
看護計画は患者さんへの適切なケアを提供するための重要な指針となります。
しかし、多くの看護学生が「どのように書き始めればよいのかわからない」「評価の基準が曖昧で不安」といった課題を抱えています。
本記事では、看護計画の基本的な考え方から具体的な作成手順、効果的な表現方法まで、実例を交えながら詳しく解説していきます。
この記事で分かること
- 看護計画作成の基本的な手順と具体的な書き方のポイント
- 看護診断から目標設定、具体的な介入計画までの実践的な知識
- 効果的な表現方法と評価基準の設定方法について
- 実際の臨床現場で活用できる具体的なケーススタディ
この記事を読んでほしい人
- 看護計画の作成に不安を感じている看護学生の方
- 実習や臨床の場面で効果的な看護計画を立てたいと考えている方
- 看護計画の評価方法について具体的に学びたい方
- 基礎から応用まで体系的に看護計画について学習したい方
看護計画の基本と重要性

看護計画は、患者さんの健康上の課題を解決するための具体的な行動計画であり、質の高い看護ケアを提供するための重要な要素です。
このセクションでは、看護計画の基本的な考え方と、なぜそれが重要なのかについて詳しく解説していきます。
看護計画の定義と目的
看護計画の本質的な意味
看護計画とは、患者さんの健康上の問題を特定し、その解決に向けた具体的な行動計画を示す文書です。単なる記録ではなく、患者さんの回復を支援するための戦略的な計画となります。
看護計画が果たす役割
看護計画は、患者さんのケアにおいて複数の重要な役割を担っています。まず、個別性の高い看護ケアを提供するための指針となります。
また、医療チーム内での情報共有や連携を促進する重要なツールとしても機能します。さらに、看護ケアの質を評価し、継続的な改善を図るための基準としても活用されます。
看護計画の構成要素
アセスメントの重要性
看護計画の第一段階となるアセスメントでは、患者さんの身体的、精神的、社会的な状態を包括的に評価します。具体的には、バイタルサイン、症状、生活習慣、社会的背景などの情報を収集し、分析を行います。
看護診断の立て方
収集した情報を基に、患者さんの健康上の問題を特定し、看護診断を行います。この際、NANDAの看護診断を参考にしながら、患者さんの個別性を考慮した適切な診断名を選択します。
期待される結果の設定
看護診断に基づいて、具体的かつ測定可能な目標を設定します。短期目標と長期目標を適切に設定し、患者さんと医療チームで共有できる形で記述します。
具体的な看護介入計画
目標達成のための具体的な看護介入を計画します。ここでは、いつ、誰が、何を、どのように行うのかを明確に記載します。また、介入に必要な準備物品や注意点なども含めます。
看護計画の法的・倫理的側面
記録としての重要性
看護計画は、法的文書としての側面も持ち合わせています。医療訴訟の際の重要な証拠となることもあり、正確な記録と保管が求められます。
患者の権利と個人情報保護
看護計画の作成と運用においては、患者さんの権利を尊重し、個人情報の保護に十分な配慮が必要です。記載内容や保管方法については、施設の規定に従って適切に管理します。
効果的な看護計画の特徴
個別性の重視
効果的な看護計画は、画一的なものではなく、患者さん一人ひとりの特性や状況に応じた個別性の高いものである必要があります。
実行可能性の確保
立案した計画は、実際の臨床現場で実行可能なものでなければなりません。利用可能な資源や時間的制約を考慮した現実的な計画を立案することが重要です。
評価のしやすさ
計画の進捗や効果を適切に評価できるよう、具体的で測定可能な目標と介入計画を設定することが求められます。
チーム医療における看護計画の役割
情報共有ツールとしての機能
看護計画は、医療チーム内での情報共有を促進し、ケアの一貫性を確保するための重要なツールとなります。
多職種連携の促進
看護計画を通じて、医師、理学療法士、作業療法士などの他職種とも情報を共有し、効果的な連携を図ることができます。
看護計画作成の具体的手順

効果的な看護計画を作成するためには、体系的なアプローチと明確な手順が必要です。
このセクションでは、実践的な看護計画の作成手順について、具体例を交えながら詳しく解説していきます。
情報収集とアセスメント
基本情報の収集方法
情報収集は看護計画作成の土台となる重要なステップです。患者さんの基本情報は、診療録、看護記録、問診、フィジカルアセスメント、各種検査データなど、様々な情報源から収集します。
