
助産師として働く皆さんは、ご自身の時給が適正かどうか気になったことはありませんか?
また、家庭との両立やライフスタイルに合わせた働き方を模索している方も多いでしょう。
本記事では、2025年最新の助産師の時給相場データをもとに、勤務形態別の収入比較や効果的な収入アップの方法をご紹介します。
この記事を読んでほしい人
- パートや非常勤として働きたい助産師の方
- ワークライフバランスを重視したい医療従事者
- 収入を増やしたいと考えている助産師の方
- シフト選びに悩んでいる助産師の方
- 勤務形態を変更しようか検討中の助産師の方
- 子育てや家庭と両立しながら働きたい助産師の方
この記事で分かること
- 最新の助産師時給相場データと勤務形態別の収入比較
- 日勤、夜勤、オンコールなど各シフトの特徴と時給設定
- パート、アルバイト、非常勤の違いと選び方のポイント
- 経験年数や資格によって収入を上げる方法
- 働き方の工夫で年収を最大化するテクニック
- 実際の助産師の働き方事例と具体的な収入例
助産師の時給相場 – 2025年最新データ

助産師の時給は、勤務先や経験年数、シフトの種類によって大きく変動します。
全国の求人データや現役助産師へのアンケートをもとに、最新の時給相場をまとめました。
全国平均の助産師時給相場
助産師の全国平均時給は、一般的に2,500円~4,000円の範囲となっています。これは看護師の時給と比較すると、約1.2~1.5倍ほど高い水準です。助産師資格がしっかりと評価されていることがわかります。
地域別でみると、都市部(東京、大阪、名古屋など)では時給が高く設定されており、地方と比べると300円~500円ほど高いケースが多いです。これは生活コストや人材需要の差が反映されています。
経験年数別の時給相場
経験によって時給は大きく変わります。助産師としての実務経験が増えるほど、時給も上がる傾向にあります。
新人助産師(経験1年未満)の場合、日勤では2,000円~2,500円、夜勤では3,000円~3,500円が一般的です。中堅助産師(経験3~5年)になると、日勤で2,500円~3,200円、夜勤で3,500円~4,500円となります。
そしてベテラン助産師(経験10年以上)では、日勤で3,000円~4,000円、夜勤で4,000円~5,500円が相場です。経験10年を超えるベテラン助産師の方は、特定の専門分野での実績や追加の資格があれば、さらに高い時給を得られることもあります。
医療機関別の時給比較
医療機関のタイプによっても時給設定は異なります。一般的な傾向としては以下のようになっています。
大学病院・総合病院では、日勤で2,800円~3,500円、夜勤で4,000円~5,000円が相場です。中小病院・クリニックでは、日勤で2,500円~3,000円、夜勤で3,500円~4,500円となっています。助産院では、基本時給が2,300円~3,200円、分娩対応時には3,500円~5,000円になることが多いです。
大学病院や総合病院ではハイリスク分娩や複雑なケースも多いため、時給が高く設定されています。一方、助産院では分娩対応時に特別手当が付くケースが多いのが特徴です。
日勤・夜勤の時給差
助産師の仕事において、日勤と夜勤の時給差は明確です。夜勤手当が加算されることで、日勤と比較して約1.5倍ほどの時給になることが一般的です。
日勤時給の平均は2,500円~3,500円、夜勤時給の平均は3,800円~5,000円以上です。特に分娩を多く扱う施設では、夜間の分娩対応に対する特別手当が加算されるケースもあり、深夜の時間帯(22:00~翌5:00)では6,000円以上の時給になることもあります。
夜勤専従として働く場合は、基本時給に加えて月額の夜勤手当が別途支給されるケースも多いです。こうした手当を含めると、月収ベースでは日勤専従よりも大幅に収入が増えることもあります。
休日・祝日の時給上乗せ
土日祝日に勤務する場合、多くの医療機関では平日よりも時給が高く設定されています。
土曜日勤務では基本時給に200円~500円、日曜・祝日勤務では基本時給に500円~1,000円が上乗せされる傾向があります。
この上乗せ額は施設によって異なりますが、特に人手が不足しがちな休日に積極的に勤務することで、月収アップを図る助産師も少なくありません。
勤務形態別の特徴と収入比較

助産師として働く際の勤務形態には、パート、アルバイト、非常勤などがあります。
それぞれの特徴と収入面での違いを詳しく見ていきましょう。
