医療現場の高度化に伴い、准看護師に求められる役割と責任は年々拡大しています。診療補助業務の範囲を正しく理解し、適切に実践することは、医療安全の確保とキャリア発展の両面で重要です。
本記事では、准看護師の診療補助業務について、法的根拠から具体的な実践方法、記録管理まで、実務に即した情報をご紹介します。2025年の最新動向を踏まえながら、現場で直面する課題への対応方法も含めて詳しく解説していきます。
この記事で分かること
- 准看護師の診療補助業務に関する法的定義と具体的な業務範囲
- 医療安全を確保するための実践方法と具体的なポイント
- 責任範囲の明確な理解と適切な記録管理の方法
- 実際の現場で活用できる具体的な対応事例とトラブル解決方法
この記事を読んでほしい人
- 診療補助業務の範囲について正確な理解を深めたい准看護師
- 実践的な業務手順とポイントを確認したい方
- 記録管理の適切な方法を学びたい方
- 医療安全とリスク管理について学びたい方
- キャリアアップを目指している准看護師
准看護師の診療補助業務の法的定義

医療現場における准看護師の役割を理解するためには、まず法的な定義と位置づけを正確に把握することが重要です。
ここでは保健師助産師看護師法を中心に、准看護師の診療補助業務に関する法的根拠と実務上の解釈について詳しく説明していきます。
保健師助産師看護師法における定義
法的位置づけの基本
保健師助産師看護師法第6条では、准看護師は「医師、歯科医師又は看護師の指示を受けて、診療の補助を行うことを業とする者」と定義されています。この定義は、准看護師が医療チームの一員として重要な役割を担いながらも、その業務執行には必ず指示が必要であることを示しています。
業務実施の法的要件
准看護師が診療補助業務を行うためには、医師、歯科医師、または看護師からの具体的な指示が必要です。この指示は包括的なものではなく、個別具体的な内容である必要があります。また、准看護師は指示を受けた業務について、その安全性と適切性を確認する義務があります。
診療補助業務の法的解釈
診療補助の定義
診療補助とは、医師または歯科医師が行う診療行為の一部を補助する行為を指します。具体的には、医療機器の準備や操作、処置の介助、与薬、検査の補助などが含まれます。これらの行為は、医療の質と安全性を確保するため、一定の制限と管理のもとで実施されます。
業務範囲の法的制限
准看護師が実施できる診療補助業務には、法律や通達によって一定の制限が設けられています。特に、高度な医療行為や危険性の高い処置については、実施が制限される場合があります。これは医療安全の確保と患者保護の観点から設けられた制限です。
関連法規と指針
医療法との関係
医療法では、医療機関における看護職員の配置基準が定められており、准看護師の配置に関する要件も規定されています。これらの規定は、医療機関における准看護師の役割と位置づけを明確にするものです。
医療安全に関する法的要件
医療法施行規則では、医療安全管理体制の整備が義務付けられており、准看護師も医療安全の確保に重要な役割を担っています。具体的には、インシデント報告の義務や安全管理のための研修参加などが求められます。
実務上の解釈と運用
施設内規定との関係
医療機関では、法的要件を踏まえた上で、独自の業務規定や手順書を定めています。准看護師は、これらの規定に従って業務を遂行する必要があります。施設内規定は、法的要件を具体化し、実務に即した形で示したものです。
業務範囲の明確化
実務上の業務範囲は、法的要件と施設の方針に基づいて明確化されます。特に、静脈注射や採血などの侵襲的な処置については、施設ごとに詳細な基準が設けられており、これらの基準に従って業務を行う必要があります。
法的責任の範囲
個人としての責任
准看護師は、自身が実施した診療補助業務について、個人として法的責任を負います。この責任には、業務上の過失による損害賠償責任や、重大な過失による刑事責任が含まれる場合があります。
組織としての責任との関係
医療機関は、准看護師が行う診療補助業務について、使用者責任を負います。ただし、これは准看護師個人の責任を免除するものではなく、両者が並存する形となります。
