2025年最新版【看護師の診療補助業務実践ガイド】 業務範囲を徹底解説

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医療の高度化が進む中、看護師の診療補助業務はますます重要性を増しています。日々の業務で「この医療行為は診療の補助の範囲内なのか」「医師の指示をどこまで確認すべきか」といった疑問に直面することも多いのではないでしょうか。

本記事では、2025年の法改正を踏まえた最新の診療補助業務について、法的根拠から実践方法、記録管理まで、現場で必要な知識を詳しくお伝えします。特定行為研修制度の拡充や、電子カルテシステムの普及に伴う新たな課題にも触れながら、実践的な情報をご紹介します。

この記事で分かること

  • 診療の補助に関する法的根拠と業務範囲の最新定義
  • 各種医療行為の具体的な実施手順とポイント
  • 診療科別・病棟別の特徴と注意点
  • 電子カルテ時代における適切な記録管理の方法
  • 医療事故防止のためのリスクマネジメント
  • 特定行為研修制度の最新動向と将来展望

この記事を読んでほしい人

  • 診療補助業務の範囲を正しく理解したい看護師
  • 特定行為研修の受講を検討している方
  • 新人看護師の指導を担当している方
  • 医療安全管理に関わる方
  • 電子カルテでの記録に不安がある方

診療の補助の法的定義と基本知識

看護師の診療補助業務は、法律によって定められた重要な職務です。

この章では、診療の補助に関する法的な定義から、2025年の法改正による変更点まで、実務に直結する内容を詳しく見ていきます。

診療の補助の歴史的背景

保助看法制定以前の状況

1948年の保健師助産師看護師法制定以前、看護師の業務範囲は明確な定めがありませんでした。当時は医師の監督下で行える医療行為も限定的で、主に療養上の世話が中心でした。その後、医療の高度化に伴い、看護師に求められる役割は徐々に拡大していきました。

戦後の法整備による変化

保健師助産師看護師法の制定により、看護師の業務は「診療の補助」と「療養上の世話」の二本柱として明確化されました。これにより、医療チームの一員として、より専門的な医療行為に携わることが可能になりました。

特定行為研修制度までの道のり

2014年には保助看法の改正により特定行為研修制度が創設され、より高度な医療行為を実施できる看護師の育成が始まりました。この制度により、チーム医療における看護師の役割はさらに拡大しています。

現代における診療の補助の定義

基本的な考え方

診療の補助とは、医師の指示に基づいて行う医療行為を指します。具体的には、注射や採血、医療機器の操作など、診療の補助として位置づけられる行為を、医師の指示のもとで実施することを意味します。

療養上の世話との区別

診療の補助は、患者の日常生活援助を主とする療養上の世話とは明確に区別されます。例えば、点滴の準備や実施は診療の補助に該当しますが、点滴中の患者の体位調整や観察は療養上の世話に含まれます。

実施における判断基準

医師の指示があっても、看護師は患者の状態を適切にアセスメントし、実施の可否を判断する必要があります。患者の状態が医師の指示時から変化している場合は、再度医師に確認することが求められます。

法的根拠の詳細解説

保健師助産師看護師法の重要条項

保健師助産師看護師法第5条では、看護師は傷病者の療養上の世話と診療の補助を行うことが規定されています。この法律により、看護師の診療補助業務が法的に保障されると同時に、その範囲も定められています。

医療法との関連性

医療法第21条では、病院等における看護師の配置基準が定められており、安全な診療補助業務を行うための人員確保が義務付けられています。また、チーム医療における看護師の役割も明確化されています。

医師法との整合性

医師法第17条との関係では、医師の指示の下で行う診療の補助は医師法に抵触しないことが明確化されています。ただし、医師の具体的な指示なく独自の判断で医療行為を行うことは認められていません。

2025年の法改正のポイント

特定行為研修制度の拡充

2025年の法改正では、特定行為研修制度がさらに拡充され、研修区分の見直しや新たな特定行為の追加が行われました。また、研修修了者の活用に関する医療機関の体制整備も求められています。