また、患者さんやご家族との対話を通じて、生活背景や価値観についても理解を深めていきます。
システマティックな情報整理
収集した情報は、ゴードンの機能的健康パターンや基本的ニード論などの理論的枠組みを用いて整理します。これにより、患者さんの状態を包括的に把握し、重要な健康課題を見落とすことなく分析することができます。
優先順位の決定
収集した情報を分析し、患者さんの健康課題の優先順位を決定します。生命に関わる問題を最優先とし、次にQOLに影響を与える問題、そして予防的な介入の順で優先度を設定していきます。
看護診断の展開方法
適切な診断名の選択
NANDAの看護診断リストを参考に、患者さんの状態に最も適した診断名を選択します。診断名は、問題の本質を正確に表現し、かつ具体的な介入につながるものを選ぶことが重要です。
診断指標の明確化
選択した看護診断に関連する症状や徴候を、具体的な診断指標として明記します。これにより、問題の存在を客観的に示し、介入後の評価基準としても活用することができます。
関連因子の特定
診断の背景にある要因や原因を関連因子として特定します。これにより、より効果的な看護介入の計画立案が可能となります。
目標設定の実践
短期目標の立案
短期目標は、比較的短い期間(数日から1週間程度)で達成可能な具体的な目標を設定します。測定可能で具体的な表現を用い、達成時期を明確にすることが重要です。
長期目標の設定
長期目標は、入院期間全体や退院後を見据えた目標を設定します。患者さんの価値観や生活背景を考慮し、現実的かつ達成可能な目標を設定することが大切です。
目標の表現方法
目標は「〜できる」「〜が改善する」など、具体的で評価可能な表現を用います。また、数値化できる項目については、具体的な数値目標を設定することで、評価の客観性を高めることができます。
具体的な看護介入の計画
介入内容の具体化
看護介入は、誰が、いつ、何を、どのように行うのかを具体的に記載します。また、必要な物品や実施上の注意点についても明記します。
実施頻度と時間の設定
各介入の実施頻度や時間帯を明確に設定します。患者さんの生活リズムや病棟のルーチンを考慮しながら、実行可能な計画を立案します。
予測される問題への対応
介入実施時に起こり得る問題や合併症を予測し、その予防策や対応方法についても計画に含めます。
記録方法と留意点
SOAPフォーマットの活用
看護記録は一般的にSOAP形式で記載します。主観的データ(S)、客観的データ(O)、アセスメント(A)、計画(P)を明確に区別して記載することで、情報の整理と共有が容易になります。
具体的な表現の使用
記録は具体的で客観的な表現を用い、あいまいな表現を避けます。特に測定値や観察結果は、数値や具体的な状態として記載します。
継続的な評価と修正
計画の実施状況や効果を定期的に評価し、必要に応じて修正を加えます。評価結果と修正内容は、日付とともに明確に記録します。
効果的な表現方法と記載のポイント

看護計画の質を高めるためには、適切な専門用語の使用と明確な表現方法が不可欠です。
このセクションでは、看護計画を記載する際の効果的な表現方法と、よくある間違いについて具体的に解説していきます。
専門用語の適切な使用
医療用語の正確な使用
医療用語は正確に使用し、略語を用いる場合は初出時に正式名称を記載します。例えば、「BP(Blood Pressure)180/90mmHg」のように、略語の意味が明確に伝わるよう配慮します。
看護専門用語の活用
看護独自の専門用語は、NANDAの看護診断や看護介入分類(NIC)、看護成果分類(NOC)に基づいて使用します。ただし、チーム内で共通理解が得られる用語を選択することが重要です。
わかりやすい表現への配慮
専門用語を使用する際は、必要に応じて平易な説明を併記します。特に患者さんやご家族と共有する際には、理解しやすい表現を心がけます。
具体的な表現技法
客観的な状態の記述
患者さんの状態は、具体的な数値や観察可能な状態として記述します。「やや不良」といった主観的な表現ではなく、「体温38.5℃」「呼吸数24回/分」など、客観的な指標を用います。
行動レベルでの記載
看護介入は、具体的な行動レベルで記載します。「清潔の援助をする」ではなく、「午前10時に温湯による全身清拭を実施する」のように、具体的な方法と時間を明記します。
評価可能な表現の使用
目標は評価可能な形で記載します。「歩行が改善する」ではなく、「病棟内を歩行器を使用して200m連続歩行できる」のように、具体的な達成基準を示します。
記録の構造化
論理的な文章構成
