2025年最新【保健師の自己PR完全ガイド】面接官を納得させる効果的なアピール法

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はたらく看護師さん 編集部
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保健師の採用面接で最も重要なのが自己PRです。

あなたの強みや経験を効果的に伝えることができれば、採用担当者の心を掴むことができます。

本記事では保健師としての魅力を最大限に引き出す自己PRの作り方から、実際の内定者事例まで徹底解説します。

2025年の最新採用傾向を踏まえた、面接官を納得させる自己PRの方法をマスターしましょう。

この記事で分かること

  • 保健師に求められる自己PRの基本構成と効果的な伝え方
  • 自分だけの強みを見つけるための具体的な方法
  • よくある自己PRの失敗例と改善ポイント
  • 面接官を納得させる具体的な例文と表現テクニック
  • 2025年の採用傾向を踏まえた最新の面接対策

この記事を読んでほしい人

  • 保健師として就職・転職活動中の方
  • 保健師採用試験の面接を控えている方
  • 自己PRに自信がなく、効果的なアピール方法を知りたい方
  • 保健師としての強みを整理したい方
  • 面接で自分の経験をうまく伝えられるようになりたい方

保健師の自己PRに必要な基本構成

保健師の自己PRは単なる経歴の羅列ではありません。

採用担当者が求めているのは、あなたの人柄や能力、そして何よりも「この職場でどう貢献できるか」という点です。

効果的な自己PRには特定の要素が不可欠です。

この章では自己PRの基本構成とそれぞれの重要性について解説します。

自己PRの基本的な構成要素

効果的な自己PRには以下の3つの要素が必要です。

これらをバランスよく盛り込むことで、面接官に深い印象を残すことができます。

**強み(保健師として活かせる長所)**は自己PRの核となる部分です。

コミュニケーション能力、観察力・アセスメント力、企画力・調整力、地域への理解と貢献意識などが挙げられます。

重要なのは、単に「コミュニケーション能力があります」と言うだけでなく、その能力がどのように保健師業務に活かせるかまで言及することです。

**根拠(なぜその強みがあると言えるのか)**は説得力を持たせる部分です。

具体的な経験、学生時代の実習、ボランティア活動、看護師としての実務経験などを挙げましょう。

「いつ」「どこで」「何を」「どのように」行ったかを具体的に述べることで、面接官はあなたの言葉に信頼性を感じます。

**活かし方(その強みをどう活かすか)**は未来志向の部分です。

地域住民の健康増進にどう貢献できるか、多職種連携にどう活かせるか、組織の課題解決にどう役立てるかを具体的に述べましょう。

応募先の特性や課題を踏まえた提案ができると、より印象に残ります。

これら3要素をPREP法(Point-Reason-Example-Point)の形で構成すると、論理的でわかりやすい自己PRになります。

まず結論(強み)を述べ、その理由(根拠)を説明し、具体例を挙げて、最後に再度結論(活かし方)を述べる流れです。

面接官が保健師に求めるもの

保健師の採用面接では、一般的な就職面接とは異なる評価ポイントがあります。

面接官は以下のような点を特に重視しています。

地域住民の健康課題に対する関心と理解は保健師の基本姿勢として重要です。

地域全体を見る視点と、そこに暮らす一人ひとりを大切にする姿勢の両方が求められます。

自己PRでは、地域診断の経験や住民との関わりを通じて得た気づきなどを交えると効果的です。

予防的視点と健康支援の姿勢は保健師の専門性を示す重要な要素です。

治療ではなく予防に焦点を当てた考え方や、健康増進に対する関心をアピールしましょう。

健康教育や予防活動に携わった経験があれば、具体的に述べると説得力が増します。

コミュニケーション能力と多職種連携力は地域保健活動の基盤となるスキルです。

様々な背景を持つ住民や、多様な職種の専門家と協働できる柔軟性と調整力をアピールしましょう。

連携がうまくいった事例や、困難を乗り越えた経験などを具体的に述べると良いでしょう。

情報収集・分析能力はエビデンスに基づく保健活動に不可欠なスキルです。

データから課題を見出し、効果的な解決策を立案できる力をアピールしましょう。

地域診断や健康課題の分析経験があれば、それを具体的に述べることで説得力が増します。

地域に根ざした活動への意欲は長期的な視点での活動を示す重要な要素です。

地域の特性や文化を理解し、その地域に合った活動を展開する意欲をアピールしましょう。

地域活動やボランティアの経験があれば、それを通じて学んだことや気づきを述べると良いでしょう。

採用担当者はこれらの要素があなたの自己PRから読み取れるかを注視しています。

単なる「熱意」だけでなく、具体的なエピソードや経験に基づいた自己PRが求められています。

保健師の専門性と、あなた自身の個性を上手に融合させた自己PRを心がけましょう。

保健師としてのアピールポイントの見つけ方

自分の強みを見つけるのは簡単ではありません。

特に保健師という専門職に関連づけた強みとなると、さらに難しく感じるかもしれません。

しかし、適切な方法で自己分析を行えば、あなただけの魅力的なアピールポイントを見つけることができます。

この章では、保健師として効果的なアピールポイントを発見するための具体的な方法を紹介します。

自己分析の具体的な方法

過去の経験を振り返る

過去の実習、仕事、ボランティアなどの経験を時系列で整理しましょう。

そして、各経験について以下のような質問に答えてみてください。

この作業を通じて、自分が無意識に発揮している強みが見えてきます。

「周囲から褒められたことは何か」を考えると、自分では当たり前と思っていた能力が実は強みである場合が多いです。

例えば、「細かい変化に気づくね」と言われた経験は、観察力の高さを示しています。

これは保健師にとって地域の健康課題を見つける上で重要な能力です。

「困難を乗り越えた経験は何か」を振り返ることで、問題解決能力や忍耐力などの強みが見えてきます。

例えば、実習で関わりが難しい対象者との信頼関係を構築できた経験は、コミュニケーション能力の高さを示しています。

「どんな場面でやりがいを感じたか」を考えると、あなたの価値観や適性が見えてきます。

例えば、地域の健康教室で参加者の行動変容を見られたときに喜びを感じたなら、それは保健師として重要な「教育・支援能力」の表れかもしれません。

「どんな業務が得意だったか」を分析すると、あなたのスキルセットが見えてきます。

例えば、データ分析が得意なら「地域診断能力」、企画運営が得意なら「プログラム開発能力」として保健師業務に活かせます。

他者からのフィードバックを集める

自分では気づきにくい強みを発見するには、他者の視点が非常に役立ちます。

先輩や同僚、教員からのフィードバックを思い出してみましょう。

実習指導者からの評価コメントを読み返すと、あなたの特徴や強みが客観的に記されていることがあります。

「地域住民との関係構築が上手」「健康教育の内容が分かりやすい」などのコメントは、保健師に求められる能力を備えていることを示しています。

信頼できる友人や家族に「私のどんなところが優れていると思う?」と率直に尋ねてみることも効果的です。

身近な人だからこそ気づく、あなたの特性や強みが見つかるかもしれません。

過去の職場での人事評価がある場合は、それを参考にするのも良い方法です。

特に高評価を受けた項目は、あなたの強みを客観的に示しています。

保健師の職務内容と自分の経験を照らし合わせる

保健師の主な職務(健康教育、家庭訪問、健康相談、地域診断など)と自分の経験を照らし合わせ、どの分野に強みがあるかを分析しましょう。

健康教育であれば、分かりやすく伝える能力や教材作成の経験が活きます。

学生時代に健康教室の企画・運営に携わった経験や、人前で話すことが得意な点などをアピールできます。

家庭訪問では、信頼関係構築能力や観察力が重要です。

看護師としての訪問経験や、実習での家庭訪問の成功体験などをアピールポイントにできます。

健康相談には、傾聴力や適切なアドバイス能力が求められます。

相談業務の経験や、人の話をじっくり聴くことが得意な点などをアピールできます。

地域診断には、データ分析能力や課題発見力が必要です。

統計データを扱った経験や、地域の課題を見つけ出す洞察力などをアピールできます。

保健師に特化した強みの例

保健師として特にアピールできる強み例をいくつか紹介します。

自分自身の経験と照らし合わせながら、自分の強みを見つける参考にしてください。

予防的視点と健康増進への関心は保健師の根幹となる考え方です。

病気になってから治療するのではなく、病気にならないための取り組みに関心があることをアピールしましょう。

健康増進活動の経験(運動教室の開催、食生活改善の取り組みなど)や、予防医学への関心(最新の研究への興味、健康増進に関する自己学習など)を具体的に述べると説得力が増します。

地域アセスメント能力は保健師独自の専門性を示す重要な要素です。

地域全体を見渡し、健康課題を見つける分析力をアピールしましょう。

例えば学生時代の地域診断実習で、統計データと住民へのインタビューを組み合わせて隠れた健康課題を発見した経験などを具体的に述べると良いでしょう。

コーディネート力は多職種連携が求められる現代の保健活動に不可欠なスキルです。

様々な立場の人や組織をつなぎ、調整する能力をアピールしましょう。

例えば、実習やボランティアで異なる意見を持つメンバー間の調整役を担った経験や、様々な部署と連携してイベントを成功させた経験などを具体的に述べると良いでしょう。

個別支援と集団支援の両立は保健師特有の視点です。

個人へのケアと、集団・地域全体への働きかけの両方ができる点をアピールしましょう。

例えば、特定の健康課題を持つ個人への支援経験と、同様の課題を持つ集団への教育プログラム開発の経験を持っていれば、その連動性についても触れると良いでしょう。

健康教育・指導力は行動変容を促す上で重要なスキルです。

わかりやすく伝える力と、対象者に合わせた教育プログラムの企画力をアピールしましょう。

例えば、様々な年齢層や背景を持つ対象者に合わせた健康教育の経験や、参加型のワークショップを企画・運営した経験などを具体的に述べると良いでしょう。

これらの強みは、具体的なエピソードとともにアピールすることで説得力が増します。

単に「○○の能力があります」と述べるよりも、「△△の場面で○○の能力を発揮し、□□という成果を得ました」と具体的に伝えることで、面接官はあなたの強みをより明確にイメージできるようになります。

効果的な自己PR表現テクニック

保健師の自己PRでは、内容だけでなく伝え方も重要です。

どれだけ素晴らしい経験や能力を持っていても、それを効果的に伝えられなければ面接官の心に残りません。

ここでは面接官の心に残る効果的な表現方法を解説します。

PREP法を活用した論理的な自己PR

PREP法は「Point(結論)→Reason(理由)→Example(例)→Point(結論)」の流れで話す方法です。

この構成で話すことで、論理的でわかりやすい自己PRになります。

**Point(結論)**では、あなたの強みを端的に述べます。

「私の強みは、多様な対象者に合わせたコミュニケーション能力です」のように、何が強みなのかを最初に明確に伝えます。

**Reason(理由)**では、なぜその強みがあると言えるのかの根拠を述べます。

「これは看護師として3年間、幅広い年齢層の患者さんと信頼関係を築いてきたからです」のように、経験や背景を説明します。

**Example(例)**では、具体的なエピソードを交えて説明します。

「特に、認知症高齢者の方との関わりでは、言葉だけでなく非言語コミュニケーションを大切にし、その方のペースに合わせた対応を心がけることで、徐々に信頼関係を構築できました」のように、具体的な場面と行動、結果を述べます。

