
在宅医療の重要性が高まる中、特別訪問看護指示書の適切な運用が注目されています。医療依存度の高い患者さんの在宅療養を支える上で、この制度は極めて重要な役割を果たしています。
しかし、14日間という期間制限や算定要件の複雑さから、実務での運用に不安を感じている看護師も少なくありません。
本記事では、制度の基本から実践的な運用方法まで、現場で本当に必要な情報を、2025年度の制度改定を踏まえて詳しく解説します。特に算定要件の確認から緊急時対応、多職種連携まで、実務に即した具体的な手順とポイントを、豊富な事例とともにお伝えします。
この記事を参考に、より良い在宅ケアの実現を目指しましょう。
この記事で分かること
- 特別訪問看護指示書の制度概要と算定の基本要件
- 14日ルールの運用方法と期間管理の実務ポイント
- 緊急時対応における連携体制の構築方法
- 算定漏れを防ぐための書類作成・管理の具体的手順
- トラブル事例から学ぶリスク管理と対応策
- 多職種連携における効果的なコミュニケーション方法
この記事を読んでほしい人
- 訪問看護ステーションで実務を担当する看護師
- 在宅医療に関わる医療従事者
- 診療報酬請求事務の担当者
- 訪問看護の管理者・責任者
- 在宅医療の連携体制構築に関わる方々
特別訪問看護指示書制度の基本

在宅医療における特別訪問看護指示書制度は、患者の状態が一時的に不安定となった際に、より手厚いケアを提供するための重要な仕組みです。
このセクションでは、制度の基本的な枠組みから、実務における具体的な運用方法まで、体系的に解説していきます。
制度の目的と意義
特別訪問看護指示書制度は、在宅療養患者の病状が一時的に不安定となった際に、集中的な訪問看護の提供を可能にする制度として1994年に創設されました。
通常の訪問看護指示書に基づくケアでは対応が困難な状況において、より頻回な訪問看護を実施することで、患者の症状改善と在宅療養の継続を支援することを目的としています。
制度が果たす臨床的役割
医療依存度の高い患者の在宅療養を支える上で、この制度は極めて重要な役割を果たしています。特に、病状の急性増悪時や終末期における症状コントロール、退院直後の医療処置が必要な時期など、集中的なケアが求められる場面で、その効果を発揮します。
医療機関との連携における意義
在宅医療における医療機関との連携強化にも、この制度は大きく貢献しています。医師による特別指示の発行過程を通じて、訪問看護ステーションと医療機関との間で、より密接な情報共有と連携体制の構築が可能となります。
法的根拠と歴史的背景
特別訪問看護指示書制度は、健康保険法及び老人保健法の規定に基づいて整備されました。制度創設以降、在宅医療を取り巻く環境の変化に応じて、複数回の改定が行われています。
制度創設時の背景
1994年の制度創設時、高齢化の進展と医療技術の進歩により、在宅での医療ニーズが高まっていました。この社会的要請に応えるため、特別訪問看護指示書制度が整備されました。
主な制度改定の変遷
2000年の介護保険制度施行、2006年の医療制度改革、2012年の在宅医療の充実に向けた診療報酬改定など、その時々の医療・介護ニーズに応じた制度の見直しが行われてきました。
発行条件と対象者
特別訪問看護指示書の発行は、特定の医学的状態にある患者を対象としています。医師が患者の状態を総合的に判断し、特別な指示の必要性を認めた場合に発行されます。
医学的適応条件
主治医が特別な管理を必要と認めた場合が対象となり、具体的には以下のような状態が含まれます。急性増悪により集中的な医療処置が必要な状態、退院直後で医療処置の調整が必要な状態、終末期において症状コントロールが必要な状態などが代表的です。
患者の状態による判断基準
患者の病状変化の程度、必要な医療処置の内容、看護ケアの必要度などを総合的に評価し、特別指示書の発行が判断されます。医師は患者の状態を詳細に評価し、特別指示の必要性を医学的に判断する必要があります。
算定要件と期間管理
特別訪問看護指示書の算定には、明確な要件と適切な期間管理が不可欠です。
このセクションでは、14日ルールを中心に、算定の具体的な要件と期間管理の実務について詳しく解説していきます。
14日ルールの詳細
特別訪問看護指示書の有効期間として定められている14日間の運用について、実務的な観点から説明します。この期間設定は、患者の状態変化に応じた適切なケア提供を可能にする重要な基準となっています。
期間の起算日と終了日の考え方
特別指示書の期間は、医師が交付した日を起算日として計算します。14日間の計算には、交付日と終了日を含みます。たとえば、4月1日に交付された場合、4月14日までが有効期間となります。週末や祝日も通常の日数としてカウントされることに注意が必要です。
複数月にまたがる場合の取り扱い
