
医療現場での業務効率化が求められる中、入院診療計画書の重要性はますます高まっています。特に2025年の制度改正を控え、より正確で効率的な計画書の作成が求められています。
本記事では、看護師の視点から入院診療計画書の効果的な作成方法と活用のポイントを、具体的な例文とともにご紹介します。最新の電子カルテシステムへの対応から、多職種連携での活用方法まで、実践的な内容をお伝えします。
この記事を読んでほしい人
- 入院診療計画書の作成に不安を感じている看護師
- より効率的な記載方法を模索している医療従事者
- 患者説明をよりスムーズに行いたい方
- 記録管理の改善を目指している方
- 2025年の制度改正に向けて準備を始めたい方
この記事で分かること
- 入院診療計画書の基本的な記載要件と注意点
- 実践で活用できる具体的な文例と作成のコツ
- 患者さんへの効果的な説明方法
- 記録管理の効率的な実施方法
- 多職種連携における活用のポイント
- 2025年の制度改正への対応方法
入院診療計画書の基本的な記載要件

入院診療計画書は、患者さんの入院期間における治療計画を明確に示す重要な医療文書です。2025年の制度改正に向けて、より詳細な記載要件が求められています。
ここでは、基本的な記載要件から運用上の注意点まで、実践的な内容をご紹介します。
法的要件の基本
入院診療計画書は医療法施行規則において定められた法定文書です。入院時の医師からの治療計画の説明と、看護師からの看護計画の説明は必須となっています。主要な記載項目として、患者基本情報、入院診断名、治療計画、看護計画、退院予定日、説明者署名が含まれます。
特に署名欄については患者本人または代理人の署名が必要となり、説明日時の記載も忘れずに行う必要があります。
施設基準との関連性
入院診療計画書は施設基準にも大きく関わる重要書類です。入院基本料の算定要件として、患者の入院時に治療計画の説明を行い、文書を用いて患者に交付することが義務付けられています。
施設基準の届出要件として、入院診療計画書の様式や運用方法が定められており、これらを遵守することが求められます。
診療報酬上の重要ポイント
入院診療計画書は診療報酬の算定に直接関わる重要な文書です。入院基本料の算定には、入院診療計画書の作成と説明が必須条件となっています。また、各種加算の算定要件としても入院診療計画書の作成が求められることがあり、特に地域包括ケア病棟入院料などでは、より詳細な計画書の作成が必要となります。
一般的な記載時の注意事項
基本情報の記載
患者氏名、年齢、性別、入院日、病棟、主治医、担当看護師などの基本情報は正確に記載します。特に患者IDや生年月日については、誤記載を防ぐため必ずダブルチェックを行います。
医学的所見の記載
現病歴や入院時の症状、検査結果などの医学的所見は、簡潔かつ正確に記載します。専門用語の使用は必要最小限にとどめ、患者さんにも理解しやすい表現を心がけます。
治療計画の記載
治療内容、検査計画、投薬内容、リハビリテーション計画などを具体的に記載します。予定される処置や手術がある場合は、その時期も明記します。
看護計画の記載
看護上の問題点とその対策、日常生活援助の内容、教育・指導計画などを具体的に記載します。患者さんの状態に応じた個別性のある計画を立案することが重要です。
電子カルテシステムでの運用ポイント
テンプレートの活用
電子カルテシステムでは、診療科や疾患別のテンプレートを活用することで、効率的な記載が可能です。ただし、テンプレートの内容は定期的に見直し、最新の医療情報や施設基準に対応したものに更新する必要があります。
システム連携の活用
検査結果や処方内容など、電子カルテ上の他の情報との連携機能を活用することで、転記ミスを防ぎ、より正確な計画書を作成することができます。データの自動取り込み機能を使用する際は、取り込まれた情報の正確性を確認することが重要です。
セキュリティ対策
個人情報保護の観点から、電子カルテシステムへのアクセス権限管理を適切に行います。また、入院診療計画書の印刷や保存、電子署名の運用については、施設の規定に従って適切に管理します。
