手術室(オペ室)看護師のリアルな1日|器械出し・外回りの仕事内容

編集部
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手術室(オペ室)看護師の1日は、患者さんの命を預かる手術を「器械出し」と「外回り」の2つの役割で支えることに尽きます。一般病棟のように多くの患者さんを同時に受け持つのではなく、1件1件の手術に集中し、外科医が最高のパフォーマンスを発揮できる環境を整える——それがオペナースの仕事です。夜勤が少なく、年収は500〜650万円。専門性を高めながらワークライフバランスも比較的保ちやすい部署として、転職先に選ぶ看護師が増えています。

この記事では、手術室勤務9年目の筆者が、器械出しと外回りの具体的な仕事内容、1日のタイムスケジュール、術前訪問から術後訪問までの流れ、手術の種類別業務、必要な知識と資格、年収、メリット・デメリット、手術室への転職方法を詳しく解説します。

手術室看護師の2つの役割|器械出しと外回り

手術室看護師は、手術中の役割によって「器械出し(直接介助)」と「外回り(間接介助)」の2つに分かれます。どちらも手術の成功に欠かせない役割であり、経験を積むと両方をこなせるようになります。

器械出し(直接介助)とは

器械出しは、滅菌ガウン・滅菌手袋を装着し、手術台のすぐ横で外科医に器械(メス、鉗子、持針器など)を手渡す役割です。「器械出し」という名前ですが、単に器械を渡すだけではありません。

  • 手術の進行を予測して先に器械を準備する:外科医が「メス」と言う前に、次に必要な器械を予測して手元に用意する。この「先読み」が器械出しの真骨頂です
  • 術野の確保:牽引器(リトラクター)を用いて術野を広げたり、吸引で出血を除去したりして、外科医が見やすい環境を維持します
  • 器械・ガーゼのカウント:手術前後に器械・ガーゼ・針の数を正確にカウントし、体内遺残を防ぎます。カウントが合わなければ手術は閉創できません
  • 清潔操作の維持:手術中の清潔・不潔の区別を厳守し、感染予防に努めます

外回り(間接介助)とは

外回りは、手術中の患者さんの全身管理と、手術チーム全体のサポートを担う役割です。清潔野の外側で動き回りながら、手術が円滑に進むようあらゆる調整を行います。

  • 患者さんの全身管理:麻酔科医と協力して、バイタルサインの監視、体温管理(温風式加温装置の操作)、体位固定、輸液管理、輸血の準備・確認を行います
  • 薬剤の準備・投与:麻酔薬、抗菌薬、止血剤など、手術中に使用する薬剤の準備と記録を担当します
  • 物品の補充:器械出しが追加で必要とする器械や縫合糸、ガーゼなどを清潔操作で渡します
  • 手術記録の作成:手術の開始・終了時間、出血量、使用した薬剤や器材、体内留置物の記録を正確に行います
  • 家族への連絡:長時間の手術では、家族に経過を伝える役割も担います

器械出しと外回り、どちらが大変?

よく聞かれる質問ですが、正直に言えば「どちらも大変」です。器械出しは手術の進行を先読みする集中力と、長時間立ちっぱなしの体力が必要です。外回りは同時に複数のことを管理するマルチタスク能力と、予期せぬ事態への対応力が求められます。新人の頃は器械出しから始めることが多く、ある程度経験を積んでから外回りを任されるのが一般的です。

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手術室看護師の1日のタイムスケジュール

手術室は基本的に日勤中心の勤務です。ただし、緊急手術に備えたオンコール(待機)制度がある施設がほとんどです。以下は日勤(予定手術)の典型的なスケジュールです。

8:00〜8:30|情報収集・申し送り

当日の手術予定リストを確認し、担当する手術の患者情報を収集します。既往歴、アレルギー、感染症の有無、術前検査の結果、麻酔方法、手術体位などを電子カルテで確認。前日に術前訪問を行っている場合は、その際に把握した患者さんの不安や要望も確認します。朝のカンファレンスで、当日の手術件数、担当割り当て、緊急手術の可能性などを共有します。

8:30〜9:00|手術室の準備

担当する手術室に入り、手術台、無影灯、電気メス、吸引器、モニターなどの動作確認を行います。器械出しの場合は、手術に必要な器械セットを展開し、滅菌状態を確認してセットアップします。外回りの場合は、麻酔器の点検、薬剤の準備、輸液・輸血の準備、体温管理装置のセットを行います。

9:00〜9:30|患者入室・麻酔導入

患者さんが手術室に入室する際は、外回り看護師がお迎えに行きます。名前と生年月日で本人確認を行い(タイムアウト)、手術部位のマーキングを確認。手術台に移った後、静脈路の確認、モニター装着、体位固定を行います。全身麻酔の場合は、麻酔科医の導入に合わせて気管挿管の介助を行います。

