助産師を目指す方にとって、教育機関の選択は将来を左右する重要な決断です。
特に4年間で看護師と助産師の両方の資格を取得できる大学は、効率的かつ質の高い教育を求める学生から高い関心を集めています。
本記事では、助産師を目指す高校生や看護師志望者に向けて、4年で助産師になるための大学選びから資格取得までの道のりを詳しく解説します。
この記事を読んでほしい人
- 将来助産師になりたいと考えている高校生の皆さん
- 効率的に助産師資格を取得したい看護師志望者の方々
- お子さんの進路について助言したい保護者の方
- 大学進学を検討している看護系の学校の先生
- 転職や進学を考えている医療系職種の方
- 助産師教育に関心のある教育関係者の方々
この記事で分かること
- 4年間で助産師資格が取得できる全国の大学一覧と各校の特徴
- 助産師養成課程のカリキュラムと履修スケジュールについて
- 各大学の入試方法と効果的な対策法
- 学費や奨学金制度の詳細情報
- 卒業後の就職状況と進路選択肢
- 現役学生・卒業生の体験談と成功事例
4年で助産師を目指せる大学とは?基礎知識と全体像

4年で助産師になるためには、「看護学部に助産学専攻がある大学」または「看護学部で選択科目として助産師課程を履修できる大学」を選ぶ必要があります。
従来、助産師になるには看護師資格を取得後に1年間の助産師学校で学ぶのが一般的でしたが、近年は4年間の大学教育で両方の資格を取得できるコースが増えています。
これらの大学では、看護の基礎教育を受けながら、3〜4年次に助産師養成課程を選択し、必要な単位を取得することで国家試験受験資格を得られます。全国で約30校程度の大学が4年間で助産師資格取得可能なカリキュラムを提供しています。
助産師を目指す主な教育ルート
4年制大学で助産師資格を取得するメリットは、時間と費用の効率化だけでなく、より体系的な学習が可能な点にあります。大学によっては、定員制で選抜試験があるため、学内成績が重要になる場合もあります。
一方、助産師になる他のルートとしては、看護師資格取得後に1年制の助産師養成所へ進学する方法や、看護師資格取得後に大学院の助産師コース(1〜2年)へ進学する方法、5年一貫制の高等専門学校で看護師・助産師資格を目指す方法などがあります。
これらと比較すると、4年制大学のルートは早期から助産学に触れられる利点がありますが、履修できる人数に制限があることが多いため、学内での選考に通過する必要があります。
助産師の仕事と求められる資質
助産師は妊娠・出産・産後のケアを専門とする医療職です。単なる分娩介助だけでなく、女性の一生を通じた健康支援者としての役割も担っています。
具体的な業務には妊婦健診と保健指導、分娩介助と産後ケア、新生児のケアと育児支援、思春期から更年期までの女性の健康相談、不妊カウンセリングやサポートなどがあります。
助産師に求められる資質としては、医学的知識と技術はもちろん、コミュニケーション能力や共感力、判断力、そして命と向き合う強い精神力が必要です。4年制大学では、これらの資質を養うための教育が計画的に提供されています。
全国の4年で助産師になれる大学一覧と特徴

全国には約30校の4年制大学で助産師資格取得が可能です。
地域別に主な大学と特徴を紹介します。
関東地方の主要大学
東京医科大学看護学部
都心にあり、充実した実習施設と高い国家試験合格率が特徴です。助産師課程の定員は15名程度で、3年次から選抜試験があります。附属病院での実習が豊富で、現場感覚を早くから養えます。
聖路加国際大学看護学部
国際的な視野を持つ助産師教育に定評があり、海外研修プログラムも充実しています。少人数制で教員の指導が行き届いており、助産師国家試験合格率は例年100%近くを維持しています。
日本赤十字看護大学
赤十字の理念に基づく人道的な看護・助産教育を行っています。災害時の母子支援など、特色あるカリキュラムが魅力です。複数のキャンパスがあり、各地域の赤十字病院での実習機会が豊富です。
関西地方の主要大学
大阪大学医学部保健学科看護学専攻