効果的な文例と活用方法

入院診療計画書の作成において、適切な文例を活用することで、より効率的で質の高い記載が可能となります。
ここでは、診療科別、患者状態別、年齢層別など、様々な状況に応じた具体的な文例をご紹介します。
診療科別の文例活用
内科系疾患の記載例
循環器内科
「心不全の症状改善と再発予防を目的に、安静度に応じた活動と服薬管理を行います。心機能の維持・改善に向けて、段階的なリハビリテーションを実施し、自己管理能力の向上を支援します。また、体重・血圧・脈拍の定期的なモニタリングを行い、症状の変化に応じて適切な対応を行います。」
消化器内科
「消化器症状の観察と栄養状態の改善を目標に、食事内容の調整と服薬管理を実施します。腹部症状の変化を定期的に評価し、必要に応じて検査・処置を行います。また、食事摂取状況と排便状態の観察を継続的に行い、適切な栄養管理を実施します。」
外科系疾患の記載例
一般外科
「術後の創部管理と早期離床を目標に、段階的な活動範囲の拡大を支援します。疼痛の評価と管理を適切に行い、術後合併症の予防に努めます。また、ドレーン類の管理と観察を徹底し、創部の治癒促進を図ります。」
整形外科
「骨折部位の安静と適切な体位の保持を行いながら、術後のリハビリテーションを計画的に実施します。疼痛管理と合併症予防に努め、ADLの段階的な拡大を支援します。また、装具の使用方法と自己管理について指導を行います。」
患者状態別の文例
急性期患者
「バイタルサインの頻回な観察と全身状態の評価を行い、症状の変化に迅速に対応します。安静度の遵守と基本的なケアを徹底し、合併症予防に努めます。また、必要な検査・処置への協力が得られるよう、適切な説明と支援を行います。」
回復期患者
「リハビリテーションの進行に合わせて、段階的なADLの拡大を支援します。自己管理能力の向上に向けた指導を行い、退院後の生活を見据えた準備を進めます。また、家族への指導と支援も並行して実施します。」
終末期患者
「症状緩和と安楽な療養環境の提供を優先し、患者さんとご家族の意向を尊重したケアを実施します。痛みや不快症状の緩和に努め、精神的サポートも含めた総合的なケアを提供します。また、家族への支援と情報提供を適切に行います。」
年齢層別の配慮ポイント
小児患者への対応
「年齢や発達段階に応じたコミュニケーションを心がけ、家族との協力体制を構築します。処置や検査時の不安軽減に努め、遊びを取り入れながら療養生活を支援します。また、成長発達の観察と支援を継続的に行います。」
成人患者への対応
「社会的役割や生活背景を考慮した支援を行い、早期の社会復帰を目指します。セルフケア能力の向上と疾病管理の自立に向けた指導を実施し、必要に応じて社会資源の活用も提案します。」
高齢患者への対応
「認知機能や身体機能の個別性を考慮し、安全な療養環境を整備します。基本的ADLの維持・向上を支援し、転倒予防などの安全対策を徹底します。また、退院後の生活環境を考慮した支援計画を立案します。」
特殊状況での記載例
認知症患者への対応
「認知機能の状態に応じたコミュニケーションを図り、安全で穏やかな療養環境を提供します。見当識障害への対応と事故防止策を実施し、生活リズムの維持を支援します。また、家族との連携を密にし、効果的なケア方法を共有します。」
外国人患者への対応
「通訳サービスや翻訳ツールを活用し、確実なコミュニケーションを図ります。文化的背景や習慣を尊重したケアを提供し、必要な情報を適切に伝達します。また、院内の国際医療支援チームと連携し、円滑な医療提供を目指します。」
多職種連携における入院診療計画書の活用

入院診療計画書は、多職種間での情報共有と連携を促進する重要なツールです。
それぞれの専門職の視点を活かしながら、より質の高い医療・看護を提供するため、効果的な活用方法をご紹介します。
医師との連携における活用方法
治療方針の共有
医師の立てた治療計画を看護計画に反映させ、整合性のある計画書を作成します。特に、治療の優先順位や予測される経過について、医師と十分な協議を行い、計画書に反映させます。