**Point(結論)**では、再度強みを述べ、それをどう活かすかまで言及します。

「この経験を活かし、保健師として地域の様々な方々との信頼関係を築き、効果的な健康支援を行いたいと考えています」のように、応募先での貢献イメージを述べます。

例文: 「私の強みは、多様な対象者に合わせたコミュニケーション能力です。

これは看護師として3年間、幅広い年齢層の患者さんと信頼関係を築いてきたからです。

特に、認知症高齢者の方との関わりでは、言葉だけでなく非言語コミュニケーションを大切にし、その方のペースに合わせた対応を心がけることで、徐々に信頼関係を構築できました。

この経験を活かし、保健師として地域の様々な方々との信頼関係を築き、効果的な健康支援を行いたいと考えています。」

数字を用いた具体的なアピール

抽象的な表現よりも、具体的な数字を用いることで説得力が増します。

「多くの参加者がいました」よりも「45名の参加者がいました」の方が具体的でイメージしやすくなります。

参加者数や対象者数を示すことで、経験の規模が伝わります。

「健康教室の参加者が当初の15名から45名に増加した」「100名以上の地域住民にアンケート調査を実施した」など。

改善率や達成度を示すことで、成果の大きさが伝わります。

「特定健診受診率が前年比で15%向上した」「参加者の血圧が平均で10mmHg低下した」など。

期間や回数を示すことで、取り組みの継続性が伝わります。

「6か月間、週1回の健康教室を企画・運営した」「年間50件以上の家庭訪問を実施した」など。

評価点や満足度を示すことで、取り組みの質が伝わります。

「参加者アンケートで5段階中4.7の高評価を得た」「満足度98%の健康相談を実施した」など。

例文: 「健康教室の企画・運営に携わった経験があります。

参加者数が当初の15名から回を重ねるごとに増え、最終的には45名まで増加しました。

アンケート評価も5段階中4.7と高評価を得ることができました。

この経験から、対象者のニーズを把握し、効果的な健康教育を行う力を身につけました。」

エピソードを活用した印象的な伝え方

具体的なエピソードを交えることで、面接官の記憶に残りやすくなります。

抽象的な「コミュニケーション能力がある」という表現よりも、具体的な事例とともに伝えることで説得力が増します。

印象的な出来事から始めると、面接官の興味を引きやすくなります。

「実習中に関わった独居高齢者の方が、『あなたが来るのを毎週楽しみにしていた』と涙ながらに話してくれたことがあります」など。

課題と解決策を含めると、問題解決能力をアピールできます。

「健康教室の参加者が集まらないという課題に対し、参加者の声を取り入れたプログラム改善と、口コミを促す工夫を行った結果、参加者が3倍に増えました」など。

変化や成長を示すと、支援の成果が伝わります。

「当初は健康に無関心だった住民の方が、継続的な関わりを通じて自ら健康づくりの中心的存在となり、地域の健康リーダーとして活躍するようになりました」など。

具体的な行動を述べると、あなたのスキルや考え方が明確になります。

「相談者の話をまずは遮らずに聴き、共感の言葉をかけた上で、具体的な選択肢を一緒に考えるというステップを大切にしています」など。

例文: 「私は地域での健康課題を見つけ出す観察力が強みです。

学生時代の地域実習で、高齢者世帯の多い地区を担当した際、ゴミ出しに困難を抱える方が多いことに気づきました。

この課題に対し、地域のボランティア団体と連携して支援システムを提案。

実習終了後も継続され、現在では地域の支え合いの仕組みとして定着しています。

この経験から、地域の潜在的ニーズを発見し、解決策を提案・実行する力を身につけました。」

保健師の自己PR・NG例と改善ポイント

面接で効果的な自己PRをするためには、よくある失敗例を知り、それを避けることも重要です。

ここではよくある失敗例とその改善方法を紹介します。

これらを参考に、自分の自己PRを見直してみましょう。

ありがちなNG例と改善例

抽象的で具体性に欠ける

NG例文: 「私は真面目で責任感があり、コミュニケーション能力も高いので、保健師として活躍できると思います。」

問題点: 具体的なエピソードがなく、誰でも言えるような一般的な内容になっています。

「真面目」「責任感」「コミュニケーション能力」といった抽象的な言葉だけでは、面接官はあなたの強みを具体的にイメージできません。

改善例文: 「私の強みは、対象者一人ひとりに合わせたコミュニケーション能力です。

看護師として3年間、様々な背景を持つ患者さんと関わる中で、特に会話が難しい認知症の方とのコミュニケーションでは、表情や仕草から気持ちを読み取り、安心感を提供することに努めました。

その結果、他のスタッフが苦労していた患者さんとも良好な関係を築くことができました。

この経験を保健師として活かし、様々な地域住民の方々との信頼関係構築に役立てたいと考えています。」

改善ポイント:「コミュニケーション能力」という抽象的な言葉に、具体的な場面と行動、結果を加えることで説得力が増しています。

また、その能力をどのように保健師として活かすかまで言及することで、面接官に未来のイメージを与えています。

保健師の業務との関連性が薄い

NG例文: 「私は学生時代にテニスサークルに所属し、副部長として大会の運営に携わりました。

この経験から、リーダーシップやチームワークの大切さを学びました。」

問題点: 経験自体は良いですが、それが保健師の業務とどう関連するかが説明されていません。

サークル活動の経験は良いアピールポイントになりますが、それを保健師の仕事にどう活かせるかまで言及する必要があります。

改善例文: 「私は学生時代にテニスサークルの副部長として50名のメンバー間の調整役を担い、大会運営を成功させました。

この経験で培った『多様な意見をまとめ、一つの目標に向かって皆を動かす力』は、保健師として地域の健康課題に取り組む際に必要な、多職種連携やチーム調整力に直結すると考えています。

特に、意見の対立があった際の調整経験は、地域での様々な利害関係者との協働の場面で活かせると確信しています。

具体的には、健康増進プロジェクトを立ち上げる際に、住民と行政、医療機関など様々な立場の意見を取りまとめ、効果的な施策を展開することに役立てたいと考えています。」

改善ポイント: サークル活動で得た能力を具体的に述べた上で、それが保健師のどのような業務や場面で活かせるかを詳細に説明しています。

「多様な意見をまとめる力」が「多職種連携」につながるという関連性が明確になっています。

面接官が「いまいち」と感じる自己PRの特徴

面接官が良くないと感じる自己PRには、以下のような特徴があります。

これらの特徴に当てはまっていないか、自分の自己PRを見直してみましょう。

抽象的な表現が多い自己PRは印象に残りにくいです。

「頑張ります」「一生懸命です」「よろしくお願いします」などの言葉は具体性がなく、面接官の記憶に残りません。

代わりに、具体的な経験や行動、成果を交えて説明しましょう。

誰にでも当てはまる内容では差別化できません。

「人と話すのが好き」「責任感がある」「協調性がある」などは多くの人が使う表現です。

これらの言葉を使う場合は、なぜあなたがその能力に優れているのか、具体的なエピソードとともに説明しましょう。

保健師の専門性との関連が薄い内容では、採用担当者の心に響きません。

一般的な強みだけでなく、保健師として必要な専門性(予防的視点、地域診断能力など)に関連づけた強みをアピールしましょう。

例えば「分析力がある」という一般的な強みを「地域の健康データを分析し、潜在的な健康課題を見出す力がある」という保健師の専門性に関連づけると良いでしょう。

自己中心的な内容は保健師の仕事の本質と合いません。

「自分の成長」「スキルアップ」だけを強調し、住民や組織への貢献の視点がない自己PRは、保健師としての適性に疑問を持たれる可能性があります。

自分の強みがどのように住民の健康増進や組織の目標達成に貢献できるかという視点も盛り込みましょう。

準備不足が感じられる自己PRは信頼性を損なう可能性があります。

話が整理されておらず、冗長または簡素すぎる自己PRは、面接への熱意や準備の不足を感じさせてしまいます。

事前に時間をかけて自己PRを準備し、必要に応じて練習することが大切です。

NG表現とその言い換え例

面接でよく使われがちなNG表現とその言い換え例を紹介します。

より具体的で説得力のある表現に言い換えることで、自己PRの質が向上します。

**「頑張ります」**という表現は意欲は伝わりますが具体性に欠けます。

改善例:「○○の経験を活かして△△に取り組みます」

例:「健康教育の経験を活かして、住民の方々が主体的に健康づくりに取り組める支援を行います」

**「人と話すのが好きです」**という表現は一般的すぎます。

改善例:「多様な背景を持つ方々との対話を通じて信頼関係を構築する力があります」

例:「様々な年齢層や社会的背景を持つ住民の方々との対話を大切にし、それぞれの立場や考えを尊重した上で信頼関係を築く力があります」

**「真面目です」**という表現も具体性に欠けます。

改善例:「期限を守り、正確な情報提供を心がけることで、○○の場面で成果を上げました」

例:「保健指導の準備段階で科学的根拠に基づいた情報を収集し、対象者にわかりやすく正確に伝えることで、生活習慣の改善につながりました」

**「責任感があります」**という表現も抽象的です。

改善例:「担当した健康教室では、準備から実施、評価まで一貫して取り組み、参加者からの評価点を4.2から4.8に向上させました」

例:「担当した特定保健指導では、対象者一人ひとりの生活背景を理解し、個別性を重視した支援計画を立案・実行した結果、6か月後の改善率が前年比25%向上しました」

**「コミュニケーション能力があります」**という表現も具体的な説明が必要です。

改善例:「○○の場面で△△のようなコミュニケーションを心がけ、□□という成果を上げました」

例:「独居高齢者への訪問指導では、まずは日常会話から始め、信頼関係を築いた上で健康課題に触れるというステップを踏むことで、当初は支援を拒否していた方からも相談を受けられるようになりました」

**「頑張りたいです」**という表現は意欲は伝わりますが具体性に欠けます。

改善例:「○○という目標に向けて、△△のような取り組みを行いたいと考えています」

例:「地域の特定健診受診率向上という目標に向けて、未受診者の特性分析に基づいたアプローチ策を提案し、実行していきたいと考えています」

**「よろしくお願いします」**という表現は丁寧ですが具体性がありません。

改善例:「○○の経験と△△の強みを活かして、貴自治体の□□に貢献したいと考えています」

例:「地域診断の経験とデータ分析の強みを活かして、貴自治体の健康課題の解決に貢献したいと考えています」

保健師の自己PR面接対策

面接本番で最大限の力を発揮するためには、事前の準備が不可欠です。

ここでは、面接の準備から本番での話し方のコツ、よくある質問への対応方法まで、面接対策を総合的に解説します。

面接前の準備ポイント

応募先の情報収集

面接で高評価を得るためには、応募先の情報を事前に収集しておくことが重要です。

自治体や企業の特徴を理解し、自分の強みとの接点を見つけることで、より説得力のある自己PRが可能になります。

自治体の特徴や健康課題を調べることで、あなたの強みがどのように貢献できるかを具体的に伝えられます。

自治体のホームページで公開されている健康増進計画や地域診断結果を確認しましょう。

例えば、高齢化率が高い地域であれば高齢者支援の経験を、若年層が多い地域であれば母子保健の経験をアピールするとより効果的です。

保健センターや保健所の取り組みを調べることで、具体的な業務イメージとの接点を見つけられます。

広報誌やSNSで公開されている事業内容や特色ある取り組みをチェックしましょう。

例えば、特定の健康課題(生活習慣病予防、メンタルヘルス等)に力を入れている場合は、その分野での経験や関心をアピールするとより印象に残ります。

地域の人口構成や特性を理解することで、地域への理解を示せます。

人口統計や国勢調査のデータ、地域の産業構造などを確認しましょう。

例えば、農村部と都市部では健康課題が異なるため、応募先の地域特性に合わせたアプローチをアピールするとより説得力が増します。

これらの情報と自己PRを結びつけることで、「この組織で活躍できる人材」というイメージを面接官に与えられます。

例えば「貴自治体の健康増進計画に掲げられている『若年層の健康意識向上』という課題に対し、私の健康教育の経験を活かして貢献したいと考えています」といった具体的な提案ができると印象的です。

