
退院指導は看護師の重要な役割の一つです。
患者さんが安心して退院後の生活を送れるよう支援するためには、体系的な知識と実践的なスキルが必要です。
この記事では、看護学生の皆さんに向けて、退院指導の基礎から実践的なテクニックまでを詳しく解説します。
この記事を読んでほしい人
- 臨地実習で退院指導を控えた看護学生の方
- 退院指導の基本を一から学びたい方
- 実践的な指導スキルを身につけたい方
- 退院指導の記録の書き方に不安がある方
- 効果的なコミュニケーション方法を学びたい方
この記事で分かること
- 退院指導に必要な基礎知識と実践的なスキル
- 効果的な情報収集の方法と指導計画の立て方
- 具体的な指導技術とコミュニケーション方法
- 退院指導記録の正しい書き方と評価方法
- 実践的なケーススタディを通じた学習ポイント
退院指導の基本と重要性

退院指導は患者さんの退院後の生活を支える重要な看護実践です。
患者さんとご家族が安心して在宅生活に移行できるよう、系統的なアプローチと確かな指導技術が求められます。
このセクションでは、退院指導の基本的な考え方から実践的なポイントまでを解説します。
定義と目的
退院指導とは、入院中に習得した自己管理方法や生活上の注意点を、患者さんやご家族が退院後も継続して実践できるよう支援する看護実践です。
患者さんの生活の質を維持・向上させることを目的としています。
退院指導の基本的な考え方
退院指導では、患者さんの個別性を重視し、その方の生活背景や価値観に沿った支援を行うことが重要です。
また、ご家族を含めた支援体制の構築も不可欠な要素となります。
指導の範囲と内容
服薬管理、食事療法、運動療法など、疾患に応じた自己管理方法の指導に加え、日常生活での注意点や緊急時の対応についても具体的に説明します。
看護過程における位置づけ
退院指導は看護過程の中で重要な位置を占めています。
アセスメント、計画立案、実施、評価という一連のプロセスを通じて、効果的な指導を実現します。
アセスメントの重要性
患者さんの身体的・精神的状態、理解力、生活環境などを包括的に評価することで、個別性に応じた指導が可能となります。
計画立案のポイント
アセスメントで得られた情報を基に、具体的で実現可能な指導計画を立案します。
退院支援との違い
退院指導は退院支援の一部として位置づけられますが、その役割は異なります。
退院支援が退院後の環境調整や社会資源の活用を含む広範な支援であるのに対し、退院指導はより具体的な生活管理方法の習得に焦点を当てています。
退院支援の範囲
医療・介護サービスの調整や在宅環境の整備など、多岐にわたる支援を含みます。
退院指導の特徴
患者さんとご家族への直接的な教育・指導に重点を置いています。
多職種連携の重要性
効果的な退院指導を実現するためには、多職種との密接な連携が不可欠です。医師、薬剤師、理学療法士、作業療法士、医療ソーシャルワーカーなど、各専門職との協働が求められます。
情報共有の方法
カンファレンスや診療記録を通じて、患者さんの状態や指導内容について情報を共有します。
役割分担の明確化
各職種の専門性を活かした指導を行うため、明確な役割分担が重要です。
最新のガイドラインに基づく実践
退院指導は、最新の医療ガイドラインや看護基準に基づいて実践することが求められます。疾患別の指導指針や退院支援プログラムなど、エビデンスに基づいた実践が重要です。
ガイドラインの活用方法
各疾患の治療ガイドラインや看護実践指針を参考に、標準化された指導を提供します。
最新知見の反映
定期的に最新の医療情報や看護研究の成果を確認し、指導内容に反映させることが大切です。このように、退院指導は患者さんの退院後の生活を支える重要な看護実践であり、系統的なアプローチと多職種連携が不可欠です。
次のセクションでは、具体的な情報収集の方法とそのポイントについて解説していきます。
情報収集の方法とポイント

退院指導を効果的に行うためには、患者さんに関する情報を適切に収集し、整理することが重要です。
このセクションでは、情報収集の具体的な方法と、実践で活用できるポイントについて解説します。
情報収集ツールの活用法
看護記録や電子カルテに加え、各種アセスメントツールを効果的に活用することで、必要な情報を漏れなく収集することができます。
基本的な情報収集項目
診療記録からは現病歴や治療経過、既往歴、服薬状況などの医療情報を収集します。看護記録からはADLの状況や日常生活での課題、これまでの看護介入の効果について確認します。