研究型大学ならではの高度な専門教育と研究活動が特徴です。助産師コースは選抜制で、GPAなどの学内成績が重視されます。大学病院での実習では高度医療における助産師の役割も学べます。
神戸市看護大学
公立大学ならではの学費の安さと、地域に根差した母子保健活動の実習が充実しています。地域の産科医療機関との連携が強く、多様な出産の場での経験を積めます。
京都橘大学看護学部
伝統と革新を融合させた教育プログラムが特徴で、助産師課程では和と洋の両方の出産ケアを学べます。海外研修も充実しており、グローバルな視点を養うことができます。
東北・北海道地方の主要大学
北海道大学医学部保健学科
北海道唯一の国立大学医学部として、広大な地域での母子保健活動にも力を入れています。へき地医療や遠隔地での助産師の役割も学べる貴重なプログラムがあります。
東北大学医学部保健学科
研究型大学として先進的な周産期医療の知識と技術を学べます。震災後の母子支援など、災害時の助産師の役割についても実践的に学べる機会があります。
九州・中国・四国地方の主要大学
九州大学医学部保健学科
国立大学の中でも充実した助産実習が特徴です。NICU(新生児集中治療室)での実習も豊富で、ハイリスク妊産婦ケアについても学べます。
広島大学医学部保健学科
研究と実践のバランスがとれた教育プログラムを提供しています。地域の開業助産師との連携も強く、病院外での出産支援についても学ぶ機会があります。
愛媛県立医療技術大学
地域の母子保健に貢献する助産師育成に力を入れています。公立大学のため学費が比較的安く、地元出身者への地域枠入試もあります。
中部地方の主要大学
名古屋大学医学部保健学科
豊富な研究設備と経験豊かな教員陣による質の高い教育が魅力です。助産学に関する研究活動も活発で、将来研究者を目指す学生にも適しています。
浜松医科大学医学部看護学科
医学部と連携した教育体制が充実しており、チーム医療の中での助産師の役割について深く学べます。地域医療との連携も強く、多様な実習先があります。
助産師養成カリキュラムの詳細と学びの内容

4年制大学における助産師養成カリキュラムは、看護の基礎教育の上に助産学の専門教育を積み上げる形で構成されています。
年次ごとの学びを詳しく見ていきましょう。
1〜2年次:基礎看護学と医学的基礎知識
1〜2年次では、看護師になるための基礎的な学習を行います。主な科目は解剖生理学、病態生理学、基礎看護技術、薬理学、医療倫理、生命科学、心理学、社会学などです。
この時期は助産学の専門科目はまだ少ないですが、「女性の健康と看護」「母性看護学」などの基礎的な科目を通じて、将来の助産師としての基盤を作ります。
3年次:助産学基礎と母性看護学実習
3年次からは助産師課程選択者に対して、専門的な助産学の教育が始まります。主な科目は助産学概論、ウィメンズヘルス(女性の健康学)、周産期の生理と病理、母性看護学実習、新生児学、育児支援論、助産診断技術学などです。
この時期には母性看護学実習があり、産科病棟での実習を通じて、妊産婦のケアについて学びます。これは助産実習の前段階として重要な経験になります。
4年次:助産学実習と統合的学習
4年次は助産学の集大成として、本格的な助産実習が行われます。主な科目や実習内容は助産学実習(10例程度の分娩介助を経験)、地域母子保健実習、院内助産・助産所実習、統合実習、卒業研究、国家試験対策などです。
特に助産学実習では、実際に10例程度の分娩に立ち会い、助産師の指導のもとで分娩介助を経験します。これは助産師国家試験の受験資格を得るために必須の経験です。
実習の実際と学生の体験
A大学看護学部の卒業生Bさんは、助産学実習についてこう語っています。
「実習では10例の分娩介助を経験しましたが、待機も含めると約20例近くの出産に立ち会いました。夜間や休日も呼び出しがあり、体力的にはハードでしたが、新しい命の誕生に立ち会える感動は何物にも代えがたいものでした。実習先の助産師さんの技術と優しさに感銘を受け、私もあんな助産師になりたいと思いました」