想定質問への回答準備

面接では自己PR以外にも様々な質問が予想されます。

それらの質問に対する回答を準備し、自己PRと一貫性を持たせることが重要です。

**「なぜ保健師を目指したのか」**という質問には、あなたの価値観や保健師という職業への思いを伝えましょう。

具体的なきっかけや経験を交えると説得力が増します。

例:「看護師として働く中で、病気になってからの治療より、予防の重要性を強く感じました。特に生活習慣病で入院を繰り返す患者さんを見て、もっと早い段階での介入が必要だと考え病気になってからの治療より、予防の重要性を強く感じました。特に生活習慣病で入院を繰り返す患者さんを見て、もっと早い段階での介入が必要だと考えるようになりました。そこで、予防に焦点を当てた保健師の道を志しました。」

**「保健師としてどのように地域に貢献したいか」**という質問には、あなたのビジョンや具体的な取り組みを伝えましょう。

応募先の課題や特徴を踏まえた回答だと、より説得力が増します。

例:「地域の健康データを分析し、エビデンスに基づいた保健活動を展開したいと考えています。特に、この地域の課題である若年層の健診受診率向上に向けて、デジタルツールを活用した新しいアプローチを提案していきたいです。」

**「あなたの強みは何か」**という質問には、自己PRの内容と一貫性を持たせましょう。

面接の途中で異なる強みを述べると、準備不足や自己理解の甘さを感じさせてしまいます。

例:「私の強みは、データ分析に基づいた課題発見能力です。看護師時代に病棟のインシデント分析を担当し、原因の傾向を可視化することで効果的な対策につなげることができました。この経験を保健師として活かし、地域の健康課題の本質を見極めた効果的な施策を提案していきたいと考えています。」

**「これまでの経験をどう活かすか」**という質問には、あなたの経験と保健師の業務との関連性を明確に伝えましょう。

転職者の場合は特に重要な質問です。

例:「訪問看護師として5年間働く中で培った、様々な生活背景を持つ方々との関係構築能力を活かしたいと考えています。特に、支援を拒否される方へのアプローチ法や、多職種との連携調整の経験は、保健師として家庭訪問や地域ケア会議を行う際に直接役立つと考えています。」

これらの質問に対する回答を準備し、練習しておくことで、本番での余裕が生まれます。

また、回答の中で自己PRで述べた強みを繰り返し言及することで、一貫性のある印象を与えることができます。

声に出して練習する

自己PRを頭の中で考えるだけでなく、実際に声に出して練習することが大切です。

声に出すことで、言葉の不自然さや説明しにくい部分が見つかります。

録音して聞き直すことで、客観的に自分の話し方をチェックできます。

話すスピード、声の大きさ、抑揚などを確認し、必要に応じて改善しましょう。

また、間の取り方や強調すべき部分も意識して練習すると良いでしょう。

家族や友人に聞いてもらうことで、第三者の視点からフィードバックを得られます。

「わかりにくい部分はどこか」「印象に残った点は何か」など具体的に聞いてみましょう。

特に保健師以外の人にも内容が伝わるかどうかを確認すると、より分かりやすい自己PRになります。

面接練習会に参加することで、より本番に近い環境での練習ができます。

就職支援センターや同期との模擬面接を活用しましょう。

緊張感のある中で話す練習をすることで、本番での動揺を軽減できます。

実際に声に出すことで、不自然な表現や説明しにくい部分が見つかります。

また、時間配分も確認できるため、面接時間に収まる適切な長さに調整することも可能です。

本番さながらの環境で何度も練習することで、自信を持って面接に臨めるようになります。

面接での話し方のコツ

面接本番では、内容だけでなく話し方も重要です。

以下のポイントを意識して、面接官に好印象を与える話し方を心がけましょう。

最適な長さを意識することで、面接官の集中力を保ちます。

自己PRは1〜2分程度(300〜400字程度)が理想的です。

長すぎると面接官の関心が薄れ、短すぎると情報量が不足します。

時間を計って練習し、適切な長さに調整しましょう。

ゆっくり明瞭に話すことで、内容が伝わりやすくなります。

緊張すると早口になりがちなので、意識的にゆっくり話すよう心がけましょう。

特に重要なキーワードは、はっきりと発音することで印象に残りやすくなります。

適度な間を取ることで、重要なポイントが強調されます。

強調したい部分の前後で短い間(1〜2秒)を取ると、面接官の注意を引きやすくなります。

例えば「私の強みは(間)地域の健康課題を分析する力です」のように、強みを述べる前に間を取ると効果的です。

結論から話すことで、面接官が理解しやすくなります。

強みを最初に明示してから具体例を話す順序が理想的です。

例えば「私の強みは予防的視点です。この強みは〜」という順序で話すと、面接官は内容を追いやすくなります。

熱意を伝えることで、面接官に好印象を与えます。

表情や声のトーンで意欲を伝えましょう。

特に「保健師として貢献したい」という部分では、声に力を込めたり、表情を明るくしたりすると熱意が伝わります。

話し方を工夫することで、同じ内容でもより印象深く伝えることができます。

練習の段階から意識して、本番でも自然に実践できるようにしておきましょう。

面接官からのよくある質問とその対応

自己PRの後には、しばしば関連する質問が面接官から投げかけられます。

ここでは、よくある質問とその対応方法を紹介します。

「その強みを具体的にどう活かせますか?」

この質問は、あなたの強みと保健師の業務をどれだけ結びつけて考えているかを確認するものです。

活かし方を具体的な業務と結びつけて説明することが重要です。

回答例: 「私のコミュニケーション能力は、特に家庭訪問での信頼関係構築に活かせると考えています。

初対面の方や支援を拒否されがちな方に対しても、まずは相手の立場に立って話を聴き、徐々に関係性を築いていく経験があります。

例えば、妊産婦訪問では、出産や育児の不安を抱える方の気持ちに寄り添いながら必要な情報提供を行うことで、継続的な支援につなげられると考えています。

また、多職種カンファレンスでは、様々な立場の意見を尊重しながら調整する役割も担えると思います。

これは保健師として、支援が必要でありながらも関わりが難しい方々へのアプローチに役立つと考えています。」

このように、具体的な業務場面と、そこでどのように強みを発揮するかを明確に伝えることで説得力が増します。

また、複数の場面での活用法を述べることで、汎用性の高い強みであることをアピールできます。

「あなたの弱みは何ですか?」

この質問は、自己理解の深さや改善への姿勢を確認するためのものです。

弱みを認めつつも、それを克服するための取り組みや工夫を伝えましょう。

回答例: 「私は細部にこだわりすぎる傾向があります。

これは正確さが求められる場面では強みになりますが、時に全体の進行が遅れることがありました。

例えば、実習中のレポート作成では、完璧を求めるあまり提出が遅れそうになったことがあります。

この弱みに気づいてからは、業務の優先順位を明確にし、重要度に応じて時間配分を工夫するようにしています。

また、チームで仕事をする際には早めに相談し、効率的な進め方のアドバイスをもらうようにしています。

保健師として予定管理が重要な業務に就く際には、タイムマネジメントツールを活用するなど、具体的な対策を講じていきたいと考えています。」

このように、弱みを率直に認めつつも、その克服への取り組みや工夫を具体的に伝えることで、成長意欲や問題解決能力をアピールできます。

また、弱みが逆に強みになる場面があることも触れると、バランスの取れた回答になります。

「前職での経験をどう活かしますか?」

この質問は特に転職者にとって重要です。

前職での経験と保健師の業務との関連性を明確に伝えることがポイントです。

回答例: 「病棟看護師として3年間働いた経験は、保健師としての活動に多くの面で活かせると考えています。

まず、様々な疾患の症状や治療経過を実際に見てきたことで、予防の重要性を深く理解しています。

例えば、生活習慣病の患者さんが再入院を繰り返す状況を目の当たりにし、疾患になる前の段階での介入がいかに重要かを実感しました。

また、病棟では多職種との連携調整を担当することが多く、医師、薬剤師、リハビリスタッフなど様々な職種と協働する経験を積みました。

この経験は、保健師として地域の多様な関係機関との連携を図る際に直接役立つと考えています。

さらに、患者さんの退院支援に関わる中で培った社会資源の知識や調整力は、地域での支援が必要な方へのケースマネジメントに活かせると確信しています。」

このように、前職での具体的な経験と、それがどのように保健師の業務に関連するかを明確に説明することで、キャリアチェンジの妥当性を示すことができます。

特に「予防の視点」「多職種連携」「社会資源の活用」など、保健師の専門性に関連づけた説明が効果的です。

保健師の自己PR例文・具体的事例

実際の内定者の自己PR例を紹介します。

これらを参考に、自分だけのオリジナルの自己PRを作成しましょう。

ただし、そのまま真似するのではなく、あなた自身の経験や強みを反映させることが重要です。

新卒保健師の自己PR例

新卒保健師の場合、学生時代の実習や課外活動の経験を中心にアピールすることが効果的です。

限られた経験の中から、保健師の資質を示すエピソードを見つけ出しましょう。

例文:

「私の強みは、地域の健康課題を多角的に分析し、解決策を提案する力です。

学生時代の地域診断実習では、高齢化率40%の地域で、独居高齢者の社会的孤立という課題を発見しました。

その際、単なる表面的な観察だけでなく、地域住民へのインタビューや既存データの分析を組み合わせることで、特に男性高齢者の参加できる地域活動が少ないという具体的な問題点を特定できました。

この課題に対し、地域の公民館と連携し、男性高齢者が講師となる『達人教室』を企画。

趣味や特技を活かした講座を通じて社会参加の機会を創出する提案を行いました。

この提案は実習後に実際に採用され、現在も継続しているとの報告を受けています。

この経験から、表面的な問題の背景にある本質的な課題を見極め、地域の資源を活用した解決策を提案する力を身につけました。

貴自治体でも、この分析力と企画力を活かし、地域に根差した効果的な健康支援活動に貢献したいと考えています。」

ポイント解説:

  • 具体的な数字(高齢化率40%)を用いて状況を明確に伝えている
  • 問題発見のプロセス(インタビューやデータ分析)を具体的に述べている
  • 具体的な解決策(『達人教室』)と成果(実際に採用され継続)を示している
  • 身につけた力(分析力と企画力)を明確にし、応募先での貢献イメージを述べている

この例では、学生時代の実習という限られた経験の中から、保健師として重要な「地域診断能力」と「解決策立案能力」をアピールできています。

新卒者でも、具体的なエピソードを交えることで説得力のある自己PRになります。

看護師経験者(転職組)の自己PR例

看護師から保健師へ転職する場合、臨床経験をどのように保健師の業務に活かせるかをアピールすることが重要です。

予防的視点や多職種連携などの共通点を見出しましょう。

例文:

