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2026年4月1日より、20価肺炎球菌結合型ワクチン(PCV20、商品名:プレベナー20)が高齢者の定期接種に追加されました。これまで高齢者の定期接種に使われていた23価肺炎球菌莢膜ポリサッカライドワクチン(PPSV23、商品名:ニューモバックスNP)に加え、新たな選択肢が増えたことで、外来・訪問看護・入退院支援に携わる看護師は接種スケジュールや患者説明の知識をアップデートする必要があります。この記事では、PCV20とPPSV23の違い、接種対象・スケジュール、副反応、看護師が押さえるべき実務ポイントを整理します。
この記事でわかること
- PCV20(20価結合型ワクチン)の特徴とPPSV23との違い
- 高齢者定期接種の新しいスケジュールと対象者
- 副反応の種類・頻度と看護師の対応、患者説明のポイント
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肺炎球菌ワクチンの基礎知識をおさらい
肺炎球菌(Streptococcus pneumoniae)は市中肺炎の最大の原因菌であり、特に65歳以上の高齢者では重症化・死亡リスクが高い病原体です。日本における肺炎による死亡者数は年間約7万人で、死因の第5位です。このうち肺炎球菌が原因となるものが約25〜30%を占めるとされています。
肺炎球菌には90種類以上の血清型(莢膜の種類による分類)があり、ワクチンはそのうち重症化しやすい血清型をカバーするよう設計されています。
PPSV23(ニューモバックスNP)とは
PPSV23は23種類の血清型をカバーするポリサッカライド(多糖体)ワクチンです。2014年10月から高齢者の定期接種に使用されています。多糖体ワクチンの特徴として、T細胞非依存性の免疫応答を誘導するため、免疫記憶が弱く、抗体価は時間とともに低下します。そのため、5年以上経過した後の再接種が推奨されています。
PCV20(プレベナー20)とは
PCV20は20種類の血清型をカバーする結合型ワクチンです。多糖体にキャリアタンパク質(CRM197)を結合させることで、T細胞依存性の免疫応答を誘導します。これにより免疫記憶が形成され、ブースター効果(追加接種による強力な免疫増強)が期待できます。
小児用の13価結合型ワクチン(PCV13、プレベナー13)は2013年から定期接種に導入されていましたが、PCV20はカバーする血清型を13種から20種に拡大した後継ワクチンです。
PCV20とPPSV23の比較|看護師が理解すべき違い
2つのワクチンの特徴を比較表で整理します。患者から「どちらがいいですか?」と聞かれた場合に備えて、違いを把握しておきましょう。
ワクチンの種類・構造の違い
- PCV20(結合型):カバー血清型20種。キャリアタンパク結合。T細胞依存性免疫。免疫記憶あり。筋肉内注射
- PPSV23(多糖体型):カバー血清型23種。多糖体のみ。T細胞非依存性免疫。免疫記憶弱い。皮下注射または筋肉内注射
カバーする血清型の重なりと違い
PCV20がカバーする20血清型のうち、PPSV23と共通するのは12種類です。PCV20独自の8血清型とPPSV23独自の11血清型があるため、両ワクチンのカバー範囲は完全には重なりません。このため、厚生科学審議会はPCV20とPPSV23の連続接種(PCV20を先に接種し、1年以上あけてPPSV23を追加)も選択肢として認めています。
効果の持続性
PCV20は結合型ワクチンの特性から、PPSV23よりも免疫応答が強く持続性があると考えられています。海外の臨床データでは、PCV20接種後の抗体価がPPSV23よりも高く維持されることが示されています。ただし、日本での高齢者における長期追跡データは今後の蓄積が待たれます。
2026年4月以降の接種スケジュール
2026年4月1日以降の高齢者肺炎球菌ワクチン定期接種は、以下のスケジュールで運用されます。
定期接種の対象者
- 65歳の方:その年度内に65歳になる方が定期接種の対象です
- 60〜64歳で基礎疾患がある方:心臓・腎臓・呼吸器の機能障害またはヒト免疫不全ウイルスによる免疫機能障害により日常生活が極度に制限される方
なお、2019年度から5年間実施されていた経過措置(70歳、75歳、80歳などの5歳刻みの対象拡大)は2024年3月で終了しています。ただし自治体によっては独自の助成制度を設けている場合がありますので、患者には居住地の自治体に確認するよう案内してください。
ワクチンの選択
2026年4月以降、定期接種ではPCV20またはPPSV23のいずれかを選択できます。医師が患者の状態や既往歴を踏まえて判断しますが、看護師も選択に関する基本的な知識を持っておくことが求められます。
- 初めて肺炎球菌ワクチンを接種する場合:PCV20が推奨される傾向があります。免疫記憶が形成されるため、長期的な予防効果が期待できます
- 過去にPPSV23を接種済みの場合:前回接種から5年以上経過していれば、PCV20の追加接種が検討されます。ただし定期接種としてはなく、任意接種(自費)となる場合があります