パート助産師の特徴と収入
パート勤務は、週に決まった日数・時間を働く形態です。一般的に週3~4日、1日4~8時間程度の勤務が多いです。
パート助産師は比較的安定した勤務スケジュールで働けるため、家庭との両立を図りやすい特徴があります。多くの場合、社会保険加入の対象となり、ボーナスが支給される施設もあります。収入例として、週4日、1日6時間勤務(月96時間)で時給3,000円の場合、月収は約288,000円となります。賞与については施設によって年間0~1ヶ月分が支給されることが多いです。
パート勤務の場合、勤務時間が一定のため月収の変動が少なく、計画的な家計管理がしやすいというメリットがあります。また、長期的に同じ施設で働くことで昇給の可能性もあります。
アルバイト助産師の特徴と収入
アルバイトは、シフト制で柔軟な働き方ができる形態です。特に学生や別の職場と掛け持ちをしている助産師に選ばれています。
勤務日や時間を比較的自由に選べるため、プライベートの予定に合わせた働き方ができます。ただし、パートと比べると待遇面で劣る場合が多いです。収入例として、月10日程度、1日8時間勤務(月80時間)で時給3,200円の場合、月収は約256,000円となります。賞与は基本的にないことが多いです。
アルバイトの場合、時給単価がパートよりも高めに設定されていることが多いですが、社会保険や賞与などの福利厚生は限られていることが一般的です。しかし、複数の施設を掛け持ちすることで、収入を増やすことも可能です。
非常勤助産師の特徴と収入
非常勤は、正規職員ではないものの、比較的長期的に安定して働ける勤務形態です。パートとアルバイトの中間的な性質を持ちます。
週に決まった日数を働くことが多く、パートに近い安定性がありながら、正職員より柔軟な働き方ができます。専門性を活かした業務に集中できる体制が整っている場合も多いです。収入例として、週3日、1日8時間勤務(月96時間)で時給3,500円の場合、月収は約336,000円となります。賞与については施設によって0~1ヶ月分が支給されることがあります。
非常勤の場合、特定の業務(例:外来専従、分娩専従など)に特化して働くことで、専門性を高く評価され、高時給を得られるケースがあります。また、勤続年数に応じて昇給する仕組みを持つ施設も増えています。
短時間正職員制度の活用
最近では、育児や介護と両立しやすい「短時間正職員制度」を導入する医療機関も増えています。これは正職員としての身分を保ちながら、労働時間を短縮できる制度です。
正職員と同等の待遇(賞与、昇給、退職金など)を受けられる一方で、労働時間を短縮できるため、ワークライフバランスを重視したい助産師に人気です。収入例として、週30時間勤務(フルタイムの75%)で、月給ベース(フルタイム換算40万円の場合)、月収は約30万円(フルタイムの75%)となります。賞与は年間3~4ヶ月分(施設による)ことが多いです。
短時間正職員は時給計算ではなく月給制となるケースが多いですが、フルタイム正職員の給与を労働時間比率で計算した金額となることが一般的です。長期的なキャリア形成と家庭の両立を考える助産師にとって魅力的な選択肢といえるでしょう。
シフトの種類と特徴

助産師の仕事では、様々なシフトパターンがあります。
それぞれの特徴を理解し、自分のライフスタイルに合ったシフトを選ぶことが重要です。
日勤シフトの特徴と時給設定
日勤は通常、8:30~17:00頃の時間帯での勤務です。生活リズムが整いやすく、家庭との両立がしやすい働き方です。日勤のメリットとしては、規則正しい生活リズムを維持できること、家族との時間が取りやすいこと、体調管理がしやすいことなどが挙げられます。
時給設定の特徴としては、基本時給が2,500円~3,500円で、一般的に夜勤より低いものの安定している点があります。また、外来専従など専門性を活かせる業務では高めに設定されることもあります。
日勤のみの勤務を希望する場合、特に人気の高いシフトであるため、採用の競争率が高いこともあります。専門外来や母親学級の担当など、特定の役割を担うことで評価を高め、時給アップにつなげることも可能です。
夜勤シフトと収入アップのポイント
夜勤は通常、16:30~翌9:00頃の時間帯での勤務です。身体的な負担は大きいですが、時給が高く設定されているのが特徴です。夜勤のメリットとしては、高時給で効率的に収入を得られること、日中に自由な時間が確保できること、夜間の分娩対応などで経験を積めることなどが挙げられます。
