看護師のパワハラ・いじめ対処法|証拠の残し方から相談先まで完全解説

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はたらく看護師さん 編集部
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看護師が職場で受けるパワハラ・いじめは、厚生労働省の調査によると看護職の約4人に1人が経験しているとされています。「指導」と「パワハラ」の境界があいまいな医療現場では、自分が受けている行為がパワハラに該当するのか判断しづらく、一人で抱え込んでしまう方が少なくありません。

この記事では、看護師が受けやすいパワハラ・いじめの具体例、証拠の残し方、相談できる窓口、法的な保護、そして「辞める」という選択肢まで、実践的な対処法を詳しく解説します。今つらい状況にいる方が、少しでも前に進めるきっかけになれば幸いです。

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看護師のパワハラとは?該当する行為の具体例

厚生労働省が定めるパワハラの6類型

厚生労働省はパワーハラスメントを以下の6つに分類しています。看護現場で起きやすい例と合わせて確認してください。

  • 身体的な攻撃:物を投げつけられる、カルテや書類を叩きつけられる
  • 精神的な攻撃:ナースステーションで大声で怒鳴られる、患者の前で人格を否定される、「看護師向いてない」と繰り返し言われる
  • 人間関係からの切り離し:申し送りから意図的に外される、自分だけ飲み会や勉強会に誘われない、無視される
  • 過大な要求:他の人の倍の受け持ち患者を割り当てられる、残業前提の業務量を押し付けられる
  • 過小な要求:能力があるのに清掃や雑用しかさせてもらえない、看護業務から外される
  • 個の侵害:プライベートをしつこく詮索される、交際相手や家庭の事情を言いふらされる

「指導」と「パワハラ」の違い

看護現場では「患者の命がかかっているから厳しい指導は当然」という空気があります。しかし、以下のような行為は「指導」の範囲を逸脱しています。

  • ミスを注意するのではなく、人格を否定する(「あなたって本当にダメね」)
  • 他のスタッフや患者の前でわざと恥をかかせる
  • 改善方法を示さず、ただ怒鳴る・責めるだけ
  • 同じミスでも特定の人だけ厳しく叱責する
  • 業務と関係のないことで長時間説教する

正当な指導は「業務改善」が目的であり、相手の成長を促すものです。一方、パワハラは「相手を傷つける」「支配する」ことが実質的な目的になっています。「この指導は自分の成長のためか?」と問いかけたとき、そう思えないなら、それはパワハラの可能性が高いと言えます。

看護師の職場でよくあるいじめの実態

先輩看護師からのいじめ

看護師間のいじめで最も多いのが、先輩から後輩への攻撃です。具体的には以下のようなケースが報告されています。

  • 質問しても「自分で調べて」と一切教えてくれない
  • わざと難しい患者の受け持ちを割り振る
  • 他のスタッフの前でミスをあげつらう
  • 陰口や悪い噂を広める
  • 申し送りで自分の報告だけ無視する

師長・主任からのパワハラ

管理職の立場を利用したパワハラも深刻です。

  • 希望休を一切認めない、有給休暇を取らせない
  • 夜勤回数を不当に増やす
  • 退職の意思を伝えても「人手不足だから辞めさせない」と拒否する
  • 特定のスタッフだけ異動や不利な勤務に回す
  • 評価面談で感情的に叱責する

医師からのハラスメント

医師から看護師への横暴な態度も根深い問題です。手術中に器具を投げる、理不尽な指示変更で看護師を責める、セクシュアルハラスメントを伴うケースもあります。医師と看護師の間には職種の違いから来る力関係があり、声を上げにくい構造があります。

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パワハラの証拠を残す方法

なぜ証拠が重要なのか

パワハラの相談や法的な対処をする際、「証拠」があるかどうかで結果が大きく変わります。証拠がないと「言った・言わない」の水掛け論になり、事態が進展しません。自分を守るために、日頃から記録を残す習慣をつけましょう。

効果的な証拠の残し方

  • パワハラ日記をつける:日時・場所・加害者・行為の内容・目撃者の有無を毎回記録する。スマホのメモアプリでもノートでもOK。日付と時刻が記録されることが重要
  • メール・LINEのスクリーンショット:暴言や不当な指示がテキストで残っている場合は、スクリーンショットを保存する
  • 音声録音:スマホのボイスレコーダーで、叱責の場面を録音する。職場での録音は、自分が参加している会話であれば違法ではないとされるケースが多い(ただし職場の就業規則は確認しておくこと)
  • 診断書:パワハラが原因で体調を崩した場合は、心療内科やメンタルクリニックを受診し、診断書を取得する。「適応障害」「うつ状態」などの診断名と、原因が「職場でのストレス」である旨の記載があると証拠力が高い
  • 同僚の証言:目撃者がいる場合は、信頼できる同僚にその場面を覚えておいてもらう

記録する際のポイント

記録は「5W1H」を意識してください。「いつ(When)」「どこで(Where)」「誰が(Who)」「何を(What)」「なぜ(Why)」「どのように(How)」を明確に書くことで、第三者が読んでも状況がわかる記録になります。感情的な表現よりも、事実を淡々と書くことが大切です。

パワハラの相談先一覧

院内の相談窓口

まずは病院内の相談窓口を利用する方法があります。

  • 上司(師長・看護部長):直属の上司が加害者でない場合は、師長や看護部長に相談する。ただし、組織ぐるみで見て見ぬふりをするケースもあるため、対応を見極める必要がある
  • ハラスメント相談窓口:一定規模以上の病院では設置が義務づけられている。人事部門や総務部門が担当していることが多い
  • 産業医・産業保健師:メンタルヘルスの観点から相談に乗ってもらえる。守秘義務があるため、相談内容が上司に伝わることは原則ない