教育研修に関する法的要件
継続教育の必要性
准看護師には、医療の質と安全性を確保するため、継続的な教育研修が求められます。これは法的な義務ではありませんが、医療機関の管理体制の一環として重要視されています。
特定の医療行為に関する研修
一部の診療補助業務については、実施前に特定の研修の受講が義務付けられています。これらの研修は、業務の安全性と質を確保するために不可欠なものとされています。
具体的な業務範囲

准看護師の業務範囲を理解することは、安全で効果的な医療サービスを提供する上で不可欠です。
ここでは、日常的な診療補助業務から特定の条件下での業務まで、具体的な内容とその実施条件について詳しく説明していきます。
日常的な診療補助業務
バイタルサイン測定と評価
バイタルサインの測定は准看護師の基本的な業務の一つです。体温、脈拍、血圧、呼吸数、意識レベルなどを正確に測定し、その結果を適切に評価することが求められます。特に異常値を認めた場合には、速やかに看護師や医師に報告する必要があります。
検査業務の補助
検査業務には、採血や検体採取の準備、検査室への搬送、患者様の移送など、様々な補助業務が含まれます。採血業務については、施設の規定に基づいて実施が認められている場合に限り、実施することができます。
投薬業務
経口薬や外用薬の与薬、注射薬の準備と実施補助などが含まれます。特に注射に関しては、薬剤の確認、投与経路、投与速度など、細心の注意を払う必要があります。また、医師や看護師の指示内容を必ず確認し、疑問点がある場合は必ず確認を行います。
特定の条件下での業務
静脈注射の実施
静脈注射の実施については、施設の規定と具体的な指示に基づいて行います。実施にあたっては、必要な研修を受講し、技術評価を受けることが前提となります。また、実施中は患者様の状態を注意深く観察し、異常が認められた場合には直ちに中止し、報告する必要があります。
創傷処置の補助
創傷処置の補助業務には、ガーゼ交換や創部の洗浄、軟膏塗布などが含まれます。無菌操作を遵守し、感染予防に努めることが重要です。また、創部の状態を適切に観察し、記録することも必要です。
療養上の世話に関する業務
日常生活援助
食事介助、清拭、排泄介助などの日常生活援助も准看護師の重要な業務です。これらの援助を通じて、患者様の状態を観察し、変化を早期に発見することができます。また、患者様の自立支援や生活の質の向上にも貢献します。
環境整備
病室の環境整備や感染予防のための清掃・消毒も重要な業務です。特に感染対策が必要な場合には、標準予防策に加えて、必要な感染対策を確実に実施します。
医療機器の取り扱い
基本的な医療機器の操作
心電図モニター、パルスオキシメーター、輸液ポンプなど、基本的な医療機器の操作と管理も准看護師の業務に含まれます。これらの機器の正しい使用方法と、アラーム設定、トラブル対応について十分な知識が必要です。
医療機器のメンテナンス
日常的な点検や清掃、消毒など、医療機器の基本的なメンテナンスも行います。機器の不具合を発見した場合には、速やかに報告し、適切な対応を取ることが重要です。
緊急時の対応
急変時の初期対応
患者様の急変時には、バイタルサインの測定、医師・看護師への報告、必要な医療機器や物品の準備など、初期対応を迅速に行う必要があります。そのため、緊急時の対応手順を熟知し、定期的な訓練に参加することが重要です。
災害時の対応
災害発生時には、施設の災害対応マニュアルに従って行動します。患者様の安全確保、避難誘導、応急処置など、状況に応じた適切な対応が求められます。
チーム医療における役割
多職種との連携
医師、看護師、薬剤師、理学療法士など、様々な医療専門職との連携が必要です。それぞれの職種の役割を理解し、効果的なコミュニケーションを図ることが重要です。
情報共有の重要性
患者様の状態や治療経過、ケアの内容などについて、チームメンバーと適切に情報共有を行います。申し送りやカンファレンスには積極的に参加し、必要な情報を正確に伝達します。
実践方法とポイント

医療現場での安全かつ効果的な診療補助業務の実施には、標準化された手順と確実な実践が不可欠です。