時給設定の特徴としては、基本時給が3,800円~5,500円で、深夜帯(22:00~翌5:00)はさらに割増されることが多いです。また、分娩対応時には特別手当が加算されることもあります。
夜勤のみ、または夜勤を中心としたシフトで働く「夜勤専従」という選択肢もあります。この場合、月に10~15回の夜勤をこなすことで、日勤専従の1.5~2倍の月収を得られるケースも珍しくありません。
夜勤回数と収入バランス
夜勤の回数を増やすことで収入は増えますが、健康面や私生活とのバランスを考慮することが重要です。
夜勤回数別の月収例として、時給4,500円、1回16時間勤務の場合、月4回で約288,000円、月8回で約576,000円、月12回で約864,000円となります。
ただし、連続夜勤や過度な夜勤回数は心身の健康に影響を与える可能性があります。多くの助産師が「月4~8回」を理想的な夜勤回数としており、これを超える場合は十分な休息期間を確保することが大切です。
オンコール体制と特別手当
助産院や一部の産科施設では、「オンコール体制」を取っているところがあります。これは自宅待機をしながら、分娩発生時に呼び出しに応じて出勤する体制です。
オンコール体制の特徴としては、待機時間に対する手当が500円~2,000円/日、呼び出し時の出勤で通常時給の1.5~2倍、分娩介助に対する特別手当が5,000円~20,000円/件となることが多いです。
オンコール体制では、実働時間は少なくても、待機している時間に対する拘束性があるため、それに見合った待機手当が支給されます。特に分娩件数が多い施設では、呼び出し出勤と特別手当によって高収入を得られる可能性があります。
変則シフトの活用方法
中には、「早番」「遅番」「準夜勤」など、通常の日勤・夜勤以外の変則シフトを導入している施設もあります。これらを上手に組み合わせることで、プライベートとの両立を図りながら収入を最大化できることもあります。
変則シフトの例としては、早番(7:00~15:30頃)は朝早く出勤し、午後は自由に使える形態です。遅番(12:30~21:00頃)は午前中は自由に使え、夜遅くまで勤務する形態です。準夜勤(16:30~翌1:00頃)は深夜帯を含まない夜間勤務となります。
これらの変則シフトは、基本時給に各種手当(早朝手当、夕方手当など)が加算されるため、日勤より高い時給になることが多いです。家庭の事情や自分の生活リズムに合わせて、こうしたシフトを選択肢に入れることも検討してみましょう。
収入アップのための戦略

助産師としての収入を最大化するためには、いくつかの戦略的なアプローチがあります。
ここでは実践的な収入アップの方法をご紹介します。
資格・スキルアップによる時給アップ
助産師としての基本資格に加えて、専門的な資格やスキルを身につけることで、時給アップを実現できる可能性が高まります。
収入アップにつながる資格・スキル例としては、母乳育児支援専門のラクテーションコンサルタント(IBCLC)資格があります。これにより時給が約300円~500円上乗せされ、母乳外来専従として独立した業務が可能となります。また、新生児蘇生法(NCPR)のインストラクター資格も時給が約200円~400円上乗せされ、研修会講師としての副業も可能になります。さらに、周産期メンタルヘルスケアのペリネイタルメンタルヘルスケア専門家の資格では時給が約300円~600円上乗せされ、専門外来での活躍の場が広がります。
こうした専門資格は、取得に一定の時間と費用がかかりますが、長期的に見れば投資に見合うリターンが期待できます。多くの医療機関では、専門資格手当として月額5,000円~20,000円程度の加算があるケースも多いです。
複数施設での掛け持ち勤務
一つの施設だけでなく、複数の医療機関で働くことで収入を増やす方法も効果的です。掛け持ち勤務のメリットとしては、異なる施設での経験を積めること、時給の高い施設を選んで勤務できること、技術の幅を広げられることなどがあります。
効果的な掛け持ちパターン例としては、平日は総合病院の外来(日勤)、週末はクリニックでの分娩対応(夜勤)、不定期で助産院でのオンコールなどがあります。
掛け持ち勤務の際には、労働時間の管理やスケジュール調整が重要になります。また、健康管理にも十分注意し、無理のない範囲で行うことが長続きのコツです。
掛け持ち勤務の注意点