アセスメントシートの構成
収集した情報は、機能的健康パターンやゴードンの13の機能的健康パターンなど、適切な枠組みを用いて整理します。これにより、患者さんの全体像を把握しやすくなります。
電子カルテからの効率的な情報抽出
電子カルテシステムを活用することで、必要な情報を効率的に収集することができます。
検索機能の活用方法
キーワード検索やフィルター機能を使用して、必要な情報を素早く見つけ出すことができます。特に重要な情報には付箋機能やマーカー機能を活用します。
時系列での情報確認
入院から現在までの経過を時系列で確認し、治療の進捗や患者さんの状態変化を把握します。
アセスメントシートの活用
標準化されたアセスメントシートを用いることで、必要な情報を体系的に収集することができます。
基本情報の確認
患者さんの基本属性、入院までの経緯、主な症状や治療内容について確認します。
生活背景の把握
退院後の生活環境、家族構成、社会的サポート体制などについて詳しく情報収集します。
面談技術の実践ポイント
患者さんやご家族との面談を通じて、より詳細な情報を収集します。
面談の準備
あらかじめ確認したい項目をリストアップし、面談の目的を明確にしておきます。プライバシーに配慮した環境を整えることも重要です。
コミュニケーションの技術
開放型の質問を活用し、患者さんが自由に話せる雰囲気を作ります。非言語的コミュニケーションにも注意を払い、共感的な態度で接します。
よくある課題と対処法
情報収集の過程でよく遭遇する課題とその解決方法について理解しておくことが大切です。
情報の不足への対応
必要な情報が不足している場合は、他職種への確認や追加の面談を検討します。
情報の信頼性の確保
複数の情報源から得られた情報を照合し、その正確性を確認します。特に重要な情報については、可能な限り一次情報を確認します。
時間管理の工夫
限られた時間の中で効率的に情報収集を行うため、優先順位をつけて取り組みます。必要に応じて、チームメンバーと協力して情報収集を進めます。これらの情報収集の方法とポイントを押さえることで、より効果的な退院指導の計画立案につなげることができます。
次のセクションでは、収集した情報を基にした指導計画の立案と実施について解説していきます。
指導計画の立案と実施

収集した情報を基に、効果的な退院指導計画を立案し実施することは、看護師の重要な役割です。
このセクションでは、個別性を考慮した指導計画の立て方から実施までの具体的なプロセスを解説します。
個別性を考慮した目標設定
患者さん一人ひとりの状況に合わせた、実現可能な目標設定が重要です。
患者背景の分析
年齢、職業、生活環境、家族構成などの個人因子を考慮し、実際の生活に即した目標を設定します。退院後の生活をイメージしながら、現実的な目標を定めることが成功への鍵となります。
学習能力の評価
認知機能、理解力、これまでの生活習慣などを考慮し、患者さんの学習能力に合わせた目標レベルを設定します。必要に応じて、家族の協力体制も考慮に入れます。
短期・長期目標の立て方
効果的な指導を実現するためには、適切な目標設定が不可欠です。
短期目標の設定
入院中に達成すべき具体的な目標を設定します。例えば、服薬管理の習得や基本的な自己管理技術の獲得などが含まれます。達成度を評価しやすい、具体的な表現を用います。
長期目標の設定
退院後の生活を見据えた長期的な目標を設定します。疾病管理の継続や健康的な生活習慣の確立など、より広い視点での目標を含めます。
具体的な指導内容の決定プロセス
目標達成に向けた効果的な指導内容を決定します。
優先順位の決定
患者さんの状態や退院後の生活において重要度の高い項目から順に指導内容を組み立てます。安全性に関わる事項は特に優先度を高く設定します。
指導方法の選択
口頭説明、実技指導、視覚教材の活用など、内容に応じた適切な指導方法を選択します。患者さんの理解度や好みも考慮に入れます。
指導計画の文書化
計画を具体的に文書化することで、チーム内での情報共有と継続的な指導が可能となります。
計画書の作成方法
具体的な指導内容、使用する教材、実施時期、評価方法などを明確に記載します。看護記録システムに沿った形式で記載し、チームメンバーが理解しやすい表現を心がけます。
記載内容の確認