また、分娩介助だけでなく、妊婦健診や産後のケア、新生児のケアなど、幅広い実習内容が組まれています。これらの経験を通して、助産師として必要な知識と技術、そして心構えを身につけていきます。
入試方法と効果的な対策法

4年制大学の助産師養成課程に進むためには、まず看護学部に入学する必要があります。
各大学の入試方法と効果的な対策について解説します。
一般入試の特徴と対策
一般入試では、主に英語、数学、国語、理科(生物基礎、化学基礎など)が課されることが多いです。
看護系学部は理系でありながら人文・社会科学の要素も含むため、バランスの良い学力が求められます。特に英語と生物は重要視される傾向があります。
効果的な対策
英語は医療英語や論文で使われる表現に慣れておくと、大学での学習にも役立ちます。生物は特に人体の構造と機能、生殖に関する単元は重点的に学習しましょう。国語は論理的思考力と読解力を養うことで、将来の研究活動にも役立ちます。また、医療や看護に関するテーマでの小論文練習を行っておくと良いでしょう。
C高校の進路指導教員Dさんは「看護学部志望者には、早めに医療や看護に関する本を読むことをお勧めしています。
専門知識だけでなく、医療人としての心構えや倫理観を養うことが、入試の面接や小論文、そして入学後の学習にも役立ちます」とアドバイスしています。
推薦入試と学校推薦型選抜の活用法
なくの看護系大学では、推薦入試や学校推薦型選抜を実施しています。これらは、学校長の推薦に基づき、調査書や面接、小論文などで選考される入試方式です。
主な特徴
一般入試より早い時期に合否が決まり、学校の成績(評定平均値)が重視されます。面接や小論文で医療職としての適性や意欲が問われ、入学後の成績条件(GPA等)が設定されることもあります。
効果的な活用法
高校1年次から評定平均値を意識した学習を行い、学校内外でのボランティア活動や医療関連の体験活動に積極的に参加しましょう。
オープンキャンパスや大学説明会に参加し、志望校についての理解を深め、助産師や看護師へのインタビューなどを通じて、職業理解を深めることも重要です。
E大学看護学部の入試担当者Fさんは「推薦入試では、単に成績が良いだけでなく、助産師になりたいという明確な志望動機と、それに向けた行動力を持った学生を求めています。面接では、自分の言葉で志望動機を語れることが重要です」と話しています。
入試過去問分析と傾向
助産師養成課程のある看護学部の入試では、以下のような傾向が見られます。
国公立大学の傾向
共通テスト(センター試験)の比重が大きく、二次試験では数学や理科の配点が高いことが多いです。小論文では医療倫理や社会問題に関するテーマが出題されることが多いです。
私立大学の傾向
英語と国語の比重が高く、数学が選択科目になっていることも多いです。面接試験を重視する大学が多く、総合型選抜(AO入試)で、志望動機や適性を多面的に評価する傾向があります。
G予備校の看護医療系担当講師Hさんは「看護系学部の入試では、単なる暗記力だけでなく、思考力や表現力が問われる問題が増えています。
日頃から医療ニュースに関心を持ち、自分の考えをまとめる習慣をつけることが大切です」とアドバイスしています。
編入学試験の概要
既に他の大学に在学中の学生や、短期大学・専門学校を卒業した方を対象に、3年次編入学試験を実施している大学もあります。看護師資格を持っている方が、助産師資格取得のために編入学する場合もあります。
主な選考方法
英語や専門科目の筆記試験、小論文、面接、出身校の成績証明書審査などがあります。
編入学の場合、2年間で助産師資格取得に必要な単位を修得する必要があるため、カリキュラムは過密になることが多いです。事前に単位認定の条件など、詳細を確認しておくことが重要です。
学費と奨学金制度

助産師養成課程のある4年制大学の学費と、活用できる奨学金制度について解説します。
国公立大学と私立大学の学費比較
国公立大学の学費(年間)