雇用契約の確認が必要です。一部の医療機関では、他施設での勤務を制限している場合があります。事前に雇用契約をよく確認しましょう。
次に、社会保険の取り扱いにも注意が必要です。複数の事業所で働く場合、社会保険の扱いが変わることがあります。特に合計の労働時間が一定以上になると、社会保険の加入義務が生じる場合があるので注意が必要です。
また、労働時間の管理も大切です。過労による健康障害を防ぐため、週あたりの総労働時間を適切に管理することが重要です。専門家によると、週40時間を超える労働が続くと健康リスクが高まるとされています。
季節変動を活用した収入戦略
出産は年間を通じて平均的に発生しますが、医療機関によっては繁忙期と閑散期があります。この季節変動を理解し、戦略的に勤務を調整することで収入アップが図れます。
一般的な繁忙期としては、1月~3月は年度末の駆け込み出産が増える傾向があり、7月~9月は年末年始に妊娠した方の出産が集中する傾向があります。
こうした繁忙期には、特別手当や残業代が加算されることが多いため、積極的に勤務することで収入アップを図れます。また、繁忙期には人手不足になりがちなため、シフト調整で優遇されることもあります。
地域・施設選びのポイント
勤務する地域や施設によって、時給設定は大きく異なります。収入面を重視する場合は、いくつかのポイントを考慮した選択が効果的です。
高時給が期待できる地域・施設の特徴としては、大都市圏の総合周産期センターが挙げられます。ここでの時給の目安は3,500円~5,000円で、高度な医療に対応するため、専門性が高く評価されます。また、分娩件数の多い私立病院も時給の目安が3,200円~4,500円で、忙しい分、人材確保のために高時給を設定している場合が多いです。さらに、新設の産科施設では時給の目安が3,500円~4,800円で、立ち上げ期は人材確保のために好条件を提示することがあります。
ただし、時給だけでなく、通勤時間や職場環境、スキルアップの機会など、総合的に判断することが大切です。高時給でも労働環境が厳しければ、長期的には継続が難しくなる可能性もあります。
待遇比較と選び方のポイント

助産師として働く際、給与面だけでなく、様々な待遇面も重要な検討ポイントです。
ここでは、勤務形態別の待遇比較と、自分に合った働き方を選ぶポイントをご紹介します。
福利厚生の違いと重要性
パート助産師の福利厚生としては、社会保険は週20時間以上で加入可能(施設による)、賞与は年1~2回で0.5~1ヶ月分(施設による)、有給休暇は法定通り付与される、退職金は長期勤務で対象となる場合もあります。アルバイト助産師の福利厚生としては、社会保険は基本的に加入対象外(週30時間以上で例外あり)、賞与は基本的になし、有給休暇は法定通り付与される、退職金は基本的になしとなっています。
非常勤助産師の福利厚生としては、社会保険は週20~30時間以上で加入可能(施設による)、賞与は年1~2回で0~1ヶ月分(施設による)、有給休暇は法定通り付与される、退職金は長期勤務で対象となる場合もあります。
これらの福利厚生は、単純な時給計算では見えてこない部分ですが、長期的な収入や生活の安定性に大きく影響します。特に社会保険(健康保険・厚生年金)の有無は、将来的な年金受給額にも関わるため、重要な検討ポイントです。
勤務先選びの重要ポイント
収入面で重視すべきポイントとしては、基本時給の水準、各種手当(夜勤手当、休日手当など)の有無と金額、賞与の有無と支給額、昇給制度の有無と実績などがあります。
ワークライフバランス面で重視すべきポイントとしては、シフト選択の自由度、残業の頻度と残業代の支払い状況、休暇取得の柔軟性、急な子どもの病気などへの対応方針などがあります。
キャリア面で重視すべきポイントとしては、教育・研修制度の充実度、スキルアップ支援(資格取得支援など)、キャリアパスの明確さ、専門性を活かせる業務の有無などがあります。
交渉のコツと時給アップの実例
効果的な交渉のポイントとしては、自分の経験やスキルを具体的にアピールすること、希望する時給の根拠を明確に示すこと、柔軟な対応可能性(夜勤や休日出勤など)をアピールすること、長期的な勤務意思を伝えることなどがあります。
交渉成功事例としては、Aさんの場合、当初提示が時給3,000円でしたが、交渉後に時給3,500円となりました。交渉ポイントはNICU経験5年と母乳育児支援の専門資格をアピールしたことです。また、Bさんの場合は、当初提示が時給2,800円でしたが、交渉後に時給3,200円+分娩手当5,000円/件となりました。交渉ポイントはオンコール対応と緊急時の柔軟な出勤が可能な点をアピールしたことです。
