救急実習のポイント完全ガイド|トリアージ見学・救急カート・BLS実技・緊急度判定まで

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救急実習は、医療の最前線でスピード感あるケアを目の当たりにする、非常に刺激的な実習です。救急外来や救命救急センターでは、分刻みで患者の状態が変化し、迅速な判断と行動が求められます。「自分がいても邪魔になるのでは」「急変の場面が怖い」と不安に感じるのは自然なことです。この記事では、救急実習を有意義なものにするための具体的なポイントを解説します。

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この記事でわかること

  • 救急実習の目標設定と事前に準備しておくべき知識
  • トリアージの見学ポイントと救急カートの配置・構成
  • BLS(一次救命処置)の実技ポイントと緊急度判定の基本

救急実習の特徴と目標設定

救急実習は、統合実習や成人看護学実習の一部として数日間行われることが一般的です。救急外来、救命救急センター、ICU/HCUなどが実習場所になります。

実習目標の具体例

  • 救急医療の体制と看護師の役割を理解する
  • トリアージの目的と方法を理解し、緊急度・重症度の判断の実際を学ぶ
  • 一次救命処置(BLS)の手順を理解し、正しく実施できる
  • 救急患者の初期アセスメント(ABCDEアプローチ)を理解する
  • 救急場面での多職種連携とチームダイナミクスを観察する

事前学習の優先項目

  1. BLS(一次救命処置):胸骨圧迫と人工呼吸の手順、AEDの使用方法
  2. ABCDEアプローチ:Airway(気道)、Breathing(呼吸)、Circulation(循環)、Disability(意識)、Exposure(体温・外観)の評価方法
  3. バイタルサインの基準値と異常値:ショックの5徴候(蒼白、冷汗、頻脈、血圧低下、意識レベル低下)
  4. 代表的な救急疾患:心筋梗塞、脳卒中、外傷、アナフィラキシーの症状と初期対応
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トリアージの見学ポイント

トリアージとは、複数の患者が同時に来院した際に、治療の優先順位を判断するプロセスです。救急外来の入口で、トリアージナースが行っている判断を観察しましょう。

トリアージの分類(JTAS)

日本では、JTAS(Japan Triage and Acuity Scale)が広く使用されています。5段階に分類されます。

  1. レベル1(蘇生):心停止、重度のショック → 即座に治療開始
  2. レベル2(緊急):意識障害、重度の外傷 → 15分以内に医師の診察
  3. レベル3(準緊急):腹痛、高熱 → 30分以内に診察
  4. レベル4(低緊急):軽度の外傷、慢性的な症状の悪化 → 60分以内に診察
  5. レベル5(非緊急):軽症、経過観察で対応可能 → 120分以内に診察

見学で注目すべきポイント

  • トリアージナースが患者を最初に見たときに何を確認しているか(第一印象の評価)
  • どのような質問で情報を素早く聴取しているか
  • バイタルサインの測定とトリアージレベルの判断プロセス
  • 家族や救急隊からの情報収集の方法
  • 待機中の患者の再評価のタイミング

救急カートの配置と構成

救急カート(クラッシュカート)は、心停止や急変時に必要な薬剤と物品が整理されたワゴンです。救急実習中に救急カートの中身を学んでおくことは、将来どの部署に配属されても役立ちます。

救急カートの一般的な構成

  • 上段:除細動器(AED含む)、心電図モニター
  • 1段目引き出し:気道管理物品(挿管チューブ、喉頭鏡、バッグバルブマスク、エアウェイ)
  • 2段目引き出し:静脈路確保物品(留置針、輸液セット、三方活栓、駆血帯)
  • 3段目引き出し:救急薬品(アドレナリン、アトロピン、アミオダロン、リドカインなど)
  • 4段目引き出し:その他(注射器、手袋、テープ、吸引カテーテルなど)
  • 側面:酸素ボンベ、バックボード

救急カートに関する学習ポイント

実習中に時間があれば、指導者の許可を得て救急カートの中身を確認させてもらいましょう。薬品の名前と用途、物品の配置場所を覚えておくと、将来の急変対応時に慌てずに動けます。また、救急カートは定期的に点検が行われています。点検表の項目を見ることで、急変時に何が必要になるかを体系的に理解できます。