情報は論理的な順序で記載します。原因と結果、問題と対策、実施と評価など、関連する情報を整理して記述します。
時系列での記録
経時的な変化を追跡できるよう、日時を明確に記録します。特に急性期の患者さんの場合、状態の変化を時系列で把握できることが重要です。
情報の優先順位付け
重要度の高い情報から順に記載します。特に緊急性の高い問題や、生命に関わる情報は最優先で記録します。
よくある間違いと対策
あいまいな表現の回避
「やや」「少し」「ほぼ」などのあいまいな表現は避け、具体的な状態や数値で記載します。「やや疼痛あり」ではなく、「安静時のNRS(疼痛スケール)3/10」のように記載します。
主観的判断の明確化
看護師の主観的判断を記載する場合は、その根拠となる客観的な観察事実も併せて記録します。「不安が強い様子」という表現に加えて、「声が震え、落ち着きなく病室内を歩き回る様子が見られる」といった具体的な状態を記載します。
誤解を招く表現の修正
「できない」「わからない」といった否定的な表現は避け、できている部分や改善の可能性を含めた表現を用います。「歩行できない」ではなく、「現在は介助を要するが、リハビリにより自立歩行を目指す」といった表現を心がけます。
記録の質向上のために
定期的な見直し
記載内容を定期的に見直し、最新の状態を反映させているか確認します。特に長期の看護計画の場合、定期的な更新が重要です。
チーム内での確認
記載内容について、カンファレンスなどでチーム内での共有と確認を行います。多角的な視点からの意見を取り入れることで、より質の高い記録が可能となります。
継続的な学習
看護記録に関する最新のガイドラインや推奨される記載方法について、継続的に学習します。施設内の研修や専門書などを活用し、記録の質の向上に努めます。
評価と改善

看護計画の評価は、提供したケアの効果を確認し、必要な改善を行うための重要なプロセスです。
このセクションでは、効果的な評価方法と、評価結果に基づく改善の進め方について解説していきます。
看護計画の評価基準
客観的評価指標の設定
評価を適切に行うためには、具体的で測定可能な評価指標を設定することが重要です。バイタルサイン、検査値、日常生活動作(ADL)の自立度など、客観的に測定できる指標を用います。
主観的評価の取り入れ方
患者さんの満足度や心理状態など、主観的な要素も評価に含めます。患者さんやご家族からの聞き取りを通じて、ケアの受け手の視点からの評価を行います。
時期別評価基準の設定
短期目標と長期目標それぞれに対して、適切な評価時期と評価基準を設定します。例えば、術後の痛みコントロールであれば、「術後24時間以内にNRS3以下となる」といった具体的な基準を設定します。
評価の実施方法
定期評価の進め方
定期的な評価は、設定した評価基準に基づいて計画的に実施します。評価時期は患者さんの状態や目標の性質に応じて適切に設定します。
随時評価の重要性
患者さんの状態変化や新たな問題の発生時には、計画した評価時期を待たずに随時評価を行います。迅速な対応が必要な場合は、評価と計画修正を速やかに実施します。
多角的な評価の実施
看護師による評価だけでなく、他職種からの評価や患者さん自身による自己評価なども含めた多角的な評価を行います。
評価結果の分析
目標達成度の確認
設定した目標に対する達成度を確認します。完全達成、部分達成、未達成などの判断基準を明確にし、客観的な評価を行います。
未達成要因の分析
目標が未達成の場合は、その要因を詳細に分析します。計画自体の問題、実施上の課題、予期せぬ状況の発生など、様々な角度から検討します。
予期せぬ結果の考察
想定外の結果や副次的な効果についても注意深く観察し、記録します。これらの情報は今後の計画修正や新たな介入の検討に活用します。
改善策の立案
計画修正の判断
評価結果に基づいて、計画の継続、修正、または中止を判断します。修正が必要な場合は、具体的な改善点を明確にします。
具体的な改善方法
改善が必要な項目について、具体的な修正案を立案します。目標設定の見直し、介入方法の変更、新たな介入の追加など、状況に応じた適切な改善策を検討します。
チームでの検討
改善策の立案は、カンファレンスなどでチーム全体で検討します。多職種からの意見を取り入れることで、より効果的な改善策を見出すことができます。
継続的な質向上への取り組み
評価結果の共有
評価結果や改善策について、チーム内で確実に情報共有を行います。申し送りやカンファレンスを活用し、継続的なケアの質向上につなげます。
記録の活用