こうした交渉は、経験やスキル、資格など、自分の「市場価値」を理解していることが前提となります。また、交渉の場では礼儀正しく、相手の立場も尊重する姿勢が大切です。
ライフステージに合わせた勤務形態の選択
新卒~20代前半
フルタイム正職員として経験を積む時期で、夜勤も含めた様々なシフトを経験し、基礎力を養い、専門分野の模索と資格取得を目指すことが多いです。
結婚・出産期(20代後半~30代)
パートや短時間正職員へ移行する方が増え、家庭との両立を考慮したシフト選びや専門性を活かした効率的な働き方を考えることが多くなります。
子育て安定期(40代)
子どもの成長に合わせて勤務時間を増やしたり、専門性を活かした非常勤やスポット勤務、教育や指導的立場への移行を考える方が増えます。
ベテラン期(50代~)
培った経験を活かした専門外来や相談業務、後進の指導や教育に携わる、自分のペースで働ける環境の選択をする方が多くなります。
ライフステージに合わせて勤務形態を柔軟に変えていくことで、長く助産師として活躍し続けることができます。特に子育て期には時短勤務や日勤のみの働き方を選び、子どもの成長に合わせて徐々に勤務時間や職責を増やしていくことが一般的です。
実際の助産師の働き方事例と収入例

実際に働いている助産師の方々の事例を通じて、具体的な働き方と収入のバランスを見ていきましょう。
これらの事例は、実際のインタビューを基にしていますが、プライバシー保護のため一部修正を加えています。
ケーススタディA:子育て中の助産師の選択
Cさん(35歳・子ども2人)の場合、勤務形態は短時間正職員(週30時間)で、勤務先は総合病院の産科外来です。勤務パターンは平日のみの9:00~15:00で、月収は約28万円(賞与年2回、計3ヶ月分)、年収は約420万円となっています。
Cさんは、保育園に通う2人の子どもを育てながら、短時間正職員として働いています。以前はフルタイムで夜勤も担当していましたが、第一子出産後に現在の勤務形態に変更しました。
「時短勤務を選んだことで、子どもの送り迎えにも余裕ができ、急な体調不良にも対応できるようになりました。収入は下がりましたが、賞与や退職金などの福利厚生が維持できたことは大きなメリットです。子どもが小学校高学年になったら、徐々に勤務時間を増やして収入アップを図りたいと考えています」とCさんは話します。
ケーススタディB:夜勤専従で高収入を実現
Dさん(42歳・子ども1人)の場合、勤務形態は非常勤(夜勤専従)で、勤務先は大学病院の産科病棟です。勤務パターンは月8回の夜勤(16:30~翌9:30、17時間/回)で、月収は約60万円、年収は約720万円です。
Dさんは中学生の子どもを育てる母親でもあります。夜勤専従の働き方を選んだ理由について、次のように話しています。
「子どもが小さいときは日勤のパートでしたが、ある程度成長したため、収入を増やす目的で夜勤専従に切り替えました。月8回の夜勤で、フルタイム正職員と同等以上の収入を得られるのは大きなメリットです。夜は主人が家にいるので安心ですし、平日の日中は自分の時間や家事に使えます。体調管理は大変ですが、規則正しい生活と十分な休息を心がけています」
ケーススタディC:複数施設での掛け持ち勤務
Eさん(38歳・独身)の場合、勤務形態は複数施設掛け持ちで、勤務先は総合病院外来(週3日)とクリニック(週1~2日)です。勤務パターンは総合病院が日勤のみ、クリニックが主に土曜日で、月収は約40万円、年収は約480万円となっています。
Eさんは、複数の施設で働くことで収入を増やしつつ、幅広い経験を積む働き方を選択しています。
「総合病院では安定した勤務と基本的なスキルの維持を、クリニックでは専門的な母乳外来の経験を積むことができています。施設によって異なる症例や対応に触れることで、スキルアップにもつながっていると感じます。掛け持ち勤務は調整が大変な面もありますが、時給の高い休日勤務を組み合わせることで、無理なく収入アップができています」
ケーススタディD:助産院でのオンコール勤務
Fさん(45歳・子ども2人)の場合、勤務形態は助産院非常勤で、勤務パターンは週3日の日勤+月10日程度のオンコール待機です。月収は約35万円(分娩件数により変動)、年収は約420万円となっています。
Fさんは、病院勤務の経験を経て、現在は助産院での勤務を選択しています。