病状評価の連携
日々の看護観察で得られた情報を、医師の診察や治療方針の決定に活かせるよう、具体的な記載を心がけます。バイタルサインの変化や症状の推移などを、医師が理解しやすい形で記録します。
退院支援の調整
退院時期や退院後の治療計画について、医師と看護師間で認識を共有し、計画書に明確に記載します。特に、在宅での医療管理が必要な場合は、具体的な指示内容を確認し反映させます。
リハビリテーションスタッフとの情報共有
リハビリ計画の統合
理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などのリハビリテーション計画を、看護計画と効果的に連動させます。特に、離床時の注意点や日常生活動作の練習内容について、具体的な連携方法を記載します。
進捗状況の共有
リハビリテーションの進捗状況や目標達成度を定期的に評価し、計画書に反映させます。特に、ADLの自立度や移動方法の変更などについて、タイムリーな情報更新を行います。
自主訓練の連携
病棟での自主訓練の内容や方法について、リハビリテーションスタッフと協議し、安全で効果的な実施方法を計画書に記載します。
薬剤師との連携方法
服薬管理の連携
服薬指導の内容や患者の理解度について、薬剤師と情報を共有し、看護計画に反映させます。特に、副作用の観察ポイントや服薬compliance向上のための工夫について、具体的に記載します。
薬剤情報の活用
薬剤の相互作用や注意すべき副作用について、薬剤師からの情報を計画書に反映させ、観察項目として明確化します。特に、ハイリスク薬の使用時は、詳細な観察計画を立案します。
退院時指導の連携
退院後の服薬管理について、薬剤師の指導内容を踏まえた看護計画を立案します。特に、自己管理が必要な場合は、具体的な支援方法を記載します。
医療ソーシャルワーカーとの協働
社会的背景の共有
患者の社会的背景や生活環境について、医療ソーシャルワーカーと情報を共有し、退院支援計画に反映させます。特に、社会資源の活用や在宅サービスの導入について、具体的な計画を立案します。
退院調整の連携
退院後の生活環境や必要なサポート体制について、医療ソーシャルワーカーと協議し、具体的な支援計画を立案します。特に、介護保険サービスの利用や施設入所の調整が必要な場合は、詳細な計画を記載します。
家族支援の連携
家族の介護力や経済的状況について、医療ソーシャルワーカーからの情報を基に、適切な支援計画を立案します。特に、家族への指導や支援が必要な場合は、具体的な方法を記載します。
入院診療計画書の質向上のためのチェックポイント

入院診療計画書の質を高めるためには、系統的なチェック体制と継続的な改善プロセスが不可欠です。
ここでは具体的な評価基準と改善方法についてご紹介します。
記載内容の質的評価基準
個別性の評価
患者さんの個別性が十分に反映されているかを評価します。年齢、性別、疾患、社会的背景などの個別要因を考慮した計画内容となっているか確認し、画一的な記載を避け、その患者さんに特有の課題やニーズに対応した計画を立案します。
具体性の確認
計画内容が具体的で実行可能なものになっているかを確認します。抽象的な表現を避け、誰が読んでも同じように理解できる明確な記載を心がけます。特に観察項目や実施内容については、具体的な方法や頻度を明記します。
整合性のチェック
治療計画と看護計画の整合性を確認します。医師の指示内容や治療方針と、看護計画の内容に齟齬がないか確認し、必要に応じて修正や調整を行います。
定期的な見直しの方法
週間評価の実施
週に一度、計画内容の進捗状況と適切性を評価します。目標の達成度や計画の実行状況を確認し、必要に応じて計画の修正を行います。特に、患者さんの状態変化があった場合は、速やかに計画を見直します。
多職種カンファレンスの活用
定期的な多職種カンファレンスを通じて、計画内容の妥当性を評価します。各職種からの意見や提案を取り入れ、より効果的な計画へと改善します。
監査時のポイント
必須項目の確認