- 免疫不全の患者:結合型ワクチン(PCV20)が優先される場合があります。T細胞依存性の免疫応答がより確実な防御を提供するためです
副反応と看護師の対応
肺炎球菌ワクチンの副反応は一般的に軽度ですが、接種後の観察と患者への説明は看護師の重要な役割です。
主な副反応と発現頻度
- 注射部位の疼痛(60〜70%):最も多い副反応。通常2〜3日で自然軽快。冷罨法で対応
- 注射部位の腫脹・発赤(20〜30%):接種部位を中心に5cm程度の腫れが出ることがあります。自然軽快します
- 倦怠感・疲労感(30〜40%):接種当日〜翌日に多い。安静にしていれば回復します
- 筋肉痛(20〜30%):接種側の腕を中心に。日常生活に支障をきたすほどではないケースがほとんど
- 頭痛(15〜25%):一過性のもの。必要に応じてアセトアミノフェンの使用可
- 発熱(5〜10%):38度未満の微熱が多い。38.5度以上の場合は医師に相談を案内
重篤な副反応(まれ)
アナフィラキシーの発現頻度は100万接種あたり1〜2件程度と極めてまれですが、接種後15〜30分の観察は必須です。アナフィラキシーの初期症状(皮膚の紅潮・蕁麻疹、呼吸困難、血圧低下、腹痛・嘔吐)を見逃さないよう、観察スペースでの経過観察体制を整えてください。
接種後の患者説明ポイント
- 接種部位の痛みや腫れは2〜3日で治まること
- 接種当日の入浴は可能だが、注射部位を強くこすらないこと
- 接種当日は激しい運動や大量の飲酒を避けること
- 38.5度以上の発熱や、接種部位の腫れが肘を超えて広がった場合は受診すること
- 接種後15〜30分は院内で待機し、体調の変化がないか確認すること
外来での実務対応
外来でPCV20の接種を行う場合、看護師が担当する業務を時系列で整理します。
接種前の確認事項
- 予診票の確認:接種対象者であること、過去の肺炎球菌ワクチン接種歴、アレルギー歴(特にジフテリアトキソイドへのアレルギー)を確認
- 体温測定:37.5度以上の発熱がある場合は接種を延期
- 同時接種の確認:インフルエンザワクチンとの同時接種は可能。ただし接種部位は2.5cm以上離す
- 患者への説明:ワクチンの効果、副反応、接種後の注意点を説明し、同意を確認
接種の実施
PCV20は筋肉内注射で行います。PPSV23は皮下注射が一般的でしたので、接種方法の違いに注意してください。筋肉内注射は三角筋に行い、針の角度は90度です。高齢者は筋肉量が少ない場合があるため、体格に応じた針の長さ(通常25mm)を選択します。
訪問看護での対応
訪問看護に携わる看護師は、在宅で療養中の高齢者に対してワクチン接種の情報提供を行う機会が増えます。
訪問看護師の役割
- 接種勧奨:定期接種の対象年齢である利用者に、市区町村から届く接種券の確認を促す
- かかりつけ医との連携:接種の適否を主治医に確認し、訪問診療で接種が行えるか調整する
- 接種後の経過観察:訪問日が接種翌日に当たる場合は、副反応の有無を観察。特に発熱・接種部位の異常膨脹に注意
- 服薬管理との関連:免疫抑制剤を使用中の利用者では、ワクチンの効果が減弱する可能性があることを主治医に情報提供
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患者からよくある質問と回答例
肺炎球菌ワクチンについて患者やご家族から受ける質問と、看護師としての回答例を紹介します。
「前にニューモバックスを打ったのですが、今回も打つ必要がありますか?」
回答例:「前回の接種から5年以上経過していれば、今回PCV20を追加で接種することが検討できます。ただし定期接種か任意接種かは前回の接種状況によりますので、先生に相談しましょう。費用面も含めてご案内しますね。」
「インフルエンザの予防接種と同時に打てますか?」
回答例:「はい、インフルエンザワクチンと同時に接種できます。左右の腕にそれぞれ打つのが一般的です。秋のインフルエンザ予防接種の時期に合わせて肺炎球菌ワクチンも接種する方が多いですよ。」
「肺炎球菌ワクチンを打てば肺炎にならないのですか?」
回答例:「肺炎の原因となる菌やウイルスは多数ありますので、ワクチンを打っても肺炎を100%防げるわけではありません。ただし、肺炎球菌による重症の肺炎や菌血症を防ぐ効果は高いとされています。手洗い・口腔ケア・栄養管理など日常の予防も引き続き大切です。」
「PCV20とニューモバックス、どちらが良いですか?」
回答例:「それぞれ特徴が異なります。PCV20は免疫の記憶ができやすいタイプで効果が長持ちしやすいとされ、ニューモバックスはカバーする菌の種類が少し多いのが特徴です。どちらが適しているかは、過去の接種歴やお体の状態によりますので、先生とご相談のうえ決めましょう。」
まとめ|制度変更を正確に理解し、患者に安心を届ける
PCV20の定期接種追加は、高齢者の肺炎予防において大きな前進です。看護師が制度変更を正確に理解し、患者に対して適切な情報提供と接種後のケアを行うことで、ワクチン接種率の向上と重症肺炎の予防に貢献できます。外来・病棟・訪問看護それぞれの現場で、今回の変更内容を共有し、スムーズな接種体制を整えましょう。
ワクチンの種類・スケジュール・副反応の知識は、患者説明の場面で必ず役立ちます。この記事の内容を部署内の勉強会資料としても活用してください。