「助産院での勤務は、より自然な出産をサポートしたいという私の理念に合っています。オンコール体制は拘束時間はありますが、実際に呼び出されることは月に4~5回程度。分娩介助手当が1件あたり15,000円なので、月に5件程度対応するだけでも収入面でのメリットがあります。また、一人の妊産婦さんに寄り添う助産師本来の仕事ができる喜びも大きいです」
病院・施設別の給与特性

助産師の給与は、勤務する医療機関の種類によって特徴があります。
それぞれの特性を理解し、自分の希望する働き方に合った職場を選ぶ参考にしましょう。
大学病院・総合病院の給与体系
大学病院や総合病院は、一般的に規模が大きく、組織的な給与体系が整備されています。公的機関の場合は給与表に基づいた明確な基準があります。
特徴としては、基本給は安定しており、経験年数や役職に応じた昇給システムが確立されています。また、夜勤手当や休日手当などの各種手当も充実しています。賞与については年2回(夏・冬)で、公的病院では4~5ヶ月分、私立病院では3~4ヶ月分が一般的です。退職金制度も整備されており、長期勤務で大きな退職金が期待できます。
高度医療に対応するため、専門的なスキルが評価される傾向があり、各種資格手当が設定されていることも多いです。一方、給与体系が硬直的で、個人の貢献度が直接給与に反映されにくい面もあります。
中小病院・クリニックの給与体系
中小規模の病院やクリニックは、大規模病院と比較すると柔軟な給与設定が特徴です。
特徴としては、基本給は施設によって差が大きく、個別交渉の余地がある場合が多いです。夜勤手当などは高めに設定されている場合があり、特に人手不足の施設では好条件を提示されることもあります。賞与は年2回で、業績に連動して変動することが多く、0~3ヶ月分程度が一般的です。
雇用形態が多様で、非常勤やパートでも比較的好条件で働ける場合があります。また、個人の貢献が直接評価されやすく、実力次第で給与アップの可能性があります。一方、福利厚生や昇給システムが不十分な場合もあるため、事前の確認が重要です。
助産院の給与特性
助産院は、病院とは異なる独自の給与体系を持つことが多く、分娩介助に対する報酬が重視される傾向があります。
特徴としては、基本給は病院よりやや低めに設定されていることが多いですが、分娩介助1件あたりの手当(5,000円~20,000円)が加算されます。オンコール体制が一般的で、待機手当と出動手当の組み合わせとなることが多いです。
助産院の規模や経営状況によって給与条件は大きく異なり、開業助産師が経営する小規模な助産院から、法人経営の大規模な助産院まで様々です。分娩件数が多い助産院では高収入が期待できますが、変動要素も大きいため注意が必要です。独自のケア理念や自然分娩へのこだわりなど、給与以外の価値観で選択する助産師も多いです。
公的機関と私立機関の違い
公的機関の特徴としては、給与体系が明確で、経験年数に応じた昇給が保証されています。賞与は比較的安定しており、年間4~5ヶ月分が一般的です。福利厚生が充実しており、公務員に準じた各種手当や休暇制度があります。雇用の安定性が高く、定年まで働けることが多いです。一方、給与の上限があり、特に若いうちは民間より低めの設定となることもあります。
私立機関の特徴としては、給与設定は施設によって大きな差があり、好条件を提示する施設もあります。業績連動型の賞与や手当が設定されていることが多く、努力が給与に反映されやすい傾向があります。柔軟な雇用形態や勤務条件の相談に応じやすい環境が多いです。一方、経営状況によって給与や待遇が変動するリスクがあります。
公的機関と私立機関のどちらが自分に合っているかは、安定性を重視するか、給与の上昇可能性を重視するかなど、個人の価値観によって異なります。両者のメリット・デメリットを理解した上で選択することが大切です。
看護師さんからのQ&A「おしえてカンゴさん!」

助産師の時給や収入に関する疑問について、よくある質問とその回答をご紹介します。
Q1:助産師の平均時給はいくらですか?
A:助産師の平均時給は経験や勤務形態により異なりますが、日勤で2,500円~4,000円程度、夜勤では5,000円以上となることが一般的です。
大都市圏では地方より300円~500円ほど高い傾向があります。また、経験年数や専門資格によって上乗せされるケースも多く、ベテラン助産師では日勤でも4,000円を超えることがあります。
Q2:助産師はパートでどれくらい稼げますか?