遠隔医療における新たな規定

コロナ禍を経て普及が進んだ遠隔医療において、看護師の役割が明確化されました。オンライン診療における診療の補助業務や、遠隔モニタリングにおける看護師の役割が新たに規定されています。

電子カルテシステムに関する規定

電子カルテシステムにおける診療の補助の記録方法や、システム障害時の対応など、デジタル化に対応した新たな規定が追加されました。これにより、より安全で効率的な診療補助業務の実施が可能になっています。

医療安全管理体制の強化

医療事故防止の観点から、診療の補助における医療安全管理体制の強化が図られました。具体的には、インシデント報告の義務化や、安全管理研修の実施が新たに規定されています。

具体的な業務範囲

看護師が行う診療の補助業務は多岐にわたります。

この章では、基本的な医療行為から高度な特定行為まで、具体的な業務内容とその範囲について詳しく見ていきます。

基本的な業務範囲

注射関連業務

静脈注射や筋肉内注射、皮下注射など、様々な種類の注射があります。それぞれの手技には特有の注意点があり、例えば静脈注射では血管の選択や穿刺角度、薬液の注入速度などが重要になります。特に、抗がん剤や免疫抑制剤などの危険薬剤を扱う際は、薬剤の特性を十分に理解し、投与前後の観察を慎重に行う必要があります。

採血業務

診療の補助業務の中でも最も頻度の高い業務の一つです。真空採血管を使用する場合と注射器を使用する場合があり、採血部位や採血量、検体の取り扱いなど、検査の種類に応じた適切な手技が求められます。また、採血後の止血確認や患者の状態観察も重要な業務となります。

検査介助業務

内視鏡検査や心臓カテーテル検査など、様々な検査の介助を行います。検査の種類や目的を理解し、必要な物品の準備から患者の体位調整、バイタルサインの観察まで、幅広い知識と技術が必要です。緊急時の対応も想定した準備が求められます。

特定行為に該当する業務

呼吸器関連

気道確保や人工呼吸器の設定変更など、呼吸に関する特定行為があります。例えば、気管カニューレの交換では、患者の状態assessment、必要物品の準備、医師との連携、実施後の観察など、複数のステップを確実に実施する必要があります。特に、患者の呼吸状態が不安定な場合は、より慎重な対応が求められます。

創傷管理関連

褥瘡や術後創傷の処置など、創傷管理に関する特定行為も重要です。創傷の状態評価、適切な処置方法の選択、感染予防など、総合的なアセスメント能力が必要になります。また、栄養状態や全身状態の管理も創傷治癒に大きく影響するため、多角的な視点での管理が求められます。

循環動態に係る業務

急性期患者の循環動態の管理では、カテコラミンの投与量調整や輸液管理など、高度な判断が必要な特定行為があります。患者の血圧、心拍数、尿量などの指標を総合的に評価し、適切な介入を行います。

病棟別・診療科別の特徴

内科病棟での業務

内科病棟では、慢性疾患の管理や急性増悪への対応など、様々な状況に応じた診療補助が求められます。特に、複数の疾患を持つ高齢患者が多いため、薬剤投与の際は相互作用や副作用に十分な注意が必要です。また、生活習慣病の管理など、長期的な視点での関わりも重要になります。

外科病棟での業務

手術前後の管理が中心となり、術前の準備から術後の創部管理、ドレーン管理など、特有の業務があります。特に術後は、疼痛管理や早期離床の促進、合併症予防など、集中的なケアが必要になります。また、術後出血や感染などの合併症の早期発見も重要な役割です。

救急外来での業務

緊急性の高い状況での迅速な対応が求められます。トリアージから初期対応、検査介助、処置介助まで、幅広い知識と技術が必要です。特に、複数の患者が同時に来院する場合は、優先順位の判断も重要になります。

新しい医療機器への対応

人工呼吸器管理

最新の人工呼吸器は高度な機能を備えており、適切な設定と管理が求められます。換気モードの理解や、患者の呼吸状態に応じた設定変更、アラーム管理など、専門的な知識が必要です。また、人工呼吸器関連肺炎の予防も重要な業務となります。

