
医療現場で欠かせない医療機器の操作と管理。日々の業務で機器を扱う看護師の皆さまにとって、安全で確実な操作技術の習得は重要な課題となっています。
本記事では、基本的な取扱いのコツから、トラブル対応、最新技術への適応まで、現場で実践できる具体的なテクニックをご紹介します。新人看護師の方はもちろん、指導的立場の方にも参考になる内容を、実例を交えながら分かりやすく解説します。
医療安全の専門家と経験豊富な先輩看護師の監修のもと、2025年に向けた最新の知見も織り込んでいますので、ぜひ日々の実践にお役立てください。
この記事で分かること
- 医療機器の基本的な操作手順と安全確認のポイント
- 効率的な日常点検の実施方法とトラブル予防策
- 機種別の具体的な操作テクニックと注意点
- チーム医療における効果的な機器管理の進め方
- 最新のデジタル機器への対応方法
この記事を読んでほしい人
- 医療機器の操作に不安を感じている看護師
- より効率的な機器管理を目指したい方
- 安全管理のスキルを向上させたい方
- 新人指導を担当する看護師
- 最新の医療機器技術に関心がある方
医療機器操作の基本原則

医療機器の安全な操作は、患者さんの命を守る重要な責務です。
このセクションでは、あらゆる医療機器に共通する基本的な操作手順と、安全確保のための具体的な実践方法についてご説明します。
操作前の確認事項と準備
操作前の入念な確認は、医療事故を防ぐ最も重要なステップです。使用する機器の特性を十分に理解し、システマティックな確認を行うことで、安全な医療の提供が可能となります。
外観確認のポイント
使用前の外観確認では、機器本体に傷や変形がないかを確認します。特に電源コードの損傷やコネクタ部分の緩みには細心の注意を払う必要があります。また、画面表示が正常であることや、各ボタンの反応も実際に触れて確認していきます。
システムチェックの実施
機器起動時の自己診断プログラムが正常に完了することを確認します。エラーメッセージが表示された場合は、内容を記録し、適切な対応を取ることが重要です。
安全な操作環境の整備
医療機器を使用する環境の整備は、安全な医療の提供に直結します。患者さんの状態や治療内容に応じて、最適な環境を整えることが求められます。
スペースの確保
機器の設置には適切なスペースの確保が不可欠です。患者さんの体動や医療従事者の動線を考慮し、十分な作業スペースを確保します。また、緊急時の対応を想定した配置も重要なポイントとなります。
電源環境の整備
医療機器の電源確保は特に重要です。非常用電源への接続や、電源コードの配置にも細心の注意を払います。複数の機器を使用する場合は、電源容量の確認も必要です。
基本的な操作手順
医療機器の操作は、標準化された手順に従って実施することが重要です。各ステップを確実に実施することで、安全性と効率性を両立させることができます。
起動時の確認事項
機器の起動時には、設定値やアラーム範囲の確認が必要です。前回使用時の設定が適切かどうかを必ず確認し、必要に応じて調整を行います。
動作確認の実施
実際の使用前には、テストモードでの動作確認を行います。特に安全機能やアラーム機能が正常に作動することを確認することが重要です。
安全管理の実践
医療機器の安全管理は、使用中も継続的に行う必要があります。定期的なモニタリングと適切な対応が、安全な医療の提供につながります。
モニタリングの重要性
使用中の機器は定期的なモニタリングが必要です。アラーム設定の確認や、患者さんの状態変化に応じた設定の見直しを行います。
記録の重要性
使用状況や設定変更の記録は、医療安全の観点から非常に重要です。確実な記録を残すことで、チーム間での情報共有や、問題発生時の原因究明に役立ちます。
効果的な日常点検の実施

医療機器の日常点検は、安全な医療提供の基盤となる重要な業務です。
このセクションでは、効率的かつ確実な点検方法と、その記録管理について詳しく解説します。
日常点検の基本的な考え方
医療機器の日常点検は、単なるルーティンワークではなく、患者安全を守る重要な看護業務の一つです。点検の意義を理解し、効果的に実施することで、機器関連のインシデントを未然に防ぐことができます。
