救急看護師(ER)のリアルな1日|仕事内容・やりがい・きつさを徹底解説

編集部
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救急看護師(ER看護師)の1日は、文字通り「何が起こるかわからない」——それが最大の特徴です。交通事故の重症外傷から、発熱の子ども、胸痛の高齢者、自殺未遂の若者まで、年齢も疾患も重症度もバラバラの患者さんが次々と搬送されてきます。年収は500〜650万円で、アドレナリン全開の現場で瞬時の判断力と幅広い知識が求められる、看護師の中でも最もダイナミックな仕事の一つです。

この記事では、救急外来(ER)勤務8年目の筆者が、1次〜3次救急の違い、日勤・夜勤のタイムスケジュール、トリアージから初期対応までの具体的な業務内容、年収の実態、やりがいときつさ、向いている人の特徴、ERへの転職方法まで、現場のリアルをお伝えします。

救急外来の種類|1次・2次・3次救急の違い

「救急で働きたい」と一口に言っても、救急医療体制は3つの段階に分かれており、それぞれ対象患者も業務内容も大きく異なります。転職先を選ぶ上で、この違いを理解しておくことは必須です。

1次救急(初期救急)

1次救急は、入院の必要がない軽症患者を対象とする医療施設です。休日夜間急患センターやクリニックの時間外外来がこれに該当します。対応する疾患は発熱、腹痛、軽い外傷、嘔吐下痢など。命に関わるケースは少なく、看護業務もバイタル測定、問診、採血、点滴、処方補助などが中心です。「救急」のイメージとはやや異なりますが、幅広い年齢層の患者対応スキルが身につきます。

2次救急

2次救急は、入院や手術が必要な中等症〜重症患者を受け入れる医療施設です。地域の救急指定病院が該当し、最も多くの救急看護師が働いています。骨折、急性虫垂炎、脳梗塞、急性心筋梗塞、消化管出血など、多様な疾患に対応します。夜間・休日は当直体制で、医師1〜2名と看護師2〜3名という少人数で回すことも多く、看護師の判断力と対応力が特に問われる現場です。

3次救急(救命救急センター)

3次救急は、1次・2次で対応できない重篤な患者を受け入れる救命救急センターです。全国に約300施設あり、心肺停止、多発外傷、重症熱傷、急性中毒、脳卒中超急性期などの最重症例に対応します。ドクターヘリの受け入れを行う施設もあります。24時間体制で救急専門医と救急看護師がチームを組み、高度な救命処置を行います。看護師にとっては最もハードですが、最もスキルが磨かれる環境でもあります。

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救急看護師の日勤タイムスケジュール

救急外来の最大の特徴は「スケジュールが読めない」ことです。以下は2次救急病院の典型的な日勤の流れですが、実際には搬送状況によって大きく変動します。

8:30〜9:00|申し送り・環境整備

夜勤者からの申し送りを受け、夜間の搬送状況、入院した患者さんの情報、未対応の検査結果などを引き継ぎます。同時に、救急カート(除細動器、気管挿管セット、薬剤)のチェック、処置室の物品補充、モニターの動作確認を行います。この準備を怠ると、いざ搬送が来た時に命に関わるため、毎朝のルーティンとして確実に実施します。

9:00〜12:00|救急搬送対応・ウォークイン対応

午前中は救急搬送とウォークイン(自力来院)の患者さんが混在する時間帯です。救急車のサイレンが鳴ると、救急隊からのホットライン情報をもとに受け入れ準備を開始します。

  • 救急車搬送の場合:ホットラインで患者情報(年齢・性別・主訴・バイタル・意識レベル・処置内容)を聴取 → 必要な機器・薬剤を準備 → 搬入後、初期評価(ABCDE評価)→ 医師の指示に基づく処置(静脈路確保・採血・モニタリング・薬剤投与) → 検査オーダーの確認(CT・レントゲン・血液検査)→ 検査への搬送
  • ウォークインの場合:受付でトリアージ(緊急度判定)を実施 → 重症度に応じて診察順序を決定 → バイタル測定・問診 → 医師の診察補助 → 処方・処置 → 帰宅指導または入院調整

12:00〜13:00|昼食休憩(取れるとは限らない)