ここでは実際の現場で活用できる具体的な実践方法と、特に注意すべきポイントについて詳しく説明していきます。
基本的な実施手順
指示受けの方法
医師や看護師からの指示は、口頭指示と書面指示の両方に対応できる必要があります。口頭指示を受ける場合は、復唱して内容を確認し、可能な限り速やかに記録します。書面指示の場合は、指示内容を正確に読み取り、不明点がある場合は必ず確認を行います。
患者確認の重要性
患者誤認を防ぐため、フルネーム、生年月日、病棟、病室番号など、複数の情報で患者確認を行います。リストバンドがある場合は必ず確認し、意識清明な患者様には名乗っていただくことで、より確実な確認を行います。
感染管理の実践
標準予防策の遵守
手指衛生、個人防護具の適切な使用、医療廃棄物の proper な処理など、標準予防策を確実に実施します。特に処置の前後での手指衛生は、確実に行う必要があります。
無菌操作の技術
清潔操作が必要な処置では、無菌操作の原則に従って実施します。滅菌物の取り扱い、清潔野の作成と維持、使用する器具の管理など、基本的な技術を確実に実施します。
各種処置の実践手順
静脈注射の実施手順
静脈注射を実施する際は、以下の手順で行います。まず薬剤の確認を行い、必要物品を準備します。患者確認後、穿刺部位の選定と消毒を行い、適切な角度で穿刺します。逆血を確認後、薬液を注入し、抜針後は確実に止血を行います。
採血の実施手順
採血オーダーの確認から始まり、患者確認、必要物品の準備を行います。採血部位の選定と消毒後、適切な圧力で駆血帯を装着し、穿刺を行います。採血管の取り扱いには順序があり、それを遵守する必要があります。
医療機器の操作方法
輸液ポンプの取り扱い
輸液ポンプの操作では、流量設定、アラーム設定、積算量の確認など、基本的な操作を確実に行います。始業点検、終業点検も重要な業務となります。
モニタリング機器の操作
心電図モニターやパルスオキシメーターなど、各種モニタリング機器の正確な操作方法を理解し、適切なアラーム設定と管理を行います。
緊急時の対応手順
急変時の初期対応
患者の急変を発見した場合、まず応援を要請します。バイタルサインの測定、意識レベルの確認を行い、必要に応じて心肺蘇生を開始します。救急カートの準備など、次の対応に備えた準備も並行して行います。
救急カートの管理
救急カートの内容物の配置を把握し、定期的な点検と補充を行います。使用期限の確認、不足物品の補充など、日常的な管理が重要です。
記録と報告の方法
実施記録の書き方
実施した処置や観察内容は、具体的な数値や状態を客観的に記録します。実施時間、実施者名、患者の反応なども漏れなく記載します。
報告の優先順位
患者の状態変化や処置の結果は、緊急性と重要性を考慮して報告します。特に異常値や急変時は、迅速な報告が必要です。
チーム連携の実践
情報共有の方法
申し送りやカンファレンスでは、重要な情報を簡潔かつ正確に伝達します。患者の状態変化、実施した処置、今後の注意点などを、優先順位をつけて報告します。
多職種との協働
医師、看護師、薬剤師など、他職種との円滑な連携を図ります。それぞれの専門性を理解し、必要な情報を適切に共有することで、より質の高い医療を提供します。
安全管理の実践
リスク評価の方法
処置や援助を行う前に、患者の状態やリスク要因を評価します。転倒リスク、誤嚥リスクなど、患者個別の危険因子を把握し、予防的な対応を行います。
インシデント防止策
ヒヤリハット事例の共有や分析を通じて、リスクの早期発見と予防に努めます。特に薬剤投与や患者誤認などの重要な場面では、ダブルチェックを確実に実施します。
責任範囲と注意点

准看護師の責任範囲を正確に理解し、適切なリスク管理を行うことは、安全な医療提供の基盤となります。
ここでは法的責任と実務上の責任、そしてリスク管理について具体的に説明していきます。
法的責任の範囲
民事責任の範囲
准看護師は、業務上の過失により患者に損害を与えた場合、民事上の賠償責任を負う可能性があります。具体的には、指示内容の確認不足、技術的なミス、観察不足などが問題となります。これらの責任は、使用者である医療機関との連帯責任となる場合もあります。
刑事責任の可能性