入学金は282,000円(国立)、各自治体により異なる(公立)、授業料は535,800円(国立)、各自治体により異なる(公立)で、4年間総額は約240万円〜300万円です。
私立大学の学費(年間)
入学金は20万円〜30万円、授業料は100万円〜150万円、施設設備費は20万円〜40万円、実習費は10万円〜30万円で、4年間総額は約500万円〜800万円です。
私立大学は国公立大学と比較して学費が高くなりますが、充実した設備や少人数教育など、メリットも多くあります。また、大学によっては独自の奨学金制度や授業料減免制度を設けているところもあります。
活用できる奨学金制度
日本学生支援機構奨学金
第一種奨学金(無利子)は月額2〜6.4万円、第二種奨学金(有利子)は月額2〜12万円、給付型奨学金は世帯収入に応じて月額約2〜7万円です。
その他の奨学金
地方自治体の奨学金制度、病院や医療法人の奨学金制度(卒業後の就職先が限定される場合が多い)、大学独自の奨学金制度、民間団体の奨学金制度などがあります。
I県立大学看護学部の学生Jさんは「私は日本学生支援機構の第一種奨学金と県の医療人材育成奨学金を併用しています。県の奨学金は、卒業後に県内の医療機関で5年間勤務することで返還が免除される制度です。地元で働きたいと考えていたので、経済的負担を減らしながら目標に向かって学ぶことができています」と話しています。
学費以外にかかる費用
助産師養成課程では、通常の大学生活に加えて特有の出費があります。実習用ユニフォームは約2〜3万円、聴診器などの器具は約1〜3万円、実習地への交通費・宿泊費は地域や大学によって異なります。
また、国家試験受験料は看護師6,400円、助産師9,400円、国家試験対策講座・模試は約5〜10万円かかります。
特に実習期間中は、早朝や夜間の実習もあるため、自宅通学が難しい場合は宿泊費が必要になることもあります。これらの費用も含めて、経済的な計画を立てることが重要です。
学業と両立できるアルバイト
看護・助産学生のアルバイトとしては、大学内の図書館やPC室などでのアルバイト、病院での看護助手(実習病院であれば、実習前に現場の雰囲気に慣れるメリットもある)、学習塾や家庭教師(特に高校生の理科を教えることで自分の知識も深まる)、介護施設でのアルバイト(患者さんとの接し方や基本的なケアを学べる)などが学業との両立という観点から選ばれる傾向があります。
K大学看護学部の卒業生Lさんは「私は学生時代、週末に高齢者施設でアルバイトをしていました。高齢の方とのコミュニケーション能力が身につき、後の助産実習でお年寄りの妊婦さんや産後のおばあちゃんとの関わりにも役立ちました。ただ、3〜4年次は実習が忙しくなるので、シフトの融通が利くところを選ぶことが大切です」とアドバイスしています。
卒業後の就職状況と進路

4年制大学の助産師養成課程を卒業した後の就職状況と進路選択肢について解説します。
助産師としての就職先と職場環境
助産師の主な就職先には以下のようなものがあります。
総合病院の産科病棟・周産期センター
最も多い就職先で、ハイリスク妊産婦のケアも含めた幅広い経験を積むことができます。夜勤や当直を含む交代制勤務が一般的です。初任給は約22〜25万円程度で、夜勤手当などが加算されます。
診療所・クリニック
少人数のスタッフで運営されることが多く、一人ひとりの裁量権が大きい傾向があります。アットホームな雰囲気の中で、妊婦さんと長期的な関係を築けることがメリットです。初任給は約20〜23万円程度です。
助産院(院内助産所を含む)
自然分娩を中心とした助産ケアを提供する場所です。新卒ではなく、病院での経験を積んでから転職する方が多いです。助産師としての専門性を最大限に発揮できる職場です。
市町村の保健センター・母子保健事業
地域の母子保健活動に携わる公務員助産師です。妊婦教室や新生児訪問、育児相談などを担当します。公務員として安定した雇用条件が魅力ですが、募集人数は限られています。
M大学病院の助産師Nさんは「大学病院では、正常分娩だけでなくハイリスク妊産婦のケアも学べるため、知識や技術の幅が広がります。一方で、多忙な職場環境の中でも一人ひとりの妊産婦さんに丁寧に関わることができる助産師になりたいと日々努力しています」と話しています。