評価結果と改善策は適切に記録し、今後の看護計画立案時の参考資料として活用します。類似のケースに対する効果的なアプローチの蓄積につながります。
看護の質向上への展開
個々の看護計画の評価と改善を通じて得られた知見を、部署全体の看護の質向上に活かします。事例検討会や業務改善活動などを通じて、組織的な取り組みにつなげていきます。
ケーススタディ

ここでは、具体的な事例を通じて看護計画の作成から評価までのプロセスを解説します。
急性期、慢性期、リハビリ期の3つの異なる場面での看護計画の実例を見ていきましょう。
急性期看護のケース
患者情報とアセスメント
Aさん(65歳、男性)は、突然の胸痛を主訴に救急搬送され、急性心筋梗塞と診断されました。既往歴に高血圧症があり、内服加療中です。入院時のバイタルサインはBP:180/95mmHg、HR:95回/分、SpO2:94%(室内気)、体温:36.8℃です。
看護診断と目標設定
主要な看護診断として「心拍出量減少」を設定します。心筋の収縮力低下による循環動態の不安定さが認められるためです。
短期目標は「24時間以内にバイタルサインが安定域(BP:140/90mmHg以下、HR:60-80回/分)に維持される」とし、長期目標は「1週間以内に日常生活動作が安全に行えるようになる」と設定します。
具体的な看護介入計画
安静度に応じたケアプランを立案します。心電図モニタリングによる継続的な観察、疼痛の評価とコントロール、安静度の段階的拡大に向けた援助を計画します。また、不安の軽減に向けた精神的支援も含めます。
慢性期看護のケース
患者情報とアセスメント
Bさん(72歳、女性)は、2型糖尿病の治療目的で入院となりました。HbA1c:8.9%、空腹時血糖:180mg/dL、BMI:27.8と血糖コントロール不良を認めます。自宅では運動習慣がなく、食事管理も不十分な状況です。
看護診断と目標設定
主要な看護診断は「非効果的健康管理」です。短期目標として「入院中の血糖値が140-180mg/dLの範囲で維持される」を設定し、長期目標は「退院後も継続可能な生活習慣の改善計画が立案できる」とします。
具体的な看護介入計画
食事療法と運動療法の指導を中心に、セルフケア能力の向上を目指します。血糖測定の手技指導、食事記録の活用方法、適切な運動方法の指導など、具体的な生活改善策を計画します。
リハビリ期看護のケース
患者情報とアセスメント
Cさん(58歳、男性)は、脳梗塞後のリハビリテーション目的で入院中です。右片麻痺があり、基本動作に介助を要します。失語症も認められますが、理解力は保たれています。
看護診断と目標設定
主要な看護診断は「身体可動性障害」です。短期目標として「2週間以内に見守りでの歩行器歩行が可能となる」を設定し、長期目標は「退院までに自宅での生活動作が自立して行える」とします。
具体的な看護介入計画
理学療法士と連携したADL訓練、転倒予防策の実施、コミュニケーション方法の工夫などを計画します。また、家族への介助方法の指導も含めます。
各ケースの評価と改善
急性期ケースの評価
Aさんの場合、バイタルサインの安定化と疼痛コントロールの達成度を評価します。目標達成に応じて、安静度の拡大や退院に向けた準備を進めていきます。
慢性期ケースの評価
Bさんの場合、血糖値の推移と生活習慣の改善状況を評価します。セルフケア能力の向上度合いに応じて、指導内容を調整していきます。
リハビリ期ケースの評価
Cさんの場合、ADLの自立度と安全性を評価します。目標達成状況に応じて、訓練内容や介助方法を見直していきます。
ケーススタディからの学び
個別性の重要性
各ケースで示したように、患者さんの状態や背景に応じた個別的な看護計画の立案が重要です。画一的なアプローチではなく、その人に合わせた計画を立てることで、より効果的なケアが提供できます。
多職種連携の意義
リハビリテーションや糖尿病教育など、多職種との連携が必要な場面では、チーム全体で情報共有と目標設定を行うことが重要です。それぞれの専門性を活かした包括的なケア提供を目指します。
継続的な評価の必要性
各ケースとも、定期的な評価と計画の見直しが必要です。患者さんの状態変化や目標達成状況に応じて、柔軟に計画を修正していくことが求められます。
おしえてカンゴさん!よくある質問コーナー

看護計画の作成や運用に関して、看護学生の皆さんからよく寄せられる質問について、具体的に解説していきます。
実践的なアドバイスを交えながら、現場で活用できる知識をお伝えします。
Q1:看護計画の優先順位はどのように決めればよいですか?