A:パートとして働く助産師の月収は、勤務時間や施設によって異なりますが、週3~4日(月80時間程度)の勤務で、月収20万円~30万円程度となることが多いです。
時給は3,000円前後が一般的で、経験や専門性によって上下します。また、夜勤を含めると大幅に収入がアップし、月に4回の夜勤を含むパート勤務では、月収30万円~40万円程度になることも珍しくありません。
Q3:助産師の資格を活かせる副業はありますか?
A:助産師の資格を活かした副業としては、まず母乳外来や育児相談の非常勤があります。また、両親学級や母親学級の講師も人気です。
さらに、産後ケア施設でのスポット勤務や、フリーランスとして開業助産師のサポート業務も可能です。
資格を活かした執筆活動やオンライン相談なども増えています。副業の際は、本業との兼ね合いや健康管理に十分注意し、必要に応じて本業の施設に副業の申請をすることも忘れないようにしましょう。
Q4:夜勤専従の助産師はどれくらい稼げますか?
A:夜勤専従として働く助産師の収入は、夜勤の回数によって大きく変わります。一般的に夜勤1回(16~17時間)あたりの給与は7万円~9万円程度で、月に8回の夜勤をこなすと月収56万円~72万円程度となります。
年収にすると670万円~860万円程度になり、フルタイムの正職員よりも高収入となるケースが多いです。ただし、健康面での負担や社会生活への影響も考慮する必要があります。
理想的な夜勤回数は個人の体力や生活スタイルによって異なりますが、多くの助産師は月4~8回が持続可能な範囲と感じているようです。
Q5:産休・育休後、時短勤務に切り替える場合の収入はどうなりますか?
A:産休・育休後に時短勤務に切り替える場合、収入は勤務時間の短縮率に応じて減少します。
例えば、フルタイム(週40時間)から時短勤務(週30時間)に切り替えると、基本給は約75%になります。月給40万円の場合、時短勤務では約30万円となる計算です。ただし、多くの医療機関では時短勤務でも賞与や各種手当の支給対象となるため、年収ベースでは時間比率ほどは減少しないことも多いです。
また、子どもの年齢に応じた扶養手当や、自治体によっては子育て支援手当が支給される場合もあるので、実際の手取り額を事前にシミュレーションしておくことをおすすめします。
Q6:助産師の時給は年齢とともに上がりますか?
A:助産師の時給は、単純な年齢よりも経験年数やスキルによって上昇する傾向があります。多くの医療機関では、勤続年数に応じた昇給システムを採用しており、同じ施設で長く働くほど時給が上がりやすくなります。
また、専門的なスキルや資格を取得することで、時給アップにつながることも多いです。一般的に、経験5年程度で初任給から15~20%程度、10年以上のベテランになると30~40%程度時給が上昇するケースが見られます。
ただし、施設や勤務形態によって差があり、非常勤やパートの場合は必ずしも昇給が保証されていないこともあるため、応募時や契約更新時に確認することが大切です。
Q7:助産師として最も効率よく収入を得るにはどうすればよいですか?
A:助産師として効率よく収入を得るには、いくつかの戦略があります。まず、時給の高い夜勤や休日シフトを組み合わせることで、労働時間あたりの収入を最大化できます。次に、分娩件数の多い施設や分娩手当の高い施設を選ぶことも効果的です。
また、専門資格(母乳育児支援や新生児蘇生法のインストラクターなど)を取得して時給アップを図る方法もあります。さらに、本業と副業を組み合わせる、特に時給の高い施設でのスポット勤務を取り入れることで収入アップが期待できます。
ただし、どの方法も健康管理とワークライフバランスを考慮した無理のない範囲で行うことが長期的な収入の安定につながります。自分の生活スタイルや家庭状況、キャリアプランに合わせて最適な組み合わせを見つけることが大切です。
まとめ
助産師の時給相場と収入アップの方法について詳しく見てきましたが、最終的に大切なのは自分のライフスタイルやキャリアプランに合った働き方を選ぶことです。
どんな働き方を選ぶにしても、助産師としての使命感や仕事のやりがいを大切にしましょう。金銭的な報酬だけでなく、妊産婦さんやご家族のサポートを通じて得られる充実感も、この仕事の大きな魅力です。あなた自身の価値観やライフプランに合わせた、理想の働き方を見つけることを願っています。
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