期間が月をまたぐ場合の算定方法には特別な注意が必要です。たとえば、4月25日に交付された場合、5月8日までが有効期間となりますが、診療報酬の請求は月単位で行うため、4月分と5月分を適切に区分して請求する必要があります。
算定における注意点
特別訪問看護指示書に基づく訪問看護の算定には、いくつかの重要な注意点があります。適切な算定のためには、これらの要件を正確に理解し、実践することが求められます。
1日の訪問回数の考え方
1日における訪問看護の実施回数については、患者の状態に応じて柔軟に設定することができます。ただし、1日1回以上の訪問が必要とされており、この基準を満たさない場合は特別指示に基づく算定はできません。
また、同一日に複数回訪問する場合の時間間隔についても、適切な設定が求められます。
医療保険と介護保険の関係性
特別指示期間中は、原則として医療保険での算定となります。介護保険の利用者であっても、特別指示期間中は医療保険での請求となることに注意が必要です。この切り替えに関する手続きや利用者への説明も、重要な実務となります。
具体的な記載例と書類の書き方
特別訪問看護指示書の作成には、正確な記載と適切な様式の使用が求められます。ここでは、実務で活用できる具体的な記載例と注意点を解説します。
基本的な記載事項のポイント
患者基本情報の記載では、氏名、生年月日、保険情報などの基本事項に加え、特別指示が必要となった医学的状態について、具体的かつ明確に記載することが重要です。略語の使用は避け、誰が見ても理解できる表現を使用します。
特記事項の記載方法
特別な医療処置や観察項目などの特記事項は、できるだけ具体的に記載します。たとえば、バイタルサインの観察基準値や、医療処置の具体的な方法など、訪問看護師が実施すべき内容を明確に示すことが求められます。
緊急時対応と連携体制

特別訪問看護指示書に基づくケアにおいて、緊急時の適切な対応と医療機関との連携体制の構築は極めて重要です。
このセクションでは、実践的な緊急時対応の手順と、効果的な連携体制の確立方法について詳しく解説します。
緊急時の対応手順
緊急時における適切な対応は、患者の安全を確保し、適切なケアを提供する上で非常に重要です。迅速かつ的確な判断と行動が求められる緊急時に備え、具体的な対応手順を理解しておく必要があります。
状態変化の評価とアセスメント
患者の状態変化を察知した際は、まず客観的な評価とアセスメントを行います。バイタルサインの測定、症状の観察、既往歴との関連性の確認など、総合的な状態評価を実施します。この際、事前に設定された観察項目と警戒基準を参考に、緊急性の程度を判断します。
医師への報告と指示受け
状態変化を確認した後は、速やかに主治医への報告を行います。報告の際は、客観的な情報を簡潔かつ正確に伝えることが重要です。また、医師からの指示内容を正確に理解し、必要に応じて復唱確認を行うことで、指示内容の誤認を防止します。
医療機関との連携方法
効果的な医療機関との連携は、質の高い在宅医療を提供する上で欠かせません。特に特別指示期間中は、より密接な連携が求められます。
情報共有の具体的方法
日々の訪問看護の内容や患者の状態変化について、効率的かつ確実な情報共有を行います。電子カルテシステムの活用、専用の連絡帳の使用、定期的なカンファレンスの開催など、複数の手段を組み合わせた情報共有体制を構築します。
24時間対応体制の確立
夜間休日を含めた24時間の連絡体制を整備します。当番制の設定、緊急時連絡網の整備、バックアップ体制の確立など、切れ目のない対応が可能な体制を構築します。
フローチャートと詳細手順
緊急時の対応手順を明確化し、スタッフ間で共有することは、迅速かつ適切な対応を実現する上で重要です。実践的なフローチャートと具体的な手順書の作成が求められます。
状況別対応手順の整備
発熱、疼痛増強、呼吸状態の悪化など、想定される緊急事態ごとに具体的な対応手順を整備します。それぞれの状況における観察項目、報告基準、初期対応の方法などを明確に示した手順書を作成します。
記録と評価の標準化
緊急時の対応内容を適切に記録し、事後評価を行うための標準的なフォーマットを整備します。対応の適切性を評価し、必要に応じて手順の見直しを行うことで、より効果的な緊急時対応体制の構築を目指します。
書類作成・管理のポイント

特別訪問看護指示書に関する書類の作成と管理は、適切な診療報酬請求と質の高いケア提供の基盤となります。
このセクションでは、必要書類の作成から保管方法、さらには電子化対応まで、実務に即した具体的な方法を解説していきます。
必要書類一覧
特別訪問看護指示書に関連する書類は多岐にわたります。すべての書類を適切に作成し管理することで、円滑な業務運営と確実な診療報酬請求が可能となります。
基本となる書類の種類