法定要件や施設基準で定められた必須項目が漏れなく記載されているかを確認します。特に、患者情報、診断名、治療計画、看護計画、説明者署名などの基本項目は重点的にチェックします。
記載漏れの防止
日付、署名、説明時間などの記載漏れがないかを確認します。特に、患者さんへの説明実施の記録や同意の署名については、厳重にチェックします。
改善プロセスの実践
PDCAサイクルの導入
計画(Plan)、実行(Do)、評価(Check)、改善(Act)のサイクルを確立し、継続的な質の向上を図ります。定期的な評価結果を基に、記載方法や運用方法の改善を行います。
フィードバックの活用
スタッフからのフィードバックや患者さんからの意見を積極的に収集し、計画書の改善に活かします。特に、わかりやすさや使いやすさの観点からの意見は、重要な改善のヒントとなります。
教育研修の実施
定期的な教育研修を通じて、スタッフの計画書作成能力の向上を図ります。事例検討やグループワークを通じて、効果的な記載方法や運用方法を共有します。
ケーススタディ

入院診療計画書の効果的な活用方法を具体的に理解するため、実際の事例を通じて解説します。
ここでは、異なる診療科や状況における3つの代表的なケースについて、詳細な分析と解決策をご紹介します。
急性期病棟での活用事例
A病院 循環器内科の事例
68歳男性、急性心筋梗塞で緊急入院となったケースです。入院時は症状が不安定で、患者さんも強い不安を抱えていました。入院診療計画書作成時には、以下の点に特に注意を払いました。
計画書には急性期の観察項目として、胸痛の有無、心電図モニタリング、バイタルサインの変化などを具体的に記載しました。また、安静度の拡大計画を段階的に示し、患者さんが見通しを持てるよう工夫しました。その結果、患者さんの不安が軽減し、治療への積極的な参加が得られました。
回復期リハビリ病棟での実践例
B病院 整形外科の事例
75歳女性、大腿骨頸部骨折術後のリハビリテーション目的で転院してきたケースです。入院時のADLは全介助の状態でした。
計画書には具体的なリハビリテーションの目標と進め方を時系列で記載し、患者さんと家族が理解しやすいよう図式化も取り入れました。特に、病棟でのADL訓練と理学療法士による専門的リハビリの連携について詳細に記載したことで、効果的な機能回復につながりました。
地域包括ケア病棟での取り組み
C病院 総合内科の事例
82歳女性、肺炎治療後の在宅復帰に向けた調整が必要なケースです。独居で軽度の認知機能低下もあり、多職種による包括的な支援が必要でした。
計画書には医療面の管理に加えて、在宅での生活を見据えた具体的な準備項目を記載しました。服薬管理方法の確立、福祉用具の選定、介護サービスの調整など、具体的なマイルストーンを設定することで、スムーズな在宅復帰が実現しました。
成功要因の分析
多職種連携の効果
各事例において、計画書を多職種間の情報共有ツールとして積極的に活用したことが、成功の重要な要因となりました。定期的なカンファレンスでの計画見直しと、必要に応じた修正を行うことで、より効果的な支援が可能となりました。
患者参加型の計画立案
患者さんと家族の意向を十分に聞き取り、計画に反映させたことで、治療やケアへの積極的な参加が得られました。特に、目標設定の段階から参加していただくことで、モチベーションの維持・向上につながりました。
改善に向けた取り組み
システム改善の実施
各事例での経験を基に、電子カルテシステムのテンプレートを改修し、より効率的な計画書作成が可能となりました。特に、頻用する文例の登録や、多職種の記載欄の明確化など、実用的な改善を行いました。
スタッフ教育の充実
成功事例を教材として活用し、定期的な事例検討会を実施しています。特に新人看護師に対しては、経験豊富な先輩看護師がマンツーマンで指導を行い、実践的なスキルの向上を図っています。
2025年の制度改正に向けた対応
2025年に予定されている医療制度改正により、入院診療計画書の運用にも大きな変更が加えられます。
ここでは、制度改正の具体的な内容と、医療機関として準備すべき事項についてご紹介します。