始業時点検のポイント
始業時点検では、機器の基本的な状態確認から開始します。電源投入後の自己診断プログラムの完了確認、表示画面の明瞭さ、操作ボタンの反応性などを順序立てて確認していきます。
使用中の確認事項
使用中の点検では、設定値の維持状況やアラーム機能の作動状態を定期的に確認します。患者さんの状態変化に応じて、設定値の適切性を随時評価することも重要です。
具体的な点検手順
効果的な点検を行うためには、システマティックなアプローチが必要です。各機器の特性を理解し、重要なポイントを押さえた点検を実施します。
機器本体の確認
機器本体の確認では、外装の破損や汚れ、接続部分の緩みなどを重点的にチェックします。特に頻繁に使用する部分や、耐久性に影響する箇所は入念に確認します。
付属品の点検
付属品の点検では、ケーブル類の損傷やセンサー類の劣化状態を確認します。消耗品の残量確認と補充も、この段階で実施します。
記録管理の実践
点検結果の記録は、医療安全管理の重要な要素です。適切な記録により、機器の状態変化を継続的にモニタリングすることが可能となります。
記録様式の標準化
記録様式を標準化することで、点検の漏れを防ぎ、効率的な管理が可能となります。点検項目、判定基準、対応方法などを明確にし、誰が実施しても同じ品質の点検が行えるようにします。
電子記録システムの活用
最新の医療機器管理では、電子記録システムの活用が進んでいます。バーコード管理や自動データ収集により、より正確で効率的な記録管理が可能となります。
点検結果の評価と活用
日々の点検結果を適切に評価し、機器の状態把握や予防的メンテナンスに活用することが重要です。
トレンド分析の実施
継続的な点検記録から、機器の状態変化やトラブルの傾向を分析します。この分析結果は、予防的なメンテナンスや機器更新の判断材料となります。
改善活動への反映
点検結果から得られた知見は、点検方法の改善や新たな安全対策の立案に活用します。現場の声を反映させることで、より実効性の高い点検体制を構築することができます。
チーム内での情報共有
点検結果や気づきの点は、チーム内で適切に共有することが重要です。特に異常の早期発見や対策の実施には、スタッフ間の密な情報共有が不可欠です。
申し送り事項の明確化
機器の状態や注意点について、具体的で分かりやすい申し送りを心がけます。特に注意を要する事項は、確実に次の担当者に伝わるよう工夫が必要です。
カンファレンスでの共有
定期的なカンファレンスを活用し、点検結果や気づきの点について、チーム全体で共有し討議します。これにより、より効果的な点検方法や改善策を見出すことができます。
具体的なトラブル対応と予防策

医療機器のトラブルは患者さんの安全に直結する重要な問題です。
このセクションでは、現場でよく遭遇するトラブルとその対処法、さらに予防策について具体的に解説していきます。
よくある機器トラブルとその対処法
医療現場で発生する機器トラブルには、一定のパターンがあります。適切な対応手順を理解し、迅速な対処ができるよう準備しておくことが重要です。
電源関連のトラブル
突然の電源切れや起動不良は、緊急性の高いトラブルです。バッテリー残量の低下や電源接続の不具合が主な原因となりますので、日常的な確認と予防的な対応が重要です。
対処手順と確認事項
まず電源コードの接続状態を確認し、コンセントの差し込みが確実であることを確認します。バッテリー駆動の機器の場合、予備バッテリーへの交換も検討します。
トラブルシューティングの実践
効果的なトラブル対応には、論理的な原因究明と対処が必要です。経験則だけに頼らない、システマティックな対応方法を身につけることが大切です。
原因特定のアプローチ
トラブルが発生した際は、まず現象を正確に把握します。アラームの種類や機器の状態、患者さんの状態など、できるだけ多くの情報を収集します。
情報収集のポイント
発生時刻、状況、前後の操作内容など、具体的な情報を記録します。これらの情報は、原因究明や再発防止に重要な手がかりとなります。
予防的メンテナンスの重要性