「私の強みは、5年間の急性期病院での看護師経験を通じて培った、多職種連携能力とケースマネジメント力です。

特に印象に残っているのは、複数の疾患を抱える80代の患者さんの退院支援に関わった経験です。

医師やリハビリスタッフ、ケアマネジャーなど10名以上の多職種が関わる中で、私は連携の中心となり、週1回のカンファレンスを主導しました。

この過程で、医療者と介護者の視点の違いから支援方針にズレが生じていることに気づき、お互いの立場や考えを尊重した上で共通の目標を設定。

その結果、患者さんの希望通りの在宅生活を実現することができました。

またこの経験を通じて、疾患の治療だけでなく、生活全体を見据えた予防的支援の重要性を深く理解しました。

例えば、退院後の再発予防のために、患者さんの生活環境に合わせた運動プログラムを作成し、家族への指導も行いました。

この経験は、保健師として地域包括ケアを推進する上で非常に役立つと考えています。

病院と地域、医療と介護、様々な立場の間に立ち、それぞれの強みを活かした支援体制を構築することで、住民の方々が望む生活を実現するためのサポートをしていきたいと考えています。」

ポイント解説:

  • 看護師経験の中から、保健師業務に関連する能力(多職種連携、ケースマネジメント)に焦点を当てている
  • 具体的な事例(80代患者の退院支援)を挙げ、その中での役割や行動を明確に述べている
  • 医療と介護の連携という、地域包括ケアに通じる経験をアピールしている
  • 治療だけでなく予防的視点も持っていることを示している
  • 保健師としてどのように経験を活かすかを具体的にイメージさせている

この例では、一見すると病院での経験が保健師とは異なるように思えますが、「連携調整」「予防的視点」という共通点を見出し、それを具体的なエピソードで示すことで説得力を持たせています。

転職者の場合、前職の経験をどう活かすかという視点が特に重要です。

自治体保健師の自己PR例

自治体間の転職や昇任試験の場合、これまでの保健師としての実績と、その経験をどう活かすかをアピールすることが重要です。

具体的な成果とその過程で身につけた能力に焦点を当てましょう。

例文:

「私の強みは、住民の主体性を引き出す健康教育と組織づくりの能力です。

前任自治体では、40-50代男性の特定健診受診率が18%と低迷していたため、この層に特化した健康教室の企画・運営を担当しました。

まず、未受診者20名へのインタビュー調査を実施し、「仕事が忙しい」「面倒」という意見が多いことを把握。

そこで、土日開催の「メンズ健康塾」を企画し、健診だけでなく筋力トレーニングや簡単な健康料理教室を組み合わせたプログラムを実施しました。

さらに重要だったのは、参加者の中から「健康リーダー」を育成し、職場や地域での健康づくりの核となってもらう取り組みです。

2年間で30名のリーダーを育成し、彼らが中心となって職場での健診受診の声かけを行った結果、対象層の受診率が18%から32%へと大幅に向上しました。

この経験から、単なる知識提供ではなく、住民自身が健康づくりの担い手となるような仕組みづくりの重要性を学びました。

特に、対象者のニーズを丁寧に把握し、そのニーズに合わせたプログラム設計と、住民の力を活かす視点が成功の鍵だと実感しています。

貴自治体でも、この経験を活かし、地域に根差した持続可能な健康づくりの仕組みを構築していきたいと考えています。

特に、貴自治体の健康増進計画に掲げられている「住民主体の健康づくり」という目標に対し、私の経験が直接貢献できると確信しています。」

ポイント解説:

  • 具体的な数値(受診率18%→32%)で成果を示している
  • 課題発見から解決までの一連のプロセスを具体的に述べている
  • 「住民の主体性」という保健師活動の本質に関わる視点を示している
  • 成功要因(ニーズ把握、プログラム設計、住民の力の活用)を分析している
  • 応募先の健康増進計画を踏まえ、具体的な貢献イメージを述べている

この例では、保健師としての実践経験を具体的な数値とプロセスで示し、その活動から得た学びと応募先での貢献イメージを結びつけています。

経験者の場合は、単なる経験の羅列ではなく、その経験を通じて何を学び、どのように成長したかを伝えることが重要です。

保健師の志望動機と自己PRの関連性

志望動機と自己PRは密接に関連しています。

両者に一貫性を持たせることで、説得力のあるアピールが可能になります。

この章では、志望動機と自己PRをどのように関連づければ良いかを解説します。

志望動機と自己PRの整合性

志望動機と自己PRは「なぜその職場で働きたいのか」と「どんな貢献ができるのか」という関係にあります。

両者に一貫性を持たせることで、面接官にあなたの意図が明確に伝わります。

志望動機が「地域に根差した予防活動に携わりたい」の場合は、地域との関わりや予防活動の経験を自己PRで強調すると整合性が高まります。

整合性のある自己PR:「私の強みは、地域住民との関係構築能力です。

学生時代のボランティア活動では、高齢者サロンの運営に携わり、参加者一人ひとりの生活背景や健康状態を把握しながら信頼関係を築きました。

この経験を活かし、貴自治体の予防活動に貢献したいと考えています。」

志望動機が「多様な健康課題に取り組みたい」の場合は、柔軟性や幅広い経験を自己PRで強調すると整合性が高まります。

整合性のある自己PR:「私の強みは、様々な健康課題に対応できる柔軟性です。

看護師時代は内科、小児科、救急と複数の診療科を経験し、幅広い健康問題への対応力を培いました。

この経験を活かし、多様な健康課題を抱える貴自治体の保健活動に貢献したいと考えています。」

志望動機が「健康格差の解消に貢献したい」の場合は、社会的弱者への支援経験や公平性への関心を自己PRで強調すると整合性が高まります。

整合性のある自己PR:「私の強みは、様々な背景を持つ方々に寄り添う姿勢です。

ボランティア活動では外国人居住者の健康相談に携わり、言語や文化の壁を超えた支援の重要性を学びました。

この経験を活かし、誰もが等しく健康サービスを受けられる社会の実現に貢献したいと考えています。」

志望動機と自己PRの間に矛盾があると、面接官はあなたの本当の意図に疑問を持ちます。

例えば、志望動機で「地域に根差した活動がしたい」と述べているのに、自己PRでは病院での専門的な臨床経験ばかりを強調していると、一貫性に欠けると感じられます。

両者を整合させるためには、志望動機を先に明確にし、それに合わせて自己PRで強調する経験や能力を選ぶことが効果的です。

あるいは、自分の強みや経験を振り返った上で、それが活かせる職場を志望先として選ぶというアプローチも可能です。

志望先の特徴と自己PRの結びつけ方

応募先の特徴や課題と自分の強みを結びつけることで、「この組織で活躍できる人材」というイメージを与えられます。

応募先の種類別に、効果的な結びつけ方を紹介します。

自治体の場合は、その地域特有の健康課題と自分の経験や強みを結びつけると効果的です。

例:「貴自治体は高齢化率が30%を超え、認知症予防が重要課題とされていると理解しています。

私は前職で認知症予防教室の企画・運営に携わり、参加者の認知機能維持に成果を上げた経験があります。

この経験を活かし、貴自治体の認知症予防施策の充実に貢献したいと考えています。」

企業の場合は、企業理念や健康経営への取り組みと自分の価値観や強みを関連づけると効果的です。

例:「貴社が推進される『全社員の心身の健康維持・増進』という健康経営の理念に共感しています。

私は前職で従業員のメンタルヘルス対策プログラムを開発し、休職率の低減に貢献した経験があります。

この経験を活かし、貴社の健康経営推進に貢献したいと考えています。」

医療機関の場合は、その施設の特色(予防医療、地域連携など)と自分の専門性を結びつけると効果的です。

例:「貴院が力を入れている『地域連携による切れ目のない医療提供』という取り組みに強く共感しています。

私は保健師として地域の多機関連携を推進し、医療機関と地域をつなぐ役割を担ってきました。

この経験を活かし、貴院と地域をつなぐ役割を担いたいと考えています。」

応募先の情報収集が重要になります。

ホームページ、健康増進計画、事業報告書、広報誌などから特徴や課題を把握し、自分の強みとの接点を見つけましょう。

特に「何が課題か」「何を目指しているか」を理解することで、あなたがどのように貢献できるかを具体的に伝えられます。

面接官は「なぜうちの組織なのか」「どのように貢献してくれるのか」を知りたいと考えています。

応募先の特徴や課題と自分の強みを明確に結びつけることで、「この人は私たちの組織のことをよく理解し、具体的な貢献策を持っている」という印象を与えることができます。

2025年最新・保健師採用動向と自己PR戦略

保健師の採用動向は時代とともに変化しています。

2025年の最新動向を踏まえた自己PR戦略を立てることで、より効果的なアピールが可能になります。

この章では、2025年の保健師採用における最新動向と、それに対応した自己PR戦略を解説します。

最新の保健師採用傾向

2025年の保健師採用では、社会情勢の変化や新たな健康課題の出現を背景に、以下のような傾向が見られます。

デジタル健康管理への対応力が重視されるようになっています。

新型コロナウイルス感染症の流行を機に、オンライン保健指導やデジタルツールを活用した健康管理の重要性が高まりました。

健康アプリ、ウェアラブルデバイス、オンライン診療など、デジタル技術を活用した健康支援能力が求められています。

また、健康データの分析やAIを活用した予防医療の知識も注目されています。

災害対応・感染症対策の強化が重視されています。

近年の自然災害の増加や感染症流行を踏まえ、緊急時の対応能力が重要視されています。

近年の自然災害の増加や感染症流行を踏まえ、緊急時の対応能力が重要視されています。

災害時の保健活動や、感染症対策の経験・知識を持つ保健師の需要が高まっています。

特に、危機管理能力や柔軟な対応力、多機関との連携調整能力が評価されています。

地域共生社会への対応が求められています。

少子高齢化、核家族化、外国人居住者の増加など、地域社会の多様化に伴い、様々な背景を持つ住民への包括的支援能力が求められています。

多様性への理解や、複合的な課題を抱える対象者への支援能力、多文化共生の視点などが重視されています。

データ分析・活用能力の需要が高まっています。

エビデンスに基づく保健活動の重要性が増し、健康データの収集・分析・活用能力を持つ保健師が求められています。

統計分析スキルやデータを政策立案に活かす能力、費用対効果の視点などが評価されています。

また、PDCAサイクルに基づく事業評価能力も重要視されています。

持続可能な健康づくりへの関心が高まっています。

限られた資源の中で効果的な保健活動を展開するため、住民主体の健康づくり支援能力が重視されています。

健康無関心層へのアプローチ法や、地域の互助を引き出す力、健康格差への対応能力などが求められています。

また、SDGs(持続可能な開発目標)の視点からの健康支援も注目されています。

これらの傾向は、採用面接での質問内容や評価基準にも反映されています。

例えば「デジタルツールを活用した保健指導の経験はありますか」「災害時の保健活動についてどう考えますか」といった質問が増えています。

自己PRでも、これらの動向を意識した内容を盛り込むことで、時代のニーズに合った人材であることをアピールできます。

新しい時代に求められる保健師のスキルと自己PR

2025年の採用動向を踏まえ、以下のようなスキルや経験を自己PRに盛り込むことが効果的です。

ICT活用能力は現代の保健師に不可欠なスキルです。

「オンライン健康教室の企画・運営経験」や「デジタルツールを用いた健康管理支援の経験」をアピールしましょう。

例:「コロナ禍では、Zoomを活用した母親教室を企画・運営し、外出困難な妊婦さんの不安軽減につなげました。参加者からは『自宅から参加できて助かった』との声を多数いただき、アンケート満足度は92%でした。この経験を通じ、ICTを活用した新しい保健活動の可能性を実感しています。」