キャリアアップの道筋
助産師としてのキャリアアップには、以下のような道があります。
専門・認定助産師の資格取得
アドバンス助産師はより質の高いケアを提供できる助産師として認証されます。新生児集中ケア認定助産師はNICUなどでの高度な新生児ケアを担当します。
母乳育児支援専門助産師は母乳育児支援のスペシャリストとして活動し、遺伝カウンセリングでは遺伝相談に関する専門的知識を持つ助産師として活躍できます。
大学院への進学
修士・博士課程で研究能力を高め、教育者や研究者としてのキャリアを目指すことも可能です。臨床と研究を両立させることで、根拠に基づいた実践(Evidence-Based Practice)を推進する役割も担えます。
管理職への道
臨床経験を積み、主任助産師や看護師長などの管理職に就くことも一つのキャリアパスです。リーダーシップやマネジメント能力を磨くことが重要になります。
開業助産師という選択
一定の臨床経験を積んだ後、助産院を開業する道もあります。地域に根差した母子支援を提供する、やりがいのある選択肢です。開業には経営的な知識も必要になります。
O助産院を開業しているPさんは「病院で10年の経験を積んだ後、自分の理想とする出産環境を提供したいと考えて開業しました。開業後も研修や学会に参加して学び続けることが大切です。助産師は一生学び続ける職業だと実感しています」と語っています。
海外で活躍する可能性
グローバル化が進む現代、助産師の国際的な活躍の場も広がっています。
国際機関での活動
世界保健機関(WHO)、国連児童基金(UNICEF)、国境なき医師団(MSF)、国際協力機構(JICA)などの機関で働くことができます。
これらの機関で働くには、英語力や国際保健に関する知識、異文化への適応力が求められます。大学在学中から海外研修や語学学習に取り組むことが役立ちます。
海外の医療機関での就職
欧米やオセアニアなど、助産師の自律性が高い国で働く道もあります。ただし、各国の資格制度に対応する必要があり、追加の教育や試験が必要な場合が多いです。
Q大学看護学部のRさんは「大学4年次に参加したタイでの国際看護・助産研修が視野を広げるきっかけになりました。現在はJICAの母子保健プロジェクトに参加し、発展途上国の母子健康改善に携わっています。言語や文化の壁はありますが、母親と赤ちゃんの健康を守るという助産師の使命は世界共通だと感じています」と話しています。
在学生・卒業生の声から学ぶ成功体験

実際に4年制大学の助産師課程で学んだ方々の体験談から、成功のポイントを探ります。
合格者の受験対策事例
S大学看護学部助産学専攻に合格したTさん(現在2年生)の受験対策について紹介します。
「私は高校2年生の夏から助産師を目指すことを決め、受験対策を始めました。特に力を入れたのは以下の点です。まず、英語と生物の勉強に重点を置きました。英語は医療系の文章も読めるよう語彙を増やし、生物は特に生殖や発生の分野を詳しく学びました。また、小論文対策として、月に1冊は医療や生命倫理に関する本を読み、自分の考えをノートにまとめる習慣をつけました。これが面接でも役立ちました。
オープンキャンパスには必ず参加し、在学生や教員の方から直接話を聞くことで、大学の雰囲気や特色を把握できました。志望理由書は何度も書き直し、高校の先生や両親に添削してもらいました。最後に、志望校の過去問を解くだけでなく、類似した大学の問題も解いて応用力を身につけました。結果的に第一志望校に合格できたのは、早くから目標を定め、計画的に準備を進めたからだと思います」
学生時代の効果的な学習法
U大学看護学部助産学専攻4年生のVさんは、効果的な学習法についてこう語っています。