特別訪問看護指示書の原本に加え、訪問看護記録書、訪問看護報告書、訪問看護計画書など、複数の関連書類が必要となります。これらの書類は相互に関連し合い、一体的な管理が求められます。
関連する記録類の整備
日々の看護記録、バイタルサイン記録、医療処置記録などの関連書類も重要です。これらの記録は特別指示期間中の看護実践の根拠となり、適切な管理が不可欠です。
記載例と注意点
書類作成時には、記載内容の正確性と完全性が求められます。特に特別指示の必要性を明確に示す医学的根拠の記載は重要です。
具体的な記載のポイント
特別訪問看護指示書への記載は具体的かつ明確である必要があります。患者の状態、必要な医療処置、観察項目などを、誰が読んでも理解できるように記載します。医療専門用語と一般用語を適切に使い分け、わかりやすい表現を心がけます。
記載時の確認事項
日付や期間の記載、医師の署名捺印、保険情報などの基本事項の確認は特に重要です。また、患者情報の記載に誤りがないか、複数の目でのチェックも必要です。
保管・管理方法
書類の適切な保管と管理は、法令遵守と業務効率化の両面で重要です。特に個人情報保護の観点から、慎重な取り扱いが求められます。
保管期間と保管方法
特別訪問看護指示書及び関連書類は、法令で定められた期間の保管が必要です。適切な保管場所の確保と、アクセス制限の設定など、セキュリティ面での配慮も重要となります。
電子化対応
医療のデジタル化が進む中、書類の電子化対応も重要な課題となっています。効率的な業務運営と情報共有の促進のため、適切な電子化対応が求められます。
電子化のメリットと注意点
書類の検索性向上や保管スペースの削減などのメリットがある一方、システムの選定やセキュリティ対策など、導入時には慎重な検討が必要です。電子保存に関する法令要件を満たしつつ、業務効率の向上を図ることが重要です。
トラブル対応とリスク管理
特別訪問看護指示書の運用において、様々なトラブルやリスクに適切に対応することは、安全なケア提供と円滑な業務運営の両面で重要です。
このセクションでは、実際の現場で発生しやすいトラブル事例とその対応策、さらにリスク管理の具体的な方法について解説します。
よくあるトラブル事例
特別訪問看護指示書に関連するトラブルは、書類作成から実施期間の管理まで、様々な場面で発生する可能性があります。これらのトラブルに適切に対応することで、より質の高いケアの提供が可能となります。
書類作成時のトラブル
書類の記載不備や期間設定の誤り、医師との連絡調整の遅れなど、特別指示書の作成過程で発生するトラブルについて具体的に説明します。特に、記載内容の不明確さや必要事項の記入漏れは、後の診療報酬請求に影響を与える可能性があるため、細心の注意が必要です。
実施期間中のトラブル
患者の状態急変時の対応遅れや、医療機関との連携不足による混乱など、特別指示期間中に発生しやすいトラブルについても解説します。これらのトラブルを未然に防ぐための体制づくりが重要です。
予防策と対応方法
トラブルを未然に防ぎ、発生時に適切に対応するための具体的な方法について説明します。予防と対応の両面から、実践的な取り組みを紹介します。
予防のための体制整備
チェックリストの活用や複数人での確認体制の構築など、トラブルを予防するための具体的な方法を解説します。特に、書類作成時のダブルチェック体制や、定期的な研修の実施は効果的です。
発生時の対応手順
トラブルが発生した際の初期対応から解決までの具体的な手順について説明します。特に、関係者への適切な報告と情報共有、解決に向けた具体的なアクションプランの立案が重要となります。
リスクマネジメント
組織的なリスク管理体制の構築と運用について、具体的な方法を解説します。特別指示書に関連するリスクを適切に評価し、管理することで、安全なケア提供を実現します。
リスク評価の方法
定期的なリスクアセスメントの実施方法や、評価結果の活用方法について説明します。特に、過去のトラブル事例を分析し、新たなリスク要因を特定することが重要です。
改善活動の実践
リスク評価結果に基づく具体的な改善活動の進め方について解説します。PDCAサイクルを活用した継続的な改善活動を通じて、より安全で効果的なケア提供体制を構築することができます。
地域連携と多職種協働

特別訪問看護指示書の効果的な運用には、地域の医療機関や関係機関との密接な連携が不可欠です。
このセクションでは、円滑な多職種連携の実現に向けた具体的な方法と、効果的な情報共有の仕組みについて解説します。
連携先リスト整備
地域における効果的な連携体制の構築には、関係機関との緊密なネットワークづくりが重要です。医療機関、介護施設、行政機関など、様々な連携先との関係性を整理し、管理することが求められます。
連携先情報の管理方法
連携先の基本情報、担当者情報、連絡方法などを体系的に整理し、常に最新の状態に保つことが重要です。特に緊急時の連絡先については、24時間対応可能な連絡先を含めて整備する必要があります。