必要な情報が漏れなく記載されているか、表現が適切かなどを確認します。特に数値目標や具体的な手順は明確に記載します。
実施時の注意点
計画に基づいて指導を実施する際の重要なポイントについて解説します。
環境調整
プライバシーに配慮した落ち着いた環境を整えます。必要な教材や物品を事前に準備し、効率的な指導ができるよう配慮します。
患者の反応の確認
指導中は患者さんの表情や反応を観察し、理解度や疲労度を確認します。必要に応じて休憩を入れたり、説明のペースを調整したりします。
家族への配慮
家族の同席が必要な場合は、事前に日程調整を行います。家族の理解度や協力体制についても確認しながら進めます。このように、指導計画の立案と実施においては、患者さんの個別性を重視しながら、具体的で実行可能な計画を作成することが重要です。
次のセクションでは、実践的な指導技術について詳しく解説していきます。
実践的な指導技術

退院指導を効果的に行うためには、適切な指導技術の習得が不可欠です。
このセクションでは、実践で活用できる具体的な指導技術とそのポイントについて解説します。
効果的なコミュニケーション方法
患者さんの理解を深め、退院後の生活に活かせる指導を行うためのコミュニケーション技術について説明します。
傾聴の技術
患者さんの話に耳を傾け、言葉の背景にある思いや不安を理解します。相槌や適切な沈黙を活用し、患者さんが話しやすい雰囲気を作ります。
分かりやすい説明方法
医療用語を避け、平易な言葉を使用します。必要に応じて図や模型を用いて視覚的に説明を補足します。説明は論理的な順序で行い、重要なポイントは繰り返し伝えます。
デモンストレーションの実施方法
実技を伴う指導では、適切なデモンストレーションが効果的です。
手順の説明と実演
まず全体の流れを説明してから、具体的な手技を実演します。動作をゆっくりと分解して見せ、重要なポイントは特に丁寧に説明します。
患者参加型の実践
患者さんに実際に手技を行ってもらい、その場で適切なフィードバックを提供します。できている部分を褒め、改善が必要な点は具体的に助言します。
視覚教材の活用法
効果的な学習を促すため、様々な視覚教材を活用します。
パンフレットの使用方法
文字の大きさや量に配慮し、図や写真を効果的に配置したパンフレットを作成します。重要な部分にマーカーを引くなど、個別化した工夫を加えます。
動画教材の活用
スマートフォンやタブレットを用いて、手技の動画を見せることも効果的です。患者さんの理解度に合わせて、再生速度を調整したり、一時停止して説明を加えたりします。
理解度確認の技術
指導内容が正しく理解され、実践できているか確認することが重要です。
確認方法の選択
口頭での確認、実技の確認、質問への回答など、内容に応じた適切な確認方法を選択します。特に重要な事項は複数の方法で確認します。
フィードバックの提供
確認結果に基づき、適切なフィードバックを行います。改善が必要な点は具体的な助言とともに伝え、できている部分は積極的に褒めます。
指導時の配慮事項
効果的な指導を行うための重要な配慮事項について解説します。
時間帯の選択
患者さんの体調や日常生活リズムを考慮し、適切な時間帯を選択します。治療やリハビリテーションのスケジュールとも調整を図ります。
心理的サポート
不安や戸惑いを表現された場合は、共感的な態度で傾聴します。必要に応じて、成功体験や具体的な対処方法を提示し、自信につなげます。このように、実践的な指導技術を身につけることで、より効果的な退院指導を実現することができます。
次のセクションでは、退院指導の記録の取り方について詳しく解説していきます。
記録の取り方と文書化

退院指導の記録は、ケアの継続性を保証し、法的な証拠としても重要な意味を持ちます。
このセクションでは、効果的な記録の方法と、よくある課題への対応策について解説します。
SOAPでの記録方法
看護記録の基本形式であるSOAP形式を用いた記録方法について説明します。
主観的情報(S)の記載
患者さんやご家族から得られた情報を正確に記載します。訴えや質問、不安な点などは、できるだけ具体的な表現で記録します。
客観的情報(O)の記載
実施した指導内容や、観察された患者さんの反応を客観的に記載します。表情や態度、理解度を示す行動なども含めます。
具体的な記載例
実際の記録場面を想定した具体的な記載方法を解説します。
指導内容の記載
実施した指導の具体的な内容、使用した教材、所要時間などを明確に記載します。特に重要な説明項目や、個別に工夫した点は詳しく記録します。