危機管理能力は緊急時に冷静に対応できる力をアピールします。

「感染症対策の経験」や「災害時の健康支援活動への参加」をアピールしましょう。

例:「前職では新型コロナウイルス感染症対策本部の一員として、電話相談窓口の設置・運営を担当しました。日々変化する状況の中で、最新情報の収集と、わかりやすい情報提供の両立に努め、パニックを防ぐ役割を果たしました。この経験から、緊急時の情報管理と冷静な対応力を身につけました。」

データ分析力はエビデンスに基づく活動に不可欠です。

「健康データの分析・活用経験」や「エビデンスに基づく保健活動の実践」をアピールしましょう。

例:「特定健診データの分析を担当し、地区別・年齢別の健康課題を可視化するダッシュボードを作成しました。これにより、高血圧有病率の高い地区を特定し、重点的な減塩指導を実施。その結果、対象地区の収縮期血圧平均値が3mmHg低下するという成果につながりました。この経験から、データに基づく効果的な保健活動の重要性を学びました。」

多様性への対応は変化する地域社会で重要です。

「外国人支援の経験」や「障害者や精神疾患を持つ方への支援経験」をアピールしましょう。

例:「多文化共生サポーターとして、外国人居住者の健康相談に携わってきました。言語や文化の違いによる障壁を乗り越えるため、やさしい日本語の使用や視覚資料の活用、通訳アプリの導入などの工夫を行いました。この経験を通じて、多様な背景を持つ方々に寄り添う姿勢と、創意工夫による支援の大切さを学びました。」

持続可能な健康づくりの視点は長期的な活動に重要です。

「住民主体の健康づくり支援経験」や「地域資源の活用経験」をアピールしましょう。

例:「地域の健康づくりサポーターを育成するプログラムを企画・運営し、2年間で30名の人材を育成しました。彼らが中心となり、各地区での体操教室や健康イベントが自主的に運営されるようになり、行政主導から住民主体の活動へと発展させることができました。この経験から、『支援する』から『支援が必要ない状態をつくる』という保健師の本質的な役割を学びました。」

2025年に評価される自己PRには、これらの要素を自分の経験と結びつけて具体的に伝えることが重要です。

単に「ICTを活用できます」と述べるだけでなく、「どのような場面で」「どのように活用し」「どんな成果を得たか」という具体的なエピソードを交えることで説得力が増します。

また、これらの新しいスキルは、従来の保健師の核となる能力(保健指導力、コミュニケーション能力、地域診断能力など)を置き換えるものではなく、それらを補完・強化するものであることを忘れないようにしましょう。

基本的な能力をベースに、新しい時代に対応するスキルを付加するという形で自己PRを構成すると効果的です。

看護師からの転職・保健師自己PRのポイント

看護師の経験を持つ方が保健師を目指す場合、臨床での経験をどう保健師の業務に活かせるかをアピールすることが重要です。

一見異なる業務に思えるかもしれませんが、共通するスキルや視点は多くあります。

この章では、看護師経験を保健師の強みとして転換する方法を解説します。

看護師経験を保健師の強みに変換する方法

看護師の経験は、適切な視点で捉え直すことで多くの保健師の強みに転換できます。

以下の表を参考に、自分の経験を保健師の強みとして再定義してみましょう。

看護師の経験保健師の強みとしての表現
患者指導経験個別性に応じた健康教育能力多職種連携経験地域包括ケアを推進する調整能力重症患者ケア経験リスクアセスメント・予防的視点退院調整経験地域と医療をつなぐ連携力診療科の専門知識特定分野における専門的知見患者指導経験個別性に応じた健康教育能力多職種連携経験地域包括ケアを推進する調整能力重症患者ケア経験リスクアセスメント・予防的視点退院調整経験地域と医療をつなぐ連携力診療科の専門知識特定分野における専門的知見
患者指導経験個別性に応じた健康教育能力多職種連携経験地域包括ケアを推進する調整能力重症患者ケア経験リスクアセスメント・予防的視点退院調整経験地域と医療をつなぐ連携力診療科の専門知識特定分野における専門的知見患者指導経験個別性に応じた健康教育能力多職種連携経験地域包括ケアを推進する調整能力重症患者ケア経験リスクアセスメント・予防的視点退院調整経験地域と医療をつなぐ連携力診療科の専門知識特定分野における専門的知見
患者指導経験個別性に応じた健康教育能力多職種連携経験地域包括ケアを推進する調整能力重症患者ケア経験リスクアセスメント・予防的視点退院調整経験地域と医療をつなぐ連携力診療科の専門知識特定分野における専門的知見患者指導経験個別性に応じた健康教育能力多職種連携経験地域包括ケアを推進する調整能力重症患者ケア経験リスクアセスメント・予防的視点退院調整経験地域と医療をつなぐ連携力診療科の専門知識特定分野における専門的知見
患者指導経験個別性に応じた健康教育能力多職種連携経験地域包括ケアを推進する調整能力重症患者ケア経験リスクアセスメント・予防的視点退院調整経験地域と医療をつなぐ連携力診療科の専門知識特定分野における専門的知見患者指導経験個別性に応じた健康教育能力多職種連携経験地域包括ケアを推進する調整能力重症患者ケア経験リスクアセスメント・予防的視点退院調整経験地域と医療をつなぐ連携力診療科の専門知識特定分野における専門的知見
患者指導経験個別性に応じた健康教育能力多職種連携経験地域包括ケアを推進する調整能力重症患者ケア経験リスクアセスメント・予防的視点退院調整経験地域と医療をつなぐ連携力診療科の専門知識特定分野における専門的知見患者指導経験個別性に応じた健康教育能力多職種連携経験地域包括ケアを推進する調整能力重症患者ケア経験リスクアセスメント・予防的視点退院調整経験地域と医療をつなぐ連携力診療科の専門知識特定分野における専門的知見

患者指導経験は「個別性に応じた健康教育能力」として転換できます。

例:「糖尿病患者さんへの食事指導では、一律の内容ではなく、その方の生活背景や価値観を踏まえた個別的なアプローチを心がけていました。この経験は、保健師として地域住民一人ひとりに合わせた健康支援を行う際に直接活かせると考えています。」

多職種連携経験は「地域包括ケアを推進する調整能力」として転換できます。

例:「病棟看護師として、患者さんのケアカンファレンスでは医師、薬剤師、リハビリスタッフ、社会福祉士など多職種の意見をまとめる役割を担っていました。この経験は、保健師として地域の様々な機関や職種と連携して包括的な健康支援を行う際に役立つと確信しています。」

重症患者ケア経験は「リスクアセスメント・予防的視点」として転換できます。

例:「ICUでの勤務経験から、小さな変化を見逃さず早期に対応することの重要性を学びました。この『予兆を察知する力』は、保健師として地域の健康課題の早期発見や、ハイリスク者への予防的介入に活かせると考えています。」

退院調整経験は「地域と医療をつなぐ連携力」として転換できます。

例:「退院支援看護師として100件以上の調整を経験する中で、医療機関と地域の連携の重要性と課題を実感しました。この経験は、保健師として医療機関と地域をつなぐ役割を担う際に直接活かせると考えています。」

診療科の専門知識は「特定分野における専門的知見」として転換できます。

例:「精神科での5年間の経験を通じて培った精神疾患に関する知識と対応力は、保健師として地域のメンタルヘルス支援や自殺予防活動に貢献できると考えています。」

これらの転換を行う際のポイントは、看護師と保健師の「共通点」を見出すことです。

両者はともに「対象者の健康を支援する」という共通の目的を持ちながら、看護師は主に「治療・回復支援」に、保健師は主に「予防・健康増進」に重点を置いています。

この共通点と相違点を理解した上で、看護師としての経験を保健師の視点で再解釈することが重要です。

例えば、看護師として行っていた「退院指導」は、保健師の「健康教育」と手法や目的に共通点があります。

病院での「多職種連携」は、地域での「関係機関連携」と類似したスキルが求められます。

このような共通点を見出し、具体的な経験とともにアピールすることで、看護師経験が保健師として活かせることを説得力を持って伝えられます。

転職組特有のアピールポイント

看護師から保健師への転職者ならではのアピールポイントがあります。

これらの視点を活用して、他の応募者との差別化を図りましょう。

医療現場の実態理解は保健師と医療機関の連携において大きな強みになります。

例:「急性期から回復期、在宅までの患者の流れを実際に見てきたからこそ、切れ目のない支援の重要性と実現方法がわかります。保健師として医療機関と連携する際に、この経験を活かして効果的な連携体制を構築したいと考えています。」

患者心理の理解は効果的な予防活動を行う上で役立ちます。

例:「疾患を抱える方の不安や葛藤を間近で見てきたからこそ、予防の重要性と伝え方がわかります。単に『生活習慣を改善しましょう』と言うだけでなく、対象者の心理状態や生活背景を踏まえた効果的なアプローチができると考えています。」

実践的な医療知識は住民への適切な情報提供に役立ちます。

例:「最新の治療や看護の知識を持っているため、住民への適切な情報提供が可能です。特に、健康相談では『このような症状があればどの診療科を受診すべきか』『どのような検査や治療が行われる可能性があるか』といった情報を提供できることが強みだと考えています。」

健康の社会的決定要因への理解は疾患の背景にある社会的要因へのアプローチにつながります。

例:「病院では『疾患の結果』を見ることが多いですが、その背景には様々な社会的要因があることに気づきました。例えば、独居で服薬管理が難しい高齢者、経済的理由で受診が遅れる方など、医療だけでは解決できない課題を多く目の当たりにしました。保健師としてはこれらの根本的な要因にアプローチしたいと考えています。」

困難事例への対応経験は複雑な健康課題を持つ対象者への支援に役立ちます。

例:「認知症や精神疾患など、コミュニケーションが難しい患者さんと関わる中で培った対応力は、保健師として様々な背景を持つ住民への支援に活かせると考えています。特に、支援を拒否する方や複雑な問題を抱える方へのアプローチ法を身につけてきました。」

これらのアピールポイントは、看護師経験があるからこそ持つ独自の視点です。

「看護師としての経験を活かしたい」と漠然と述べるのではなく、上記のような具体的なポイントとして整理し、具体的なエピソードとともに伝えることで説得力が増します。

また、転職の理由についても前向きな表現で伝えることが重要です。

「病院が合わなかった」ではなく「予防的な関わりを通じて地域全体の健康増進に貢献したい」「より上流からの健康支援に携わりたい」など、保健師を目指す積極的な理由を強調しましょう。

看護師から保健師への転職は、キャリアの断絶ではなく、発展・拡大と捉えることができます。

臨床での経験を基盤に、より広い視点で健康支援に取り組むという姿勢をアピールすることで、転職の意義と価値を伝えられます。

保健師の専門性を活かした自己PR作成ワークシート

効果的な自己PRを作成するには、自分自身の経験や強みを体系的に整理することが大切です。

このワークシートを活用して、あなただけの魅力的な自己PRを組み立てていきましょう。

ワークシートの各項目に丁寧に取り組むことで、面接官の心に響く自己PRが完成します。

自己分析シート

まずは自分自身を多角的に分析し、保健師としての強みを見つけていきましょう。

以下の質問に対して、できるだけ具体的に回答してください。

あなたの経験(学生時代・職場・ボランティアなど)で成功した出来事は何ですか?
例:「実習で担当した地域の健康教室の参加者が当初の15名から30名に増加した」
あなたの回答: (記入欄)

その成功の要因は何だったと思いますか?
例:「参加者のニーズをアンケートで把握し、内容を改善した」「声かけを工夫し、口コミで広がった」
あなたの回答: (記入欄)

周囲の人からよく褒められる・認められる点は何ですか?
例:「細かい変化に気づくね」「説明がわかりやすい」「粘り強い」
あなたの回答: (記入欄)

あなたが最もやりがいを感じる場面・業務は何ですか?
例:「対象者の行動変容が見られたとき」「多職種と協力して課題解決できたとき」
あなたの回答: (記入欄)

保健師の仕事のどの側面に最も関心・適性がありますか?
例:「健康教育・指導」「地域診断・分析」「個別支援」「組織づくり」
あなたの回答: (記入欄)

あなたが持っている専門的な知識・スキルは何ですか?
例:「統計分析スキル」「特定の健康分野の専門知識」「プレゼンテーション能力」
あなたの回答: (記入欄)

これらの質問への回答を総合的に見て、あなたの強みを3つ挙げてみましょう。
強み1: (記入欄) 強み2: (記入欄) 強み3: (記入欄)

この中で、最も保健師として活かせる・アピールしたい強みはどれですか?
それはなぜですか?