救急外来の昼食休憩は「取れたらラッキー」が正直なところです。搬送が立て込む日は昼食を食べられないこともありますし、食べ始めた瞬間にサイレンが鳴ることも日常茶飯事です。「カップ麺にお湯を入れた瞬間に搬送が来て、3分どころか30分後に伸びきった麺を食べた」というのは、ER看護師あるあるの一つです。

13:00〜17:00|搬送対応・入院調整・書類作成

午後も引き続き搬送対応とウォークイン対応を行いながら、午前中に入院が決まった患者さんの病棟への引き継ぎ(入院調整)、救急搬送記録の作成、物品の補充を並行して進めます。17時前には夜勤者への申し送りの準備を始めますが、搬送が続く日は残業になることも珍しくありません。

救急看護師の夜勤タイムスケジュール

救急外来の夜勤は、日勤以上に緊張感が高まります。スタッフ数が減る中で、重症度の高い搬送が集中するためです。

17:00〜22:00|夕方〜夜間の搬送ラッシュ

日勤者からの申し送りを受け、夜勤体制に入ります。実は救急搬送が最も多いのは18〜22時の時間帯です。一般外来が閉まる時間帯に体調不良で来院する患者さんが増え、仕事帰りの交通事故や飲酒後のトラブルも重なります。2〜3台の救急車が同時に到着する「重複搬送」が起きることもあり、この時間帯が最もハードです。

22:00〜2:00|搬送対応・急変対応

深夜帯に入ると搬送件数はやや減りますが、重症度が上がる傾向があります。心肺停止や重症外傷など、命に直結する搬送が集中するのがこの時間帯です。院内の各病棟からの急変コールに対応する場合もあり、コードブルー(院内緊急コール)が鳴れば駆けつけます。

2:00〜6:00|仮眠・待機・搬送対応

搬送が途切れれば仮眠を取りますが、実際に眠れるかは運次第です。特に金曜の夜や連休中は搬送が絶えず、一睡もできないこともあります。仮眠中もPHSは手元に置き、搬送の連絡があればすぐに対応します。

6:00〜8:30|朝の搬送・日勤への引き継ぎ

早朝は前夜からの経過観察患者の対応や、朝方に搬送されてくる患者の対応を行いながら、夜間の搬送記録を整理し、日勤者への申し送りを準備します。夜勤明けの疲労はかなりのものですが、「今夜も誰も死なせなかった」と思えた時の安堵感は格別です。

救急看護師の主な業務内容

救急看護師の業務は多岐にわたりますが、特に重要な業務を詳しく解説します。

トリアージ

トリアージとは、複数の患者さんの中から「誰を先に診るか」を判断する作業です。救急外来では看護師がトリアージを担当することが多く、JTAS(Japan Triage and Acuity Scale)やCTAS(Canadian Triage and Acuity Scale)などのスケールを用いて、5段階の緊急度を判定します。

  • レベル1(蘇生):生命の危機。心肺停止、重症ショック。即座に蘇生処置
  • レベル2(緊急):生命の危険あり。急性心筋梗塞、脳卒中。15分以内に医師の診察
  • レベル3(準緊急):潜在的に重症化の可能性。骨折、激しい腹痛。30分以内
  • レベル4(低緊急):安定しているが受診が必要。慢性疾患の悪化。60分以内
  • レベル5(非緊急):一般外来でも対応可能。120分以内

トリアージは経験と知識が試される業務です。「この患者さんは見た目は元気だけど、バイタルの数値から考えると危険」「この症状は一見軽そうだが、見逃すと手遅れになる」——こうした判断を短時間で行う必要があり、ベテラン看護師でも緊張する場面です。

初期対応(プライマリーサーベイ)

搬送された患者さんに対して、ABCDEアプローチで系統的に初期評価を行います。

  • A(Airway)気道:気道の開通性を確認。異物除去、吸引、必要に応じて気管挿管の準備・介助
  • B(Breathing)呼吸:呼吸数、SpO2、呼吸音の聴取、呼吸パターンの評価。酸素投与、BVM(バッグバルブマスク)換気
  • C(Circulation)循環:脈拍、血圧、末梢循環の確認。出血のコントロール、静脈路確保、輸液・輸血の準備
  • D(Dysfunction of CNS)中枢神経:意識レベル(GCS/JCS)、瞳孔、四肢の運動機能の評価
  • E(Exposure/Environment)脱衣と体温:全身の外傷確認のための脱衣、体温管理(低体温予防)