連携体制の定期的な見直し
連携先との関係性を定期的に評価し、必要に応じて見直しを行うことで、より効果的な連携体制を維持することができます。
情報共有の方法
多職種間での効果的な情報共有は、質の高いケア提供の基盤となります。特に特別指示期間中は、より密接な情報共有が求められます。
情報共有ツールの活用
電子カルテシステムや情報共有アプリケーションなど、効率的な情報共有を可能にするツールの活用方法について解説します。特に、セキュリティに配慮しながら、リアルタイムな情報共有を実現する方法が重要です。
共有すべき情報の整理
患者の状態変化や医療処置の内容など、共有すべき情報を明確化し、効率的な情報共有を実現します。
カンファレンスの運営
多職種カンファレンスは、効果的な連携を実現する重要な機会です。特別指示期間中の患者に関する情報共有と方針決定には、特に重要な役割を果たします。
効果的な開催方法
カンファレンスの目的設定、参加者の選定、議題の整理など、効果的な運営のための具体的な方法を解説します。特に、限られた時間内で必要な情報共有と方針決定を行うための工夫が重要です。
記録と活用方法
カンファレンスでの決定事項や検討内容を適切に記録し、実践に活かすための方法について説明します。
ICTツールの活用
情報通信技術(ICT)の活用は、効率的な連携と情報共有を実現する上で重要な要素となっています。
効果的なツール選択
目的に応じた適切なICTツールの選択方法と、導入時の注意点について解説します。特に、セキュリティ面での配慮と使いやすさのバランスが重要となります。
運用ルールの設定
ICTツールを活用する際の具体的なルールや、情報セキュリティ対策について説明します。特に個人情報の取り扱いには細心の注意が必要です。
ケーススタディと運用のポイント
実際の現場での特別訪問看護指示書の運用をより深く理解するため、具体的な事例を通じて解説していきます。
以下の事例では、それぞれの状況における判断のポイントと実際の対応方法について詳しく説明します。
事例1:終末期がん患者の場合
A氏、70歳代男性の事例を紹介します。膵臓がん末期で、疼痛コントロールが不十分な状態となった際の特別指示書発行と対応について説明します。
状況と経過
自宅での療養中、急激な痛みの増強が発生し、オピオイド製剤の用量調整が必要となりました。夜間の疼痛増強により睡眠が妨げられ、日中の活動にも支障が出始めていました。
具体的な対応
主治医との連携のもと、1日2回の定期訪問に加え、状態に応じた臨時訪問を実施し、きめ細かな疼痛評価と投薬管理を行いました。
事例2:退院直後の医療処置が必要な患者
B氏、60歳代女性の事例について説明します。脳梗塞後の経管栄養管理が必要な状態での退院時の対応を紹介します。
状況と経過
急性期病院での治療を終え、経管栄養を継続しながら在宅療養を開始することになりました。家族の介護力向上と安全な医療処置の確立が課題となっていました。
具体的な対応
退院後14日間の特別指示期間を活用し、毎日の訪問を通じて、経管栄養の手技指導と家族支援を実施しました。
事例3:感染症による状態悪化
C氏、80歳代女性の事例を説明します。誤嚥性肺炎を繰り返す患者さんの急性増悪期の対応について紹介します。
状況と経過
発熱と呼吸状態の悪化が確認され、入院は希望されず在宅での治療を選択されました。酸素療法の導入と頻回な状態観察が必要な状況でした。
具体的な対応
医師の指示のもと、1日3回の訪問を実施し、バイタルサインの確認と吸引処置、呼吸リハビリテーションを行いました。
事例4:認知症患者の服薬管理
D氏、75歳女性の事例について説明します。認知症の進行に伴う服薬管理の乱れに対する対応を紹介します。
状況と経過
独居の認知症患者さんで、服薬の自己管理が困難となり、状態が不安定化しました。家族の支援体制も限られている状況でした。
具体的な対応
特別指示期間を活用し、毎日の訪問で服薬確認と状態観察を実施し、服薬支援体制を確立しました。
事例5:医療機器管理が必要な患者
E氏、65歳男性の事例を紹介します。在宅人工呼吸器使用中の患者さんの急性増悪期の対応について説明します。
状況と経過
人工呼吸器の設定調整が必要となり、頻回な観察と微調整が求められる状況となりました。家族の不安も強い状態でした。
具体的な対応
医師と連携しながら、1日2回の定期訪問に加え、状況に応じた臨時訪問を実施し、きめ細かな機器管理と家族支援を行いました。
おしえてカンゴさん!よくある質問
現場で実際に発生する疑問や課題について、Q&A形式で解説していきます。
これらの質問は、実際の訪問看護現場から多く寄せられたものです。それぞれの質問に対して、実践的で具体的な回答を提供していきます。
制度の基本に関する質問
Q1:特別指示書の発行回数に制限はありますか?