(記入欄)

経験棚卸しシート

次に、あなたの経験を具体的に整理し、自己PRで使えるエピソードを見つけていきましょう。

特に印象的な経験や成果を挙げ、STAR法(Situation:状況、Task:任務、Action:行動、Result:結果)で整理してください。

経験1
状況(いつ、どこで、どのような状況だったか): (記入欄)

任務(あなたはどのような役割・責任を担っていたか): (記入欄)

行動(具体的に何をしたか、どのように取り組んだか): (記入欄)

結果(どのような成果・学びが得られたか): (記入欄)

経験2
状況(いつ、どこで、どのような状況だったか): (記入欄)

任務(あなたはどのような役割・責任を担っていたか): (記入欄)

行動(具体的に何をしたか、どのように取り組んだか): (記入欄)

結果(どのような成果・学びが得られたか): (記入欄)

経験3
状況(いつ、どこで、どのような状況だったか): (記入欄)

任務(あなたはどのような役割・責任を担っていたか): (記入欄)

行動(具体的に何をしたか、どのように取り組んだか): (記入欄)

結果(どのような成果・学びが得られたか): (記入欄)

これらの経験の中で、先ほど選んだ「最もアピールしたい強み」を最も効果的に示せるの

どの経験ですか?

それはなぜですか?

(記入欄)

自己PR完成チェックリスト

自己PRを作成したら、以下のチェックリストで確認しましょう。

すべての項目にチェックが入ることを目指してください。

構成面のチェック
□ 強み(何が得意か)が明確に述べられている
□ 根拠(なぜその強みがあるのか)が具体的に説明されている
□ 活かし方(保健師としてどう貢献できるか)が述べられている
□ PREP法(結論→理由→例→結論)の流れになっている
□ 1〜2分程度(300〜400字程度)の適切な長さである

内容面のチェック
□ 保健師の専門性と関連する強みになっている
□ 具体的なエピソード・数字が含まれている
□ 応募先の特徴や課題と関連づけられている
□ 志望動機と一貫性がある
□ 抽象的な表現(「頑張ります」など)を避けている

表現面のチェック
□ 専門用語を適切に使用している
□ 文章の流れが自然で理解しやすい
□ 声に出して読みやすい表現になっている
□ 熱意や意欲が伝わる表現がある
□ 誤字脱字がない

チェックで不十分な点があれば修正し、完成度の高い自己PRを目指しましょう。
特に、「保健師の専門性との関連」「具体的なエピソード」「応募先との関連性」は重点的にチェックしてください。

分野別・保健師の自己PRアプローチ

保健師の活躍の場は多岐にわたります。
応募先の分野に合わせた自己PRを作成することで、より的確なアピールが可能になります。
ここでは主要な3分野(母子保健、高齢者保健、産業保健)における効果的な自己PRアプローチを紹介します。

母子保健分野

母子保健分野は、妊産婦や乳幼児の健康支援を中心とした分野です。
この分野での自己PRでは、以下のような視点を取り入れると効果的です。

重視される能力・姿勢

  • 子どもの発達に関する知識
  • 家族全体を捉える視点
  • 支援が必要な家庭の早期発見能力
  • 母親の心理面への配慮
  • 多機関連携(医療機関、保育所、学校など)

効果的なアピールポイント例

  • 乳幼児健診や母親教室の経験
  • 子育て支援や発達支援の経験
  • 家族支援・家庭訪問の経験
  • コミュニケーション能力(特に傾聴力)
  • 保育や教育に関する知識・経験

自己PR例:

「私の強みは、多様な家族背景に配慮した支援能力です。

学生時代の母子保健実習では、様々な家庭環境の親子に関わる中で、一律の支援ではなく個別性を重視することの大切さを学びました。
特に印象に残っているのは、育児不安の強い母親への訪問支援です。
まずは母親の話をじっくり聴き、気持ちに寄り添うことからスタートし、徐々に信頼関係を築いていきました。
その結果、当初は支援に消極的だった母親が、自ら子育てサークルへ参加するまでに変化しました。

また、ボランティアとして地域の子育てサロンの運営に携わり、延べ200名以上の親子と関わってきました。
この経験から、保護者同士のつながりを支援することの重要性も実感しています。

貴自治体の母子保健分野では、この経験を活かし、個々の家庭に寄り添いながら地域全体の子育て力を高める支援に貢献したいと考えています。」

ポイント解説:

  • 母子保健で重要な「個別性の重視」と「家族全体への支援」の視点を示している
  • 傾聴力や信頼関係構築能力という母子保健に不可欠なスキルを具体的なエピソードで示している
  • 「子育てサロン」という地域支援の経験も併せてアピールしている
  • 個別支援と地域支援の両方の視点を持っていることを示している

高齢者保健分野

高齢者保健分野は、高齢者の健康増進や介護予防を中心とした分野です。
この分野での自己PRでは、以下のような視点を取り入れると効果的です。

重視される能力・姿勢

  • 介護予防・フレイル予防の知識
  • 地域包括ケアシステムの理解
  • 多職種連携能力(医療・介護・福祉との連携)
  • 認知症に関する知識と対応力
  • 社会資源の活用能力

効果的なアピールポイント例

  • 介護予防事業の企画・運営経験
  • 高齢者の健康教育・相談の経験
  • 地域ケア会議などの多職種連携の経験
  • 認知症サポーターなどの活動経験
  • 高齢者施設でのボランティア経験

自己PR例:

「私の強みは、高齢者の潜在的な能力を引き出す支援力です。

看護師として高齢者病棟で3年間勤務する中で、入院による廃用症候群の予防に力を入れ、早期離床や日常生活動作の維持に取り組みました。

特に印象的だったのは、脳梗塞で入院した80代の患者さんへの関わりです。

「もう歩けないかもしれない」と悲観的だった患者さんに対し、小さな目標設定と達成体験を重ねる支援を行いました。

リハビリスタッフと連携し、段階的な支援計画を立案・実行した結果、退院時には歩行器で生活できるまでに回復されました。

また、退職後の高齢者を対象とした健康サポーター養成講座のボランティアスタッフとして活動し、高齢者自身が地域の健康づくりの担い手となる仕組みづくりに携わってきました。

この活動を通じて、高齢者は支援される側だけでなく、支援する側にもなれることを実感しました。

貴自治体の高齢者保健分野では、この経験を活かし、単なる介護予防だけでなく、高齢者が社会参加を通じて生きがいを持ち続けられるような支援に貢献したいと考えています。」

ポイント解説:

  • 高齢者の「潜在的な能力」に着目する視点が示されている
  • 具体的な成功事例を通じて、支援の具体的な手法(目標設定、段階的支援)を示している
  • 多職種連携(リハビリスタッフとの協働)の経験も含まれている
  • 高齢者の「支援される側」から「支援する側」への転換という、介護予防の本質的な視点を示している
  • 単なる身体機能の維持だけでなく「生きがい」という精神面にも言及している

産業保健分野

産業保健分野は、企業や事業所の従業員の健康管理・健康増進を中心とした分野です。

この分野での自己PRでは、以下のような視点を取り入れると効果的です。

重視される能力・姿勢

  • 職業性疾病に関する知識
  • メンタルヘルス対策の理解
  • 健康経営の視点
  • 集団と個人の両方へのアプローチ能力
  • ビジネス感覚と組織理解

効果的なアピールポイント例

  • 健康診断結果の分析・活用経験
  • 健康教育・研修の企画・実施経験
  • メンタルヘルス対策の経験
  • データ分析・統計処理能力
  • プレゼンテーション能力

自己PR例:

「私の強みは、データに基づいた効果的な健康施策を立案・実行する能力です。

前職の病院では、職員300名の健康管理を担当する健康管理室で2年間勤務しました。

特に印象的だったのは、看護師の腰痛対策プロジェクトです。

健診データと職場環境調査の結果を分析し、腰痛を訴える看護師が特定の病棟に集中していることを発見。

原因調査の結果、介助方法に課題があることが判明しました。

そこで、腰痛予防の研修会を企画・実施し、正しい姿勢や補助器具の活用法を指導。

3か月後の調査では、腰痛を訴える職員が30%減少するという成果を得ました。

また、メンタルヘルス対策として、ストレスチェック結果を部署別に分析し、高ストレス者が多い部署への介入を提案・実施。

管理職への研修と職場環境改善を組み合わせたアプローチにより、翌年のストレスチェックでは高ストレス者が15%減少しました。

貴社の産業保健分野では、この経験を活かし、従業員の健康課題を科学的に分析し、効果的な対策を立案・実行することで、健康経営の推進に貢献したいと考えています。」

ポイント解説:

  • 「データに基づいた施策立案」という産業保健で重視される視点を示している
  • 具体的な数値(300名、30%減少、15%減少)を用いて説得力を高めている
  • 問題発見から解決までの一連のプロセスを示している
  • 身体面(腰痛)とメンタル面(ストレス)の両方の対策経験をアピールしている
  • 「健康経営」という企業側のメリットにも言及している

これらの分野別アプローチは、応募先に合わせてカスタマイズすることが重要です。

自分の経験や強みを振り返り、応募先の分野で特に求められる能力とのマッチングを意識して自己PRを構成しましょう。

また、これらの分野は截然と分かれているわけではなく、互いに関連しています。

例えば「多職種連携能力」はどの分野でも重要ですが、分野によって連携する相手や内容が異なります。

応募先の特性に合わせて、強調するポイントを調整することで、より的確な自己PRが可能になります。

自己PRから始まる保健師のキャリアプラン

自己PRは単なる面接対策ではなく、自己理解を深め、キャリアの方向性を考える重要な機会でもあります。
自分の強みや価値観を整理することで、保健師としての将来像がより明確になります。
この章では、自己PRを起点としたキャリアプランの考え方を解説します。