この一連の評価を医師と看護師が同時進行で行いながら、必要な処置を並行して実施します。まさにチームワークの真骨頂です。

心肺蘇生(CPR)と急変対応

心肺停止患者が搬送された場合、BLS(一次救命処置)からACLS(二次救命処置)まで、チームで対応します。看護師の役割は胸骨圧迫、薬剤投与、除細動器の操作、記録(タイムキーパー)、家族対応など多岐にわたります。2分ごとの胸骨圧迫の交代、アドレナリン投与のタイミング管理、医師への情報提供を正確に行う必要があります。

心肺蘇生は体力的にも精神的にも消耗が激しい処置です。「もう助からない」と感じながらも、家族の前で最善を尽くし続ける——救急看護師にとって最も辛い場面の一つですが、蘇生に成功した時の達成感は言葉にできません。

家族対応・精神的サポート

救急外来に来る患者さんの家族は、突然の出来事にパニック状態になっていることがほとんどです。「事故に遭った」「突然倒れた」という連絡を受けて駆けつけた家族に、現在の状況を説明し、精神的なサポートを行うのも看護師の重要な役割です。特に、心肺停止患者の蘇生中や死亡確認後の対応は、高いコミュニケーションスキルと共感力が求められます。

救急看護師の年収と待遇

年収の目安

経験年数年収目安備考
1〜3年目420〜500万円夜勤手当の比率が高い
4〜7年目500〜580万円トリアージナース・リーダー業務で加算
8〜12年目550〜620万円認定資格手当・管理業務
13年目以上600〜650万円以上師長・救急看護認定看護師

救急看護師の手当の内訳

  • 夜勤手当:月4〜6回の夜勤で月5〜10万円。救急は夜勤回数が多い傾向
  • 救急手当(特殊勤務手当):月1〜3万円。3次救急の方が高い傾向
  • 時間外手当:搬送が重なると残業は避けられず、月20〜40時間の残業がある施設も
  • 待機手当:オンコール体制の場合、1回2,000〜5,000円程度

救急看護師のやりがいときつさ

救急看護師のやりがい

  • 命を救うダイナミックさ:目の前の患者さんの命を直接救える実感。心肺停止から自己心拍が再開した瞬間は、何度経験しても鳥肌が立ちます
  • 幅広い知識とスキルが身につく:内科・外科・小児科・産婦人科——あらゆる診療科の患者さんが来るため、看護師としての総合力が飛躍的に向上します
  • チーム医療の一体感:救命処置はチームプレーの極致。医師・看護師・救急救命士・検査技師が一丸となって命を救う現場は、他の部署では味わえない連帯感があります
  • 瞬時の判断力が磨かれる:「考えている暇がない」環境で鍛えられる判断力は、看護師としてのキャリア全体で活きる財産です
  • 感謝の言葉の重み:後日、回復した患者さんやご家族から「あの時、ありがとうございました」と言われた時の感動は、きつさを吹き飛ばしてくれます

救急看護師のきつさ

  • 精神的ストレスが大きい:死亡症例に直面する頻度が高く、特に小児や若年者の死は精神的ダメージが大きいです。PTSD(心的外傷後ストレス障害)のリスクがある部署でもあります
  • 暴言・暴力のリスク:酩酊者や精神的に不安定な患者さんから暴言・暴力を受けることがあります。救急外来には警備員が常駐している施設もありますが、すべてを防ぐことはできません
  • 不規則な生活リズム:夜勤回数が多く、休憩が取れない日も珍しくありません。体力的な負担は非常に大きいです
  • 感染リスク:搬送時点で感染症の有無がわからないケースも多く、標準予防策は徹底しますが、リスクはゼロにはなりません
  • 業務量の波が激しい:搬送が集中する時間帯は「回せない」ほどの忙しさですが、暇な時間帯もあり、その落差に体が対応しきれないこともあります
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救急看護師に向いている人の特徴