輸液ポンプの管理

輸液ポンプの正確な操作と管理は、安全な薬剤投与に不可欠です。流量設定や積算値の確認、アラーム対応など、基本的な操作に加えて、薬剤の特性に応じた細かな管理が必要です。特に、高濃度の薬剤や危険薬剤を使用する場合は、より慎重な管理が求められます。

モニタリング機器の活用

バイタルサインモニターやテレメトリーなど、患者の状態を継続的に監視する機器の使用も重要です。機器の特性を理解し、正確なデータ収集と解釈、異常の早期発見が求められます。また、機器の不具合や測定エラーへの対応も必要になります。

実践方法と手順

診療の補助業務を安全かつ確実に実施するためには、標準化された手順に従うことが重要です。

この章では、基本的な実践手順から、各種医療行為の具体的な実施方法、さらにトラブル対応まで詳しく見ていきます。

基本的な実践手順の詳細

指示受けの手順

医師からの指示受けは診療の補助の起点となります。指示内容を復唱し、不明点がある場合はその場で確認します。電子カルテシステムでの指示受けの場合も、内容を視覚的に確認し、必要に応じて口頭での確認を行います。夜間や緊急時の口頭指示は、可能な限り早期に記録に残すことが必要です。

実施前確認事項

患者確認は氏名、生年月日などの複数の情報で行います。また、バイタルサインの確認、アレルギー歴の有無、禁忌事項なども実施前に必ず確認します。特に薬剤投与の場合は、薬剤名、用量、投与経路、投与時間などを複数回確認することが重要です。

感染対策の実践

標準予防策を基本とし、必要に応じて感染経路別予防策を追加します。手指衛生、個人防護具の適切な使用、使用物品の適切な取り扱いなど、基本的な感染対策を確実に実施します。

各種医療行為の具体的手順

静脈注射の実施手順

静脈注射の実施では、薬剤の準備から投与後の観察まで、一連の流れを確実に行います。まず、薬剤の確認と溶解・希釈を正確に行い、必要な物品を準備します。穿刺部位の選択では、血管の走行や状態を十分に観察し、最適な部位を選択します。

穿刺後は逆血を確認し、薬液の注入速度を調整しながら、患者の状態を継続的に観察します。

経管栄養の実施手順

経管栄養を行う際は、まず体位を30度以上に調整し、胃管の位置を確認します。注入前には胃内容物を確認し、残渣が多い場合は医師に報告します。注入速度は指示された速度を遵守し、注入中は患者の状態を頻回に観察します。終了後は水分でフラッシュを行い、しばらくは体位を保持します。

創傷処置の実施手順

創傷処置では、まず創部の状態を詳細に観察し、記録します。処置に必要な物品を清潔に準備し、患者に処置内容を説明します。創部の洗浄から保護材の貼付まで、無菌操作を徹底して行います。処置後は創部の状態、出血の有無、患者の痛みの程度などを確認します。

トラブルシューティング

薬剤投与時のトラブル対応

薬剤の血管外漏出や、アレルギー反応などの問題が発生した場合の対応手順を理解しておく必要があります。血管外漏出の場合は直ちに投与を中止し、医師に報告します。漏出した薬剤の種類に応じた適切な対応を行い、経過観察を継続します。

医療機器使用時の対応

人工呼吸器や輸液ポンプなどの医療機器使用時のアラーム対応や、機器トラブルへの対処方法を習得しておきます。アラームの種類や緊急度を判断し、適切な対応を行います。機器の不具合が生じた場合は、患者の安全を最優先に代替手段を講じます。

急変時の初期対応

患者の急変時には、迅速かつ適切な初期対応が求められます。バイタルサインの確認、医師への報告、必要な器具や薬剤の準備など、優先順位を判断しながら行動します。救急カートの場所や内容、使用方法についても熟知しておく必要があります。