トラブルを未然に防ぐためには、予防的なメンテナンスが不可欠です。定期的なメンテナンスにより、機器の安定した動作を維持することができます。
日常的な予防策
使用前後の清掃や消毒、接続部分の確認など、基本的なケアを確実に実施します。特に使用頻度の高い部分は、より丁寧な確認が必要です。
メンテナンスのタイミング
製造元の推奨する定期点検スケジュールに加え、使用状況に応じた独自の点検タイミングを設定することも有効です。
インシデント事例と改善策
実際に発生したインシデントから学び、同様の事例を防ぐための対策を講じることが重要です。ここでは、代表的なインシデント事例とその改善策を紹介します。
輸液ポンプのトラブル事例
輸液速度の設定ミスや、気泡検知アラームへの対応遅れなど、よくあるトラブル事例について具体的な改善策を解説します。
改善策の立案と実施
インシデント分析に基づき、手順の見直しやチェック体制の強化など、具体的な改善策を実施します。効果の確認と必要な修正も行います。
トラブル発生時の報告体制
トラブルが発生した際の報告手順を明確にし、組織的な対応を行うことが重要です。速やかな報告により、適切な対応と再発防止につながります。
報告すべき内容
発生した事象の詳細、対応内容、患者さんへの影響など、必要な情報を漏れなく報告します。報告様式を標準化することで、効率的な情報共有が可能となります。
報告システムの活用
電子カルテや医療安全管理システムなど、施設で採用している報告システムを適切に活用します。必要に応じて、製造元への報告も行います。
機種別の操作ポイント
医療現場で使用頻度の高い主要機器について、具体的な操作方法と注意点を解説します。各機器の特性を理解し、安全で効率的な操作を実現するためのポイントをご紹介します。
輸液ポンプの操作テクニック
輸液ポンプは投与量の正確性が特に重要な医療機器です。確実な操作により、安全な投与管理を実現することができます。
基本設定の確認
輸液速度と予定量の入力は、ダブルチェックを基本とします。特に高濃度医薬品や危険薬剤の投与時には、より慎重な確認が必要です。
流量設定のポイント
体重あたりの投与量計算や、時間あたりの流量換算を正確に行います。計算結果は必ず記録し、設定値との照合を行います。
アラーム管理
気泡検知や閉塞検知など、各種アラームの設定と対応方法を十分に理解します。アラーム発生時の迅速な対応が、安全な投与管理につながります。
人工呼吸器の取り扱い
人工呼吸器は患者さんの生命維持に直結する重要な機器です。適切な設定と監視により、安全な人工呼吸管理を実現します。
初期設定の確認
換気モード、一回換気量、呼吸回数など、基本的なパラメータの設定を確実に行います。患者さんの状態に応じた適切な設定が重要です。
パラメータ調整のコツ
呼吸状態の変化に応じて、適切なパラメータ調整を行います。調整の根拠と結果を必ず記録し、チーム内で共有します。
アラーム設定
換気量や気道内圧のアラーム設定は、患者さんの状態に応じて適切に設定します。アラーム発生時の対応手順も確認しておきます。
生体モニターの管理
生体モニターは患者さんのバイタルサインを継続的に監視する重要な機器です。正確な測定と適切な監視により、状態変化の早期発見が可能となります。
モニタリング項目の設定
心電図、血圧、酸素飽和度など、必要な項目を適切に設定します。測定間隔や表示形式も、監視目的に応じて調整します。
波形確認のポイント
各種波形の特徴と異常パターンを理解し、適切な評価を行います。アーチファクトの判別も重要なスキルとなります。
トレンド表示の活用
長期的な変化傾向を把握するため、トレンド表示機能を効果的に活用します。データの保存と出力方法も確認しておきます。
除細動器の準備と点検
除細動器は緊急時に確実に使用できる状態を維持することが極めて重要です。日常的な点検と定期的な訓練により、緊急時の適切な対応を可能とします。
日常点検の実施
バッテリー残量、パドルの状態、記録紙の残量など、使用前の確認項目を明確にします。点検結果は確実に記録します。
緊急時の準備
救急カートなど、緊急時の使用場所における配置と動線を確認します。必要な付属品も常に使用可能な状態に保ちます。