BLS(一次救命処置)の実技ポイント

BLSは看護師として必ず身につけておくべきスキルです。救急実習の前に手技を復習しておきましょう。

BLSの手順(成人)

  1. 安全確認:周囲の安全を確認する
  2. 反応の確認:肩を叩きながら「大丈夫ですか」と声をかける
  3. 応援要請:「誰か来てください!」「AEDを持ってきてください!」「119番通報してください!」
  4. 呼吸の確認:胸腹部の動きを10秒以内で確認(正常な呼吸がなければ心停止と判断)
  5. 胸骨圧迫開始:胸骨の下半分に手の付け根を当て、5〜6cmの深さで、100〜120回/分のテンポで圧迫
  6. 人工呼吸:30回の圧迫後に2回の人工呼吸(訓練を受けていない場合は胸骨圧迫のみでも可)
  7. AED装着:到着次第、電源を入れて音声ガイドに従う。パッドを貼り、解析と必要に応じてショックを実施

質の高いCPRのポイント

  • 強く:5〜6cmの深さで圧迫する(浅いと血流が不十分)
  • 速く:100〜120回/分のテンポを維持する
  • 戻す:圧迫の間は胸壁を完全に元に戻す(リコイル)
  • 中断を最小限に:胸骨圧迫の中断は10秒以内にする
  • 交代する:疲労で質が低下するため、2分ごとに交代する

緊急度判定とアセスメントの基本

救急実習では、患者の緊急度を迅速に判断するスキルの基礎を学びます。

ABCDEアプローチによる初期評価

ABCDEアプローチは、救急患者の初期評価に用いる系統的な方法です。

  • A(Airway/気道):気道が開通しているか。いびき様呼吸や喘鳴はないか
  • B(Breathing/呼吸):呼吸数、呼吸パターン、SpO2。胸郭の動きの左右差はないか
  • C(Circulation/循環):脈拍、血圧、皮膚色(蒼白・チアノーゼ)、冷汗、末梢冷感、CRT(爪床毛細血管再充満時間)
  • D(Disability/意識障害):GCS(グラスゴー・コーマ・スケール)またはJCS(ジャパン・コーマ・スケール)で評価。瞳孔の大きさと対光反射
  • E(Exposure/体温・外観):全身の観察(外傷の有無、発疹、腹部膨満など)。低体温の有無

ISBARC(報告のフレームワーク)

救急場面での報告は、正確かつ簡潔であることが求められます。ISBARCの枠組みを活用しましょう。

  • I(Identify/自己紹介):自分の名前と役割
  • S(Situation/状況):今何が起きているか
  • B(Background/背景):患者の既往歴、内服薬、アレルギー
  • A(Assessment/評価):自分のアセスメント
  • R(Recommendation/提案):何をすべきと考えるか
  • C(Confirm/確認):指示の復唱と確認
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救急実習の注意点と心構え

救急実習では、以下の点に注意して臨みましょう。

  • スタッフの動線を妨げない:救急処置中は一歩引いた場所から観察する
  • 感染対策の徹底:血液や体液に触れる場面が多いため、手袋やゴーグルの着用を忘れない
  • 精神的な衝撃への備え:重症外傷や心肺停止の場面を目にすることがある。辛いと感じたら指導者に相談する
  • メモの活用:展開が速いため、見たこと・聞いたことをその場でメモに取る習慣をつける
  • 質問は落ち着いた時間に:処置中は静かに観察し、患者対応が一段落してから質問する

まとめ:救急実習で身につける力

救急実習は短期間ですが、迅速な判断力、優先順位の付け方、チームワークの重要性を肌で感じられる実習です。救急看護に進まなくても、病棟での急変対応やBLSの技術は看護師として必ず求められます。

緊張する場面が多い実習ですが、医療チームが一丸となって命を守る現場を目の当たりにすることで、看護師という仕事のやりがいと責任の重さを実感できるはずです。しっかりと事前学習をして、自信を持って実習に臨んでください。

他の領域の実習ガイドもあわせてご活用ください。

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