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概念枠組みは、看護研究や実習レポートで「自分がどの理論的立場から患者さんを理解するか」を示すための枠組みです。看護理論家の考え方を基盤にして、研究テーマや看護問題と関連する概念を図と文章で整理します。「概念枠組みを作りなさい」と言われても、何から手をつければいいかわからないという学生が大半ではないでしょうか。この記事では、概念枠組みの基本構造と作り方の手順を解説します。
この記事でわかること
- 概念枠組みとは何か、なぜ必要なのかの基本
- 看護理論家(オレム、ロイ、ヘンダーソンなど)の選び方と各理論の特徴
- 概念枠組みの作成手順とレポート・研究計画書への活用方法
概念枠組みとは何か
概念枠組み(Conceptual Framework)とは、研究や実践において「どのような視点で対象を捉えるか」を示す理論的な骨組みです。看護では、特定の看護理論を基盤にして、研究テーマに関連する概念(キーワード)とそれらの関係性を図式化します。
概念枠組みが必要な理由は3つあります。
- 思考の整理:何を見るか、何を分析するかが明確になる
- 一貫性の確保:データ収集から分析まで統一した視点で進められる
- 論理的根拠の提示:「なぜこの視点で看護するのか」を理論的に説明できる
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看護理論家の選び方
概念枠組みの基盤となる看護理論は、研究テーマや受け持ち患者さんの状況に合わせて選びます。以下に代表的な理論家と、それぞれが適している場面を紹介します。
ドロセア・オレム(セルフケア不足理論)
オレムは「人間は自分自身をケアする能力(セルフケア能力)を持つ」という前提に立ち、その能力が不足した時に看護が必要になると考えました。
- 適している場面:慢性疾患の自己管理(糖尿病、心不全)、退院後のセルフケア指導、リハビリテーション
- 主要概念:セルフケア、セルフケア・デマンド(必要量)、セルフケア・エージェンシー(能力)、看護エージェンシー(看護師の能力)
- 看護の3つのシステム:全代償システム(全面的に代行)、一部代償システム(一部を援助)、支持・教育システム(教育的支援)
シスター・カリスタ・ロイ(適応モデル)
ロイは「人間は常に変化する環境に適応しようとする存在」と捉え、4つの適応様式で人間の反応を分析します。
- 適している場面:急性期の環境変化への適応、ボディイメージの変容、危機的状況にある患者
- 4つの適応様式:生理的様式(身体機能)、自己概念様式(心理的側面)、役割機能様式(社会的役割)、相互依存様式(対人関係)
- 刺激の分類:焦点刺激(直接の原因)、関連刺激(影響を与える要因)、残存刺激(不確かな影響要因)
ヴァージニア・ヘンダーソン(基本的看護の構成要素)
- 適している場面:基礎看護学の実習、日常生活援助が中心の看護場面
- 特徴:14の基本的ニードを基盤にした看護の枠組み。詳細は「ヘンダーソン14の基本的ニードガイド」で解説
その他の理論家
- ペプロウ(対人関係理論):精神看護の実習に適している。看護師−患者関係の発展段階を分析できる
- トラベルビー(人間対人間の看護):患者との関係性構築に焦点を当てたい時に。ラポール形成のプロセスを分析できる
- ナイチンゲール(環境理論):環境が健康に与える影響を分析したい時に。感染管理や療養環境の研究に適している
概念枠組みの作成手順
手順1:テーマを明確にする
まず「何について考えたいのか」を明確にします。研究計画書なら研究テーマ、実習レポートなら受け持ち患者さんの主要な看護問題です。
手順2:理論を選択する
テーマに最も適した看護理論を1つ選びます。選択の理由を必ず記述できるようにしましょう。「糖尿病患者の自己管理を研究テーマとするため、セルフケアに焦点を当てたオレムのセルフケア不足理論を選択した」というように。
手順3:主要概念を抽出する
選択した理論から、テーマに関連する主要概念(キーワード)を抽出します。これらが概念枠組みの構成要素になります。
手順4:概念間の関係を整理する
抽出した概念の間にどのような関係性があるかを整理します。因果関係、影響関係、相互作用などを矢印で結びます。
手順5:図と文章で表現する
概念枠組みは一般的に「図」と「文章による説明」の両方で構成されます。図は概念を四角で囲み、矢印で関係性を示します。文章では図の各要素と関係性を論理的に説明します。
概念枠組みの図の書き方例
オレムのセルフケア不足理論を用いた糖尿病患者の概念枠組みの場合、以下のような構成になります。
- 最上部に「2型糖尿病」(健康逸脱セルフケア要件の発生)
- 左側に「セルフケア・デマンド」(インスリン注射、食事管理、血糖測定、フットケアなど具体的な必要量)
- 右側に「セルフケア・エージェンシー」(知識、技術、意欲、身体機能などの能力)
- デマンドがエージェンシーを上回る部分が「セルフケア不足」
- そこに「看護エージェンシー」(支持・教育システムによる介入)が入る
- 最下部に「セルフケアの達成」(自立した自己管理の実現)
レポート・研究計画書での活用
実習レポートでの活用
実習レポートでは、概念枠組みを冒頭に提示し、「この枠組みに基づいてアセスメントを行い、看護問題を導き出した」と述べます。その後のアセスメントで使う用語や視点は、概念枠組みで定義した概念と整合させましょう。
研究計画書での活用
看護研究の計画書では「研究の概念枠組み」という独立したセクションを設け、理論的背景と概念間の関係を示します。ここで定義した概念が、データ収集項目や分析の視点に直結する必要があります。
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概念枠組みでよくある失敗
- 理論と実践が乖離する:概念枠組みで示した理論を使って実際にアセスメントや分析を行わず、枠組みが「飾り」になってしまうケース。枠組みの概念を実際の分析で使用すること
- 複数の理論を混在させる:オレムとロイとヘンダーソンを「いいとこ取り」で混ぜると一貫性がなくなる。基盤となる理論は1つに絞る
- 概念の定義が曖昧:「セルフケア」という言葉を使うなら、オレムの定義に基づいて明確に定義し、一貫して使用する
- 図が複雑すぎる:概念を入れすぎて図が読めなくなるケース。テーマに直結する概念に絞ること
まとめ:概念枠組みは「地図」である
概念枠組みは、あなたの看護実践や研究の「地図」です。どの方向を見て、何を探すのかを示すものであり、地図なしに森に入れば迷子になるように、枠組みなしに看護過程を展開すると一貫性のないレポートになってしまいます。
まずはテーマに合った理論を1つ選び、その理論の主要概念を使ってシンプルな枠組みを作ることから始めましょう。完璧な枠組みよりも、「なぜこの理論を選んだか」を説明できることの方が重要です。
関連図の書き方は「看護の関連図書き方ガイド」で解説しています。アセスメントの枠組みについては「ゴードンのアセスメントガイド」もあわせてご覧ください。