短期・中期・長期のキャリアビジョン

自己PRで整理した自分の強みや関心を基に、短期・中期・長期のキャリアビジョンを考えてみましょう。

明確なビジョンがあることで、日々の業務に意味を見出し、主体的にキャリアを構築できます。

**短期ビジョン(1〜3年)**は基礎固めの期間です。

この時期は保健師としての基本的な知識・スキルの習得を目指します。

例:「基本的な保健師業務(健診、健康教育、家庭訪問など)を一通り経験し、実践力を身につける」

「多様な対象者との関わりを通じて、コミュニケーション能力を高める」

「地域の健康課題を把握するための情報収集・分析方法を学ぶ」

短期ビジョンは自己PRの「強み」を活かしつつ、未経験分野にもチャレンジする姿勢が大切です。

例えば、データ分析が得意なら「その強みを活かした業務で成果を上げながら、対人支援スキルも磨く」といった方向性が考えられます。

**中期ビジョン(3〜5年)**は専門性の確立期間です。

この時期は自分の得意分野や関心領域を定め、専門性を高めていきます。

例:「母子保健分野のスペシャリストとして、育児支援プログラムの開発・実施を担う」

「データヘルス計画の策定・評価を担当し、エビデンスに基づく保健活動を推進する」

「地域の自主グループ育成に力を入れ、住民主体の健康づくり活動を支援する」

中期ビジョンは自己PRで見出した「関心分野」に沿って、より専門的なスキルや知識を獲得するイメージを描きます。

例えば健康教育に関心があるなら「効果的な健康教育プログラムの開発・実施のエキスパートになる」といった方向性が考えられます。

**長期ビジョン(5〜10年)**は発展・貢献の期間です。

この時期は獲得した専門性を基盤に、より広い視野で保健活動に貢献します。

例:「管理職として組織全体の保健活動の質向上を図る」

「地域の健康課題に対する新たな支援モデルを構築し、他地域への普及を目指す」

「後進の指導・育成を通じて、保健師の専門性向上に貢献する」

長期ビジョンは自己PRで明らかになった「価値観」に基づき、より大きな社会貢献を考えます。

例えば「誰も取り残さない健康支援」を大切にしているなら「健康格差の解消に向けた政策提言ができる保健師になる」といった方向性が考えられます。

これらのビジョンを考える際に重要なのは、自分の強み・関心・価値観との一貫性です。

自己PRで整理したこれらの要素をしっかりと反映させることで、無理なく進めるキャリアプランを立てることができます。

また、これらのビジョンは面接での「今後のキャリアプランは?」という質問への回答にも活用できます。

「私はデータ分析の強みを活かし、短期的には基本業務の習得と並行して健診データの活用に取り組み、中長期的にはエビデンスに基づく保健活動の推進役を担いたいと考えています」など、具体的なビジョンを伝えることで、意欲と計画性をアピールできます。

専門性を高めるためのステップ

保健師として専門性を高めるためには、計画的なスキルアップと経験の積み重ねが重要です。
自己PRから見えてきた自分の方向性に沿って、以下のステップを検討してみましょう。

基礎力の強化は全ての保健師に共通する第一歩です。
「保健師としての基本的な実践力」「多職種連携能力」「コミュニケーション能力」などの基礎力を強化します。

例:業務の基本的な流れを理解し、先輩保健師からの指導を受けながら実践力を高める

OJT(職場内訓練)を積極的に活用し、様々な業務を経験する

基礎研修や新任者研修に参加し、知識・スキルの土台を固める

基礎力強化の時期には、自己PRで見出した強みを業務で発揮しつつ、未経験の分野にも積極的にチャレンジすることが大切です。

例えば「コミュニケーション能力」が強みなら、それを家庭訪問や健康相談で発揮しながら、データ分析など不得意分野にも取り組むなど、バランスの良い成長を目指しましょう。

専門領域の選択と深化は自分の方向性を定める重要なステップです。

「母子保健」「高齢者保健」「精神保健」「産業保健」など特定の分野や、「健康教育」「地域診断」「施策立案」など特定の機能に関する専門性を高めます。

例:関心のある分野の専門研修に参加する

専門性の高い先輩保健師に指導を仰ぐ

専門分野の学会や研究会に参加し、最新の知見を得る

専門書や文献を読み、理論的背景を学ぶ

専門領域の選択は、自己PRで整理した「関心分野」や「得意な機能」に基づいて行うと、より主体的に取り組めます。

例えば「データ分析」が得意で「健康格差」に関心があるなら、「地域診断・分析を専門とし、健康格差の可視化と対策立案に特化した保健師」を目指すといった方向性が考えられます。

実践力の向上と発信は専門性を確立する段階です。

選択した専門領域での実践を積み重ね、その成果を共有・発信します。

例:担当業務での新たな取り組みを企画・実施する

事例検討会や業務報告会でプレゼンテーションを行う

学会や専門誌で実践報告や研究発表を行う

他自治体や関係機関との情報交換・連携を図る

実践力向上の段階では、自己PRで明らかになった「成果を上げた経験」を参考に、より大きな成果を目指します。

例えば「健康教室の参加者増加に成功した経験」があるなら、より大規模な健康増進プログラムの企画・運営にチャレンジするなど、経験を拡大・発展させる視点が大切です。

資格・認定の取得は専門性の証明となるステップです。

自分の専門領域に関連する資格や認定を取得し、専門性を形にします。

例:「保健師助産師看護師実習指導者講習会」の修了

「日本公衆衛生学会認定専門家」の資格取得

「健康運動指導士」「メンタルヘルス・マネジメント検定」など関連資格の取得

大学院での修士・博士号の取得

資格取得は、自己PRで見出した「強み」や「専門性」をより確かなものにします。

例えば「健康教育」が強みなら「健康運動指導士」「日本健康教育学会認定健康教育士」などの資格取得を目指すといった方向性が考えられます。

これらのステップは一直線ではなく、行きつ戻りつしながら進むのが現実的です。

自己PRを定期的に見直し、自分の強み・関心・価値観の変化を確認しながら、柔軟にキャリアプランを調整していくことが大切です。

また、これらのキャリアステップを面接で質問された場合は、具体的な計画を持っていることをアピールしましょう。

「入職後3年間は基礎力の習得に集中し、その後は母子保健分野での専門性を高めるために関連研修の受講や事例検討を重ね、10年後には母子保健における新たな支援モデルの構築に貢献できる保健師を目指したいと考えています」など、具体的なプランを示すことで、意欲と計画性をアピールできます。

リアルな保健師内定者インタビュー

実際に面接を突破して内定を獲得した保健師の体験談から、多くの学びを得ることができます。

ここでは、2025年の採用試験で内定を獲得した方々のリアルな体験談を紹介します。

「こんな自己PRが評価された」「こんな質問が印象に残った」など、参考になるポイントを押さえておきましょう。

A市保健センター内定者の体験談

プロフィール: K.Sさん(25歳・女性)
看護大学卒業後、総合病院で2年間勤務。A市保健センターに応募し、内定獲得。

面接での自己PR:「私の強みは、対象者の生活背景に配慮した健康支援です。

看護師時代に印象的だったのは、糖尿病で入退院を繰り返す60代男性患者さんとの関わりです。

生活習慣の改善がなかなか定着しない原因を探るため、ご本人の価値観や日常生活について時間をかけて話を聴きました。

すると、単身赴任で不規則な生活を余儀なくされていることや、『仕事あっての人生』という強い価値観があることがわかりました。

そこで、完璧な生活改善ではなく、仕事を続けながら『できることから少しずつ』という方針に切り替え、食事の写真を撮ってLINEで送ってもらう簡易的な食事記録法を提案しました。

この方法により、患者さんは自分の食生活を可視化でき、少しずつバランスの良い食事に近づけることができました。

結果として、HbA1cの値が8.4%から7.2%に改善し、1年以上再入院なく経過しています。

この経験から、対象者の生活や価値観を尊重し、実現可能な支援が健康行動の定着につながることを学びました。

A市では、様々な生活背景を持つ住民の方々に対し、この姿勢で寄り添いながら、一人ひとりに合った健康支援を行いたいと考えています。」

面接で印象に残った質問: 「あなたが考える保健師と看護師の一番の違いは何ですか?」

回答: 「私が考える最大の違いは『視点の広さ』です。

看護師は目の前の患者さんの回復を目指して支援しますが、保健師は個人だけでなく、家族、地域全体の健康を視野に入れて活動します。

例えば、看護師時代に関わった糖尿病患者さんの場合、病院では個人の治療と生活指導が中心でしたが、保健師であれば家族全体の食生活改善や、地域の糖尿病予防教室の企画、さらには地域の食環境整備など、より広い視点からの支援が可能になります。

この『点から面への視点の広がり』に保健師の醍醐味があると考え、転職を決意しました。」

内定後の振り返り: 「自己PRでは、単に『コミュニケーション能力がある』というような抽象的な表現ではなく、具体的な事例と数値(HbA1cの改善値など)を交えたことが評価されたと思います。

また、看護師と保健師の違いについての質問では、『キャリアアップのため』などの個人的な理由ではなく、保健師の専門性と仕事の本質について自分の言葉で語れたことが良かったようです。

面接官からは『患者さんの生活背景に寄り添う姿勢が保健師として大切な資質である』というフィードバックをいただきました。

転職組の方へのアドバイスとしては、看護師経験を否定するのではなく、その経験から学んだことを保健師としてどう活かすかという視点で自己PRを組み立てることが大切だと思います。」

B県保健所内定者の体験談

プロフィール: T.Mさん(22歳・男性)
看護大学を卒業後、新卒でB県保健所に応募し、内定獲得。

面接での自己PR: 「私の強みは、データと現場の声を組み合わせて健康課題を発見する分析力です。

大学の地域看護学実習では、高齢化率35%のC地区を担当し、地域診断を行いました。

統計データを分析した結果、この地区は県平均と比較して脳血管疾患の発症率が1.5倍高いことがわかりました。

しかし、なぜこの地区で脳血管疾患が多いのかを探るため、住民へのインタビュー調査や食生活調査も並行して実施しました。

この調査から、『豪雪地帯で冬場の運動不足』『塩分の高い保存食文化』が要因として浮かび上がりました。

さらに、保健センターの健診データを分析したところ、40-50代男性の健診受診率が18%と低く、ハイリスク者の早期発見・介入が難しい状況も判明しました。

これらの分析結果を基に、『室内でもできる運動プログラム』『減塩でもおいしい伝統食レシピの開発』『働き盛り世代の健診受診促進策』の3つの提案を行いました。

実習終了後、この提案の一部が実際の保健事業に採用されたと聞いています。

この経験から、データだけでなく生活実態や文化的背景まで理解することの重要性を学びました。

B県保健所では、この分析力を活かして地域の健康課題を科学的に捉え、効果的な施策立案に貢献したいと考えています。」

面接で印象に残った質問: 「あなたが保健師として最も取り組みたい健康課題は何ですか?その理由と具体的なアプローチ方法を教えてください。」

回答: 「私が最も取り組みたい健康課題は『健康格差の是正』です。

実習や研究を通じて、同じ県内でも地域によって健康状態や平均寿命に差があり、その背景には社会経済的要因や地理的要因があることを知りました。

特に経済的理由や地理的条件から健康サービスにアクセスしにくい方々への支援に関心があります。

具体的なアプローチとしては、まずデータ分析によって健康格差の実態を可視化し、課題の明確化を行います。

次に、アクセシビリティを高める工夫として、移動型の健康相談や健診、オンラインを活用した健康教育などを展開します。

さらに、地域の互助システムを活用し、住民同士の支え合いによる健康づくりの仕組みを構築したいと考えています。

こうした取り組みを通じて、どこに住んでいても、どのような社会経済状況でも、健康に生活できる地域づくりに貢献したいです。」

内定後の振り返り: 「新卒で実務経験がない分、学生時代の実習で得た学びを具体的に示すことを心がけました。

特に自己PRでは、単に『実習をしました』ではなく、『具体的な数値(高齢化率35%、脳血管疾患発症率1.5倍など)』『明確な課題発見のプロセス』『提案内容とその後の採用』まで含めたことで、実践力をアピールできたと思います。