9:30〜12:00(または午後まで)|手術本番

手術が始まると、器械出しは外科医の手技に集中し、外回りは全体のマネジメントに徹します。手術の種類や難易度によって所要時間は大きく異なり、30分で終わる手術もあれば8時間以上かかる手術もあります。長時間の手術では、器械出し・外回りともに交代のタイミングがあります。

手術終了〜片付け・記録

手術が終了すると、器械・ガーゼのファイナルカウント(閉創前の最終確認)を行います。患者さんの覚醒を確認した後、病棟またはICU/回復室に搬送。搬送後は手術記録の作成、使用した器械の洗浄・滅菌への搬送、手術室の清掃と次の手術の準備を行います。

午後の手術・翌日の準備・術後訪問

午後にも予定手術が入っている場合は、同様の流れで2件目、3件目の手術を担当します。手術がない時間帯は、翌日の手術の術前訪問(患者さんのベッドサイドを訪れ、手術の流れを説明し、不安を聴取する)、術後訪問(前日担当した患者さんの回復状況を確認する)、器械の点検・整備、勉強会への参加などを行います。定時は17:00〜17:30ですが、手術が長引いた場合は残業になります。

手術の種類別|オペナースの業務の違い

手術の種類によって、看護師に求められる知識やスキルは大きく異なります。主な手術科目別の特徴を解説します。

消化器外科

胃切除、大腸切除、肝切除、膵頭十二指腸切除など。手術時間が長い(4〜10時間)ことが多く、出血量も多い傾向があります。腹腔鏡手術の増加に伴い、内視鏡器具(腹腔鏡カメラ、トロッカー、超音波凝固切開装置など)の操作スキルも必要です。

心臓血管外科

冠動脈バイパス術(CABG)、弁置換術、大動脈瘤手術など。人工心肺装置を使用する手術が多く、臨床工学技士との連携が密です。手術時間は4〜8時間程度で、体外循環中の体温管理や凝固管理が重要。器械も特殊なものが多く、習得に時間がかかります。

整形外科

骨折のプレート固定、人工関節置換術、脊椎手術など。インプラント(人工関節や骨接合材)の種類が非常に多く、メーカーやサイズの管理が重要です。骨セメントの取り扱い、駆血帯(ターニケット)の管理なども特有の業務です。手術時間は比較的短い(1〜3時間)ものが多いです。

手術室看護師の年収・給与とメリット・デメリット

年収の目安

経験年数年収目安備考
1〜3年目420〜480万円夜勤が少ないため病棟よりやや低め
4〜7年目480〜550万円オンコール手当・手術件数による変動あり
8〜12年目530〜600万円指導者・リーダー業務で加算
13年目以上580〜650万円以上師長・手術看護認定看護師

手術室看護師の年収は、夜勤手当が少ない分、一般病棟よりやや低めになることもあります。ただし、オンコール手当(1回2,000〜5,000円)や緊急手術の際の呼び出し手当(1回5,000〜15,000円+時間外手当)が加算されるため、実際にはそれほど差がない場合も多いです。

手術室看護師のメリット

  • 夜勤がない(または少ない):基本は日勤のみ。オンコール当番は月4〜6回程度ですが、実際に呼び出される頻度は施設の緊急手術件数によります
  • 高い専門性が身につく:手術看護は非常に専門性が高く、解剖学・麻酔学・手術手技の知識は他の部署では得られません
  • 外科医との信頼関係:手術を通じて外科医と密に連携するため、信頼関係が構築しやすく、「この器械出しがいると手術がスムーズ」と評価されるやりがいがあります
  • 患者さんとの関わりが適度:病棟看護のように24時間の継続的なケアではなく、手術という限られた場面での関わりに集中できます
  • 土日祝日が休みの施設もある:予定手術がない日は基本休み。病棟勤務と比べてカレンダー通りの休日が取りやすいです

手術室看護師のデメリット

  • オンコールの拘束:オンコール日は飲酒NG・外出制限(30分以内に病院到着が求められる施設が多い)。プライベートが制限されます
  • 手術の延長による残業:予定より手術が長引いた場合、終わるまで帰れません。「17時に終わるはずが21時になった」こともあります
  • 放射線被曝のリスク:整形外科や心臓血管外科の手術ではX線透視を頻繁に使用するため、プロテクター(鉛のエプロン)を着用しますが、長期的な被曝リスクはゼロではありません
  • 体力的な負担:長時間の立ちっぱなし、重いプロテクターの装着、緊張の持続は体力を消耗します
  • 患者さんとの関わりが少ない:「もっと患者さんと話したい」と感じる看護師にはデメリットになります