外部の相談窓口

院内で解決しない場合や、院内に相談しづらい場合は外部の窓口を活用しましょう。

  • 労働基準監督署(総合労働相談コーナー):パワハラに関する相談を無料で受け付けている。匿名でも相談可能。必要に応じて事業所への指導が行われる
  • 都道府県労働局:「個別労働紛争解決制度」を利用できる。あっせん(第三者が間に入って調整する制度)も無料で利用可能
  • 法テラス(日本司法支援センター):法的な対処が必要な場合、弁護士への無料相談ができる。収入要件あり
  • こころの健康相談統一ダイヤル(0570-064-556):精神的に追い詰められている場合の電話相談
  • 看護師の労働組合:加入している場合は、団体交渉でパワハラ問題を取り上げてもらえる

パワハラに対する法的保護

パワハラ防止法(労働施策総合推進法)

2020年6月に施行された「パワハラ防止法」により、すべての事業主にパワハラ防止措置が義務づけられています(中小企業は2022年4月から)。具体的には以下の措置が求められています。

  • パワハラに関する方針の明確化と周知
  • 相談窓口の設置
  • 相談後の迅速かつ適切な対応
  • 相談したことによる不利益取扱いの禁止

つまり、パワハラを相談したことで異動や降格、退職勧奨などの不利益を受けた場合は、それ自体が法律違反となります。

労災認定の可能性

パワハラが原因で精神疾患(うつ病、適応障害など)を発症した場合、労災として認定される可能性があります。労災認定を受けると、治療費が全額補償され、休業中の給与の約8割が支給されます。労災申請は労働基準監督署で行えます。

自分を守るための具体的な行動

加害者との距離の取り方

可能な範囲で、加害者との接触を減らす工夫をしましょう。

  • 勤務シフトが重ならないよう師長に相談する
  • 二人きりになる場面を避ける(報告は他のスタッフがいる場所で行う)
  • 必要最低限のコミュニケーションにとどめ、プライベートな話題には応じない

メンタルヘルスのケア

パワハラ・いじめはメンタルヘルスに深刻な影響を与えます。以下のサインが出ていたら、早めに専門家に相談してください。

  • 出勤前に動悸や吐き気がする
  • 眠れない、または過眠になる
  • 休日も職場のことが頭から離れない
  • 以前好きだったことに興味が持てなくなった
  • 「自分が悪い」と過剰に自分を責めてしまう

心療内科やメンタルクリニックの受診は、決して大げさなことではありません。体調を崩してからでは回復に時間がかかります。

「辞める」という選択肢を恐れないで

パワハラのある職場を離れることは「逃げ」ではない

「辞めたら負け」「すぐ辞めると次の就職に響く」と考えて、我慢し続けている方もいるかもしれません。しかし、パワハラで心身を壊してしまったら、次の職場で働く気力すら失ってしまいます。

自分の健康を守るために環境を変えることは、勇気ある前向きな判断です。看護師の資格があれば、働ける場所はたくさんあります。一つの職場に縛られる必要はありません。

退職を引き止められた場合の対処法

パワハラが原因で退職を申し出ても、「人手不足」「あなたが辞めたら患者が困る」と引き止められることがあります。しかし、民法上、退職届を提出してから2週間が経過すれば、雇用契約は終了します。

  • 退職届は「退職願」ではなく「退職届」として提出する(退職届は一方的な意思表示であり、受理不要)
  • 退職届のコピーを保管し、提出日を記録しておく
  • 内容証明郵便で送付すると、「受け取っていない」と主張されることを防げる
  • 有給休暇の残日数を確認し、退職日までに消化する

退職前にしておくべきこと

  • パワハラの証拠を手元に確保しておく(退職後はアクセスできなくなる)
  • 雇用保険の受給資格を確認する(パワハラが原因の退職は「会社都合」になる場合がある)
  • 信頼できる同僚に事情を伝えておく
  • 心療内科の診断書があれば保管しておく
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よくある質問(FAQ)

Q. パワハラを相談したら報復されませんか?

パワハラ防止法により、相談したことを理由に不利益な取り扱いをすることは禁止されています。万が一報復的な行為があった場合は、それ自体を証拠として記録し、労働基準監督署や弁護士に相談してください。

Q. 録音は証拠として認められますか?

自分が参加している会話を無断で録音することは、多くの裁判例で証拠として認められています。ただし、自分が参加していない他者の会話を盗聴することは違法になる場合がありますので注意してください。

Q. パワハラで退職した場合、失業保険はすぐもらえますか?

パワハラが原因で退職した場合は「特定受給資格者」または「特定理由離職者」に該当する可能性があり、自己都合退職の場合の2ヶ月の給付制限なしで失業保険を受給できる場合があります。ハローワークでの手続き時に、パワハラの証拠(日記、診断書など)を提示すると判断材料になります。

Q. パワハラを受けているのは自分にも原因がありますか?

パワハラの責任は加害者と、防止措置を怠った組織にあります。「自分にも原因があるのでは」と感じてしまうのは、パワハラの典型的な心理的影響です。どんな理由があっても、人格を否定する行為や精神的に追い詰める行為は許されるものではありません。自分を責める必要はまったくありません。

まとめ:あなたの心と体を最優先に

パワハラ・いじめは、あなたの看護師としての能力や人間性とは関係ありません。問題は環境にあります。証拠を残し、然るべき窓口に相談し、それでも改善しなければ環境を変える。これは正当な自衛手段です。

パワハラのある職場から離れることは逃げではありません。人間関係が良い職場は、看護師の求人の中にたくさんあります。看護師専門のアドバイザーは、職場の内部情報(人間関係や離職率など)をもとに、あなたが安心して働ける職場を無料で紹介してくれます。まずは情報を集めることから始めてみてください。

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