重大な過失により患者の生命や身体に危害を加えた場合、刑事責任を問われる可能性があります。業務上過失致死傷罪などが適用される可能性がありますので、細心の注意を払う必要があります。
実務上の責任範囲
指示受けに関する責任
医師や看護師からの指示を正確に理解し、必要に応じて確認することは准看護師の重要な責任です。指示内容が不明確な場合や疑問がある場合は、必ず確認を行う必要があります。
実施時の責任
診療補助業務を実施する際は、手順の遵守、安全確認、患者観察など、一連の過程において適切な対応を行う責任があります。特に危険を伴う処置の場合は、より慎重な対応が求められます。
リスク管理の実践
予防的対応
医療事故を予防するため、標準予防策の遵守、確認作業の徹底、適切な記録管理など、日常的なリスク管理を実践する必要があります。特にハイリスクな業務については、複数回の確認やダブルチェックを行います。
インシデント発生時の対応
インシデントが発生した場合は、患者の安全確保を最優先とし、速やかに上司に報告します。その後、詳細な状況報告と再発防止策の検討を行います。
記録管理の責任
正確な記録の重要性
実施した業務の内容、患者の状態、観察結果などを正確に記録することは、准看護師の重要な責任です。記録は法的な証拠としても重要な意味を持ちます。
記録の修正と追記
記録の修正が必要な場合は、施設の規定に従い、適切な方法で行います。電子カルテの場合は、修正履歴が残るため、特に慎重な対応が必要です。
医療安全管理体制との関係
組織的な安全管理
医療機関の安全管理体制の一員として、各種マニュアルの遵守、研修への参加、インシデントレポートの提出など、組織的な安全管理活動に積極的に参加します。
継続的な改善活動
医療安全に関する知識や技術の向上に努め、改善活動に参加することも重要な責任です。定期的な研修や勉強会への参加を通じて、専門性の向上を図ります。
患者との関係における責任
説明と同意
実施する処置について、患者に分かりやすく説明し、必要に応じて同意を得ることも准看護師の責任です。特に侵襲的な処置の場合は、より丁寧な説明が必要です。
プライバシーの保護
患者の個人情報やプライバシーを適切に保護することも重要な責任です。特に診療情報の取り扱いには細心の注意を払います。
チーム医療における責任
情報共有の責任
患者の状態変化や処置の結果など、重要な情報を適切にチームメンバーと共有する責任があります。特に異常の早期発見と報告は重要です。
連携における責任
多職種との円滑な連携を図り、チーム医療の質の向上に貢献することも准看護師の重要な責任です。それぞれの職種の役割を理解し、適切な協力関係を築きます。
記録管理の実際
医療記録は法的な証拠となるだけでなく、医療の質を保証する重要な文書です。
ここでは准看護師として必要な記録管理の具体的な方法と注意点について詳しく説明していきます。
基本的な記録の原則
客観的な記載方法
医療記録は客観的な事実を中心に記載します。実施した処置、観察した患者の状態、測定値などを具体的な数値や状態で記録します。主観的な表現は避け、観察された事実を正確に記載することが重要です。
経時的な記録
処置や観察を行った時間を正確に記録し、経過が分かるように時系列で記載します。特に状態の変化や処置の前後の観察結果は、時間を含めて詳細に記録します。
電子カルテでの記録
入力時の注意点
電子カルテでは、定型文や入力支援機能を活用しながら、必要な情報を漏れなく記録します。特に重要な情報は太字や色分けなど、システムで許可された強調表示を適切に使用します。
テンプレートの活用
施設で定められたテンプレートを活用し、必要な情報を効率的に記録します。ただし、テンプレートに当てはまらない重要な観察事項は、別途詳細に記載することを忘れないようにします。
紙カルテでの記録
記載方法の基本
消えにくいボールペンを使用し、読みやすい文字で記載します。略語は施設で認められたものだけを使用し、誤解を招かないよう注意します。
修正方法
誤記載があった場合は、二重線で消し、訂正印を押して修正します。修正液の使用は避け、修正内容が後から確認できるようにします。
特定の場面での記録
急変時の記録