医学的に必要と認められる場合、同一月内であっても複数回の発行が可能です。ただし、それぞれの発行について医学的な必要性を診療録に明確に記載する必要があります。また、前回の特別指示期間終了から間もない再発行については、特に慎重な判断が求められます。
Q2:介護保険利用者の場合の算定方法は?
特別指示期間中は、医療保険での算定となります。この期間中は介護保険による訪問看護費は算定できませんが、特別指示期間終了後は再び介護保険での算定に戻ります。この切り替えについては、利用者や家族への丁寧な説明が必要です。
実務運用に関する質問
Q3:夜間対応が必要な場合の体制は?
24時間対応体制の整備が必要です。具体的には、夜間休日の連絡体制の確立、緊急時の訪問体制の整備、医師との連携体制の確保などが重要となります。スタッフの勤務シフトも適切に調整する必要があります。
Q4:医療機関との連携で注意すべき点は?
日々の情報共有と緊急時の連絡体制の確立が重要です。特に状態変化時の報告基準を明確にし、医師との連絡方法を具体的に取り決めておくことが必要です。また、定期的なカンファレンスの開催も効果的です。
算定に関する質問
Q5:特別指示期間中の訪問回数の上限は?
1日の訪問回数に上限は設定されていません。患者の状態に応じて必要な回数の訪問を実施できます。ただし、1日1回以上の訪問は必須となります。また、訪問の必要性を明確に記録することが重要です。
まとめ
特別訪問看護指示書の制度を適切に理解し、効果的に運用することは、質の高い在宅医療の提供において極めて重要です。
このセクションでは、本記事で解説した重要なポイントを総括し、実務での活用に向けた具体的な展望を示します。
重要ポイントの総括
(300文字) 特別訪問看護指示書制度の運用において最も重要なのは、適切な期間管理と確実な記録の保持です。14日間という期間制限を遵守しながら、患者の状態に応じた柔軟な対応を行うことが求められます。
また、医療機関との緊密な連携体制の構築と、多職種協働による包括的なケアの提供も不可欠です。日々の実践においては、制度の基本を踏まえつつ、個々の患者の状況に応じた適切な判断と対応が重要となります。
今後の展望
医療のデジタル化が進む中、特別訪問看護指示書の運用においても、ICTの活用による効率化が期待されます。また、地域包括ケアシステムの深化に伴い、多職種連携がより一層重要になると考えられます。
これらの変化に柔軟に対応しながら、より質の高い在宅医療の提供を目指していく必要があります。
特別訪問看護指示書制度の適切な運用は、質の高い在宅医療の提供に不可欠です。本記事で解説した14日ルールの遵守、適切な期間管理、確実な記録の保持、そして医療機関との緊密な連携体制の構築を基本としながら、日々の実践に活かしていただければと思います。
制度の基本を踏まえつつ、個々の患者さんの状況に応じた適切な判断と対応を心がけることで、より良い在宅ケアの実現が可能となります。
より詳しい情報や、訪問看護に関する最新のトピックスは【ナースの森】でご覧いただけます。【ナースの森】では、この記事で取り上げた特別訪問看護指示書の運用例や、実際の現場での工夫など、さらに詳しい情報を随時更新しています。また、訪問看護に関する様々な課題解決のヒントや、キャリアアップに役立つ情報も満載です。