新人指導のポイント

基本技術の指導方法

新人看護師への技術指導では、まず基本原則の理解を徹底します。手順書に基づいて一つ一つの動作の意味を説明し、実践での注意点を具体的に示します。特に、安全確認や感染対策などの基本的な事項は、繰り返し指導することが重要です。

段階的な指導計画

新人看護師の習得状況に応じて、段階的に難易度を上げていきます。最初は見学から始め、次に指導者と共に実施、その後は見守りの下での実施と、徐々に自立度を高めていきます。各段階で確実に技術を習得できるよう、十分な時間を確保します。

フィードバックの方法

新人看護師への指導後は、必ず振り返りの時間を設けます。良かった点を具体的に伝え、改善が必要な点については根拠を示しながら説明します。また、新人看護師自身の気づきや疑問点を引き出し、次回の実践に活かせるようサポートします。

責任範囲の明確化

診療の補助業務における責任の所在を正しく理解することは、安全な医療の提供において極めて重要です。

この章では、看護師の責任範囲と、医療事故防止のための具体的な対策について詳しく見ていきます。

看護師の責任範囲

指示確認における責任

医師の指示内容が不明確な場合や不適切と判断される場合には、看護師には確認する責任があります。電子カルテシステムでの指示受けであっても、投与量や投与方法に疑問がある場合は、必ず医師に確認を行います。特に、危険度の高い薬剤や特殊な投与方法が必要な場合は、より慎重な確認が求められます。

実施時の注意義務

診療の補助業務を実施する際は、患者の状態を適切にアセスメントし、実施の可否を判断する責任があります。例えば、点滴実施前の患者の状態確認や、投与中の副作用の観察など、一連の過程において必要な注意を払う義務があります。また、実施中に異常を発見した場合は、速やかに適切な対応を取ることも看護師の責任です。

具体的な判例解説

投薬に関する判例

過去の判例では、医師の指示が明らかに不適切であった場合でも、看護師には確認義務があるとされています。例えば、投与量が通常の倍量であった場合、たとえ医師の指示であっても、看護師は疑問を持ち確認することが求められます。このような確認を怠った場合、看護師にも責任が問われる可能性があります。

観察義務に関する判例

患者の状態変化を適切に観察し報告する義務についても、判例で明確にされています。例えば、点滴実施中の患者の状態変化を見逃した場合や、適切な報告を怠った場合には、看護師の責任が問われることがあります。継続的な観察と適切な記録が重要です。

リスクマネジメント

インシデント報告の重要性

医療事故やヒヤリハットの報告は、単なる報告義務以上の意味を持ちます。報告された事例を分析し、同様の事故の再発防止に活かすことで、医療安全の向上につながります。報告する文化を育成し、チーム全体で学びを共有することが重要です。

予防的対策の実施

医療事故を未然に防ぐため、様々な予防的対策を実施します。ダブルチェックの徹底、確認手順の標準化、リスクの高い医療行為の手順確認など、具体的な対策を日常的に実践します。特に、新しい医療機器の導入時や、手順の変更時には、十分な教育と訓練が必要です。

チーム医療における役割分担

多職種連携の重要性

医師、薬剤師、その他の医療職との連携において、看護師は重要な役割を担います。それぞれの職種の専門性を理解し、適切なコミュニケーションを図ることで、安全な医療の提供が可能になります。情報共有の方法や連絡体制を明確にし、チーム全体で患者の安全を守ります。

情報共有の方法

カンファレンスやミーティングでの情報共有、電子カルテでの記録など、様々な方法で情報を共有します。特に、勤務交代時の申し送りや、重要な患者情報の伝達については、確実な方法で行う必要があります。伝達内容の優先順位を考え、必要な情報が確実に共有されるよう工夫します。

記録管理の実際

診療の補助業務における記録は、医療の質と安全性を担保する重要な要素です。

この章では、電子カルテ時代における適切な記録の方法から、法的な観点での重要ポイントまで詳しく見ていきます。

記録に必要な要素

基本的な記載事項

診療の補助の記録には、実施日時、実施者名、医師の指示内容、実施内容、患者の状態、特記事項などを含める必要があります。電子カルテシステムでは、これらの項目が構造化されており、必要な情報を漏れなく記載できるようになっています。