制度改正の主要ポイント
電子化への完全移行
2025年度より、入院診療計画書の電子化が完全義務化されます。紙媒体での運用は原則として認められなくなり、電子カルテシステムとの連携が必須となります。電子署名の導入や、データ保存方法の standardization など、具体的な要件が定められています。
記載内容の標準化
地域医療連携の促進を目的として、入院診療計画書の記載内容が標準化されます。特に、診療情報の共有に関する項目や、退院支援計画に関する記載要件が詳細化されます。
システム対応の必要性
電子カルテシステムの更新
既存の電子カルテシステムを新しい要件に対応させるため、システムの更新や改修が必要となります。特に、電子署名機能の実装や、データ連携機能の強化が求められます。
データ移行への対応
過去の紙媒体の記録を電子化する際の運用規定も明確化されます。スキャンデータの取り扱いや、過去データの検索性確保など、具体的な要件への対応が必要となります。
準備すべき事項
運用体制の整備
電子化に伴う新しい運用フローの確立が必要となります。特に、電子署名の運用ルールや、データバックアップ体制の整備が重要となります。また、システムダウン時の代替手段についても、明確な規定が求められます。
スタッフ教育の実施
新しいシステムや運用方法に関する教育研修が必要となります。特に、電子署名の取り扱いや、セキュリティ対策に関する理解を深めることが重要です。
移行期の注意点
段階的な移行計画
システム更新や運用変更は、業務への影響を最小限に抑えるため、段階的に実施することが推奨されます。特に、テスト運用期間を十分に確保し、問題点の洗い出しと対策を行うことが重要です。 移行スケジュールの作成と、各段階でのチェックポイントの設定が必要となります。
リスク管理体制
システム移行に伴うリスクを最小限に抑えるため、具体的な対策を講じる必要があります。特に、データ消失や情報漏洩のリスクに対する対策を重点的に実施します。また、システムトラブル時の対応手順も明確化しておく必要があります。
コスト管理
システム更新や運用変更に伴うコストを適切に管理する必要があります。特に、初期投資だけでなく、運用コストや保守費用についても長期的な視点での計画が求められます。また、補助金や助成金の活用についても検討が必要です。
効率的な記録管理システムの構築
医療機関における記録管理の重要性が増す中、入院診療計画書の効率的な管理システムの構築が求められています。
適切な文書管理体制の確立から、セキュリティ対策まで、実践的な方法をご紹介します。
文書管理の基本原則
文書分類システム
入院診療計画書を含む医療文書を効率的に管理するため、明確な分類システムを確立します。診療科別、入院時期別、患者ID別など、複数の視点からの検索が可能な分類方法を採用します。電子カルテシステムのフォルダ構造も、この分類に準じて整理します。
保存期間の管理
法定保存期間に基づいた文書管理を実施します。入院診療計画書は診療録の一部として、原則5年間の保存が必要です。電子データの場合は、長期保存に適した形式での保存と、定期的なバックアップを実施します。
電子化対応のポイント
データ形式の標準化
PDF/A形式など、長期保存に適したファイル形式を採用します。特に、電子署名付きの文書については、署名の有効性が長期的に確認できる形式での保存が必要です。
検索機能の整備
効率的な文書検索を可能にするため、メタデータの付与や全文検索機能の実装を行います。患者ID、診療科、作成日時などの基本情報に加え、診断名や治療内容などでも検索可能な仕組みを構築します。
バックアップ体制
定期バックアップの実施
データの損失を防ぐため、定期的なバックアップを実施します。日次、週次、月次など、複数の周期でバックアップを取得し、重要度に応じて保存期間を設定します。
災害対策
自然災害やシステム障害に備え、オフサイトバックアップを含む災害対策を実施します。特に、重要データについては、地理的に離れた場所にバックアップを保管します。
セキュリティ対策
アクセス制御