また、健康課題についての質問では、漠然と『生活習慣病予防』などと答えるのではなく、『健康格差』という社会的視点を持った回答ができたことが評価されたようです。

面接官からは『データ分析と住民の声を結びつける視点が保健師として重要』というコメントをいただきました。

新卒の方へのアドバイスとしては、実習やボランティアなど限られた経験であっても、そこから何を学び、どのように考えたかを具体的に伝えることが大切だと思います。また、保健師の専門性である『予防』『集団への視点』を意識した回答を心がけるとよいでしょう。」

採用担当者の視点

ここでは、保健師の採用面接に携わる担当者の視点から、評価されやすい自己PRのポイントを紹介します。

自治体保健師採用担当者M.Yさんの声:

「面接では、『この人と一緒に仕事をしたい』と思えるかどうかを重視しています。

そのため、単なるスキルや経験の羅列よりも、『保健師としての姿勢や考え方』が伝わってくる自己PRを高く評価します。

特に印象に残るのは、『具体的なエピソードを通じて成長が見える自己PR』です。

例えば、『困難事例にどう向き合い、何を学んだか』『失敗からどう改善したか』といった経験は、その人の思考プロセスや価値観が見えて参考になります。

また、『地域の特性や健康課題を理解した上での志望動機』も重要です。

事前に自治体の健康課題や特徴を調べ、『この地域だからこそ取り組みたいこと』を具体的に語れる候補者は、入職後も主体的に活動してくれそうだと感じます。

逆に、『抽象的な表現だけの自己PR』は評価が難しいです。

『コミュニケーション能力があります』『努力家です』などの言葉だけでは、実際の能力が想像できません。

必ず具体的なエピソードを添えて、なぜそう言えるのかを示してほしいと思います。

新卒者と経験者では評価ポイントが少し異なります。

新卒者の場合は、『学生時代の学びをどう整理し、保健師としてどう活かしたいか』という視点を重視します。

経験者の場合は、『これまでの経験から何を学び、なぜ保健師として活動したいのか』という動機の部分を特に注目します。

最後に、面接では『その人らしさ』も大切です。

模範解答を暗記したような回答よりも、自分の言葉で誠実に語る姿勢の方が好印象です。

完璧な回答よりも、『この人なら成長していける』と感じられる可能性を重視していますので、等身大の自分を表現してほしいと思います。」

企業保健師採用担当者S.Tさんの声:

「企業保健師の採用では、『ビジネス感覚』と『専門性』のバランスを重視しています。

自己PRでは、専門的な保健師スキルだけでなく、『組織理解』『コスト意識』『成果志向』といった企業文化との親和性も見たいと考えています。

評価が高いのは、『数値で成果を示せる自己PR』です。

例えば、『健診受診率を15%向上させた』『メンタル不調による休職率を5%削減した』など、具体的な数値で効果を示せると、企業側も期待値が明確になります。

また、『多様なステークホルダーとの調整経験』も重視します。

企業保健師は経営層、人事部門、職場管理者、従業員など様々な立場の人と関わるため、異なる視点を理解し調整する能力が不可欠です。

そうした経験を具体的に語れると高評価につながります。

逆に、『医療モデルだけの考え方』は企業環境では適応が難しい場合があります。

『正しい健康行動を従業員に指導する』という一方向的な姿勢よりも、『経営と健康の両立』『従業員のエンゲージメント向上』といった視点も持っていると良いでしょう。

面接では、予想質問の回答を準備するだけでなく、自社の健康経営の取り組みや課題についても事前に調査することをお勧めします。

「御社の健康経営優良法人認定取得の取り組みに関心があります」など、企業特有の文脈を理解していることをアピールできると印象に残ります。

最後に、柔軟性も重要な評価ポイントです。

企業環境は変化が速く、新たな健康課題も次々と出てきます。

自己PRの中で『新しい課題への適応経験』『自己研鑽の姿勢』をアピールできると、長期的に活躍できる人材として評価されやすいでしょう。」

これらの体験談や採用担当者の視点から、効果的な自己PRのポイントが見えてきます。

「具体的なエピソードと数値」「思考プロセスの見える化」「地域・組織の特性理解」「成長可能性のアピール」などを意識して、自分だけの自己PRを磨いていきましょう。

おしえてカンゴさん!保健師の自己PR Q&A

保健師の自己PRについて、よくある質問とその回答をQ&A形式でまとめました。
具体的な疑問や不安に対して、保健師経験者の「カンゴさん」がわかりやすく解説します。

Q1: 自己PRはどのくらいの長さが理想ですか?

A: 面接での自己PRは1〜2分程度(300〜400字)が理想的です。

長すぎると面接官の集中力が途切れ、短すぎると情報量が不足します。

核となる強み、具体的なエピソード、それを活かす方法を簡潔に伝えましょう。

練習時に時間を計って適切な長さに調整することをお勧めします。

また、面接官から「もう少し詳しく教えてください」と言われた場合に備えて、補足説明できる内容も準備しておくと安心です。

基本は簡潔に、要点を押さえて、面接官の反応を見ながら詳細度を調整するイメージで臨むと良いでしょう。

Q2: 経験が少ない新卒でも魅力的な自己PRはできますか?

A: もちろんできます!新卒者は、学生時代の実習経験、ボランティア活動、サークル活動などから得た学びを具体的に伝えましょう。

たとえば「地域診断実習で高齢者の社会的孤立という課題を発見し、解決策を提案した経験」など、保健師の業務に関連づけたエピソードが効果的です。

また、「新しい視点」「柔軟な発想」「最新の知識」といった新卒ならではの強みをアピールするのも良いでしょう。

大切なのは、限られた経験からでも「何を学び、どう考え、どのように行動したか」というプロセスを具体的に伝えることです。

実習レポートやボランティア活動の記録などを見直し、成長が見えるエピソードを探してみましょう。

Q3: 保健師として特にアピールすべき強みは何ですか?

A: 保健師として特にアピールすべき強みには以下のようなものがあります:

  • 地域の健康課題を分析する力
  • 多様な住民とコミュニケーションをとる能力
  • 予防的視点と健康増進への関心
  • 多職種・機関との連携調整能力
  • 健康教育・指導力
  • 地域の特性を活かした施策を企画する力

これらの中から自分が最も発揮できる強みを選び、具体的なエピソードとともにアピールしましょう。

ただし、これらの強みをただ列挙するだけでは効果的ではありません。

「なぜその強みがあるのか」「どのような場面でそれを発揮したか」「どのような成果を得たか」という具体的な説明を加えることで説得力が増します。

また、応募先の特性や課題に合わせて強調する強みを調整するとより効果的です。

Q4: 面接で緊張して自己PRがうまく話せない場合はどうすればいいですか?

A: 緊張は誰にでもあるものです。以下の対策を試してみてください:

  • 事前に十分練習し、体に覚えさせておく
  • キーワードをメモしておき、面接時に確認する
  • ゆっくり深呼吸してから話し始める
  • 最初の一文は暗記しておく(出だしがスムーズだと自信につながる)
  • 緊張していることを正直に伝えてもOK

面接官も人間なので、少々の緊張は理解してくれます。

重要なのは内容の一貫性と誠実さです。

もし途中で詰まってしまっても、「少しお時間をいただいてもよろしいでしょうか」と一呼吸置いて整理すれば大丈夫です。

また、事前に自己PRを構造化しておくと、万一緊張で一部を忘れても核となる部分は伝えられます。

「私の強み」「具体的なエピソード」「活かし方」の3点だけでも覚えておけば、最低限のアピールは可能です。

Q5: 自己PRと志望動機の違いは何ですか?

A: 自己PRは「あなたはどんな人材か」(強み、経験、スキル)を伝えるのに対し、志望動機は「なぜその職場で働きたいのか」(応募理由、ビジョン)を伝えるものです。

両者は密接に関連しており、「自分の強みを活かせる職場だから志望した」「この職場のビジョンに共感し、自分の経験を活かして貢献したい」といった形で結びつけると説得力が増します。

具体例: 自己PR:「私の強みは多様な対象者に合わせた健康教育能力です。ボランティアで外国人住民向けの健康講座を企画・運営した経験があります…」

志望動機:「貴自治体は多文化共生を推進されており、外国人住民も増加していると伺っています。私の外国人への健康支援経験を活かし、言語や文化の壁を超えた健康増進活動に貢献したいと考え、応募しました。」

このように、自己PRで示した強みが志望動機でも活かされると、一貫性のある印象を与えられます。

面接では両方を別々に聞かれることも多いので、それぞれを準備しつつも、関連性を意識しておくことが大切です。

Q6: 自己PRで失敗した場合、面接の他の部分でカバーすることはできますか?

A: はい、可能です。自己PRで十分にアピールできなかったと感じた場合は、その後の質疑応答で挽回する機会があります。

以下のような方法を試してみてください:

  • 質問に答える際に、自己PRで言い忘れた強みや経験を盛り込む
  • 「先ほどの自己PRに補足させていただきたいのですが…」と追加説明を申し出る
  • 最後の「何か質問はありますか」の時間を活用して、自分の強みが活かせる業務について質問する

例えば「貴自治体では母子保健事業にも携わる機会がありますか?実は学生時代に母子保健に関心があり…」といった形で、自己PRで伝えきれなかった経験や関心を示すことも可能です。

ただし、あまりに多くの要素を後から付け加えようとすると、準備不足の印象を与えることもあります。

重要なのは、伝え忘れた内容が本当に重要かどうかを見極め、自然な流れで補足することです。

面接全体を通して一貫したメッセージを伝えることを心がけましょう。

Q7: 前職での失敗経験を自己PRに含めるべきですか?

A: 失敗経験は、そこからの学びや成長を示すことができれば、効果的な自己PRの要素になります。

ただし、単なる失敗談ではなく「失敗→分析→改善→成長」というストーリーで伝えることが重要です。

効果的な失敗エピソードの条件:

  • あまりに重大な失敗(医療ミスなど)ではない
  • 自分で原因を分析し、改善策を実行している
  • その経験から具体的に何を学んだかが明確
  • 現在はその弱点を克服している

例文: 「初めて健康教室を担当した際、専門用語を多用したために参加者に内容が十分に伝わらず、満足度調査で厳しい評価を受けました。この経験から、対象者の理解度に合わせた説明の重要性を痛感し、以降は事前に資料を非医療者にチェックしてもらう、平易な言葉に置き換える練習をするなどの工夫を重ねました。結果として、次回の健康教室では満足度が4.2点と大幅に向上し、『わかりやすい説明でした』というコメントもいただきました。この経験から、常に相手の立場に立った健康教育の大切さを学びました。」

このように、失敗から何を学び、どう成長したかが明確であれば、むしろ誠実さや向上心をアピールできる要素となります。

ただし、面接の雰囲気や質問の流れを見て、適切かどうか判断することも大切です。

まとめ

保健師の自己PRでは、具体的なエピソードと数値で強みを示し、保健師の専門性と結びつけることが重要です。

PREP法を活用し、応募先の特性を反映させた構成で、あなたらしさを伝えましょう。

自己PRは面接対策だけでなく、自己理解とキャリア形成の指針にもなります。

自分の強みを活かした効果的なアピールで、保健師としての一歩を踏み出してください。

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