また、バイタルサインや検査値などの客観的データも、システムと連携して自動的に取り込まれます。

経時的な記録方法

患者の状態変化や治療経過を時系列で追えるよう、記録を行います。特に、点滴投与中の観察記録や、創傷処置後の経過記録などは、変化が分かりやすいように時間軸に沿って記載します。電子カルテでは、テンプレート機能を活用することで、効率的に記録を行うことができます。

電子カルテシステムの活用法

テンプレートの使用方法

診療の補助業務に関する記録テンプレートを効果的に活用します。よく使用する記録項目をテンプレート化しておくことで、記録の標準化と効率化を図ることができます。ただし、テンプレートに頼りすぎず、個々の患者の特性や状態に応じた記載を心がけることも重要です。

システムトラブル時の対応

電子カルテシステムに不具合が生じた場合の対応手順を理解しておく必要があります。一時的な紙媒体での記録方法や、システム復旧後のデータ入力方法について、院内のルールを確認しておきます。特に、緊急性の高い診療の補助業務については、確実な記録が行えるよう準備しておくことが重要です。

具体的な記録例

静脈注射の記録

静脈注射を実施した場合の記録例として、「医師の指示内容(薬剤名、投与量、投与速度など)」「実施時刻」「穿刺部位」「実施者名」「患者の状態」「副作用の有無」などを具体的に記載します。さらに、実施中の観察事項や特記事項があれば追記します。

処置の記録

創傷処置などの記録では、「処置の種類」「使用した物品」「創部の状態」「処置後の経過」などを具体的に記載します。創部の状態は、大きさ、色調、浸出液の性状などを客観的に記載し、必要に応じて図や写真を添付することも有効です。

法的観点からの重要ポイント

記録の修正方法

電子カルテでの記録修正は、修正履歴が残る形で行う必要があります。誤記載を発見した場合は、院内のルールに従って適切に修正を行い、修正理由を明記します。修正権限や承認プロセスについても理解しておくことが重要です。

記録の保管期間

診療記録の保管期間は法律で定められており、適切に管理する必要があります。電子カルテデータのバックアップ体制や、アクセス権限の設定なども重要な管理項目です。また、開示請求への対応も想定し、記録の質を保つよう心がけます。

医療現場のケーススタディ

実際の医療現場では、様々な状況で的確な判断と対応が求められます。

この章では、診療の補助業務における具体的な事例を通して、適切な対応方法と、そこから得られる学びを見ていきます。

複数の診療科での実例

内科外来での輸液管理

70歳の糖尿病性腎症の患者さんに対する輸液管理の事例です。医師から高カリウム血症に対する補正指示があり、電解質補正液の投与を行いました。投与前には血液検査データを確認し、投与中は心電図モニタリングを実施しました。

投与速度の調整と頻回な観察により、安全に補正を完了できました。この事例からは、基礎疾患の理解と、合併症予防のための観察ポイントの重要性を学ぶことができます。

外科病棟での術後管理

胃切除術後の患者さんへの疼痛管理の事例です。医師の指示に基づき、硬膜外麻酔の投与量調整を行いました。患者の痛みの程度をNRSスケールで評価しながら、血圧低下や運動機能への影響を観察しました。

早期離床を促進しながら、適切な疼痛コントロールを達成できました。この事例では、患者の全身状態の観察と、リハビリテーションとの連携の重要性が示されています。

トラブル対応例

薬剤投与時の対応

抗がん剤投与中に血管外漏出が発生した事例です。直ちに投与を中止し、医師に報告するとともに、院内プロトコルに従って対応しました。冷罨法の実施と局所の状態観察を継続的に行い、皮膚障害の重症化を防ぐことができました。

