閉塞がないか確認
  • 上記で解決しない場合は、医師の指示のもとカテーテルの膀胱洗浄(ブラダーイリゲーション)を検討

カテーテルの自己(事故)抜去への対応

認知症やせん妄の患者さんでは、留置カテーテルの自己抜去が発生することがあります。バルーンが膨張したまま引き抜かれた場合、尿道損傷による出血が生じます。血尿の程度を観察し、医師に報告してください。再挿入が必要な場合は、尿道の腫脹が引いてから(通常数時間後)実施するのが望ましいです。予防策としては、カテーテルの固定テープをしっかり貼ること、チューブが引っ張られないよう余裕を持たせること、必要に応じてミトンや抑制帯の検討(最終手段として)があります。

導尿技術は看護師にとって必須スキルの一つです。泌尿器科や手術室、ICU、訪問看護など、導尿を頻繁に行う部署で経験を積むことで、自信を持って手技を実施できるようになります。もし今の環境で十分なスキルアップの機会が得られていないなら、教育体制が充実した施設や専門性の高い部署への転職も、キャリアアップの有効な選択肢です。

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