ERに向いている人

  • 瞬時に判断して動ける人:「まず考えてから」ではなく、「動きながら考える」タイプ。ただし無鉄砲さとは違い、ABCDE評価のような系統的思考を瞬時に実行できる力が必要です
  • ストレス耐性が高い人:プレッシャーの中でもパニックにならず、冷静さを保てる人。感情的になりやすいタイプは苦労します
  • 好奇心旺盛で飽きっぽくない人:あらゆる疾患に対応する救急は、毎日が新しい学びの連続。「同じことの繰り返し」が嫌いな人にはぴったりです
  • 体力に自信がある人:12時間の立ち仕事、心肺蘇生の体力消耗、不規則な生活リズム——体力は必須条件です
  • チームプレーが好きな人:救急は一人では成り立ちません。医師や他のスタッフと息を合わせて動ける協調性が重要です

ERに向いていない人

  • 一人の患者さんとじっくり向き合いたい人:救急では患者さんとの関わりは数時間〜数日。長期的な信頼関係を築くのは難しいです
  • 予定通りに仕事を進めたい人:スケジュール通りにいかないのが救急の日常。予測不能な状況にストレスを感じる人には向きません
  • 血や外傷が苦手な人:交通事故の重症外傷や、切断肢の処理など、視覚的にショッキングな場面に遭遇します

救急看護師に転職するには

救急外来への転職を考えている看護師に向けて、具体的なステップを解説します。

ER転職に必要な経験と資格

救急外来への転職に必要な経験年数は施設によって異なりますが、一般的には急性期病棟での経験2〜3年以上が求められます。3次救急(救命救急センター)では5年以上の経験を条件にする施設もあります。以下の経験や資格があると有利です。

  • 急性期病棟(外科・循環器・脳神経外科など)の経験:術後管理や急変対応の経験は直接活かせます
  • ICU/HCUの経験:重症患者管理の経験はERでも強力なアドバンテージです
  • BLS/ACLSプロバイダー:必須ではありませんが、持っていると面接で評価されます
  • JNTEC(外傷看護)/ JPTEC:外傷対応の体系的な知識を証明する資格
  • 救急看護認定看護師:取得にはER経験3年以上が必要ですが、キャリアアップの目標として

ER転職の面接対策

救急外来の面接では以下の質問が頻出します。

  • 「なぜ救急外来で働きたいのですか?」:「緊急対応が好き」だけでなく、「患者さんの初療に関わることで、その後の回復に貢献したい」といった看護観を交えて答えましょう
  • 「急変対応の経験を教えてください」:患者さんの状態、自分がとった行動、チームでの連携、その結果を具体的に
  • 「複数の搬送が重なった場合、どう対応しますか?」:トリアージの考え方に基づき、優先順位をつけて対応する姿勢を示しましょう
  • 「暴言・暴力への対応はどうしますか?」:冷静に対応し、必要に応じて応援を呼ぶ、自分の安全を最優先にするという原則を述べましょう

ER転職を成功させるポイント

  • 施設の救急レベル(1次〜3次)を確認する:自分のスキルレベルと希望に合った施設を選びましょう。いきなり3次救急は難易度が高い場合もあります
  • 教育体制を確認する:ER未経験者向けの教育プログラム(OJT期間、シミュレーション研修、プリセプター制度)が整っているかは重要です
  • 夜勤回数の上限を確認する:施設によって月4回〜8回以上とばらつきがあります。自分の体力と相談してください
  • 転職サイトで非公開求人を探す:救急外来の求人は病院公式サイトだけでは見つかりにくいことがあります。看護師専門の転職サイトでは、教育体制や夜勤回数、残業時間などの内部情報も教えてもらえます
  • 病院見学で雰囲気を確認する:スタッフ同士のコミュニケーション、救急外来の動線、設備の充実度を自分の目で確かめましょう

救急看護師は、看護師の中でも最もダイナミックでやりがいのある仕事の一つです。きつさは否定しませんが、「あの時、自分がここにいたから助かった」と思える瞬間は、他の何にも代えがたい経験です。救急に興味があるなら、まずは転職サイトで情報を集めたり、救急看護の勉強会に参加したりして、一歩を踏み出してみてください。

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