患者の反応の記載
指導中の患者さんの言動や理解度を示す反応を具体的に記載します。実技指導を行った場合は、できている点や要改善点も含めます。
よくある記載ミス
記録作成時によく見られるミスとその対策について説明します。
曖昧な表現の回避
「良好」「普通」などの抽象的な表現は避け、具体的な状況や数値で記載します。主観的な評価を含める場合は、その根拠も併せて記録します。
誤解を招く表現の修正
誤解を招く可能性のある表現や略語の使用は避けます。医療者間で共通認識のある用語を適切に使用します。
記録の質向上のポイント
より質の高い記録を作成するためのポイントを解説します。
経時的な変化の記載
指導の進捗状況や患者さんの理解度の変化を時系列で記載します。前回からの変化や改善点が分かるように記録します。
多職種との情報共有
他職種による指導内容や評価も含め、チーム全体で共有すべき情報を漏れなく記載します。
法的観点からの注意点
記録の法的な側面について理解を深めます。
記録の基本原則
事実に基づいた客観的な記載を心がけ、推測や憶測は避けます。記載した内容に誤りがあった場合の訂正方法も理解しておきます。
個人情報の保護
個人情報の取り扱いには十分注意し、必要な情報のみを記載します。電子カルテのセキュリティ管理にも留意します。このように、適切な記録を作成することで、ケアの質向上と安全な医療の提供につながります。
次のセクションでは、具体的なケーススタディを通じて、これまでの学びを統合していきます。
ケーススタディ

実際の退院指導場面を想定したケーススタディを通じて、これまでに学んだ知識と技術を統合的に理解します。
このセクションでは、3つの異なる事例を詳しく解説します。
事例1:基本的な退院指導
高血圧症で入院していたAさん(65歳、女性)の退院指導について考えます。
患者背景
独居で、近所に住む長女が週末に訪問する生活をしています。入院前は自立した生活を送っていましたが、服薬管理に不安があります。
指導のポイント
服薬管理と血圧測定の自己管理方法を中心に指導を行います。一日分の薬をケースに仕分ける練習や、血圧手帳の記入方法について実践的に指導します。
評価と成果
繰り返しの指導により、服薬管理と血圧測定の手技が習得できました。長女も週末の訪問時に確認することで、安全な自己管理が可能となりました。
事例2:複雑な事例への対応
糖尿病性腎症で透析導入となったBさん(58歳、男性)の退院指導について考えます。
患者背景
会社員で、透析導入への不安が強く、生活の変化に戸惑いを感じています。妻との二人暮らしですが、妻も仕事をしています。
指導のポイント
透析スケジュールの調整、食事制限、シャント管理など、複数の自己管理項目について段階的に指導を行います。妻も含めた指導時間を設定し、家族での支援体制を構築します。
評価と成果
時間をかけた指導により、基本的な自己管理方法を習得できました。職場との調整も行い、仕事と透析治療の両立が可能となりました。
事例3:家族支援を含む事例
脳梗塞後のリハビリテーションを終えたCさん(75歳、男性)の退院指導について考えます。
患者背景
右片麻痺が残存し、介助が必要な状態です。妻(72歳)と二人暮らしで、介護に不安を感じています。
指導のポイント
移乗動作や排泄介助の方法について、妻も含めた実技指導を行います。介護保険サービスの利用方法や、緊急時の連絡体制についても具体的に説明します。
評価と成果
介護技術の習得と介護サービスの調整により、在宅での生活に向けた準備が整いました。地域の介護支援専門員との連携も確立できました。これらのケーススタディを通じて、患者さんの個別性に応じた指導の重要性が理解できます。
次のセクションでは、よくある質問とその回答について解説していきます。
Q&A「おしえてカンゴさん!」

看護学生の皆さんから多く寄せられる退院指導に関する質問について、具体的に回答していきます。実践で活かせるヒントが満載です。
基本的な指導について
Q1:退院指導の時間はどのくらい取ればよいですか
一回の指導時間は20〜30分程度が目安です。患者さんの理解度や体調に応じて調整します。長すぎると疲労してしまうため、必要に応じて数回に分けて実施することをお勧めします。
Q2:指導内容を忘れてしまう患者さんへの対応は