この経験から、予防的観察の重要性と、緊急時の迅速な対応手順の確認が必要であることを学びました。

医療機器使用時の対応

人工呼吸器装着中の患者さんで、突然アラームが鳴り、換気不全を示す警告が出た事例です。直ちに患者の状態を確認し、気道の開通性を評価しました。回路の屈曲による換気障害と判断し、修正することで問題を解決できました。

この事例からは、医療機器の仕組みの理解と、アラームの意味を正確に把握することの重要性を学びました。

成功事例と改善策

チーム医療での連携

複数の基礎疾患を持つ高齢患者さんの転倒予防に成功した事例です。看護師間での情報共有を密に行い、理学療法士と連携してADL評価を実施しました。また、薬剤師と相談し、眠剤の投与時間を調整することで、夜間の転倒リスクを軽減できました。

この事例では、多職種連携による包括的なアプローチの有効性が示されています。

システム改善の取り組み

インスリン投与における投与量間違いを防止するための取り組み事例です。電子カルテのテンプレート改良と、ダブルチェック方法の標準化を行いました。さらに、高濃度インスリンの保管場所を分けることで、取り違え防止を強化しました。

これらの改善により、インスリン関連のインシデントを大幅に減少させることができました。

おしえてカンゴさん!よくある質問コーナー

診療の補助業務に関して、現場の看護師から寄せられる疑問や質問は様々です。

このセクションでは、実践で役立つ具体的な質問とその回答をご紹介します。

業務範囲に関する質問

指示受けについて

Q:「口頭指示を受けた場合、どのように確認して記録すればよいですか?」

A:口頭指示を受けた場合は、その場で復唱して内容を確認します。指示内容、指示を出した医師名、日時を必ずメモし、できるだけ早く電子カルテに記録します。また、可能な限り早期に医師による記載を依頼します。緊急時など、やむを得ない場合を除き、原則として書面での指示を受けることが望ましいです。

特定行為について

Q:「特定行為研修を修了していない場合、どこまでの範囲で実施できますか?」

A:特定行為に該当する医療行為は、研修を修了していない看護師は実施できません。ただし、医師の立ち会いのもとで実施する場合や、診療の補助として一般的に実施されている範囲の医療行為については実施可能です。具体的な業務範囲については、各医療機関の規定に従って判断します。

実践方法に関する質問

安全確認について

Q:「危険薬の投与時、どのような確認が必要ですか?」

A:危険薬の投与時は、薬剤名、用量、投与経路、投与速度について、必ず他の看護師とダブルチェックを行います。また、患者の状態(バイタルサイン、アレルギー歴など)を事前に確認し、投与中は副作用の出現に注意して観察します。投与記録は速やかに行い、特記事項があれば詳細に記載します。

感染対策について

Q:「新型感染症への対応で気をつけることは何ですか?」

A:標準予防策を基本とし、感染経路別予防策を適切に追加します。個人防護具の正しい着脱手順を遵守し、使用した医療機器や器材の適切な消毒・滅菌を行います。また、最新の感染対策ガイドラインを確認し、変更点があれば速やかに対応します。

記録管理に関する質問

電子カルテについて

Q:「電子カルテのテンプレート機能を効果的に使うコツはありますか?」

A:テンプレートは業務の効率化に有効ですが、個々の患者の状態に応じて適切に修正することが重要です。よく使用する記録項目はお気に入り登録しておき、必要に応じて追加・修正できるようにしておくと便利です。また、定期的にテンプレートの内容を見直し、最新の医療情報に対応させることも大切です。

記録の修正について

Q:「記録の誤りに気付いた場合、どのように修正すればよいですか?」

A:電子カルテでの記録修正は、必ず院内の規定に従って行います。修正履歴が残る形で修正し、修正理由を明記します。重要な内容の修正の場合は、上司に報告し、指示を仰ぐことも必要です。また、修正した内容が関係者間で共有されるよう配慮します。

まとめ

診療の補助業務は、法的根拠に基づく重要な看護業務です。本記事で解説した業務範囲の理解と実践手順の習得、そして適切な記録管理により、より安全で質の高い医療の提供が可能となります。特に2025年の法改正に伴う変更点については、継続的な学習と確認が必要です。

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