患者の急変時は、発見時の状況、実施した処置、医師への報告内容など、時系列に沿って詳細に記録します。特に意識レベル、バイタルサイン、実施した救急処置は必ず記載します。
インシデント発生時の記録
インシデントが発生した場合は、発生時の状況、対応内容、患者の状態、報告経路などを具体的に記録します。この記録は後の分析や再発防止に重要な資料となります。
記録の確認と管理
ダブルチェックの実施
重要な記録については、上級看護師による確認を受けます。特に新人の場合は、記録内容の適切性について指導を受けながら、記録の質を向上させていきます。
記録の保管と管理
完成した記録は施設の規定に従って適切に保管します。個人情報保護の観点から、記録の取り扱いには十分な注意を払います。
専門用語の使用
適切な用語の選択
医療用語は正確に使用し、必要に応じて患者の状態を具体的に説明する表現を加えます。専門用語と一般的な表現を適切に組み合わせることで、他職種との情報共有もスムーズになります。
略語の使用基準
略語は施設で承認されたものに限定して使用します。特に重要な情報を記載する際は、誤解を防ぐため略語の使用を避けます。
記録の質の向上
継続的な学習
記録の質を向上させるため、定期的な研修や勉強会に参加します。また、自己の記録を振り返り、改善点を見出す習慣をつけます。
フィードバックの活用
上級看護師からのフィードバックを積極的に受け、記録の改善に活かします。特に指摘された点については、同じ誤りを繰り返さないよう注意します。
ケーススタディ:実践例から学ぶ

実際の医療現場では、様々な状況で准看護師としての判断と対応が求められます。
ここでは具体的な事例を通じて、適切な対応方法と重要なポイントを説明していきます。
静脈注射実施時の対応事例
Case A:高齢患者への投与
70代女性患者様への抗生剤点滴の指示を受けた事例です。看護師からの具体的指示を受け、実施前のアレルギー確認と説明を丁寧に行いました。高齢による血管の脆弱性を考慮し、穿刺部位の選定に特に注意を払いました。投与中は頻回に訪室し、副作用の早期発見に努めました。
実践のポイント
この事例では、高齢者特有の身体特性を考慮した対応が重要でした。特に血管の選定と固定方法、投与速度の調整に注意を払い、安全な投与を実現しました。
急変時対応の事例
Case B:夜間帯での対応
深夜帯で患者様の意識レベル低下を発見した事例です。まず応援要請を行い、バイタルサイン測定と意識レベルの確認を実施しました。看護師と医師に報告し、救急カートの準備と記録を並行して行いました。
実践のポイント
急変時は、迅速な状況判断と適切な優先順位づけが必要です。特に夜間帯は人員が限られるため、応援要請のタイミングが重要となります。
感染管理における対応
Case C:感染予防策の実践
感染症病棟での処置介助時の事例です。標準予防策に加え、接触感染予防策が必要な患者様への対応でした。個人防護具の適切な着脱、環境整備、医療廃棄物の処理など、感染管理の基本を徹底しました。
実践のポイント
感染対策では、手順の確実な実施と、他のスタッフへの感染拡大防止の配慮が重要です。特に防護具の着脱順序を間違えないよう注意が必要です。
記録管理の事例
Case D:処置後の記録
褥瘡処置の介助と記録を行った事例です。処置前後の創部の状態、使用した薬剤、患者様の反応などを具体的に記録しました。写真記録の必要性を判断し、看護師に相談して対応しました。
実践のポイント
経時的な変化が重要な記録では、客観的な表現と具体的な数値による記載が必要です。特に創部の状態変化は詳細に記録することが重要です。
チーム連携の事例
Case E:多職種との情報共有
リハビリテーション部門との連携が必要な事例です。患者様の状態変化を理学療法士に報告し、その日の訓練内容の調整を提案しました。カンファレンスでの情報共有により、より適切なケア計画の立案につながりました。
実践のポイント
多職種連携では、それぞれの専門性を理解し、必要な情報を適切なタイミングで共有することが重要です。特に患者様の状態変化は速やかに報告する必要があります。
医療安全管理の事例
Case F:誤薬防止の実践
似たような名前の薬剤が処方された事例です。声出し確認とダブルチェックを徹底し、投与直前に再度確認を行いました。疑問点は薬剤師に確認し、安全な投与を実現しました。
