急変対応シミュレーションは新人看護師研修・院内 BLS / ICLS で不可欠。実際の急変は年数回しか経験しないため、シナリオでの反復訓練が質を左右します。本記事では新人〜中堅向けに 10 ケースを収録し、導入・経過・学習ポイント・振り返り質問を整理します。
シミュレーション設計の基本 4 要素
- 導入:患者背景・現病歴・バイタルを提示
- 経過:時間経過で状態変化、判断を迫る
- 学習ポイント:目標とする技能・判断
- 振り返り(デブリーフィング):4 段階で学びを言語化
ケース 1: CPA(心肺停止)
導入:75 歳男性、心筋梗塞の既往。ナースコールで訪室したところ無反応。
経過:呼吸なし、頸動脈触れず。
学習ポイント:BLS 手順、応援要請、胸骨圧迫開始、AED 接続、ACLS への橋渡し。
振り返り:胸骨圧迫の深さは足りたか。交代タイミングは。
ケース 2: アナフィラキシーショック
導入:60 歳女性、CT 造影剤投与 5 分後に掻痒感・呼吸困難。
経過:血圧 80/40、SpO2 90%、喘鳴、蕁麻疹。
学習ポイント:アドレナリン筋注、静脈ルート 2 本確保、輸液負荷、気道管理準備。
ケース 3: 消化管出血
導入:胃癌術後 1 POD、ドレーンから鮮血 500 mL / 1 時間。
経過:血圧 85/50、心拍 130、冷汗あり。
学習ポイント:ドクターコール、ルート確保 2 本、輸血準備、緊急内視鏡 or 手術室手配。
ケース 4: 脳卒中(TIA / 脳梗塞)
導入:深夜、巡視中に 70 歳男性が「右手に力が入らない」と訴え。
経過:右上下肢麻痺、構音障害、FAST 陽性。発症 30 分。
学習ポイント:NIHSS 評価、tPA 適応判断(発症 4.5h 以内)、CT 手配。
ケース 5: 低血糖
導入:糖尿病 75 歳女性、インスリン自己注射後 2 時間。冷汗・動悸・振戦。
経過:血糖 45 mg/dL、意識レベル清明。
学習ポイント:経口ブドウ糖、意識低下時は IV ブドウ糖、原因究明。
ケース 6: 高血糖性昏睡(DKA)
導入:1 型糖尿病 25 歳男性、3 日前から発熱、嘔吐。意識レベル低下。
経過:血糖 580 mg/dL、ケトン体陽性、Kussmaul 呼吸。
学習ポイント:生理食塩水大量輸液、インスリン持続静注、カリウム補正。
ケース 7: 肺塞栓
導入:術後 5 POD、急な呼吸困難・胸痛。
経過:SpO2 88%、心拍 120、血圧 90/60。
学習ポイント:酸素投与、心エコー手配、D-dimer、CT 血管造影。
ケース 8: 窒息
導入:85 歳男性、昼食中。突然咳き込み無言、顔面蒼白。
経過:チョークサイン、呼吸音減弱。
学習ポイント:腹部突き上げ法、背部叩打法、気管挿管準備。
ケース 9: 敗血症性ショック
導入:尿路感染で入院中の 80 歳女性、朝から意識レベル低下。
経過:体温 39.2℃、血圧 70/40、心拍 135。qSOFA 3 点。
学習ポイント:血液培養 2 セット、広域抗菌薬 1 時間以内投与、輸液蘇生。
ケース 10: 転倒・頭部外傷
導入:認知症 85 歳女性、夜間ベッドから転落。
経過:頭部打撲、意識軽度低下、嘔吐。
学習ポイント:頸椎保護、GCS 評価、CT 手配、ワルファリン内服確認。
デブリーフィングの 4 段階
- 事実:「何が起きたか」
- 分析:「なぜそう判断したか」
- 学び:「何が学べたか」
- 応用:「次の臨床でどう活かすか」
シナリオ作成のチェックリスト
- □ 学習目標を 3 つ以内に絞る
- □ バイタル変化を時系列で予め設計
- □ 必要物品・薬剤を事前にリスト化
- □ 想定外の選択肢にも対応できる分岐を用意
- □ 振り返り質問を 5 問以上準備
FAQ
Q1: 新人向けの難易度調整は?
A. 初期は役割を 1 つに限定(観察のみ・記録のみ)、慣れたらリーダー役も経験。バイタル悪化スピードも調整可能。
Q2: シミュレーション用の人形が無い時は?
A. 役割プレイで代替可能。ファシリテーターが患者役、学習者が看護師役で進める。
Q3: デブリーフィングで注意点は?
A. 批判でなく学びに焦点、成功した行動も必ず言及、感情的になった学習者へのフォロー。
まとめ
- 10 ケースで基本的急変を網羅
- 導入・経過・学習ポイント・振り返りの 4 要素で構成
- デブリーフィングは「事実 → 分析 → 学び → 応用」の 4 段階
- 新人は役割限定から始めて段階的に難易度アップ


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