メンテナンス管理
定期的な充電確認とバッテリー交換を行います。消耗品の在庫管理も計画的に実施します。
チーム医療における機器管理

医療機器の安全な運用には、チーム全体での協力体制が不可欠です。
このセクションでは、効果的なチーム連携と情報共有の方法について、具体的な実践例を交えて解説します。
部署間での情報共有
医療機器の適切な管理には、部署を超えた連携が重要です。それぞれの役割と責任を明確にし、円滑な情報共有を実現します。
情報共有システムの活用
電子カルテや部門システムを活用し、機器の使用状況や不具合情報を共有します。リアルタイムの情報更新により、迅速な対応が可能となります。
記録方法の標準化
情報共有の際は、統一された様式を使用することで、伝達漏れを防ぎます。特に重要な情報は、確実な伝達方法を定めておきます。
新人教育のポイント
新人スタッフへの教育は、医療安全の基盤となります。段階的な指導と実践的なトレーニングにより、確実なスキル習得を支援します。
教育プログラムの構築
基本操作から応用技術まで、体系的な教育プログラムを整備します。実技演習と振り返りを組み合わせ、効果的な学習を促進します。
指導者の育成
教育担当者には、専門的な知識とスキルに加え、指導技術の向上も求められます。定期的な研修により、指導力の維持向上を図ります。
夜勤帯での機器管理
夜間帯は人員が限られる中での対応が必要となります。安全な機器運用のため、特別な配慮と対策が重要です。
夜間特有の注意点
緊急時の対応手順や連絡体制を明確にし、すべのスタッフが理解しておく必要があります。バックアップ機器の配置も確認します。
緊急時の連絡体制
夜間の機器トラブル発生時に備え、連絡網や対応フローを整備します。担当者との連絡方法も確実に確保します。
緊急時の対応手順
緊急時には冷静かつ迅速な対応が求められます。明確な手順と役割分担により、効果的な対応を実現します。
初期対応の実際
機器トラブル発生時の初期対応手順を標準化します。患者さんの安全確保を最優先に、適切な対応を行います。
役割分担の明確化
緊急時の役割分担を事前に決定し、定期的な訓練を実施します。各スタッフの役割と責任を明確にすることで、混乱を防ぎます。
定期的な評価と改善
チーム医療における機器管理の質を維持向上させるため、定期的な評価と改善活動が重要です。
評価指標の設定
機器管理の効果を測定するため、具体的な評価指標を設定します。データに基づく改善活動を推進します。
改善活動の実践
評価結果に基づき、具体的な改善策を立案し実施します。効果の確認と必要な修正も計画的に行います。
最新技術への対応
医療機器のデジタル化とIoT化が急速に進む中、看護師には新しい技術への適応力が求められています。
このセクションでは、最新の医療機器技術とその活用方法について解説します。
デジタル化する医療機器
従来のアナログ機器からデジタル機器への移行が進んでいます。タッチパネル操作や無線通信機能など、新しい特徴を理解し活用することが重要です。
タッチパネル操作の特徴
直感的な操作が可能となる一方で、誤操作のリスクもあります。適切な操作方法と注意点を十分に理解する必要があります。
画面操作のポイント
画面の感度調整や操作ロック機能など、安全機能の活用も重要です。手袋着用時の操作性にも注意が必要です。
新しい安全機能の活用
最新の医療機器には、様々な安全機能が搭載されています。これらの機能を理解し、適切に活用することで、より安全な医療の提供が可能となります。
アラート機能の進化
人工知能を活用した予測アラートなど、新しい警告システムが導入されています。アラートの意味と対応方法を正しく理解することが重要です。
設定の最適化
患者さんの状態に応じて、アラート設定を適切にカスタマイズします。過剰なアラートによる警報疲れを防ぐ工夫も必要です。
IoT活用の実践例
医療機器のネットワーク接続により、新たな運用方法が可能となっています。効率的な機器管理と安全性の向上を両立させます。
データ連携の活用
各種医療機器のデータを統合し、効率的な患者管理を実現します。リアルタイムのデータ共有により、迅速な対応が可能となります。