「私が助産師課程で成績を維持できている秘訣は、授業の予習と復習を欠かさないことです。特に解剖学や生理学は基礎となる科目なので、初めからしっかり理解することが重要です。また、実習前には技術練習を繰り返し行います。学内の自習室を活用し、クラスメイトと一緒に分娩介助の練習をすることで、お互いの技術を高め合えました。加えて、先輩方が残してくれた実習記録や国家試験対策ノートを参考にし、効率よく学習を進めることができました。大学の図書館には専門書が豊富にあるので、積極的に活用しています。
さらに、定期的に臨床現場で働く助産師さんの講演会やセミナーに参加し、最新の知識や現場の声を聞くことで、モチベーションを維持しています。一番大切なのは、同じ志を持つ仲間との支え合いです。グループ学習や情報共有を通じて、一人では乗り越えられない壁も皆で協力して突破しています」
助産師国家試験合格のための対策
W大学を卒業し、助産師国家試験に一発合格したXさんのアドバイスです。
「助産師国家試験の合格率は例年90%以上と高いですが、油断は禁物です。私が行った効果的な対策は次の通りです。まず、3年生の後半から過去問を解き始め、出題傾向を把握しました。特に正常分娩の介助技術、母子の健康アセスメント、周産期の異常と対応に関する問題は頻出なので、重点的に学習しました。
次に、4年次の実習で経験した症例をしっかり振り返り、教科書の知識と実践を結びつけるよう意識しました。実習で経験した具体的なケースを思い出しながら問題を解くと、理解が深まります。また、市販の参考書や問題集だけでなく、自分専用のノートを作成し、よく間違える問題や重要ポイントをまとめました。通学時間や隙間時間にこのノートを見直すことで、効率よく復習できました。
試験直前期は、友人とオンラインで問題を出し合う勉強会を開き、お互いの弱点を補い合いました。また、実際の試験を想定したタイムトライアルを行い、時間配分の感覚を養いました。精神面では、適度な休息とリフレッシュを心がけることが大切です。私は週に一度はリラックスする時間を作り、ストレスを溜めないようにしていました」
おしえてカンゴさん!Q&A

カンゴさんによくある質問を聞いてみました。
Q1: 4年制大学の助産師課程と1年制の助産師学校、どちらが良いですか?
A: それぞれに特徴がありますので、ご自身の状況や目標に合わせて選ぶことが大切です。4年制大学では看護師と助産師の資格を一度に取得できる効率性があり、より体系的・学術的な教育を受けられます。
一方、1年制の助産師学校は、すでに看護師として働いた経験がある方が、より専門的・実践的に助産を学ぶのに適しています。
時間と費用を考えると4年制が効率的ですが、競争率が高いことや選抜方法があることも考慮すると良いでしょう。まずは両方の教育機関のオープンキャンパスに参加して、実際の雰囲気を感じてみることをお勧めします。
Q2: 助産師課程の選抜に通過するコツはありますか?
A: 大学内での助産師課程選抜に通過するためには、まず1〜2年次の成績(GPA)を高く維持することが重要です。
特に解剖生理学や母性看護学などの基礎科目で良い成績を取りましょう。また、選抜面接では助産師を目指す明確な動機や熱意が問われますので、日頃から助産に関する本を読んだり、可能であれば出産に関わる講演会やイベントに参加したりして見識を深めておくと良いでしょう。
さらに、ボランティア活動などで対人援助の経験を積んでおくことも評価されます。選抜試験の詳細は大学によって異なりますので、先輩や教員に具体的な情報を聞いておくことも大切です。
Q3: 助産師国家試験の難易度はどのくらいですか?
A: 助産師国家試験の合格率は例年90%前後と比較的高いですが、それは受験者が4年間または1年間の専門教育を受けた人に限られるためです。
試験内容自体は専門性が高く、特に分娩介助技術、産科学的知識、新生児のケア、異常時の対応などが重点的に問われます。看護師国家試験よりも出題範囲は狭いですが、より深い専門知識が求められます。
普段の授業や実習での学びをしっかり身につけ、過去問を活用した対策を行うことで、十分に合格可能な試験です。大学によっては国家試験対策講座も開催されていますので、積極的に活用しましょう。
Q4: 男性でも助産師になれますか?