手術室看護師に必要な知識・資格

必要な知識

  • 解剖学:手術中の術野を理解するために、解剖学の知識は必須です。特に、血管・神経の走行、臓器の位置関係を3次元的に把握する力が求められます
  • 麻酔の基礎知識:全身麻酔の段階(導入・維持・覚醒)、局所麻酔の種類と作用、麻酔合併症(悪性高熱症、アナフィラキシー等)の知識
  • 感染管理:清潔操作の原則、滅菌物の取り扱い、SSI(手術部位感染)予防のガイドライン
  • 医療機器の操作:電気メス、超音波凝固切開装置、腹腔鏡システム、手術用顕微鏡、手術支援ロボット(da Vinciなど)の基本操作

おすすめの資格

  • 手術看護認定看護師:手術看護のスペシャリストを認定する資格。周術期管理チームの中核として活躍できます
  • 周術期管理チーム看護師:日本麻酔科学会が認定する資格。麻酔科医と協働して周術期管理を行う看護師として認定されます
  • BLS/ACLSプロバイダー:手術中の急変(心停止、アナフィラキシー等)に対応するために必要な知識
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手術室看護師に向いている人の特徴

向いている人

  • 集中力が高い人:長時間の手術中、一瞬も気を抜けない環境に耐えられる持続的な集中力がある人
  • 手先が器用な人:器械の受け渡し、糸切り、体位固定など、細かい手作業が多い仕事です
  • 先を読んで行動できる人:「次に医師が何を必要とするか」を予測して準備できる先読み力は、オペナースの最も重要なスキルです
  • 知的好奇心がある人:手術手技は日々進歩しており、新しい器械やテクニックを学ぶことに喜びを感じられる人
  • チームプレーが好きな人:手術は外科医・麻酔科医・看護師・臨床工学技士のチームワーク。「チームで1つの成果を出す」ことにやりがいを感じる人に向いています

向いていない人

  • 患者さんとじっくりコミュニケーションを取りたい人:手術室では患者さんとの会話は術前訪問と入室時のわずかな時間のみ
  • 立ちっぱなしが苦手な人:手術中は基本的に立ち続けです。腰痛持ちの看護師は要注意
  • 血液や臓器が苦手な人:術野は出血・臓器が直接見える環境です

手術室看護師に転職するには

手術室への転職は、病棟経験のある看護師であればチャレンジしやすい分野です。具体的なステップを解説します。

手術室転職に必要な経験

手術室は「未経験歓迎」の求人が比較的多い部署です。看護師経験2年以上あれば応募できる施設が多く、外科系病棟の経験があると有利ですが、内科系病棟からの転職も十分可能です。新卒で手術室に配属される看護師もいます。

ただし、大学病院や大規模病院の手術室では、より高いレベルが求められるため、中規模病院の手術室で経験を積んでからステップアップするキャリアパスも一般的です。

転職面接のポイント

  • 「なぜ手術室を希望するのか」を明確に:「夜勤が嫌だから」ではなく、「手術看護の専門性に魅力を感じた」「患者さんの治療の根幹に携わりたい」という前向きな動機を伝えましょう
  • 解剖学や手術への興味をアピール:「学生時代から解剖学が好きだった」「病棟で術前術後の看護をする中で、手術室に興味を持った」など
  • 忍耐力と集中力をアピール:長時間の手術に耐える精神力・体力があることを具体的なエピソードで示しましょう

手術室転職を成功させるコツ

  • 教育体制が充実した施設を選ぶ:手術室未経験者には、段階的な教育プログラム(簡単な手術から徐々に難易度を上げる)が整った施設がおすすめです
  • 手術件数と種類を確認する:年間手術件数が多い施設ほど、幅広い経験を積めます。自分が興味のある外科領域の手術を多く行っている施設を選びましょう
  • オンコール体制の詳細を確認する:月のオンコール回数、実際の呼び出し頻度、自宅からの距離制限などは転職前に必ず確認しましょう
  • 転職サイトで内部情報を集める:手術室の人間関係や外科医の雰囲気は、外からはわかりにくい情報です。看護師専門の転職サイトでは、手術室の具体的な教育体制やオンコール実態も教えてもらえます

手術室看護師は、一般病棟とはまったく異なる世界ですが、その分「手術でしか得られないやりがい」があります。外科医から「あなたがいると手術がやりやすい」と言われた時の達成感は、オペナースならではの喜びです。夜勤が少なく専門性を高められるという点でも、キャリアの選択肢として検討する価値は十分にあります。まずは情報収集から始めてみてください。

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