セキュリティ対策
医療情報の保護は極めて重要です。適切なアクセス管理と情報セキュリティ対策を実施します。
今後の技術トレンド
医療機器技術は日々進化しています。将来的な変化を見据え、継続的な学習と適応が必要です。
遠隔モニタリング
スマートフォンやタブレットを活用した遠隔監視システムの導入が進んでいます。場所を問わない効率的な患者管理が可能となります。
運用体制の整備
新しい技術の導入には、適切な運用体制の整備が不可欠です。スタッフ教育と管理体制の確立を計画的に進めます。
ケーススタディ
実際の医療現場で発生した事例を基に、医療機器の適切な取り扱いと対応について学びます。これらの事例から得られる教訓は、日々の実践に活かすことができます。
事例1:夜勤帯での輸液ポンプアラーム対応
夜間の限られた人員体制下での機器トラブル対応について、実際の事例を通して解説します。
事例の概要
深夜帯に複数の輸液ポンプから同時にアラームが発生し、優先順位の判断に迷った事例です。患者さんの状態と機器の状況から、どのように判断し対応したかを詳しく見ていきます。
具体的な対応手順
まず患者さんのバイタルサインを確認し、投与中の薬剤の種類と残量をチェックしました。次に、アラームの種類と緊急度を判断し、対応の優先順位を決定しています。
事例からの学び
この事例では、機器アラームへの対応優先順位の判断基準と、夜間帯特有の注意点が明確になりました。チェックリストの活用と記録の重要性も再確認できます。
事例2:人工呼吸器の設定ミス防止
人工呼吸器の設定変更時に発生したヒヤリハット事例から、確認プロセスの重要性を学びます。
発生状況の分析
日勤帯での人工呼吸器設定変更時に、パラメータの入力ミスが発生しかけた事例です。ダブルチェックにより未然に防止できた経緯を詳しく解説します。
予防策の実践
設定変更時のチェックリストの活用や、声出し確認の実施など、具体的な予防策について説明します。シンプルだが効果的な確認方法の重要性が理解できます。
事例3:緊急時の除細動器使用
救急対応時の除細動器使用について、実際の事例を基に解説します。
緊急時の対応手順
急変時における除細動器の準備から使用までの流れを、時系列に沿って説明します。チーム内での役割分担と連携の重要性も確認できます。
スムーズな機器操作のポイント
緊急時でも確実な操作を行うための訓練方法や、日常点検の重要性について解説します。定期的なシミュレーション訓練の効果も確認できます。
教訓と改善策
これらの事例から得られた教訓を、日常業務に活かすための具体的な方策を考えます。
標準化の重要性
各事例に共通する要素から、作業の標準化とチェックリストの活用が重要であることが分かります。部署での統一した対応手順の確立が求められます。
継続的な改善活動
事例の分析結果を基に、具体的な改善策を立案し実施していきます。効果の確認と必要な修正も計画的に行います。
おしえてカンゴさん!(Q&A)
現場の看護師からよく寄せられる質問について、経験豊富な先輩看護師「カンゴさん」が分かりやすく解説します。実践的な疑問や悩みに、具体的な解決策をご提案します。
医療機器の基本操作について
新人看護師からベテランまで、日々の業務で感じる疑問に丁寧にお答えします。
Q1:医療機器の操作に自信が持てません
「夜勤で一人のときに機器のアラームが鳴ると不安です。どうすれば自信を持って対応できるようになりますか?」
A:段階的なスキルアップのすすめ
まずは日勤帯で先輩看護師と一緒に機器の操作を確認することをお勧めします。特に頻発するアラームについては、その原因と対処法を一つずつ確実に覚えていきましょう。シミュレーション訓練も効果的です。
Q2:複数の機器を同時に管理する際のコツ
「重症患者さんの受け持ち時、複数の医療機器を同時に管理するのが難しいです。効率的な管理方法を教えてください」
A:優先順位の付け方
機器の配置を工夫し、アラーム音を聞き分けやすくすることが重要です。また、定期的な巡回時のチェックポイントを決めておくと、抜けがなく効率的に確認できます。
安全管理のポイント