文書へのアクセス権限を職種や役割に応じて適切に設定します。特に、個人情報を含む文書については、アクセスログの記録と定期的な監査を実施します。
暗号化対策
保存データの暗号化を実施し、情報漏洩のリスクを軽減します。特に、外部との連携時やデータ転送時には、適切な暗号化措置を講じます。また、暗号化キーの管理体制も整備します。
セキュリティ教育
職員に対する定期的なセキュリティ教育を実施します。特に、個人情報の取り扱いや、システムの適切な利用方法について、実践的な研修を行います。インシデント発生時の対応手順についても、定期的な訓練を実施します。
看護師さんからのQ&A「おしえてカンゴさん!」

入院診療計画書に関して、現場の看護師さんからよく寄せられる質問とその回答をまとめました。
実践的な課題解決のヒントとなる内容をご紹介します。
記載方法に関する質問
Q:効果的な記載方法のコツを教えてください
具体的で明確な表現を心がけ、患者さんの個別性を反映した記載を行います。特に、観察項目や実施内容については、具体的な方法や頻度を明記します。また、電子カルテシステムの文例機能を活用することで、効率的な記載が可能となります。
Q:患者さんの個別性をどのように反映させればよいですか
入院時の情報収集で得られた患者さんの生活背景や価値観、希望などを計画書に反映させます。特に、ADLの自立度や介護力、退院後の生活環境などを考慮し、具体的な支援計画を立案します。
患者説明に関する質問
Q:患者さんへの説明時のポイントは何ですか
医療用語を避け、患者さんが理解しやすい言葉を使用します。必要に応じて図や表を活用し、視覚的な説明を心がけます。また、説明後には必ず理解度を確認し、不明点があれば補足説明を行います。
Q:認知症のある患者さんへの説明はどうすればよいですか
患者さんの認知機能に応じて、説明方法を工夫します。短い文章で端的に説明し、必要に応じて繰り返し説明を行います。家族への説明も並行して実施し、理解と協力を得ることが重要です。
多職種連携に関する質問
Q:他職種との情報共有で気をつけることは何ですか
各職種の視点や専門性を尊重し、共通理解が得られるよう具体的な記載を心がけます。定期的なカンファレンスを活用し、計画の進捗状況や修正点について協議します。
Q:退院支援に向けた連携のコツはありますか
早期から退院後の生活をイメージし、必要な職種との連携を開始します。特に、医療ソーシャルワーカーとの協働により、社会資源の活用や介護サービスの調整を計画的に進めます。
システム運用に関する質問
Q:電子カルテでの効率的な運用方法を教えてください
テンプレート機能や文例集を活用し、基本的な記載の効率化を図ります。ただし、個別性を反映させる部分は、患者さんの状況に応じて適切に修正します。
記録管理に関する質問
Q:記録の質を保つためのチェックポイントは何ですか
必須項目の記載漏れがないか、計画内容に具体性があるか、多職種間で整合性がとれているかなどを確認します。定期的な監査を実施し、改善点を見出すことも重要です。
制度対応に関する質問
Q:2025年の制度改正に向けて、今から準備することはありますか
電子化への対応を進めながら、記載内容の標準化に向けた取り組みを開始します。特に、多職種連携を意識した記載方法の確立と、効率的な運用体制の整備が重要となります。
まとめ
入院診療計画書は、患者さんの治療とケアの道筋を示す重要な文書であり、多職種連携の要となるツールです。2025年の制度改正に向けて、電子化対応や記載内容の標準化など、新たな課題への対応が求められています。本記事でご紹介した文例や作成のポイントを活用し、より質の高い計画書作成を目指しましょう。
より深い知識や実践的なスキルを身につけたい方は、【はたらく看護師さん】では継続的に最新の医療情報や実践的な記録作成のノウハウを提供しています。会員登録いただくと、さらに詳しい文例集や事例検討会の情報にもアクセスいただけます。
看護師の皆様のキャリアアップを全力でサポートいたしますので、ぜひ【はたらく看護師さん】をご活用ください。
▼詳しくは【はたらく看護師さん】をチェック