説明内容をメモにまとめたり、チェックリストを作成したりすることが効果的です。また、ご家族にも同席していただくことで、自宅での確認がしやすくなります。重要なポイントは繰り返し説明し、理解度を確認しながら進めていきます。
実践的な指導のコツ
Q3:患者さんの理解度をどのように確認すればよいですか
説明した内容を患者さんに実際にやってもらい、その様子を観察します。また、「どのように理解されましたか」と開放型の質問を投げかけ、患者さんの言葉で説明してもらうことも効果的です。
Q4:説明が難しい患者さんへの対応方法を教えてください
視覚的な教材(イラストや写真)を活用したり、実際の物品を使用したりすることで理解を深めることができます。また、患者さんの生活習慣に沿った具体的な例を挙げながら説明すると、より理解が進みやすくなります。
記録と評価について
Q5:退院指導の記録で特に気をつけることは何ですか
指導内容、患者さんの反応、理解度、今後の課題などを具体的に記載します。また、次回の指導計画や、他職種との連携が必要な事項についても明確に記録します。抽象的な表現は避け、具体的な表現を心がけましょう。
Q6:指導効果の評価はどのようにすればよいですか
短期目標と長期目標を設定し、それぞれの達成度を評価します。患者さんの実践状況や理解度を確認し、必要に応じて指導計画を修正します。退院後の外来受診時にフォローアップを行うことも重要です。
多職種連携について
Q7:他職種との連携で気をつけることは何ですか
各職種の専門性を理解し、それぞれの立場からの指導内容を把握します。カンファレンスや記録を通じて情報共有を密に行い、指導内容に重複や漏れが生じないよう注意します。特に服薬指導は薬剤師と、栄養指導は管理栄養士と連携することが重要です。
これらの質問と回答を参考に、より効果的な退院指導を実践していきましょう。次のセクションでは、指導の評価と改善について解説していきます。
評価と改善

退院指導の質を高めるためには、適切な評価と継続的な改善が不可欠です。
このセクションでは、評価の方法と改善に向けたアプローチについて解説します。
評価指標の設定
退院指導の効果を適切に評価するための指標について説明します。
短期的な評価指標
入院中の指導に対する理解度や技術の習得状況を評価します。具体的には、服薬管理や自己測定の手技、基本的な生活管理方法の実施状況などを確認します。数値化できる項目については、具体的な到達基準を設定します。
長期的な評価指標
退院後の生活における自己管理の継続状況や、健康状態の維持・改善状況を評価します。外来受診時の状況確認や、必要に応じて電話でのフォローアップを行います。再入院率や合併症の発生状況なども重要な指標となります。
評価方法
効果的な評価を行うための具体的な方法について解説します。
直接評価
患者さんの実践状況を直接観察し、チェックリストなどを用いて評価します。特に重要な手技については、複数回の確認を行い、確実な習得を確認します。
間接評価
患者さんやご家族からの報告、他職種からのフィードバック、診療記録などから情報を収集し、総合的に評価します。
フィードバックの活用
評価結果を今後の指導改善に活かすための方法を説明します。
患者からのフィードバック
指導内容の分かりやすさや、実践における課題について、患者さんやご家族から直接意見を聞き取ります。得られた意見は、指導方法の改善に活用します。
チーム内での共有
カンファレンスなどを通じて評価結果をチーム内で共有し、指導方法の標準化や改善につなげます。効果的な指導方法や工夫点については、積極的に情報共有を行います。
継続的な改善プロセス
より質の高い退院指導を実現するための改善活動について説明します。
PDCAサイクルの活用
計画(Plan)、実施(Do)、評価(Check)、改善(Act)のサイクルを意識的に回し、継続的な質の向上を図ります。定期的な振り返りと改善点の検討を行うことで、指導の質を高めていきます。
これまでの学びを活かし、患者さん一人ひとりに最適な退院指導を実践していきましょう。
まとめ
退院指導は、患者さんの退院後の生活を支える重要な看護実践です。個別性を考慮した計画立案、効果的な指導技術の活用、適切な記録の作成、そして継続的な評価と改善が重要となります。
これらの要素を意識しながら、患者さんとご家族に寄り添った質の高い退院指導を実践していきましょう。
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