看護計画の優先順位は、マズローの基本的欲求階層理論とアセスメントデータを組み合わせて決定していきます。まず生命に関わる問題を最優先とし、次にQOLに影響を与える問題、そして予防的な介入の順で考えていきます。
例えば、呼吸困難のある患者さんの場合、呼吸状態の改善を最優先とし、その後に日常生活動作の拡大や不安の軽減などを計画します。
Q2:看護診断の数はどれくらいが適切でしょうか?
看護診断の数に絶対的な基準はありませんが、一般的には3~5個程度が実践的です。患者さんの状態によって必要な診断数は変わってきますが、多すぎると実施や評価が困難になります。重要なのは、診断の数ではなく、患者さんの主要な健康問題に焦点を当てることです。
例えば、急性期の患者さんでは身体的な問題を中心に2~3個、慢性期の患者さんではセルフケアや教育的な側面も含めて4~5個の診断を立てることが多いです。
Q3:目標設定で気をつけるべきポイントを教えてください。
目標設定では「SMART」の原則を意識することが重要です。具体的(Specific)、測定可能(Measurable)、達成可能(Achievable)、現実的(Realistic)、期限を明確に(Time-bound)した目標を立てます。
例えば、「歩行が改善する」という漠然とした目標ではなく、「1週間以内に病棟内を歩行器を使用して100m連続歩行できる」というように、具体的な達成基準と期限を設定します。
Q4:評価の頻度はどのように決めればよいですか?
評価の頻度は、患者さんの状態と設定した目標に応じて決定します。急性期の場合は毎日もしくは勤務帯ごと、慢性期の場合は週単位での評価が一般的です。
例えば、術後の疼痛管理では4時間ごとの評価、褥瘡予防では1日1回の評価、糖尿病教育では週1回の評価というように、問題の性質に応じて適切な頻度を設定します。
Q5:実習記録での看護計画の書き方について教えてください。
実習記録での看護計画は、論理的な思考過程が見えるように記載することが重要です。情報収集からアセスメント、看護診断、計画立案までの流れを明確に示します。
特に、なぜその看護診断を選択したのか、なぜその介入が必要だと考えたのかという根拠を丁寧に記載します。
また、参考文献も適切に引用し、科学的根拠に基づいた計画であることを示します。
Q6:チーム内での情報共有はどのように行えばよいですか?
看護計画に関する情報共有は、申し送りやカンファレンスを効果的に活用します。特に計画の修正や新たな問題の発生時には、タイムリーな情報共有が重要です。電子カルテシステムの活用や、重要な情報の視覚化(ホワイトボードの活用など)も効果的です。
また、多職種カンファレンスでは、それぞれの専門性を活かした意見交換ができるよう、事前に情報を整理して臨みます。
Q7:看護計画の見直しのタイミングはいつがよいですか?
看護計画の見直しは、定期的な評価時に加えて、以下のような状況で行います。患者さんの状態が変化した時、新たな問題が発生した時、設定した目標が達成された時、介入の効果が得られない時などが見直しのタイミングとなります。
また、退院支援が必要な場合は、早期から計画の見直しを行い、必要な準備を進めていきます。
Q8:実習で困ったときの対処方法を教えてください。
実習中に看護計画に関して困ったことがあれば、まず実習指導者や教員に相談することをお勧めします。また、以下のような対処方法も効果的です。
実習記録の書き方に迷った場合は、モデルとなる記録例を参考にします。判断に迷う場合は、テキストや参考文献で根拠を確認します。時間配分に困った場合は、優先順位を明確にして効率的に記録を進めます。
また、病棟スタッフからも積極的にアドバイスをもらい、実践的な視点を学んでいきます。
Q9:効果的な表現方法のコツを教えてください。
看護計画の記載では、具体的でわかりやすい表現を心がけます。抽象的な表現は避け、誰が読んでも同じ理解が得られる記載を目指します。
例えば、「状態が悪い」ではなく「血圧140/90mmHg、脈拍100回/分、呼吸数24回/分」というように、具体的な数値や状態で記載します。また、患者さんの反応や言動を記載する際は、具体的な様子や発言内容を客観的に記述します。
まとめ
看護計画の作成は、患者さんへの質の高いケアを提供するための重要なプロセスです。
アセスメントから評価まで、一連の流れを体系的に理解し、実践することが大切です。個別性を重視した目標設定、具体的な看護介入の立案、そして継続的な評価と改善を行うことで、より効果的な看護ケアを提供することができます。
本ガイドで学んだ知識を活かし、臨床現場での実践に取り組んでいきましょう。
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