実践のポイント
医療安全では、確認作業の確実な実施と、疑問点の早期解決が重要です。特にハイリスク薬剤の取り扱いでは、複数回の確認が必要です。
おしえてカンゴさん!よくある質問
准看護師の皆様から日々寄せられる質問について、経験豊富な看護師が詳しく回答します。
実践的な対応方法から、キャリア形成まで、現場で役立つ情報をお届けします。
業務範囲に関する質問
指示受けについて
Q:「口頭指示を受ける際の注意点を教えてください」
A:口頭指示を受ける際は、必ずメモを取りながら復唱確認を行います。特に薬剤名、投与量、投与経路については、略さずに正確に復唱します。可能な限り早めに記録に残し、その内容について指示した医師または看護師のサインをもらうことも重要です。
静脈注射について
Q:「准看護師は静脈注射を実施できますか」
A:施設の規定と具体的な指示があれば実施可能です。ただし、必要な研修の受講と技術評価が前提となります。特に新人の場合は、段階的な指導を受けながら実施することが推奨されます。
実践手順に関する質問
感染対策について
Q:「標準予防策の具体的な実施方法を教えてください」
A:手指衛生、個人防護具の適切な使用、医療廃棄物の適切な処理が基本となります。特に手指衛生は、WHOの5つのタイミングに従って実施します。手袋やガウンの着脱順序も重要で、汚染を広げないよう注意が必要です。
記録管理について
Q:「記録の修正方法について教えてください」
A:電子カルテの場合は、システムの修正機能を使用し、修正履歴が残るようにします。紙カルテの場合は、誤記載部分に二重線を引き、訂正印を押して修正します。修正液は使用せず、元の記載内容が確認できるようにすることが重要です。
安全管理に関する質問
リスク管理について
Q:「インシデント発生時の対応手順を教えてください」
A:まず患者様の安全確保を最優先し、必要な応急処置を行います。速やかに上司に報告し、指示を仰ぎます。その後、発生状況と対応内容を詳細に記録し、インシデントレポートを提出します。再発防止策の検討も重要です。
確認作業について
Q:「ダブルチェックが必要な場面を教えてください」
A:薬剤投与、特に麻薬や抗がん剤などのハイリスク薬、輸血、重要な検査データの確認時には必ずダブルチェックが必要です。また、患者確認や医療機器の設定変更時にも実施が推奨されます。
キャリア形成に関する質問
学習機会について
Q:「准看護師として、どのような学習が必要ですか」
A:基本的な医療知識と技術の更新のため、定期的な研修参加が重要です。施設内の勉強会や、外部の研修プログラムを活用します。また、日々の実践を振り返り、疑問点を解決する姿勢も大切です。
スキルアップについて
Q:「准看護師からのキャリアアップ方法を教えてください」
A:看護師養成課程への進学や、認定資格の取得が代表的です。通信制や定時制の課程もあり、働きながら学ぶことも可能です。また、専門分野に特化した研修プログラムの受講も検討できます。
チーム連携に関する質問
情報共有について
Q:「効果的な申し送りのコツを教えてください」
A:重要な情報を簡潔かつ正確に伝えることが基本です。患者の状態変化、実施した処置、今後の注意点など、優先順位をつけて報告します。特に継続的な観察が必要な項目は、必ず申し送りに含めます。
多職種連携について
Q:「他職種とのコミュニケーションで気をつけることは何ですか」
A:それぞれの職種の専門性を理解し、尊重することが重要です。必要な情報を適切なタイミングで共有し、疑問点は早めに確認します。カンファレンスには積極的に参加し、患者様のケアについて多角的な視点で検討することも大切です。
まとめ
准看護師の診療補助業務は、法的根拠を理解し、適切な実践と記録管理を行うことが重要です。特に医療安全の観点から、確実な指示受けと実施、そして正確な記録が不可欠となります。日々の業務を通じて知識と技術を磨きながら、チーム医療の一員として質の高い医療の提供に貢献していきましょう。
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