安全な医療機器の使用のために、特に注意すべきポイントについて解説します。
Q3:チェックリストの活用方法
「機器の始業点検や終業点検で見落としを防ぐコツを教えてください」
A:効果的なチェック方法
チェックリストは単なる作業の流れではなく、各項目の意味を理解することが大切です。特に重要な項目は声に出して確認することで、より確実なチェックが可能になります。
トラブル対応について
実際の現場で遭遇する可能性のある問題とその解決方法を紹介します。
Q4:バッテリー切れの予防
「移動時のバッテリー切れが心配です。どのような対策が有効ですか?」
A:計画的な充電管理
使用前にバッテリー残量を必ず確認し、移動時間を考慮した余裕のある充電計画を立てることが重要です。予備バッテリーの確保も有効な対策となります。
新しい技術への対応
最新の医療機器への適応について、具体的なアドバイスを提供します。
Q5:タッチパネル操作の注意点
「最新の機器はタッチパネル式が多く、操作に戸惑います。注意点を教えてください」
A:確実な操作のために
タッチパネルは軽い力でも反応するため、意図しない操作を防ぐことが重要です。画面ロック機能を適切に活用し、操作後は必ず設定内容を確認する習慣をつけましょう。
実践チェックリスト
医療機器の安全な運用には、確実な点検と管理が不可欠です。
このセクションでは、日常業務で活用できる実践的なチェックポイントをまとめています。これらを参考に、独自の運用体制を構築してください。
日常点検の確認事項
毎日の業務開始時と終了時に確認すべき項目を整理しました。これらの項目を確実にチェックすることで、安全な機器運用が可能となります。
始業時の確認ポイント
機器の外観確認から、各種設定値の確認まで、使用開始前に必要な確認事項を実施します。電源接続状態やバッテリー残量の確認も重要です。
チェック手順の標準化
確認作業を効率的に行うため、部署内で統一された手順を定めることが重要です。作業の順序と確認方法を標準化します。
定期点検スケジュール
週次、月次、年次での点検項目を設定し、計画的なメンテナンスを実施します。製造元の推奨する点検間隔も考慮に入れます。
点検記録の管理
点検結果を正確に記録し、機器の状態変化を継続的にモニタリングします。不具合の早期発見にもつながります。
記録様式の活用
統一された記録様式を使用することで、点検漏れを防ぎ、効率的な管理が可能となります。電子記録システムの活用も検討します。
トラブル発生時の確認事項
機器トラブル発生時に、迅速かつ適切な対応を行うための確認項目を整理します。患者さんの安全確保を最優先に行動します。
緊急時の対応手順
トラブル発生時の初期対応から、関係部署への連絡まで、必要な手順を明確にします。チーム内での役割分担も重要です。
報告体制の確立
インシデントレポートの作成など、必要な報告を確実に行います。再発防止に向けた情報共有も重要です。
まとめ
本記事では、医療機器の安全な取り扱いと効果的な運用について、実践的な観点から解説してきました。ここでは重要なポイントを振り返り、さらなる学習のための参考資料をご紹介します。
重要ポイントの整理
医療機器の安全な運用には、基本的な操作技術の習得に加え、日常的な点検と管理が不可欠です。また、チーム全体での情報共有と継続的な教育も重要な要素となります。
実践における注意点
安全確保のためには、標準化された手順に従いながら、個々の状況に応じた適切な判断が必要です。定期的な振り返りと改善活動を通じて、より安全な医療の提供を目指しましょう。
最後に
医療機器の安全な取り扱いは、患者さんの命を守る重要な看護技術です。本記事で解説した基本的な操作手順や日常点検の重要性、トラブル対応の実践例を、ぜひ日々の業務にお役立てください。
より詳しい情報や、他の看護師さんとの情報交換については、【ナースの森】看護師専門サイトもご活用ください。
もっと看護の知識を深めたい方へ
【ナースの森】では、本記事で取り上げた医療機器の取り扱いに加え、最新の看護技術や現場での困りごと解決策、キャリアアップに関する情報など、看護師の皆さまに役立つ情報を多数提供しています。