A: はい、性別に関係なく助産師になることは可能です。法律上も「助産師」は女性に限定されていません。
ただし、実際には男性助産師は非常に少数です。これは実習において分娩介助を行う際に、妊産婦さんの同意が必要であり、実習機会を得るのが難しい場合があるためです。
しかし、近年は徐々に男性助産師も増えつつあり、活躍の場も広がっています。男性ならではの視点やケアも評価されています。助産師を目指す男性は、大学選びの際に男性の受け入れ実績がある大学を選ぶことや、実習施設での理解を得るための準備をしっかり行うことが大切です。
Q5: 助産師は将来的に不足する職業ですか?
A: 少子化に伴い出産数は減少傾向にありますが、一方で産科医不足を背景に助産師の役割拡大が進んでいます。「院内助産」や「助産師外来」など、正常分娩については助産師が主体的に取り扱うシステムが広がりつつあります。
また、助産師の活躍の場は分娩介助だけでなく、思春期教育、不妊カウンセリング、更年期ケアなど女性のライフステージ全般に広がっています。
地域によっては都市部に助産師が集中し、地方では不足するという偏在も課題です。総合的に見ると、質の高い助産ケアを提供できる助産師の需要は今後も続くと予測されています。特に、複数の専門性を持ち、変化に対応できる助産師が求められるでしょう。
Q6: 4年制大学で助産師資格を取得する場合、実習はどのくらいの期間がありますか?
A: 4年制大学の助産師課程では、主に4年次に集中して助産学実習が行われます。実習期間は大学によって異なりますが、一般的には2〜3ヶ月程度です。この期間中に10例程度の分娩介助を経験することが必要です。
実習は病院の産科病棟だけでなく、助産院や地域の母子保健センターなど、複数の施設で行われることが多いです。また、昼夜を問わず分娩に立ち会うため、夜間や休日も呼び出しに対応する必要があります。
体力的にはハードですが、新しい命の誕生に立ち会える貴重な経験となります。実習前には学内でシミュレーターを使った十分な技術練習も行われますので、段階的に実践力を身につけていくことができます。
Q7: 助産師の資格を取った後、海外で働くことは可能ですか?
A: 日本の助産師資格を持って海外で働くことは可能ですが、各国の資格制度に対応するための追加の教育や資格試験が必要になる場合が多いです。例えばアメリカでは、現地の看護師免許を取得した上で、助産師(Certified Nurse-Midwife)の教育課程を修了し、資格試験に合格する必要があります。ヨーロッパでも同様に、各国の資格基準に適合する必要があります。
語学力は必須ですので、学生時代から英語など必要な言語の習得に取り組むことをお勧めします。また、JICAや国際NGOなどを通じて国際協力に参加する道もあります。
こうした機関では、日本の資格を活かしながら発展途上国の母子保健向上に貢献することができます。大学在学中に海外研修プログラムに参加したり、国際的な視野を広げる機会を積極的に活用したりすることが、将来の国際活動につながります。
まとめ:あなたの助産師への道
4年間で助産師資格を取得できる大学教育は、効率的かつ体系的に専門知識と技術を習得できる魅力的な選択肢です。本記事で紹介したように、全国約30校の大学では、看護の基礎教育の上に質の高い助産教育を提供しています。
大学選びでは、カリキュラムの特徴、実習施設の充実度、国家試験合格率、就職状況などを総合的に検討することが大切です。また、入試対策としては早期からの計画的な勉強と、助産師という職業への理解を深めることが重要です。
助産師という職業を目指す皆さんへ。新しい命の誕生に立ち会い、家族の幸せな瞬間を支える助産師は、やりがいと専門性の高い素晴らしい職業です。厳しい勉強や実習を乗り越えることは決して容易ではありませんが、その先には多くの感動と成長が待っています。ぜひ、この記事を参考に、あなたの夢への一歩を踏み出してください。
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